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ビニールハウスの耐用年数は材質・構造で決まる!減価償却のポイント

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最終更新日: 2024年01月16日

ビニールハウスは農業経営をされている人にとって重要な設備です。

農業経営者の確定申告では、このビニールハウスは減価償却をすることにより経費にすることができます。

今回はビニールハウスの減価償却についてご紹介します。

ビニールハウスの骨組みの素材で減価償却の耐用年数が異なる!

ビニールハウスの骨組みの素材で減価償却の耐用年数が異なる!
ビニールハウスの骨組みの素材で減価償却の耐用年数が異なる!

ビニールハウスの耐用年数は、骨組みに使用している「素材」によって耐用年数が異なります。耐用年数とは、税務上の使用可能年数のことです。素材以外でも、そのビニールハウスが「構築物」に分類されるのか、それとも「器具備品」の分類されるのかによって耐用年数が異なります。素材別の耐用年数、構築物の定義を見ていきましょう。

農業用ビニールハウスにおける構築物の定義とは

始めに、どのような農業用ビニールハウスが「構築物」に分類されるかご紹介します。「構築物」とは、一般的に土地の上に定着している建物・建物附属設備以外の建造物や工作物などのことをいいます。ビニールハウスが「構築物」に分類されるかどうかの判定は、ビニールハウスが地面に固定してあり持ち運びできない場合、組み立てや解体などが簡単にできない場合などにより、総合的に判断する必要があります。

しかし、最近では大きくて軽いなど「構築物」と「器具備品」の判断が難しい構造のビニールハウスが誕生してきています。個人で判断が難しい場合は税金のプロである税理士に相談してみましょう。

構築物の耐用年数は何年?(ガラス温室、鉄、木材)

農業用ビニールハウスが「構築物」に該当した場合、耐用年数はビニールハウスの骨組みの素材によって異なります。ビニールハウスの骨組みが「主として金属造り」の耐用年数は14年、骨組みが「主として木造造り」の耐用年数は5年、それ以外の素材の骨組みの場合の耐用年数は8年になります。販売されているビニールハウスでいうと、「鉄骨ハウス」と呼ばれる製品が耐用年数14年になります。

構築物に該当しない場合の耐用年数は何年?(基礎のないビニールハウス)

農業用ビニールハウスが「構築物」に該当しない場合、「器具及び備品」に該当します。こちらもビニールハウスの骨組みによって判断します。骨格部分が、「主として金属製のもの」の耐用年数は10年その他のものなら耐用年数は5年になります。

最近の一般的な農業用ビニールハウスは、「器具及び備品」の「主として金属製のもの」に該当し、耐用年数は10年になります。耐用年数が10年になるポイントは、パイプを地面に突き刺しただけの構造で、簡単に設置や取外しができる場合です。季節によって設置、取外しができるものは10年になると覚えておきましょう。

ビニールハウスの減価償却の計算方法

ビニールハウスの減価償却の計算方法
ビニールハウスの減価償却の計算方法

固定資産の減価償却には「定額法」「定率法」「生産高比例法」の3つの計算方法があります。ここでは、農業用ビニールハウスの減価償却方法を具体例とともにご紹介いたします。

ビニールハウスは原則「定額法」で計算

個人事業者のビニールハウスの減価償却方法は「定額法」によって計算されます。法人であれば、ビニールハウスが「構築物」に該当せず、「器具及び備品」に該当した場合は、「定率法」による減価償却費が計算されます。「定額法」によるビニールハウスの減価償却は次の計算式によって求めます。

減価償却費(定額法)=取得価格×償却率

例1)50万円の農業用ビニールハウス(鉄骨)を1月に購入し、使用を開始した場合

 取得価額50万円×0.072(14年の場合の償却率)36,000円(1年間の減価償却費)

例2)年の途中で農業用ビニールハウス(鉄骨)を購入し、使用を開始した場合は月割計算によって減価償却費を計算
します。

50万円の農業用ビニールハウス(鉄骨)を3月に購入し、使用を開始した場合

 取得価額50万円×0.072×10ヶ月(3~12月)÷12ヶ月=30,000円

原則、「定率法」では計算できない

所得税法(個人事業者の人の場合)、「構築物」に該当するビニールハウスの減価償却方法は「定額法」のみが認められています。「器具及び備品」に該当する簡易なビニールハウスの場合も、原則「定額法」になるのですが、「所得税の減価償却資産の償却方法の変更承認申請書を、変更する年の確定申告期限までに税務署に提出することで、「定率法」に変更することができます。

法人の場合、「器具及び備品」については原則「定率法」ですので、届出書を提出する必要はありません。「定率法」の減価償却の計算式は次のとおりです。

  1. 減価償却費=未償却残高×償却率(A)
  2. 償却保証額=取得価格×保証率(B)
  3. A>Bの場合は、Aの金額が減価償却費となります。
  4. A<Bの場合は、はじめてA>Bになった年の期首未償却残高×改定保証率
  5. 最終年度は未償却残高を1円残して全額償却(備忘価格)

定額法に比べて複雑ですので、個人事業主の人で減価償却方法を「定率法」に変更する場合は、税理士に相談するといいでしょう。

ビニールハウスの減価償却のポイント

ビニールハウスの減価償却のポイント
ビニールハウスの減価償却のポイント

減価償却の計算をする時に必要になる情報は、「耐用年数」「減価償却方法」「取得価額」の3つです。ここではビニールハウスの「取得価額」についてご紹介します。ビニールハウスの取得価額には、引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料を含めた金額が取得価額となり、取得価額が10万円以上の場合は固定資産に該当します。ただし、固定資産への計上には次のような特例があります。

少額減価償却資産として計上する

個人事業主が青色申告により所得税の申告を行っている場合は、「少額減価償却資産の特例」を利用することができます。「少額減価償却資産の特例」を利用することで、取得価額30万円未満の資産を取得した場合に、一括で取得価額の全額を経費にすることができます。つまり、299,999円までの金額のビニールハウスを購入した場合は、全て消耗品費としてその年の経費になります。ただし、年間で取得価額の合計300万円までです。

一括償却資産として計上する

「一括償却資産」とは、取得価額が10万円以上、20万円未満のビニールハウスを購入した場合は「一括償却資産」に計上することができる制度です。一括償却資産に計上した資産は、個別に減価償却は行われず、「一括償却資産」に計上した合計額を3年間で均等償却します。

鉄骨ハウスの耐用年数は14年ですが、取得価額が20万円未満であれば「一括償却資産」に計上し、3年で減価償却が終了するため、早く減価償却が終了し、早く経費にすることができます。

ビニールハウスは固定資産税(償却資産税)の課税対象

ビニールハウスは固定資産税(償却資産税)の課税対象
ビニールハウスは固定資産税(償却資産税)の課税対象

固定資産税とは、地方自治体が納税者の所有する資産に課税する税金です。固定資産税は、地方自治体が計算した固定資産税評価額に1.4%(都市計画税を含まず)を乗じて計算されます。ビニールハウスは建物ではないので、固定資産税の対象にならないと思われる人もいらっしゃいますが、ビニールハウスは固定資産税の中の「償却資産税」の課税対象になります。

償却資産税とは?

「償却資産税」とは、固定資産税の一種で、会社や個人事業者が事業を営んでいる場合に「事業に使用している資産」が対象になる税金です。償却資産税の対象になる資産は、構築物・機械・車両・器具備品です。ビニールハウスは、「構築物」又は「器具備品」に該当します。

固定資産税の対象になる土地・建物は、地方自治体によって固定資産税評価額を計算しますが、償却資産税については地方自治体に計算の基礎を申告する必要があります。毎年12月頃に地方自治体から償却資産税の申告書が送られてきますので、その年に購入した資産の名称・取得価額・耐用年数を記入して1月末の申告期限までに申告しましょう。

償却資産税の計算式

償却資産税の税額は、納税者が計算する必要はありません。該当する年に取得した償却資産税の対象になる資産の情報を記入するだけです。償却資産税申告書の提出後、地方自治体の固定資産税課で税額が計算され、毎年5月頃に固定資産税通知書が納税者に送られてきます。地方自治体が行なう償却資産税の計算式は次のとおりです。

償却資産税評価額=取得価額×減価残存率

残存率とは、取得価額を100%として現在何%が残っているかを表す率です。

監修税理士のコメント

進藤崇 - 東京都中野区新井

ビニールハウスに限った話ではありませんが、耐用年数は正しいかどうか、取得価額に含めるべき引取運賃などの諸費用は適正かどうかを、税務署から確認を求められることがあります。固定資産は所得計算に与える影響額が大きいため、適切な処理を行いましょう。

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今回は「ビニールハウスの減価償却」についてご紹介しました。ビニールハウスの減価償却は、骨組みの材質や構造によって固定資産の勘定科目、耐用年数が変わります。ビニールハウスの取得価額によって、「少額減価償却資産」「一括償却資産」の特例を利用することもできます。

また、ビニールハウスを取得することにより償却資産税の申告が必要になります。ビニールハウスを取得することで、たくさんの経理処理や申告が必要になりますので、農業経営している個人事業主の人は、税務・会計のプロの税理士にご依頼されてはいかがでしょうか。ミツモアで税理士に見積もりを依頼してみましょう!

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この記事の監修税理士

進藤崇 - 東京都中野区新井

2017年10月に独立・開業いたしました。会社の税務顧問・記帳代行はもちろんのこと、個人の確定申告、相続税の相談申告を承っています。 また、ファイナンシャル・プランナーの資格もありますので、個人のライフプランニングについてもご相談ください。