「最近よくブレーカーが落ちる」「電気代がいつもよりも高くなった」という経験はありませんか。実はどこかで漏電している可能性があり、放置すると感電や火災に直結するため、異変を感じたらすぐに電気工事業者による調査と修理が必要です。


ただし漏電の疑いがあると、何から手をつけていいのか、費用を含め疑問や不安が湧いてくると思います。漏電の調査・修理工事にかかる費用相場について、物件タイプ別の依頼先や業者選びのポイントを含めて確認しましょう。
漏電工事の費用相場と内訳
漏電の工事費用は、原因調査と修理作業費用込みで17,000円〜64,000円が相場です。ただし原因がわからず、事前に見積もりを出しにくいことから電気設備や作業場所などによっては、高くなる可能性があります。
業者による漏電工事費用の内訳は、下記のとおりです。
作業内容 | 費用相場 |
---|---|
漏電の原因調査 | 13,000円~19,000円 |
漏電の修理・改修工事 | 4,000円~45,000円 |
※ミツモアにおける漏電調査・修理工事の見積もり価格を参考(2024年1月1日~12月31日)
1.漏電の原因を特定する調査費用
基本調査費
電気工事業者が自宅に訪問し、漏電の原因を特定するために行う一連の作業にかかる費用です。主に以下の作業を行います。
- 分電盤の電圧・絶縁測定(分電盤で家全体の電気回路をチェックし、異常がないかを確認する)
- 各回路の絶縁抵抗測定(専用の測定器で回路ごとに電気が漏れていないか調査)
- コンセントやスイッチ、配線に焦げ付きや損傷がないか目視で点検
調査の結果、原因が特定できれば、基本調査費のみで抑えられるでしょう。
応急処置費
調査の結果、すぐに修理ができなかったり、部品の取り寄せが必要だったりした場合に、一時的に電気が使えるようにするための応急処置を行う費用です。
たとえば問題のある回路だけを切り離し、他の部屋では電気が使えるようにする作業などが該当します。ただし応急処置はあくまでその場しのぎの対応であり、漏電の根本的な原因が解決したわけではありません。
2.漏電修理・改修工事にかかる費用
漏電調査で原因が特定された後、根本的な解決のために修理・改修工事を行う際にかかる費用です。漏電の原因や場所、使用する部品によって大きく変わり、主に下記の機器や部品の交換・修理時に費用がかかります。
作業内容 | 費用相場 |
---|---|
ブレーカーの交換・修理 | 20,000円~24,000円 |
分電盤の交換・修理 | 30,000円~45,000円 |
コンセント・スイッチの交換 | 4,000円~9,000円 |
配線の部分的な引き直し・修理 | 20,000円~ |
※ミツモアにおける漏電調査・修理工事の見積もり価格を参考(2024年1月1日~12月31日)
ブレーカーの交換・修理
漏電ブレーカーや安全ブレーカー自体の故障・劣化が原因の場合、修理または新しいものへ交換する際にかかる費用です。20,000円〜24,000円が相場で、交換するブレーカーの種類や性能によって変わります。
分電盤の交換・修理
分電盤本体が古くなっている、あるいは内部の幹線(メインの配線)が劣化している場合、本体の修理や交換にかかる費用で相場は30,000円〜45,000円です。家庭の回路数や分電盤の機能によって変わります。
コンセント・スイッチの交換
コンセントやスイッチの内部破損や劣化、トラッキング現象による焦げ付きなどが原因の場合に行う工事費用で、4,200円〜8,800円が相場です。複数箇所の交換や、防水コンセントといった特殊な機能を持つ製品への交換では、費用が高くなることがあります。
配線の部分的な引き直し・修理
壁の中を通る配線の一部が損傷している場合、その部分だけを新しい配線に交換、または修理にかかる費用です。相場は20,000円〜が目安で、作業場所や建物の構造などによって変わります。
壁や天井に穴を開けたり、鉄筋コンクリート造の建物で工事をすると費用が高くなる傾向です。
【物件タイプ別】漏電調査・修理工事の依頼先
賃貸物件の依頼先
アパートやマンション、戸建てといった賃貸物件で漏電が発生した場合、自分で業者を探す前に、必ず大家か管理会社に連絡しましょう。建物の電気設備は大家、または管理会社が所有しており、維持管理の責任を担っているからです。
勝手に修理を進めてしまうと、修理費用の支払いを拒否されたり、思わぬトラブルに発展したりする可能性があります。経年劣化をはじめとした入居者に責任がない場合、その修理費用は貸主である大家や管理会社が負担する義務を負うことも知っておきましょう。
分譲住宅の依頼先
分譲マンションや戸建て住宅に住んでいる場合、漏電の調査・修理は、自分で電気工事業者を探して依頼するのが一般的です。分譲マンションや住宅の場合、部屋の分電盤やコンセントなどが原因であれば、所有者負担で調査・修理を依頼します。
一方でマンションの共用部分である電柱から各戸のメーターまでをつなぐ配線、建物全体の主幹ブレーカーなどで不具合があるときは、マンションの管理組合に連絡して対応を依頼しましょう。
漏電の工事費用を安く抑える2つのコツ
漏電工事はいくつかのポイントを知っておくだけで、調査や修理工事費用を賢く抑えられます。具体的には、下記2つです。
1.火災保険が適用できるか確認する
自宅の漏電工事を行う際、火災保険に加入すると、契約内容によっては保険で修理費用をまかなえる可能性があります。火災保険の契約内容を確認したうえで、保険会社に相談してみましょう。
ただし適用されるのは「電気的・機械的事故補償」や、「破損・汚損等」といった特約に加入している場合で「突発的かつ偶然な事故」による損害に限られます。
2.複数の業者から見積もりを取る
漏電工事を業者に依頼するとき、複数の業者から見積もりを取り、料金や作業内容などを比較したうえで決めましょう。漏電工事費用は、料金体系や工事の進め方は業者によって変わります。
1社だけの見積もりでは、その金額が高いのか安いのかを客観的には判断できません。
漏電工事業者を選ぶ5つのポイント
漏電の調査や修理を電気工事業者に依頼するにあたって、下記5つのポイントを踏まえて選ぶことが大切です。
1.「電気工事士」の資格を保有しているか
漏電の修理や配線工事は、電気工事士法という法律によって、国家資格である「電気工事士」の有資格者でなければ行ってはいけないことが定められています。依頼先を決める際、資格を持っている業者か、公式サイトで確認しましょう。
無資格者による工事は、単に違法であるだけでなく、重大な火災や感電事故につながる危険性が極めて高いです。
2.建設業や登録電気工事業者など、公的な許可・登録があるか
「電気工事士」だけでなく、会社として建設業(電気工事業)や登録電気工事業者の資格を国、または都道府県の許可・登録を得ているか、公式サイトで確認しましょう。
公的な許可や登録の確認ができれば、業者が法律を遵守し、安定した経営基盤と技術力を持つ、信頼に足る事業者であることを証明できます。
3.漏電調査・工事の実績が豊富か
資格や許可とあわせて重視したいのが、「経験」に裏付けられた工事実績です。公式サイトの漏電工事の事例や口コミなどが掲載されているか確認しましょう。
実績が豊富な業者は多くの現場を経験し、蓄積されたノウハウを活かして、迅速かつ的確な原因究明と、最適な修理方法を提案してもらえます。
4.内訳が明確な見積書を提示してくれるか
電気工事業者から提示された見積書に「作業内容」や「部品代」の内訳が詳細に記載されているか確認することも大切です。詳細で分かりやすい見積書を提示してもらえる業者は、料金に対して誠実であり、顧客との信頼関係を大切にしている優良業者である可能性があります。
追加料金の有無や質問に対して、丁寧に説明してもらえるかあわせて確認しましょう。
5.工事後の保証やアフターサービスの内容が充実しているか
漏電の調査・修理工事は万が一にも施工に不備があると、漏電の再発や新たな事故につながるおそれがあります。業者を選ぶときは、工事後の保証制度やアフターサービスが充実しているか確認しましょう。
対象範囲や保証期間、適用条件も含め依頼主に安心して依頼できるか見極めるポイントのひとつといえます。
漏電が発生しているか自分で安全に確認する方法
漏電の疑いがあるとき、自分で修理しようとするのは大変危険です。原因がわからないまま何度もブレーカーを上げ下げしたり、コンセントや配線を分解・修理したりすると感電や火災のリスクがあるため、絶対にやってはいけません。
電気工事業者に調査と修理を依頼する前に、漏電が発生しているか確認したいときは、以下の手順で行いましょう。
1.漏電ブレーカーが落ちているか確認する
安全が確保できたら、自宅の玄関や洗面所などに設置されている「分電盤」を確認しましょう。分電盤の蓋を開けると複数のブレーカーが並んでおり、主に下記3種類のブレーカーのうち、どれが落ちているかによって原因がある程度推測できます。
ブレーカーの種類 | 主な役割 | ブレーカーが落ちている原因 |
---|---|---|
アンペアブレーカー(サービスブレーカー) | 家全体で一度に使える電気の上限を管理する、一番大きなブレーカー | 電気の使いすぎ |
漏電ブレーカー | 漏電を検知して作動するブレーカーで「テスト」ボタンがついている | 漏電の可能性が高い |
安全ブレーカー(配線用遮断器) | 各部屋や回路ごとに分かれている小さなブレーカー | ・ショート ・回路における電気の使いすぎ |
まずは分電盤を見て、どのブレーカーのスイッチが「切(OFF)」の位置に下がっているかを確認しましょう。「漏電ブレーカー」が落ちているかどうかを見極めることが、原因究明の第一歩です。
2.安全ブレーカーを順番に操作し、原因の回路を特定する
漏電ブレーカーが落ちていることが確認できたら、どの場所で漏電が起きているのかを確認しましょう。必ず乾いた手で行い、以下の手順で原因を特定しましょう。
- 全てのブレーカーのスイッチを「切(OFF)」にする
- 一番大きな「アンペアブレーカー」を「入(ON)」にする
- 「漏電ブレーカー」を「入(ON)」する
- 「台所」や「居間」などの安全ブレーカーを一つずつ順番に「入(ON)」にしていく
- ある安全ブレーカーを「入」にした瞬間に、漏電ブレーカーが再び「切」に落ちたら、その安全ブレーカーが担当している回路で漏電の発生が特定できる
3.特定した回路の家電のプラグを抜き、原因の家電を特定する
原因の回路が特定できたら、最後にその回路に接続されている「どの家電製品が原因なのか」を突き止めていきます。原因となっている家電を特定する手順は、以下のとおりです。
- 原因回路のプラグを全て抜く:特定した回路の安全ブレーカーが「切」になっていることを確認し、その回路につながっている全ての家電製品の電源プラグをコンセントから抜く
- 再度ブレーカーを入れる:その状態で、再び「漏電ブレーカー」と、原因となっていた「安全ブレーカー」を「入(ON)」にする
- 原因を切り分ける:この状態でブレーカーが落ちなければ、抜いた家電のどれかが原因である可能性が高いです。もし、全てのプラグを抜いてもブレーカーが落ちる場合は、家電ではなく配線やコンセント自体の問題と考えられる
- 原因の家電を特定する:ブレーカーが落ちなかった場合、抜いたプラグを一つずつコンセントに差していく。ある家電のプラグを差した瞬間にブレーカーが落ちたら、その家電が漏電の原因であると確定できる
原因だと特定された家電は、直ちに使用を中止し、コンセントから抜いておきましょう。その後、電気工事業者に漏電の調査と修理を依頼します。
漏電は放置しないで電気工事業者に相談しよう
漏電は自分で修理するだけでなく、焦げ臭いにおいを放置しておくのも危険のリスクが高まります。工事にかかる費用は交換する部品や機器の交換、配線の引き直しといった作業内容によって変わるため、ブレーカーやにおいなどで異変を感じたら、電気工事業者に相談しましょう。
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