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相続税の障害者控除ってなに? 控除の要件から申告方法まで大解説!

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最終更新日: 2018年11月22日

身体や精神に障害を持っている人は、仕事をして生活費を捻出することができないだけでなく、他者の手を借りなければ、生活していくことができない場合もあります。そんな家族を抱える人の中には「自分が死んでしまったら」という不安を持っている人も少なくありません。そんな不安に応える制度が、相続税の障害者控除です。故人が障害者の場合には利用できませんが、財産を相続する人、つまり相続人が障害者だった場合、相続税が大きく控除されるのです。今回は、相続税の障害者控除について申告の要件や方法、添付書類などを、分かりやすくご紹介します。

障害者の暮らしを支える、相続税の障害者控除制度の要件

日本の税制度には、障害を持つ人の暮らしを支える目的のさまざまな特例制度があります。社会全体として、障害者を支えようという制度で、相続税の税額を減額できる障害者控除もその一つです。控除の条件は以下の5つです。

【要件1】相続が発生したとき日本国内に住所を持っていること

相続が発生した際、日本に住所がある人が対象で、海外に住んでいる場合は対象外です。ただし、「日本国籍である」「故人か相続人のどちらかが、相続が発生する前5年位内に日本に住所を持っていた」という条件を満たせば、適用対象になります。

【要件2】一般障害者または、特別障害者であること

障害者の相続人に対する控除なので、相続を受ける人が障害者であることは大前提です。ただし「障害がある」と自分や周囲の人が思っているのでは対象になりません。国に「障害者」として認定されている必要があります。

また、障害の程度によって、等級がつけられており等級によって「一般障害者」と「特別障害者」の2種類に分けられ、それぞれ、基準となる控除額が異なります。

【要件3】法定相続人であること

法定相続人とは、民法で定められた相続人のことです。

両親と兄弟1名が生存していて、子どもが2人いる夫婦の場合、夫が亡くなった場合の法定相続人は、妻と二人の子どものほか、両親と兄弟までが法定相続人になります。遺言状に相続人として記載されていても、法定相続人ではない場合は、障害者控除の対象外です。

【要件4】85歳以下であること

相続税の障害者控除は、相続人が85歳になるまでを対象としています。障害者控除の計算では、相続する障害者が若いほど、控除額が高くなるように設定されています。これは、相続人が若いほど、その後の暮らしに必要な費用が高額になることを考慮したものです。

【要件5】相続者として財産を取得すること

障害の程度が大きい場合、障害を持つ相続人が相続放棄をして、その後、面倒を見る予定の人に遺産を多く相続させよう、と考えることもあるかもしれません。けれど、相続税の障害者控除は、あくまで障害者が相続を受ける場合が対象です。いくら法定相続人の中に障害者がいたとしても、その人が財産を相続しなければ、相続税が発生しないため、障害者控除を利用することもできなくなってしまいます。

相続税の控除額はどのくらい?

障害者控除は遺す家族の暮らしを支えるための制度です
障害者控除は遺す家族の暮らしを支えるための制度です

相続税の障害者控除は、相続財産からの控除ではありません。相続税額を減税するものです。相続税が控除されるのは、基本的に、障害をもった相続人本人です。障害者控除額が大きい場合は、本人以外の相続税が控除できることもありますが、いつでも、本人以外の相続税を控除できるわけではありません。

では、具体的に控除額はどのように計算するのでしょうか。また、障害者控除の特徴の一つである、本人以外の相続税を控除するためにはどんな条件を満たしたらよいのでしょうか。

なぜ控除をするのか?

障害の種類や程度によっては、一般の人と同じように仕事をしたり、生活をすることもできる世の中に近づいてきました。けれど、自立できる障害者はまだまだほんの一部。ほとんどの障害者は、家族などの支えを必要としています。さらに、診療や治療にかかる器具や薬代など、必要な出費も多くなります。

そんな状況の中、家族を亡くした障害者の暮らしを支えるのは、遺産。だからこそ、障害者の暮らしを守るために、相続税を控除する制度があるのです。

障害者といっても、一括りにはできないほど、障害の程度には違いがあります。そのため、相続税の障害者控除制度では、障害認定の種類や等級に応じ、2種類の基準を設定しています。

・一般障害者
一般障害者は障害や認定を受けていることが前提条件で、特別障害者に該当しない人です。

1 児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医の判定により、知的障害者と判定された人

2 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人

3 身体障害者福祉法の規定により交付を受けた身体障害者手帳に、身体上の障害がある人として記載されている人

4 精神又は身体に障害のある年齢が満65歳以上の人で、その障害の程度が特別障害者の1、または、一般障害者の1、3に掲げる人に準ずるものとして市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人

5 戦傷病者特別援護法の規定により戦傷病者手帳の交付を受けている人

・特別障害者
特別障害者は、以下の要件を満たす人です。

1 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状況にある人

2 児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医の判定により、知的障害者と判定された人のうち重度の知的障害者と判定された人

3 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人のうち障害等級が1級と記載されている人

4 身体障害者福祉法の規定により交付を受けた身体障害者手帳に、身体上の障害がある人として記載されている人のうち障害の程度が1級又は2級と記載されている人

5 精神又は身体に障害のある年齢が満65歳以上の人で、特別障害者に準ずるものとして市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人

6 戦傷病者特別援護法の規定により戦傷病者手帳の交付を受けている人のうち障害の程度が恩給法に定める特別項症から第3項症までの人

7 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の規定により厚生労働大臣の認定を受けている人

8 その年の12月31日の現況で引き続き6カ月以上にわたって身体の障害により寝たきりの状態で、複雑な介護を必要とする(介護を受けなければ自ら排便等をすることができない程度の状態にあると認められる)人

なお、「要介護認定」を受けているだけでは、障害者控除を受けることはできない場合があります。障害者控除対象となるのは、あくまで上記のような障害者としての認定を受けている人だけです。ただし、「要介護者は障害者に準ずる」ことになっていますので、要介護認定を受けている85歳以下の親族がいる場合は、障害者認定が申請できないか、役所などで確認してみましょう。

障害者控除が受けられるのは、85歳以下の相続人

相続税の障害者控除が受けられるのは85歳以下の障害をもった法定相続人です。障害者控除は障害者の種類に応じて設定された1年あたりの控除額に、85歳から現在の年齢を引いた数、つまり、85歳になるまでの残り年数をかけます。

障害者控除の計算式は
(85歳-相続開始時の年齢)×1年あたりの控除額
です。

年齢を計算する場合、1年未満は切り捨てて考えます。満年齢が30歳4カ月だった場合は、30歳として計算します。

一般障害者の控除額の計算方法

では、具体的に一般障害者は、どのくらい、相続税の障害者控除を受けることができるのでしょうか。一般障害者の控除額は1年につき10万円です。

35歳6カ月で一般障害者のAさんが、相続を受ける場合は以下のような計算になります。35歳6カ月で端数は切り捨てるので、35歳として計算します。

(85歳-35歳)×10万円 = 50年×10万円 = 500万円

特別障害者の控除額の計算方法

特別障害者の場合、1年につき20万円が控除されます。特別障害者は障害の程度が重い人が対象となっているため、生活に必要な金額も大きくなることから、控除額が大きくなっています。

同じく35歳6カ月の人の場合は以下のような計算になります。

(85歳-35歳)×20万円 = 50年×20万円 = 1,000万円

他の相続人の相続税が控除できることも!

相続税の障害者控除の特徴として、本人以外の相続税を控除できることもあります。その条件は、控除額が相続税額を上回った場合です。

例えば、1,000万円を相続する場合、相続税の税率は10%なので、相続税は100万円となります。障害者控除額が200万円だった場合は、控除額が相続税額を上回り、相続税は0円となります。控除額が残った場合は、他の相続人に分けることができるというのも、障害者控除の大きな特徴です。これは、障害者だけでなく、障害者の暮らしを直接支えている扶養者にも金銭的負担をかけないように、という配慮です。

一般障害者であるAさん(30歳)の相続税が300万円、健常者である兄のBさんの相続税が300万円だった場合で計算してみます。

Aさんの障害者控除額
(85歳-30歳)×10万円 = 500万円

Aさんが支払うべき相続税
300万円-500万円の控除 → 0円

200万円の控除額が残っています。

そこで、残りの障害者控除額を他の相続人であるBさんから控除します。

Bさんが支払うべき相続税
300万円-200万円の控除 = 100万円

障害者本人以外に障害者控除が適用されるのは、配偶者、子ども、兄弟など3親等以内の親族で、扶養義務者と判断された人。同居などの要件はありませんが、扶養義務を負うと家庭裁判所が判断したもの、と規定されています。

さらに、それでも控除額が残ってしまった場合は、次の相続発生時に控除額を残しておくこともできます。通常、相続税の障害者控除では、2回目に相続が発生した場合は、控除額が減額されます。しかし、父が亡くなったときの控除額の残りを残しておけば、母が亡くなったときに差し引くことが認められているのです。

相続税の障害者控除はどうやって申告するの?

障害者控除の申告には障害者手帳などが必要です
障害者控除の申告には障害者手帳などが必要です

障害を持つ家族が、安心して暮らしていくためにも有効な相続税の障害者控除。計算してみて相続税が0になった場合、相続税の申告は不要です。でも、扶養義務者の相続税の一部を控除する場合や、財産総額が確定できない場合、相続財産をどのようにわけるか未分割の場合など、申告が必要なこともあります。では、どのような書類が必要で、何を添付したらいいのでしょうか。

必要書類は2つ!

相続税の障害者控除の申告に必要な書類は、2つ。相続税申告書類の中にある、第6表「未成年者控除額・障害者控除額の計算書」と、障害者手帳のコピーなど、障害者であることを証明する書類です。

申請書は国税庁のホームページからダウンロードすることができます。

国税庁のホームページから「相続税の申告手続」へ

申告書類の書き方

「相続税の障害者控除申告の計算書」の記載方法は、国税庁のホームページなどにも記載されています。

具体的には、一般障害者か、特別障害者かを調べた後、該当する障害者の指名を記入したら、年齢と控除額の計算式に当てはめて控除額を算出し、記載。元の相続額と控除後の相続額を記入すればOKです。

さらに、扶養義務者がいる場合も、氏名のほか、もともとの相続税額や控除額を記入すればできあがります。

ただし、そのほかの相続税の申告書類は、相続財産の計算など、複雑なものも多く、作成に時間がかかることが多いので注意しましょう。

もし、障害者手帳が無いときは?

相続税の障害者控除を申告する際には、要件を満たす障害者であることを証明するために、障害者手帳などのコピーが必要です。しかし、障害者手帳はすぐに発行してもらえるものではありません。もし、障害者認定を証明する手帳が取得できていない場合はどうしたらいいのでしょうか。

障害者であるかどうかの基準になる日は、「相続が発生した日」になります。例えば、1月15日に親族が亡くなり、相続が発生した場合、それ以前に障害者手帳の交付申請を行っていれば、問題ありません。相続税の申告・納税期限は10カ月以内なので、10月15日までに手帳が発行されれば申告できます。障害者の診断を医師から受けた場合は、できるだけ早く障害者手帳を申請しましょう。

それでも、手帳の申請を忘れていた、という場合は、医師の診断書があれば認められる場合があります。その際、注意すべきは診断書の日付。相続開始前に医師の診断書が手元にあり、障害者に認定される障害があったと判断された場合は、障害者として認められます。

相続税の障害者控除を2回申告した場合はどうなるの?

相続税の障害者控除は、複数回同じ条件で受けられるわけではありません。過去に控除を受けたことがある場合は、相続の際の控除額から以前の控除額が差し引かれます。

一般障害者のAさんが35歳のとき(扶養義務者の控除を含め300万円控除を利用)と50歳のときに相続を受ける場合は、以下のような2つの計算式を使い、いずれか少ないほうが2回目の控除額になります

① 今回の相続に関する控除計算
(85歳-50歳)×10万円 = 350万円

② 前回の相続で控除を受けた額の計算
{(85歳-35歳)×10万円}- 300万円 = 200万円

上記の場合、②の方が、控除額は少ないので、2回目の相続税控除額は200万円となります。

不安なことがあれば、税理士まで!

計算方法も分かりやすく、減税効果が高い障害者控除ですが、税金のことなので、万が一間違いがあった場合、申告漏れを指摘され、追徴課税されることもあります。また、複数の法定相続人がいる場合はそれぞれの相続金額を調整し、兄弟などの扶養義務者の相続税や二回目以降の相続税対策にもなります。

ただし、障害を持つ家族の世話や亡くなった家族に関する諸手続きをしながら、相続税の申告や手続きなどを考えるのは、難しいかもしれません。税金についてのルールには、難しいものも多く、新しい制度に変わることも多いので、最新情報を集めるのにもひと苦労。相続税の障害者控除を受けるのに申告手続きが不要なのかどうかも含めて、不安になる人も多いでしょう。

そんなとき、味方になってくれるのは、税の専門家である税理士です。税金についての相談や申告書の作成を行ってくれる唯一のプロが税理士。小さな悩みも、ちょっとした疑問も、税理士に相談すれば、すぐに答えてくれます。しかも、将来も考えた節税対策などについても提案してくれ、大切な家族を守るお手伝いもしてくれますよ。

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