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一親等とは?親等の数え方や相続における親等を解説

最終更新日: 2024年06月28日

終活や親の相続関係で調べ物していると、親等という言葉を目にする機会は多いのではないでしょうか。

親等は「親族関係の近さ」を表すものです。特に一親等は相続で重要な言葉です。

本記事では親等の意味や数え方、相続における親等を解説します。意味や数え方を知り、相続をスムーズに進めましょう。

一親等はどこまで?

一親等の親族は親や子、養子、養親、配偶者の親です。法廷相続人には配偶者と一親等の血族(親、子、養子、養親)がなれます。ただし子や養子が優先され、親や養親はそのあとになります。

二親等はどこまで?

二親等に該当するのは、兄弟姉妹や祖父母、孫です。二親等の親族がなくなった場合は喪中となり、喪に服します。また相続において一親等の血族がいない場合のみ、兄弟姉妹が法定相続人になれます。

この記事を監修した税理士

京浜税理士法人 横浜事務所 - 神奈川県横浜市青葉区青葉台

 

一親等とは

一親等とは
一親等の親族

一親等とは「親等」を用いて表される親族関係の中でも、最も近い関係にある人です。親や子、配偶者の親、養子、養親があたります。

家系図で基準から一度だけ移動した人が一親等の親族です。ただし数えるときに配偶者は含みません。

なお相続が発生した場合、法定相続人となるのは配偶者と一親等の血族である子供です。子供がいなければ配偶者と両親が相続人になります。

子供や親など一親等の血族がいない場合のみ、兄弟姉妹が法定相続人となります。

親等とは

親等とは基準となる人との「血縁関係の近さ」を表す指標です。遺産の相続や婚姻関係を結ぶときに使用され、親等の数値が小さいほど血縁関係が近くなります。

親族とは

親族は広い意味で親族や親戚を指すこともありますが、法律上は「六親等内の血族」「配偶者」「三親等内の姻族(いんぞく)」の3つです。

血族とは

血族とは、法律上で血縁関係にある人です。生物学的に血がつながっている「自然血族」と、法律上で血縁関係を認められた「法定血族(養子縁組の関係)」の2種類があります。自然血族と法定血族は、法律上の立場や親等の数え方を区別しません。

姻族とは

姻族は婚姻により配偶者となった人の血族です。配偶者の両親や祖父母や兄弟姉妹があたります。ただし配偶者は姻族に含まれません。

親等の数え方

親等図
親等図

親等は自身を0とし、家系図で1つ世代を移動するごとに1ずつ加算して数えます。例えば親は一親等、祖父母は二親等です。

兄弟姉妹は一度、親へさかのぼって1、その後に親から兄弟姉妹へ下って1を加算し、二親等となります。

姻族は基準が配偶者になる以外は、血族と同じ数え方です。例えば配偶者の父母は一親等の姻族、配偶者の兄弟は二親等の姻族となります。

なお配偶者は血族でも姻族でもなく、親等は生じません。数える際にカウントしないため、0親等と呼ばれることもあります。

二親等は兄弟姉妹、祖父母、孫

二親等図
二親等図

二親等に該当するのは、兄弟姉妹、祖父母、孫です。兄弟姉妹については特に間違えやすいため、注意しましょう。

二親等の親族が亡くなった場合、喪に服して喪中となるのが一般的です。

三親等は叔父叔母、甥姪

三親等図
三親等図

三親等に該当するのは、叔父や叔母、そして甥や姪です。このほか、曾祖父母や曾孫も三親等にあたります。

三親等内の親族が亡くなった場合、忌引の休暇を認める会社が多いです。

また三親等内の親族との婚姻は、法律で禁止されています。叔父と姪、叔母と甥の関係にある2人は結婚できません。

四親等はいとこ

四親等にあたるのは、いとこや玄孫、大叔父叔母、高祖父母です。

四親等の親族が亡くなった場合の忌引休暇は、認めない企業が多いです。少数ですが認められる場合もあるので、会社に確認してみましょう。

また四親等の親族とは婚姻が認められています。

六親等は昆孫、六世の祖、はとこ、いとこの孫

六親等に該当するのは、子供から6世代進んだ昆孫(こんそん)や6世代さかのぼった六世の祖です。

このほか親のいとこの子供であるはとこや、いとこの孫も六親等に該当します。

一般的に墓地や霊園は、親族である六親等内の血族は同じお墓に入れます。独自ルールを設けていることもあるので、実家のお墓のルールを確認してみましょう。

特殊な場合の親等

養子縁組届

親族関係は、血のつながる実の親子だけに生じるものではありません。法律上の様々な制度により、血がつながっていなくても親族関係が生じる場合があります。

特殊な場合の親等

養子、養親

養子や養親は法律上、親子関係があり一親等に該当します。

ただし「特別養子縁組」として親子関係が結ばれている場合、養子を産んだ実親との親等は消滅します。

また養子が本人と養子縁組になる前に子をなしていた場合、養子の子に親等は付きません。養子縁組になったあとに生まれた場合のみ、二親等の孫になります。

異母兄弟

産んだ母親が異なる兄弟姉妹でも、通常と同じく二親等に該当します。

連れ子

結婚した相手の連れ子は一親等に該当します。ただし結婚後に連れ子を養子縁組にしていなければ姻族、していれば血族になります。

また結婚した2人にそれぞれ連れ子がいる場合、連れ子どうしは親族関係になく親等もありません。しかし養子縁組をした場合には、連れ子どうしにも親族関係が生じます。

離婚した場合

離婚した夫婦は、婚姻関係がなくなると他人と同様になります。ただし離婚した人とその子供の関係は、離婚による影響を受けません。

離婚しても、親子は一親等のままです。親権がない場合も一親等の血族であることに変わりないのです。

内縁関係

内縁関係にある男女のいずれかに子供がいる場合、その相手と子供は親族関係になく、親等は発生しません。

ただし内縁関係で相手方が子供を認知すると、一親等の親子関係が生じます。

非嫡出子の親等

婚姻関係にない男女から生まれた子供を非嫡出子と呼びます。非嫡出子は、母親とは一親等の関係にあります。父親は婚姻関係にないため、親等は生じません。

ただし父親が認知をすれば、親子関係が生じて一親等となります。

相続手続きにおける「親等」

一親等と相続の考え方

親等がとくに問われるのは、相続手続きの場面です。とくに一親等は相続に大きくかかわってくるので、知識がないと相続のときにトラブルを招くかもしれません。

原則として配偶者および一親等の血族が相続人となる

原則として、法定相続人になれるのは配偶者と一親等の血族のみです。この2つの親族に当てはまらければ相続権は与えられません。

また相続人には「優先順位」が存在し、同じ一親等でも相続の優先度に違いがあります。

優先順位 第一親等の血族
第1順位 子・養子(一親等以外なら代襲相続人)
第2順位 親・養親(一親等以外なら祖父母など直系尊属に当てはまる者)

第2順位の直系尊属の親が遺産を相続できるのは、第1順位の法定相続人が「すべて死亡している」「権利を放棄している」「欠格や排除となっている」のどれかに当てはまるときだけです。

相続を「配偶者と一親等の親族のみ」で考えた場合、相続のパターンは以下になります。

相続パターン 詳細
配偶者と第1順位 配偶者と第1順位がともに相続可能な状態
配偶者と第2順位 第1順位に相続できる者がいない状態
第1順位のみ 配偶者に相続権がなく第1順位の者に相続権がある状態
第2順位のみ 配偶者・第1順位に相続権がなく第2順位の者に相続権がある状態
配偶者と第1順位の代襲相続人 第1順位の子世代に代襲相続している状態

もし配偶者が死亡しても、第1順位と第2順位の組み合わせとはなりません。必ず配偶者+優先順位が上の血族、もしくは優先順位が上の血族のみの相続になります

二親等の血族が相続人となる場合とは?

二親等の血族で法定相続人になれるのは兄弟姉妹のみです。兄弟姉妹は優先順位の第3順位にあたります。二親等の血族が相続人になるには、第1順位・第2順位の法定相続人(子や直系尊属)すべてに相続権がないときのみです。もし兄弟姉妹から代襲相続するときは、甥姪が対象になります。

例外として、第1順位の子が死亡し孫に代襲相続を行っているときは、本来は相続権がない第二親等である孫への相続になります。

代襲相続とは、相続権をもっていた子がすでに死亡や欠格、排除にあてはまるとき、代わりにその下の世代が相続人になる制度です(子が相続を放棄しているケースは除く)。

以下の記事では、法定相続分や法定相続人の数など代襲相続について詳しく解説しています。代襲相続について知りたい方は参考にしてみてください。

関連記事:代襲相続(だいしゅうそうぞく)とは?代襲相続人の範囲、法定相続分を解説|ミツモア

相続人それぞれの法定相続分

第1~第3順位まである血族の法定相続人ですが、それぞれ法定相続分に違いがあります。それぞれの法定相続分は以下の割合です(複数人いる場合は、割合からさらに人数分を割る)。

優先順位 法定相続分
第1順位(子・子の代襲相続人) 配偶者1/2・第1順位の相続人1/2
第2順位(親や祖父母などの直系尊属) 配偶者2/3・第2順位の相続人1/3
第3順位(兄弟) 配偶者3/4・第3順位の相続人1/4

仮に財産が9,000万円・法定相続人が配偶者+2人とした場合の、それぞれの法定相続分の計算は以下の通りになります。

優先順位 法定相続分を考慮した財産
第1順位 配偶者:9,000万円×1/2=4,500万円

第1順位:9,000万円×1/2÷2人=1人あたり2,250万円

第2順位 配偶者:9,000万円×2/3=6,000万円

第2順位:9,000万円×1/3÷2人=1人あたり1,500万円

第3順位 配偶者:9,000万円×3/4=6,750万円

第3順位:9,000万円×1/4÷2人=1人あたり1,125万円

本人が終活を考えているときは、現在の家系図や財産をチェックし、遺産の分配は誰にどのくらい行き渡るのかをシミュレーションすることをおすすめします。

親等を知ってスムーズな相続を

一親等は相続のときの重要な存在

一親等とは、子・親・養子・養親が当てはまる本人にもっとも近い親族です。一親等からの親等の数え方は、家系図を縦にして数えていくことさえ覚えられれば、そこまで複雑なものではありません。

親等の考えは婚姻や相続のときに重要になります。終活のときには常に意識しておきましょう。

とくに相続関係のときの一親等は「相続対象かどうか」や相続額の計算のときにダイレクトにかかわってきます。親等を知ると、相続手続きや終活などをスムーズに進められます。

もし親等の定義だけでなく、相続関係の全体に不安があるときは、相続関係に強い税理士に相談するのも一つの手です。

監修税理士からのコメント

京浜税理士法人 横浜事務所 - 神奈川県横浜市青葉区青葉台

相続が発生すると誰が相続人となるかについて調査をする必要があります。この時にあると便利なのが「親族関係図」です。普段はあまり意識することはありませんが、相続が発生した時に相続手続きを円滑に行うために、一度、親族関係図を作成してみると良いでしょう。

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この記事の監修税理士

京浜税理士法人 横浜事務所 - 神奈川県横浜市青葉区青葉台

横浜市青葉区を拠点として、個人及び中小規模法人のお客様を中心に税務サービスを提供しております。 「小規模事務所ならではのフットワークの軽さ」「代表税理士の顔が見える安心感の提供」をモットーに、日々お客さんのお役に立てるよう業務に邁進しております。