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確定申告が必要な学生は?バイト掛け持ちの場合は要注意!【税理士監修】

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最終更新日: 2024年02月07日

学生は確定申告が不要と思われがちですが、アルバイトの掛け持ちなど、働き方によっては必要な可能性も十分にあります。

「確定申告は必要なのだろうか・・・」と頭を悩ませるあなたのために、確定申告の判断基準や基礎知識をわかりやすく解説します。

この記事を監修した税理士

越智聖税理士事務所 - 愛媛県松山市天山

 

確定申告が不要な学生

働く女性

確定申告とは、1年間の所得と税金を計算し、税務署に申告・納税する手続きです。

学生アルバイトなど勤務先で年末調整が行われている場合、確定申告は基本的に必要ありません。また年収が「103万円以下」の場合や、副業収入が「20万円以下」の場合も確定申告は不要です。

アルバイトなど勤務先が年末調整を行っている

年末まで1箇所のアルバイト先に在籍しており、勤め先で年末調整の手続きを行っている学生は確定申告の手続きが不要です。基本的に年収の制限はなく、収入金額が2,000万円以下の場合は申告手続きを要しません。

アルバイトを含む給与所得者の場合、毎月の給料から所得税が天引きされ、年末調整によって勤務先が所得税の清算を行ってくれるためです。

しかし年末調整を行っている場合であっても、複数のアルバイトを掛け持ちしている場合や、別途副業収入がある場合は自ら確定申告を行う必要がある点に留意しましょう。

年収が「103万円」以下

勤務先で年末調整が行われていない学生であっても、年収が「103万円以下」の場合には確定申告が不要です。103万円という額は、給与所得控除と基礎控除を差し引くと課税される所得が0円となり、税額も0円となるためです。

しかし年収が103万以下の場合であっても、特定の月に88,000円以上の収入を得た場合には、確定申告をすることがおすすめです。

月の収入が88,000円を超えた場合、勤務先で源泉徴収が行われるため、本来納めなくて良い所得税が天引きされてしまいます。そこで確定申告をすることによって、天引きをされた所得税が還付金として戻ってくるのです。

そのため年収103万以下で特定の月に88,000円の収入を超えた場合は、確定申告を検討しましょう。なお年収が103万円を超えた場合であっても、基礎控除以外の控除項目がある場合は還付になる可能性があるので、所得控除について調べることもおすすめです。

関連記事:給与所得控除とは?所得控除や基礎控除との違い、年末調整・確定申告の書き方まで解説

副業の収入が「20万円」以下

アルバイト等の給与所得以外に副業収入がある学生であっても、副業の所得が「20万円以下」であれば所得税の確定申告が不要です。

副業収入とはアフィリエイトやYouTube、株取引などの給与所得以外の所得が該当し、多くの場合は「雑所得」に含まれます。これらの基準は「所得」が20万円以下の場合であるため、各種費用を収入から差し引いた後の額に着目します。

なお副業での所得が20万円以下であっても、アルバイト先で年末調整が行われていない場合は合わせて確定申告が必要である点に留意しましょう。

副業の収入が20万円以下である場合でも住民税の申告は必要である

副業収入が20万円以下の学生は所得税の確定申告が不要ですが、住民税の確定申告は必要となる点に注意しましょう。副業所得20万円以下で申告が不要となる規定は、あくまでも所得税の規定であるためです。

住民税の申告を行わなければ、正しい住民税額や健康保険料等の算出ができないので、少しでも副業所得がある方は、住民税の申告手続きを忘れずに行う必要があります。

確定申告が必要な学生

大学生

年収が103万円以下の場合でも、中には確定申告が必要なケースがあります。

複数のアルバイトを掛け持ちしている学生や、年末までにアルバイトを辞めた方は確定申告をしなければならない可能性があるのです。

アルバイトを掛け持ちしている

複数のアルバイトを掛け持ちしている学生は確定申告が必要です。年末調整は1箇所の勤め先でしか行われないことから、年末調整を行っていない給与分の税金が清算できないためです。

しかしアルバイトを掛け持ちして確定申告が必要なケースは、掛け持ち先の給与収入が20万円以上の場合です。掛け持ち先の収入金額が20万円以下の場合は確定申告が不要となる点を覚えておきましょう。

また年間に2箇所以上から給与を貰っている場合であっても、転職した形であれば年末調整時に在籍している勤め先でまとめて手続きが可能です。

一例を挙げると「1月から6月までA社で働いて、7月から12月までB社で働いている場合、A社分とB社分共にB社で年末調整が可能」ということです。まとめて年末調整を行う場合は、以前の職場の源泉徴収票が必要である点に留意しましょう。

年末調整前にアルバイトをやめた

年末調整前にアルバイトをやめた学生も、自分で確定申告を行う必要があります。年末調整が行われていないため、年内の税金が清算出来ていないからです。他の収入がない場合、多くのケースで還付の申告となります。

なお年末調整前にアルバイトを辞めた場合であっても、年収が103万円以下であれば原則として申告が不要な点を覚えておきましょう。

扶養控除等異動申告書を提出していない

年末調整の前に扶養控除等異動申告書を提出していない学生は、確定申告を行う必要があります。

扶養控除等異動申告書とは、年末調整を受けるための各種情報を記載する用紙のことで、当申告書を提出しなければ年末調整を行えません。年末調整が行えない場合、自分自身で源泉徴収票と各種控除に関する書類を用いて確定申告を行う必要があります。

なおこの場合も年収が103万円以下であれば、原則として申告手続きが不要となります。

副業の収入が「20万円」を超える

アルバイト先で年末調整を行っている学生であっても、副業での所得が20万円を超える場合は確定申告が必要になります。

副業での所得とは、給与収入以外の雑所得や事業所得が該当します。年末調整だけではこれらの副業収入に係る税金の清算ができないため、翌年の確定申告期間で自ら手続きを行う必要があるのです。

なお給与所得の掛け持ちとは異なり「所得」ベースで計算を行う点に留意しましょう。

確定申告とは

確定申告の書類

確定申告とは「暦年における所得税を確定させる手続き」のことです。学生を含む多くの方が対象で、特にフリーランスや個人事業主は毎年この確定申告をしなければいけません。

申告手続きを行うことでその年の所得税はもちろん、住民税や健康保険料も確定するため非常に重要な手続きです。

1月1日〜12月31日までの収入・所得を計算し、確定申告書などの必要書類を揃えた上で、翌年2月16日〜3月15日の間に税務署へ提出します。

収入と所得の違いを理解するのが大切

確定申告における税金について考える上では「収入」と「所得」の違いをはっきり押さえておくことが大切です。

「収入」は、その名の通り年間で得られたお金の総額のことを言います。アルバイトや会社員であれば「給料」、個人事業主であれば「売上」が収入です。

一方、所得は「収入」から「必要経費(仕事をする上でかかった費用)」や「給与所得控除」などを差し引いた額のことを指します。アルバイトや会社員の場合は「収入-給与所得控除などの各種控除」が所得になります。また個人事業主の場合は「収入-必要経費」が所得です。

給与所得控除とは、納税額を決定する際に、自動的に収入から計算上差し引かれるもの。給与所得控除の額は収入によって異なります。

学生は確定申告をしなくてもバレない?

学生だからと言って、確定申告をしなくてもバレないということはありません。学生か否かに関わらず、適切な申告手続きを行っていなければ税務署から指摘が入る可能性があります。

本来確定申告が必要にも関わらず手続きを怠った場合、罰則の対象となるため注意が必要です。具体的な罰則には延滞税や無申告加算税が挙げられます。これらの罰則を受けると、本来の税額以上の納付を行う必要が出てきます。

いずれの罰則も、税務署から指摘が入る前に一日でも早く手続きを行うことで、最小限の税負担に留めることが可能です。そのため学生であっても申告義務のある方は必ず確定申告を行いましょう。

学生の場合は「勤労学生控除」が受けられる

オフィスでPCを操作する男性

学生でアルバイトをしている方は年末調整や確定申告で「勤労学生控除」を受けると、27万円を所得から差し引くことができます。その結果給与収入が130万円までは所得税が発生しなくなるのです。

しかし給与収入が103万円を超えると、親の税金が高くなるなどのデメリットも存在するため、制度の内容をよく理解した上で活用しましょう。

勤労学生控除の要件

「勤労学生控除」とは、次の要件に当てはまる学生に適用される所得税の控除制度のことです。

  • 高校や大学、専門学校などの学生であること
  • 合計所得額が65万円以下であること
  • アルバイト以外の事業所得(アフィリエイトなど)が10万円以下であること

勤労学生控除の対象になると、所得税の計算で「27万円」の控除が適用されます。

所得税の額は、その人の年間所得に応じて決まります。所得は「収入-(必要経費+各種控除)」の計算式で表せることから、控除額が多ければ多いほど納税額が少なくなるのです。

年収「130万円」以下は確定申告が不要に

勤労学生控除の適用があれば、年収「130万円」以下は確定申告が不要になります。これが俗に言う「130万円の壁」です。

所得税は年間所得に応じて決定します。そのため各種控除の合計金額である「130万円」を超えていなければ所得税はかかりません。

【学生が受けられる3つの控除】

  1. 基礎控除:48万円
  2. 給与所得控除:55万円
  3. 勤労学生控除:27万円

これら3つの控除額を合わせると「130万円」になります。このことから、年間の給料が130万円以下に収まるのであれば、所得税はかからないといえます。

勤労学生であっても103万円を超えると親の税金は高くなる

学生がバイトやインターンをする際、もうひとつ気をつけておきたいものに、「103万円の壁」があります。実は学生バイトの年間給与が103万円を超えると、親の税金が高くなってしまうのです。

所得の各種控除のひとつに「扶養控除」というものがあります。これは収入が103万円以下の家族を養っているときに受けられる控除──つまり親の扶養に入っている(年間収入が103万円以下である)場合、この扶養控除によって親の所得税が減額されているのです。

ところがバイトで収入が103万円を超えてしまい、扶養から外れると、親は扶養控除を受けられなくなってしまいます。すると当然、親の所得税額が上昇することになるわけです。

そのため、バイトの収入が一年間で103万円を超えそうなとき(扶養から外れることになりそうなとき)は、ご両親と一度よく話し合ってみることをおすすめします。

勤労学生控除の手続き方法

勤労学生控除を年末調整で受けるためには、扶養控除申告書のC欄「勤労学生」のチェックボックスにチェックを入れて、年末調整先に提出するだけです。

一方で確定申告によって勤労学生控除を受ける場合は、確定申告書の勤労学生控除欄に「270,000」と記載します。提出の際は勤労学生控除証明書の添付もしくは提示が必要である点に留意しましょう。

勤労学生控除証明書とは学生であることを証明する書類で、在学証明書や学生証等が該当します。在学証明書がどこで入手できるかは、学校の総務課や事務担当者に問い合わせましょう。

確定申告のやり方・申告書の記入方法を解説

実際に確定申告が必要になった場合、どうやって確定申告をすればいいのでしょうか。本項では、確定申告の提出時期や場所、必要書類などといった基礎の基礎をご紹介。確定申告書の作成方法についても簡単に解説します。

確定申告は「いつ」「どこで」行う?

確定申告は、前年1月1日〜12月31日の所得分の申告を、翌年2月16日〜3月15日の間に行います。確定申告時期は基本的に毎年2月16日〜3月15日で固定ですが、土日祝日が重なる場合は翌平日に後ろ倒しになるのが基本です。

2023年(令和5年)分の確定申告時期は、2024年(令和6年)2月16日〜3月15日となっています。

確定申告書類の提出先は、現住所地を所管する税務署です。自分の住んでいるところを所管する税務署がどこなのかは、国税庁のホームページで調べられます。

確定申告書類をすべて揃えたら、期間内に税務署に出向いて提出しましょう。税務署と聞くと少し入りづらいイメージがあるかもしれませんが、入口まで行けば確定申告専用の窓口が目立つところに用意されていると思いますので、心配はいりません。

また期間内であれば、税務署へ郵送して提出することもできます。

確定申告の必要書類

確定申告のメインの書類は、確定申告書です。これは税務署で入手できます。国税庁のホームページから用紙をダウンロードして、それをプリントアウトして記入するのも可能です。なお確定申告書には以前は「A様式」と「B様式」がありましたが、令和5年より1種類に統合されました。学生バイトの確定申告でも、統合された確定申告書を使用しましょう。

参考:確定申告書等の様式・手引き等

そしてもうひとつ、学生バイトが確定申告する際に必要なのが、勤務先から発行される「給与所得の源泉徴収票」です。勤めているすべてのアルバイト先の源泉徴収票を用意しましょう。源泉徴収票は提出する必要はありませんが、書かれている内容を確定申告の際に使用します。もしもらった源泉徴収票を失くしてしまった場合は、勤務先の会社に頼めば無料で再発行してくれます。

学生でも簡単!確定申告書の作成方法

確定申告書は、第一表と第二表の2枚から成り立っています。それぞれについて作成方法を説明していきます。
難しそうに見えますが、一度理解すれば学生さんでも簡単に作成できますよ。

年末調整した会社の源泉徴収票と、していない会社の源泉徴収票、それぞれを手元に用意しておきましょう。

確定申告書第二表の作成方法

複数の会社でアルバイトしている場合、記入内容の都合上、まずは第二表から埋めていきます。

学生の確定申告書作成
出典:国税庁の画像を加工
  1. 氏名・住所を記入します。
  2. 「所得の内訳」の部分に記入していきます。「所得の種類」は「給与」、「種目」は給料、その右にそれぞれの会社名を記載しましょう。「収入金額」欄は源泉徴収票の「支払金額」、「源泉徴収税額」には源泉徴収票の「源泉徴収税額」の金額を入れます。源泉徴収票が複数枚ある場合は、すべてを記載します。すぐ下の「〜合計額」欄には、両社の源泉徴収税額の合計額を書いてください。
  3. 社会保険や生命保険などを支払っている場合は、右上の社会保険料控除、生命保険料控除に支払金額を記載します。「うち年末年末調整等以外」には、年末調整を受けていない金額があれば記載します。とくになければ空欄で構いません。

確定申告書第一表の作成方法

続いて第一表です。

学生バイト確定申告書第一表
出典:国税庁の画像を加工
  1. 住所や氏名などを記載します。
  2. 確定申告書第二表と源泉徴収票を参考に、赤枠を上から順に埋めていきましょう。収入金額等の給与欄には源泉徴収票の「支払い金額」の合計を記載します。所得金額等の給与欄には、源泉徴収票が1枚であれば「給与所得控除後の金額」を記載しますが、2枚以上ある場合は合計所得金額をもとに「令和5年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」から探して記載します。
  3. 「所得から差し引かれる金額」には社会保険料や生命保険料などを納めている場合に記載します。また基礎控除には「480,000円」と記載しましょう。
  4. 「税金の計算」では確定申告書に記載されている計算式に沿って、各欄を埋めていきます。㉛は、㉚で算出した「課税される所得金額」に「所得税の税率」を掛けた金額です。
  5. 計算の結果、「還付される金額」がある場合は、右端の欄に還付先となる銀行口座の情報を入れましょう。

これで確定申告書の作成は完了です。もしわからなければ、確定申告会場でも指導してもらえますので難しく考えなくても大丈夫です。税金の悩みを手早く解決して、アルバイトに精を出してくださいね。

また、以下の記事では確定申告書の書き方をより具体的に解説していますのであわせてご確認ください。

関連記事:確定申告書のわかりやすい書き方! 会社員・パートの記入例【確定申告書A・Bは廃止】

監修税理士からのコメント

越智聖税理士事務所 - 愛媛県松山市天山

私も大学生時代(何年も前になりますが。。。)にアルバイトをしており常に親の扶養の事を注意してました。昨今は“副業”もあるので尚更注意が必要です。ただ“副業”は“収入”でなく“所得”で判定します。なので大切なことは“経費”をしっかり捉えることになります。確定申告をする必要があるか微妙なラインの方は“経費”をしっかり押さえるようにしましょう!!

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この記事の監修税理士

越智聖税理士事務所 - 愛媛県松山市天山

大学卒業後愛媛県西条市の税理士事務所で12年間の勤務の間に税理士試験に合格し平成27年4月に愛媛県松山市にて独立開業。スタッフ5人。法人の顧問先102件、確定申告約130件(平成30年実績)相続税申告年間約5件。“人の為に動く”を経営理念とし、愛媛県で一番話しやすい税理士と言われている。