ブレーカーが落ちると電気が使えなくなって困ります。1度ならまだしも、何度も落ちる場合は原因が気になりますよね。
この記事では、ブレーカーが落ちる原因になりやすい家電やその消費電力、ブレーカーの復旧方法、落ちないようにする対策などを解説します。
【家電別の消費電力】ブレーカーが落ちる原因になりやすい家電は?
ブレーカーは一度に消費電力の大きい家電を同時に使うと落ちます。
調理家電やドライヤーなど、電力を使って熱を発生させる電化製品は電力消費量が大きい傾向にあります。必要アンペア数が大きい電化製品を同時に使用すると、あっという間に契約アンペア数を超えてしまうでしょう。
家電の必要アンペア数一覧
一般的な家電の必要アンペアを、大きい順にまとめました。使用モードによって消費電力が大きく変わる家電もあります。
家電 | 必要アンペア数 |
電子レンジ | 15A |
アイロン | 14A |
卓上IHクッキングヒーター | 14A |
炊飯器 | 13A |
食器洗い乾燥機 | 13A |
トースター | 13A |
ドライヤー | 12A |
掃除機 | 10A |
電気ケトル | 10A |
エアコン(冷房) | 5.8A/立ち上げ時14A |
エアコン(暖房) | 6.6A/立ち上げ時20A |
こたつ | 5A |
電気カーペット | 半面4A/全面8A |
縦型洗濯機 | 3A |
冷蔵庫 | 2.5A |
ドラム式洗濯乾燥機 | 洗濯時2A/乾燥時13A |
液晶テレビ | 2.1A |
例えば電子レンジ(15A)+トースター(13A)+IH炊飯器(13A)=41Aなので、家全体の契約アンペア数が40Aだった場合はアンペアブレーカーが落ちてしまいます。
ワット数で計算するとどうなる?
アンペアを消費電力を表すワット数で計算することもできます。計算式は以下の通りです。
電流(A)×電圧(V)×(力率)=電力(W) |
日本の住宅の電圧は通常100V(ボルト)なので、契約アンペア数×100をすると使用できる電力が分かります。20Aで契約している場合は、20(A)×100(V)=2000(W)が使用できます。
ただし力率分の誤差があるので、実際のワット数・アンペア数はお使いの電化製品の取扱説明書や注意書きを見て確認してください。
コンセントの定格電流(15A)と安全ブレーカー(20A)の上限に注意
安全ブレーカーの上限は20Aですが、1つのコンセントで使用する電流は15A以下にしましょう。日本の住宅における1つのコンセントの定格電流は15Aだからです。電流が15Aを超えると、異常発熱して発火し、火災につながるおそれがあります。
つまり、1つの回路内にある複数のコンセントで合計20A使用可能だが、1つのコンセントで使えるのは15Aまでということです。
【種類別】ブレーカーが落ちる原因と復旧手順
ブレーカーには3種類あり、消費電力が上限を超えたときに落ちるのは安全ブレーカーかアンペアブレーカーです。他に漏電を検知すると落ちる漏電ブレーカーもあります。
各ブレーカーが落ちる原因と、急に落ちた時の復旧手順をセットで解説していきます。
①安全ブレーカーが落ちる原因と復旧方法
安全ブレーカーが落ちる原因
安全ブレーカーが落ちる原因は以下の2つです。
|
同じ回路で同時に20A以上の電気を使用していると、電気を使い過ぎた場所の安全ブレーカーが落ちてしまいます。例えば「毎回キッチンのブレーカーだけが落ちている」という場合は、キッチンの電化製品を使いすぎていることが考えられますね。
特にキッチンは停電しやすく、以下のようなものを同時に使っているとよく落ちてしまいます。
- 炊飯器
- 電気ケトル
- 電子レンジ
- オーブントースター
ブレーカーが落ちる原因になりやすい家電は「【必要アンペア一覧】ブレーカーが落ちる原因になりやすい家電!」をご覧ください。
どうしても安全ブレーカーが落ちてしまう場合は、回路(コンセント)を増設することで対処可能です。増設には工事費用10,000円(難しい工事の場合は30,000円)前後かかりますが、快適に過ごせるようになりますよ。
安全ブレーカーの復旧方法
安全ブレーカーの復旧方法は以下の通りです。
|
この方法で復旧しても安全ブレーカーが落ちてしまう場合は、ショートを起こしている可能性があります。以下の手順でショートを起こしている箇所を特定してください。
|
電化製品がショートを起こしていた場合、③のどこかで安全ブレーカーが落ちます。ショートを起こしているのは、そのタイミングでコンセントを挿した電化製品です。ショートを起こしている電化製品は使わないようにし、専門業者に修理を依頼しましょう。
②アンペアブレーカーが落ちる原因と復旧方法
アンペアブレーカーが落ちる原因
アンペアブレーカーが落ちる原因は、家全体で電気を使い過ぎていることです。
アンペアブレーカーは同じタイミングで使っている電気が「契約アンペア数」を超えると落ちる仕組みになっているので、契約アンペア数を超えないように家電を使用しましょう。
なおアンペア(A)とは電流(電気が流れる量)の単位のことです。アンペアが大きくなればなるほど、使える電気の量が増えると考えてください。
アンペアブレーカーの復旧方法
アンペアブレーカーの復旧方法は以下の通りです。
|
電源を切る家電は、消費電力が大きく、かつ短時間で使用するものを選びましょう。具体的には電子レンジや炊飯器、エアコンなどが該当します。各家電の消費電力は「家電の必要アンペア数一覧」を参照してください。
また電気の使用量を自動計算してくれるスマートメーターを搭載している場合は、分電盤にアンペアブレーカーが設置されていません。
ブレーカーが落ちた数秒後には自動的に電気が流れるようになりますが、それでは根本的な解決にはなりません。いくつか家電の電源を切って、使用する電力量を減らしましょう。
③漏電ブレーカーが落ちる原因と復旧方法
漏電ブレーカーが落ちる原因
家のどこかで漏電が起きていると漏電ブレーカーが落ちてしまいます。漏電ブレーカーが落ちたのに何も対処しないでいると、感電や火災を招く恐れがあり、大変危険です。
漏電ブレーカーの復旧方法
漏電ブレーカーの復旧方法は以下の通りです。
|
③の途中で漏電ブレーカーが再び落ちた時に「入」にした安全ブレーカーの回路で漏電が起きています。漏電箇所を特定したら、該当する部屋の電化製品のコンセントを全てプラグから抜いておきましょう。
なおこの作業は漏電箇所の安全ブレーカーを切った状態で行いましょう。
関連記事:漏電ブレーカーが落ちるのはなぜ?復旧方法や予防策を詳しく解説|ミツモア |
【ちなみに】3種類のブレーカーの役割を詳しく解説
そもそもブレーカーとは、家庭において安全に電気を使用するための装置です。電気回路の限界を超えて電気を使おうとしたり、電気回路に異常が発生したりした際に、流れる電気を自動的に遮断するはたらきをしています。
脱衣所や玄関の壁に設置されているボックスは「分電盤」といい、分電盤に並ぶ1つ1つのスイッチがブレーカーです。家庭の分電盤には3種類のブレーカーが付いていて、種類によって役割が異なります。以下の画像のように全てのスイッチが「入」になっていたら正常に電気が流れている状態です。
アンペアブレーカー
各戸に供給される電気の総量を管理するブレーカーです。電力会社と契約している電気量の上限を超えるとアンペアブレーカーが落ち、家屋全体の電気が止まるようになっています。
どれくらいの電気が使えるかは「契約アンペア数」によって異なり、1~2人世帯だと「30A」、3人以上の世帯だと40~60Aが目安といわれています。
近年ではデジタルで電力使用量を測る「スマートメーター」が普及し、分電盤にアンペアブレーカーがついていない場合もあります。
安全ブレーカー
安全ブレーカーは各部屋・場所に供給される電気の量を管理しています。各電気回路で使える電気量を超えたり、ショートしたりすると、問題のある回路の安全ブレーカーが落ち、そこにつながっている電気だけが止まります。
分電盤の似たスイッチがたくさん並んでいる部分で、ブレーカーというとこれを思い浮かべる方も多いかもしれません。
漏電ブレーカー
家屋内で漏電が起こったときに、電流の異常を検知して電気の流れを止める役割を果たすブレーカーです。漏電ブレーカーが落ちたときは家のどこかで電流が漏れている恐れがあるので、場所を突き止めて修理しなければなりません。
漏電ブレーカーが落ちたときは、家全体の電気が止まります。
ブレーカーが何度も落ちるときに試す!4つの根本的な改善策
ブレーカーの復旧方法はお分かりいただけたと思いますが、落ちる度に復旧するのを繰り返すだけでは根本的な解決にはなりません。頻繁に落ちてしまうようならなおさらです。
大切なのはブレーカーが落ちる原因を取り除くこと。ここではブレーカーを落とさないための4つの改善策を解説します。
対処法 | 対策できるブレーカー |
1.家電を使う時間を分散する | ①安全ブレーカー ②アンペアブレーカー |
2.コンセントを分けて使う・増設する | ①安全ブレーカー |
3.契約アンペア数を上げる | ②アンペアブレーカー |
4.漏電対策をする | ③漏電ブレーカー |
対処法①家電を使う時間を分散する
家電を使う時間を意識的に分散させましょう。同じタイミングで使用する家電が多いと、アンペアブレーカーや安全ブレーカーが落ちてしまうからです。
たとえば「ドライヤーと洗濯機を使っている時は、他の家電は動かさない」などですね。また必要アンペアの高い電化製品を知っておくと、停電を防ぐ助けになります。必要アンペアの高い家電については、「家電の必要アンペア数一覧」をご覧ください。
対処法②コンセントを分けて使う・増設する
ある場所だけよく停電する場合は、家電ごとにコンセントを分けて使用してみてください。
これは特にキッチンなどで多いのですが、1つのコンセントでいくつも家電を使っていませんか?たとえば炊飯器やトースター・電気ケトルなど必要アンペアが大きい家電を同時に使うといったケースです。
安全ブレーカーは回路ごとに使える電気の量が決まっているため、これらを1つの回路で同時に使うと、安全ブレーカーが落ちてしまう可能性が高いのです。
なおタコ足配線や延長コードでプラグ数を増やしても、使える電気容量は変わりません。またどうしてもコンセントが足りないのであれば、業者にお願いして増設するのもおすすめです。費用は10,000円前後が相場です。
関連記事:コンセント・電気スイッチの増設・交換・修理業者おすすめ12選【費用・口コミで比較】|ミツモア |
対処法③契約アンペア数を上げる
アンペアブレーカーが落ちやすい場合は、契約アンペア数を上げると良いでしょう。現在の契約アンペア数は、以下のような方法で確認できます。
|
契約するアンペア数は、同時に使う家電の組み合わせを考えて決めましょう。各家電のアンペア数を足すだけで必要なアンペア数は計算できます。以下の3つを同時に使用する場合を考えてみましょう。
|
これらを足すと10+13+15=38Aになります。他にも電気を使用することを考えると、40~50Aくらいないと厳しいでしょう。以下の基本料金を参考に検討してください。
契約アンペアと基本料金
アンペア数 | 基本料金 |
10A | 286円 |
15A | 429円 |
20A | 572円 |
30A | 858円 |
40A | 1,144円 |
50A | 1,430円 |
60A | 1,716円 |
参考:ご契約アンペアの選び方│ご契約内容の変更│東京電力エナジーパートナー |
対処法④漏電対策をする
漏電ブレーカーが落ちるのを防ぐために漏電対策をしましょう。
タコ足配線を防ぐ
タコ足配線は漏電のリスクを高めるのでやめましょう。タコ足配線は1つのコンセントで使用できる電気量を超過しやすくし、電気コードに負担をかけてしまうからです。またホコリが溜まりやすく、火災につながるトラッキング現象を引き起こす恐れがあります。
アース線を使用する
万が一漏電した時に備えて、アース線を設置しておきましょう。アース線は漏電した時の電気を地面に流す役割があり、漏電しても感電するリスクを下げてくれます。
関連記事:漏電の原因になるものをチェック!リスクや症状、対処法も紹介|ミツモア |
【注意!】ブレーカーが落ちないようにスイッチを固定するのは危険
ブレーカーが落ちないようにスイッチ部分を固定するのは絶対にやめましょう。
ブレーカーは回路に流れた過度な電気や漏電を検知する安全装置であり、事故を防ぐためにあえてブレーカーが落ちるようになっています。ブレーカーが落ちずに大きすぎる電気が流れ続けた場合、発火する可能性があり大変危険です。
家電を使うときに知っておきたいポイント
季節や使用状況によって同じ家電の電力消費量が違うことも
いつも同じように家電を使っているつもりなのに、なぜかブレーカーが落ちるようになったということがあるかもしれません。同じ家電を使っていても、使用している状況の違いで電力の消費量が変わることもあります。
例えばエアコンは外気との温度差が大きいほど電力消費量が大きくなるので、冷房よりも冬に暖房を使うときのほうがブレーカーが落ちる可能性が高いです。
ブレーカーが頻繁に落ちると家電は故障してしまう?
ブレーカーが落ちたせいで家電が故障することはありません。ただし故障寸前の古い家電などが、ショートや漏電をきっかけに壊れる可能性はあります。
家電が古くてブレーカーが落ちてしまうこともある?
使っている家電が古いことは、ブレーカーが落ちる直接的な原因にはなりません。
ただし古い家電を使い続けると、漏電する可能性が高くなります。また10~15年以上使っている古い家電は、新しい家電に比べて消費電力が大きい傾向にあります。
そのため家電を買い換えることによる恩恵は非常に大きいでしょう。電気代の節約にもなるので、家電の一新を検討してみても良いかもしれませんね。
夜中にブレーカーが落ちる場合は?勝手に復旧するのはなぜ?
電化製品を使っていない状況でブレーカーが落ちたり、分電盤をさわっていないのに勝手に復旧したりするのはなぜでしょう?
夜中寝ている間にブレーカーが落ちるのはなぜ?
家族全員が寝ている時間帯、電力を大きく消費する電化製品を使用していないにもかかわらずブレーカーが落ちた場合は、家のどこかの回路で漏電している可能性が高いです。
「漏電ブレーカーの復旧方法」を参考にして漏電箇所を特定しましょう。漏電ブレーカーが落ちていない場合は、以下の記事を参考に漏電かどうか確認してください。
関連記事:漏電をチェックする方法!自分でもできる調べ方と修理を依頼するコツ|ミツモア |
ブレーカーが落ちたのに勝手に復旧するのはなぜ?
「スマートメーター」という電力メーターが導入された家の場合、ブレーカーが勝手に復旧します。短時間に電気を使いすぎると自動的に停電して電力使用をおさえる機能が作動し、停電した後は約10秒経ったら自動的に電気が復旧するようになっています。
この場合は電化製品や配線の異常ではなく、特に心配する必要はありません。頻繁に停電する場合は「電化製品の使用タイミングをずらす」「電力会社との契約アンペア数を見直す」といった対策で解決できます。
ブレーカー自体の故障が原因の可能性も
いつもと同じように家電を使用しているのにブレーカーが落ちる場合は、ブレーカー自体の故障が原因かもしれません。
特に漏電ブレーカーは、赤い「テストボタン」を使用することでブレーカーの故障かどうか判断することができます。漏電ブレーカーが「入」の状態でテストボタンを押してみてください。漏電ブレーカーが落ちたらブレーカーの故障ではなく漏電が原因でしょう。
関連記事:漏電ブレーカーはテストボタンで動作確認を!漏電の対処法も知ろう – ミツモア |
ブレーカーが壊れていたらどこに相談する?
ブレーカーが壊れたり、漏電していたら電気工事屋に修理を依頼しましょう。
業者を選ぶときは、実績を確認しましょう。また複数業者から見積もりをもらって比較することも、信頼できる業者を選ぶうえでは大切です。口コミを見て判断するのも良いかもしれませんね。
なお漏電修理にかかる費用などについては関連記事で解説しています。
関連記事:漏電ブレーカーの修理・調査費用はいくら?相場と安く抑える方法・どこに依頼すべき|ミツモア |
漏電修理・原因解決のプロを探すならミツモアがおすすめ
電気の使いすぎでブレーカーが落ちた場合は、契約アンペア数の見直しや電化製品の同時使用を控えることで解決できます。一方で漏電が原因の場合はプロの電気工事業者に点検・修理をしてもらう必要があります。
ミツモアでは豊富な経験と知識を持った漏電修理のプロに見積もりの依頼ができます。まずはプロに相談をしてみてはいかがでしょうか?
ミツモアで簡単な質問に答えて見積もり依頼
ミツモアなら、サイト上で簡単な質問に答えていただくだけで見積もり依頼が完了します。パソコンやスマートフォンからお手軽に行うことができます。
最大5件の見積もりが届く
見積もり依頼をすると、プロから最大5件の見積もりが届きます。その見積もりから条件にあったプロを探してみましょう。プロによって料金や条件など異なるので、比較できるのもメリットです。
チャットで見積もり内容の相談ができる
依頼内容に合うプロがみつかったら、依頼の詳細や見積もり内容などチャットで相談ができます。チャットなので自分のペースでやり取りを進めることができ、自分の要望もより伝えやすいでしょう。