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漏電ブレーカーが落ちるのはなぜ?復旧方法や予防策を詳しく解説

最終更新日: 2022年01月26日

ブレーカーが落ちたとき「家のどこかで漏電しているんじゃないか?」と不安になるかもしれません。

実は一般家庭のブレーカーには3種類あり、電気の使いすぎを防ぐもの、漏電事故を防ぐためのものと分かれています。実際にブレーカーが落ちたときの対処法や、漏電が疑われるときの対応も解説します。

ブレーカーが落ちたとき何が起きている?役割と仕組み

ブレーカーというと、家屋の玄関や脱衣所の天井近くに設置されている、長方形の箱のような装置をイメージする方も多いでしょう。この装置を正確には「分電盤」といいます。ブレーカーは、分電盤についているスイッチ1つ1つのことです。

ブレーカーの種類

家庭のブレーカーには全部で3種類ある

ブレーカーは「アンペアブレーカー」「安全ブレーカー」「漏電ブレーカー」の全部で3種類。それぞれ落ちると電気の供給が止まるのは共通していますが、落ちるタイミングが異なります。

アンペアブレーカーは、1つの家屋に流れる電気の全体量を管理しています。家庭と電力会社の間の契約で決められた一度に使える電気の量を超えるとアンペアブレーカーが落ちます。

安全ブレーカーは、家屋内の各部屋またはエリアごとに流れる電気の量を管理する役割です。その部屋で使える電気量を超えたり、電化製品のショートが起きたりすると落ちます。分電盤でたくさんのスイッチが並んでいる箇所なので、一番イメージしやすいかもしれません。

漏電ブレーカーは、家屋内の電気回路のどこかで電流の漏れを探知すると、自動的に電気の供給をストップする役割をもった設備です。つまり漏電ブレーカーが落ちたときは、配線の破損や水濡れなど、なんらかの理由で漏電が起こっている可能性があります。

【種類別】ブレーカーが落ちる原因と復旧方法

ブレーカーを上げる手

「バチン」と音がして電気が切れたら、まずは分電盤を確認しに行きましょう。真っ暗なときは周りに気を付けてください。

どのブレーカーが落ちているかを確認し、復旧作業を行いましょう。各ブレーカーの操作方法を解説します。

アンペアブレーカーが落ちたとき

アンペアブレーカーが落ちた時は電気の使いすぎが原因です。照明や冷蔵庫などの常時使用する電化製品に加えて、消費電力が大きい家電を使用したことで急に電流の量が増え、ブレーカーが落ちる場合が多いです。

復旧は以下の手順で行いましょう。

①アンペアブレーカーが落ちた瞬間に使用していた電化製品(消費電力の大きいもの)の電源を切る

②アンペアブレーカーをオンにして、電気の復旧を確認する

③一度に使用する電化製品の数を減らす

アンペアブレーカーが落ちる引き金になりやすい電化製品としては、ドライヤー、電子レンジ、ケトル、炊飯器などが挙げられます。

電気使用量を自動的に計算してくれる「スマートメーター」を使っている場合、分電盤にアンペアブレーカーがありません。その場合は数秒後に自動的に電気が流れるようになっています。電気が使えなくなったら、消費電力の大きな電化製品の電源をオフにして復旧を待ちましょう。

安全ブレーカーが落ちたとき

安全ブレーカーが落ちる原因としては、特定の部屋での電気の使いすぎや電化製品の故障によるショートが考えられます。

まずはアンペアブレーカーと同じ手順で電気の使い過ぎがないか確認してください。それでも改善されなかった場合、電化製品の故障によるショートが原因である可能性が高いです。

次の手順通りに対応してショートを起こしている箇所を特定しましょう。

①どの部屋の安全ブレーカーが落ちているかを確認する

安全ブレーカーが落ちた時の状態

②該当する部屋の電化製品の電源を切り、電源プラグをコンセントから抜く

② 落ちている安全ブレーカーを「入」にする

③ 電化製品の電源プラグを1つずつコンセントに挿す

電化製品がショートを起こしていた場合、③のどこかで安全ブレーカーが落ちます。そのタイミングで挿した電化製品でショートが起こっているので、その電化製品は使わないようにし、専門業者に修理を依頼しましょう。

一度に電力消費量の大きい家電を使い過ぎていた場合は、使うタイミングをずらすように気を付ければ大丈夫です。

漏電ブレーカーが落ちたとき

漏電ブレーカーが落ちたときは、家のどこかで電気が漏れていることを示しています。漏電による被害を防ぐには漏電箇所を特定し、その箇所への電気供給を断つことが重要です。

以下の手順に従って慎重に処置を取ってください。心配なときは、感電しないようにゴム手袋をはめて作業をすると安心です。

①3種類全てのブレーカーをオフにする。

全てのブレーカーのスイッチを切る

 ②アンペアブレーカーと漏電ブレーカーをオンにする。

③安全ブレーカーを1つずつ順番にオンにして、特定の安全ブレーカーを入れたときに、漏電ブレーカーが落ちるかどうか確認する。

安全ブレーカーのスイッチを順に入れる

④前の手順で安全ブレーカーが落ちたら、そのブレーカーだけをオフにしたまま、漏電ブレーカーとその他の安全ブレーカーを上げ直す。

漏電している箇所の安全ブレーカーを上げて電気を流すと、再び電流漏れを検知して漏電ブレーカーが落ちるはずです。1つずつゆっくり安全ブレーカーをオンにして確かめます。

漏電箇所を特定したら、該当する部屋で使っている電化製品の電源を全て切り、コンセントからプラグを抜いておきましょう。このとき、感電しないように安全ブレーカーが切れた状態でプラグを抜いてください。

これで応急処置は完了ですが、漏電しているのが電化製品側なのか、それとも建物の電気回路なのか、確かめる必要があります。

漏電ブレーカーが落ちたときは早めに修理対応を

分電盤を確認する電気工事士

漏電が起きたときは放置すると危険!

一般的な漏電ブレーカーの感度電流は30mAです。つまり、30mA以上の大きさの電流が回路外に流れたときに、漏電ブレーカーが作動します。

人間は感電をしやすく、20mAの電流でも呼吸困難に陥ることがあり、50mAの電流にふれると命を落とす可能性があります。漏電ブレーカーが検知した電気の漏れを放置しておくと、かなり危険なのです。

また漏電は火災を起こす危険性もあります。漏電によって発生した火花が家の中にあるホコリなどに燃え移るかもしれません。

被害の拡大を防ぐためにも、漏電ブレーカーが落ちたときは原因をしっかり突き止めるようにしましょう。

住宅の電気回路の漏電・原因不明の場合は電気工事業者に相談を

電化製品やケーブルに問題があって漏電していた場合は、その製品やケーブルを買い替えるか、修理に出せば解決します。

建物の電気回路から漏電している場合や、漏電箇所が特定できない場合は、すみやかに電気工事業者に相談しましょう。

感電を防ぐために、漏電している箇所のブレーカーは落としたままにしておきます。

もし上記の方法で漏電箇所を特定できなかった場合は、漏電の原因調査と復旧対応をあわせてすみやかに依頼しましょう。

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【ちなみに】漏電ブレーカーが落ちる仕組み

コンセントに電化製品のプラグを差し込むと、「行き」の電流と「帰り」の電流が生まれます。通常この2本の電流は同じ大きさになるはずですが、何らかの理由で電流が漏れ出てしまうと、電流値に差ができます

漏電ブレーカーは2本の電流を監視しており、電流値に差が発生するとそれを検知して電流を遮断するのです。

漏電が起こる原因と予防する方法

ブレーカーを調査する人

家庭内で漏電が起こる原因と、予防する方法をまとめました。

電気コードやプラグの劣化・破損

電化製品のコードや、テレビ・パソコンなどをつなぐケーブルは、銅線が電気を通さない素材(絶縁体)で覆われてできています。

長年使い続けていたり、コードに負荷がかかるような使い方をしたりすると、外側の絶縁体部分が裂けて電気が漏れてしまう可能性があります。

予防法

コードにかかる負担が大きくなると、絶縁部分が裂けて漏電の原因になります。コードを扱うときは以下の2点に気を付けましょう。

  • コンセントから抜くとき、コードを引っ張らずにプラグ部分を持つようにする
  • コードを無理に小さく折り曲げたり、結んだりしない

電化製品の故障

電化製品の寿命は10年前後であることが多いです。長年使っていると、本体や絶縁処理された部分が劣化してきて、電気が漏れてしまうことがあります。

一見正常に動いていても漏電していることがあるので注意が必要です。

予防法

古くなった電化製品は思い切って買い替えましょう。

ちなみにエアコンからの漏電の原因については以下の記事でも詳しく解説しています。

関連記事:エアコンからの漏電を確認、復旧する方法。原因やトラブル予防策も|ミツモア

電化製品やコンセント、プラグの水濡れ

電化製品やケーブルそのものに異常がなくても、コンセントやプラグが水に濡れていると漏電することがあります。

には電気を通しやすい性質があるので、電気が流れる部分が濡れていると、水をつたって電気回路の外に電気が漏れてしまうのです。

予防法

濡れた手で電化製品を操作しない、湿気の多い場所ではなるべく電化製品を使用しないようにするなど、電化製品を水にふれさせないように注意しましょう。

水回りであるキッチン、トイレ、洗面所にあるコンセントや電化製品にはどうしても水がかかりやすいので、コンセントカバーをつけるというのも1つの手です。また、水回りではアース線は必ず接続しましょう。

【屋外で起こる漏電の原因】塩害、害獣被害

「塩害」とはコンクリートの骨材や海風に含まれる塩化物イオンが、建物や植物、機器などに損害を与える現象です。塩分が電源コードの絶縁部分に付くと塩害を受け、コードの腐食や劣化を引き起こします。塩分には電気を通しやすい性質があるため、漏電が起こりやすくなります。

特にコンクリート造りの家や海沿いの地域に住んでいる人は、こまめにコードの状態をチェックしましょう。傷んでしまったケーブルは交換が必要です。

また、ネズミなどの動物にケーブルがかじられて銅線がむき出しになり、漏電してしまうこともあります。ネズミは屋内にも侵入してくる可能性があるので、電気コードがかじられているのを発見したら、ネズミ駆除をおこないましょう。

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漏電していなくても漏電ブレーカーが落ちることがある

落雷

漏電ブレーカーは基本的に電流の漏れを検知したときに作動しますが、まれに漏電していなくても落ちることがあります。代表的な例を解説します。

落雷などによる誤作動

漏電ブレーカーは電気ノイズに反応します。漏電が起きていなくても、雷によって起こったノイズを検知して誤作動を起こし、ブレーカーが落ちてしまうことがあるのです。

また、雷が落ちると「雷サージ」と呼ばれる一時的な過電流が発生することがありますが、これを漏電ブレーカーが検知したときも電流を遮断します。

ただし、雷の影響で本当に漏電が起こることもあります。落雷と同時にブレーカーが落ちた場合、「電気の復旧・漏電箇所の特定を行う手順」に従って慎重に復旧作業を行いましょう。

漏電ブレーカー自体の故障

一度に流す電流の量に気を付けているのにブレーカーが落ちる。配線修理をしたばかりなのにブレーカーが落ちる。そんな場合は、ブレーカー自体が故障しているかもしれません。

漏電ブレーカーの寿命は約10~15年と言われており、長年使用していると劣化します。

特に熱がこもりやすい場所に設置したり、掃除不足でホコリが溜まったりすると、寿命は縮みます。ブレーカーは脱衣所などの湿気の多い場所に設置されることが多いですが、実はブレーカーにとってあまり良い環境ではありません。

ブレーカーの周辺はなるべく小まめに掃除や換気をして、高温多湿を避けましょう。

漏電ブレーカーの動作は「テストボタン」で確認しよう

漏電ブレーカーが正しく作動するかどうかは、テストボタンを使って確認できます。

メーカーによって配置に違いはありますが、「テスト」と書かれたボタンが漏電ブレーカーの近くにあるはずです。これを押すと、漏電が起こった状態を疑似的に再現し、漏電ブレーカーが作動します。

もし動かない場合、漏電ブレーカー自体が故障している可能性があるので、電気工事業者に点検・修理してもらうことをおすすめします。

テストボタンの使い方は以下の記事でもう少し詳しく解説しているので参考にしてみてください。

関連記事:漏電ブレーカーはテストボタンで動作確認を!漏電の対処法も知ろう|ミツモア

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漏電ブレーカー以外で漏電事故を防ぐ方法

漏電ブレーカー以外にも、漏電による事故を防ぐための設備やアイテムがあります。安全に電化製品を使うためにも、ぜひ覚えておきましょう。

アース線をつなぐ

コンセントのアース端子にプラグのアース線を接続する

洗濯機、冷蔵庫、電子レンジなどの電化製品に緑色と黄色の線がついているのを見たことがある人は多いでしょう。この線を「アース線」といい、電化製品から漏れた電流を地面(アース)に逃がす役割を持っています。漏電のリスクが高い水回りで使う電化製品についていることが多いです。

アース線をつながなくても電化製品は動きますが、万が一電気が漏れたときに事故にならないよう、必ずつないでおきましょう。

アース線の接続方法は差し込み式とネジで留める方法の2種類があります。ネジ式は一見取り付けに手間がかかりそうですが、とても簡単です。以下の流れで行いましょう。

  1. アース端子のカバーを外し、中のネジをゆるめる
  2. アース線の金属部分とネジをふれさせる(未加工の銅線の場合はネジに巻き付ける)
  3. ネジを締め直してカバーを閉じる

最近では、3つ飛び出た金属のうち1つがアース線の役割を果たすプラグや、それを差し込む3つ穴コンセントも普及し始めています。

コンセントとプラグの間に漏電遮断器を設置する

テンパール ビリビリガード プラグ形漏電遮断器 (04-3213)

「漏電遮断器」とは漏電を感知した場合に電流を遮断する装置の総称で、漏電ブレーカーもその1つです。しかし漏電ブレーカーは家全体の電力供給を止めるため、生活が不便になってしまいます。そこでおすすめなのがコンセント型の漏電遮断器

コンセント型の漏電遮断器であれば、漏電が起こっている回路だけが遮断されるため、家全体を停電させる心配がありません。一つの家電で漏電が起きて電気の供給が止められても、他の回路は問題なく使えます。

またコンセント型漏電遮断器は、漏電ブレーカーよりも漏電感度が小さいことが多いです。漏電ブレーカーが検知しないレベルの電気の漏れにも反応するので安心ですね。

漏電修理・原因調査を依頼したときの費用相場

電卓

自分では漏電の原因が分からない場合や、電化製品側ではなく家屋側に原因があると思われる場合は、調査や修理を業者に依頼する必要があります。

主な作業の費用相場は以下の通りです。

作業内容 費用相場
漏電調査 6,000円~
漏電箇所と原因の特定 10,000円~
絶縁処理 3,000円~
ブレーカーの交換 15,000円~
コンセントの交換 3,500円~
高所・床下・壁の中での作業 15,000円~

壁に穴をあけて内部を修理しなければならない場合や、高所・床下での作業が発生する場合は、通常よりも金額が上がることがあります。

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