エアコン運転時、室内温度の目安は夏28℃・冬20℃
エアコンの設定を「28℃」や「20℃」にしていても、実際の室温がピッタリその温度になるとは限りません。日当たりの影響や、建物の構造によってかなり差がでます。
そのためエアコン自体の設定は、部屋によって最適な温度が違うのです。
【健康への影響】無理な温度設定は厳禁
健康面で、体温管理は大切です。そして適切な体温調節をするには、適切な室温を保つことが必要です。
夏に起こりやすい「熱中症」は、気温31℃以上になると一気に危険性が高まります。しかし逆に、外気温が30℃以上なのに室温を20℃前後にしてしまうことで、気温差によって頭痛などの「冷房病」を起こすリスクも。
冬の寒さにも注意が必要です。多くの人は18℃以下から寒さを感じ始めます。健康リスクとして大きく変化が出始めるのが16℃以下、そして高齢者が低体温症を発症しはじめるのが10℃以下です。
「少しでも節電したい」などの理由で、「室温が快適ではないけど我慢する」というのは、健康的にあまり良いこととは言えません。人が快適に感じる温度である、夏場の25~28℃・冬場の19~22℃ほどを目安にしましょう。
【電気代への影響】1℃につき10~13%の削減に
エアコンの温度を1℃調整するだけで、電気代は10%近く削減することができます。もちろん寒さ・暑さを我慢しないことは大事ですが、必要以上に冷房・暖房を効かせすぎないのも大切です。
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非常に単純化した計算ですが、1か月にエアコンの電気代が4,000円かかっている場合、適切な温度に1℃近づけるだけで夏場は520円、冬場なら400円節約することができます。
【環境への影響】CO2削減のための省エネ
「省エネ」というと「電気使用量削減」のイメージがつよいかもしれませんが、エアコンの温度設定を控えめにすることで、CO2の削減にもつながります。
日本では、地球温暖化の原因となっている温室効果ガスのうち90%がCO2です。
エアコンの使用時につかう電気量が多くなるほど、火力発電も活発になります。化石燃料を燃やすことでCO2が発生するという仕組みです。
経済産業省・資源エネルギー庁によれば、「外気温が31℃のときエアコンの冷房設定温度を27℃から28℃にした場合、14.8kgのCO2を削減できる」そう。
冷房が寒すぎる、または暖房が暑すぎるという場合、とりあえず1℃だけでも温度設定を見直してみてはいかがでしょうか。
快適な温度設定のコツ
人間が快適に過ごせる環境の条件は、気温だけではありません。いくらエアコンの温度を下げても暑いなら「湿度が高い」という可能性も。逆に冬に温まりにくいなら、加湿することで改善できるかもしれません。
湿度コントロールで快適に
室内温度が同じでも、湿度の高さや風(気流)の有無によって、かなり体感温度が変わります。湿度が高ければ暑く感じ、乾燥していれば寒く感じるものです。
湿度は「40~60%が快適」とされていますが、日本の気候だと「夏には70%前後、冬には40%スレスレ」くらい。しかも冬にエアコンの暖房をつけると、室内の湿度はさらに下がってしまいます。
このように「夏はジメジメ、冬は乾燥しすぎ」という環境になりやすいのが日本の特徴です。なので「夏は除湿、冬は加湿」をして60%前後の湿度を保つと、室温だけでは測れない快適さを得られるかもしれません。
性別や年齢を考慮するとベター
上述のように、気温や湿度を考慮して「体感温度」での快適さを考えることが大切です。そして体感温度は、もちろん人によって差があります。とくに影響が大きいのは「性別」「年齢」の2つです。
一般的には女性のほうが3~5℃くらい体感温度が低いとされています。原因として考えられているのは皮下脂肪や筋肉量、基礎代謝の違いなど。
また年齢が上がるにつれて基礎代謝量はどんどん低下していき、寒さを感じやすくなっていきます。そのため若い人にとっては快適な温度でも、高齢者は寒いと感じることがあるのです。
逆に赤ちゃんの場合、成人だと快適に感じる気温が「寒すぎる」「暑すぎる」というケースも。
いずれにしても「体感温度は人によって違う」ということを踏まえ、両者にとってちょうどいい方法を探しましょう。同じ空間で過ごす相手を思いやる温度設定にするのが大切です。
除湿は28℃が目安
エアコンの除湿 (ドライ) 運転を使用する場合は「28℃」を目安に設定しましょう。とくに寝苦しい夏の夜にもおすすめです。
眠りに入った直後の1時間ほどは特に汗をかきやすいタイミング。エアコンの冷房で部屋の温度を冷やしすぎると体温も下がってしまい、寝つきがかえって悪くなってしまうのです。
そのため除湿運転を活用して湿度を50~60%に調整すれば、体温を冷やしすぎることなく体感温度だけが下がります。
ただし部屋の温度が高すぎる場合は、冷房を使った方が効率がよいので注意しましょう。
気温が高い場合は冷房を使用し、気温が高くないものの湿度が高い場合は除湿を活用するとよいですよ。
不快な場合は2~3℃前後の調節がおすすめ
エアコンの使用中に暑すぎたり寒すぎたりして不快感を覚える場合は、2~3℃前後での温度調整がおすすめです。
例えば、夏の冷房使用時には「26℃前後」冬の暖房使用時には「22℃前後」での運転を心がけるとよいでしょう。
エアコンの設定温度は外気温や室内の環境によって変化するため、必ずしも設定通りの効果が得られるとは限りません。
不快な場合は無理をせずに設定温度を見直すことも、快適に生活するうえでは大切なポイントです。
上の空気・下の空気の温度差を小さくする
冷暖房を使っていると、足元は冷たいのに上半身は暑いという状態になることもあります。そのような環境は性別や年齢関係なく、決して快適とは言えません。
そのため、室内の上下の温度差をなくす工夫も必要です。この時、上下の温度差が3℃以内だと快適に感じることができますよ。
部屋の中の温度差を小さくするためには、サーキュレーターや扇風機をうまく活用して、室内の空気を循環させるのがおすすめです。
夏の場合「涼しすぎ」に注意
エアコン使用時に室温と外気温の差が大きすぎると「冷房病」にかかってしまうおそれがあります。
冷房病とは、体温調節機能がうまく働かなくなり、頭痛などの症状を引き起こしてしまう病気のことです。
誰でもかかりうるものですが、自律神経の働きが不安定な子どもやお年寄りは特に注意が必要です。
そんな冷房病は、外気温との差を5~7℃以内に抑えることで予防できます。ただし外気温が37℃にもなる猛暑日に、−7℃以内を徹底することはありません。
快適に過ごしながら電気代を節約する7つの方法
エアコンの温度を変えずに快適に過ごすための7つの方法を紹介します。
- エアコンの風向きを調整する
- 風量を上げる
- 自動運転機能を活用する
- エアコンをこまめにオンオフしない
- サーキュレーターを併用する
- カーテンやすだれで直射日光を防ぐ
- 窓に断熱シートを貼る
温度を大きく変えなくても涼しさや暖かさを感じることができるため、電気代の節約効果も見込めますよ。
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エアコンの風向きを調整する
夏 | 水平に設定する |
冬 | 下向きに設定する |
室内の冷たい空気は下の方にたまる性質があり、暖かい空気は上の方にたまる性質があります。
そのため、夏はエアコンの風向きを水平に、冬は下向きに設定すると、空気が室内に効率よく届けられて快適性がアップしますよ。
風量を上げる
エアコンの風量を上げれば、同じ温度でもより快適に感じやすくなります。
強い風量で運転すれば、空気の循環を促進して部屋全体の温度が均一になるためです。
風量を上げても電気代自体はさほど変わらないので、上半身と下半身で温度差を感じる場合におすすめの方法です。
自動運転機能を活用する
エアコンの「自動運転機能」を積極的に活用するのもよいでしょう。
自動運転にすると、設定温度に達するまでは強風で運転し、到達してからは自動で微風に切り替えてくれます。
この運転方法は、エアコンが一番電力を使う時(設定温度に到達するまで)を最短にしてくれるため、節電効果が期待できます。
節電を意識して最初から微風や弱風で運転しても、かえって設定温度に達しにくいため、電気代が高くなることも。
エアコンの使い始めには、室温を検知して最適な環境に整えてくれる自動運転機能を使用するのがおすすめです。
エアコンをこまめにオンオフしない
エアコンの電源をこまめにつけたり消したりすると、室内の温度が不安定になるうえに電気代も高くなってしまいます。
仕事などで1日中家にいないような時は電源を消した方が良いですが、以下の場合はエアコンをつけっぱなしにすると良いでしょう。
- 30分くらい外出する時
- 室外と室内の温度差が大きい時
エアコンは外気温と室内温度の差を埋める際に多くの電力を消費します。
そのため、つけっぱなしにすることでエアコンの負荷を抑えて、より少ない電力で使用することができるのです。
サーキュレーターを併用する
温度によって空気の重さが異なるため、冷たい空気は下に、暖かい空気は上に滞留していますが、空気を循環させることで、効率よくエアコンの空気を部屋中に行き渡らせることができます。
そして、その時に使用するおすすめアイテムが『サーキュレーター』です。
サーキュレーターは空気を循環させることを目的にしており、遠くまで空気を送ることができます。夏も冬もサーキュレーターを使用することで節電効果が得られますが、使用方法のポイントが少し違うのでそれぞれご説明します。
サーキュレーターの使い方
エアコンとサーキュレーターを併用する際は、冷房と暖房に合わせて置き方を変えることが大切です。
【冷房使用時】
【暖房使用時】
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冷房使用時にはエアコンに背を向けて送風します。暖房使用時にはエアコン付近の天井に向かって送風するとよいでしょう。
室内の空気を上下でうまくかき回すことで、冷たい空気やあたたかい空気が流れるようになり、温度を変えなくても快適に過ごすことができますよ。
カーテンやすだれで直射日光を防ぐ
カーテンやすだれを使って、直射日光が部屋に入ってくるのを防ぎましょう。
夏の暑い日、外よりも家の中の方が暑く感じることはよくありますよね。これは、窓から入ってくる直射日光が原因で、場合によっては約10℃以上も室温が上がってしまうケースがあるのです。
そのため、家の中で涼しく快適に過ごせるよう、窓からの直射日光を遮断するようにしましょう。室温を上げてしまう原因を取り除けば、冷房効率を上げることができます。
窓に断熱シートを貼る
窓は室内の空気の大きな逃げ場となっており、約58%もの熱が窓を通じて外に出てしまうことも。
また窓は空気を逃がすばかりでなく、外気も取り込みやすい性質があります。
エアコンの効率を上げるなら、いかに窓の気密性・断熱性を上げるかが鍵です。
断熱シートの用意が難しい場合は、厚手のカーテンや窓用のヒーターを用いるのもよいでしょう。
エアコンが効きにくいときは?
エアコンを使用しているにも関わらず温度が下がらない場合は、エアコン内部のホコリや故障が原因の可能性が高いです。
また、使用中のエアコンの対応畳数が合っていない可能性も考えられるでしょう。温度を無理に下げるのではなく、原因を解明して適切な処置を取ることが大切です。
本体内部のホコリや故障
エアコンの設定温度を下げても室温が変わらない場合、室内機の内部にたまったホコリなどの汚れや、本体の故障が原因の可能性が高いです。
汚れが風の行き届きを阻害して、冷房や暖房の効率が悪くなっているかもしれません。
また温度センサーなどの部品が故障していることも考えられるでしょう。掃除や修理を検討して、早めの処置を取ることが大切です。
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エアコンの対応畳数が合っていない
エアコンを使っても温度が下がらない場合は、対応畳数と部屋の広さが合っていない可能性も考えられます。
エアコンはそれぞれの機種で冷暖房時の能力が決まっており、部屋の広さを基準に能力値を決定しています。
例えば部屋の広さが10畳程度あるのにも関わらず、エアコンの対応畳数が6畳程度しかない場合、設定温度通りに冷えないケースがあるのです。
引っ越しで新しい家にエアコンを運んだ場合などに起こりやすいので、対応畳数と合っていない場合は買い替えを検討したり、ついたてを使って部屋の広さを調整したりするとよいでしょう。
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室温がエアコンの設定温度通りにならない場合、内部にたまった汚れが原因かもしれません。
エアコン内部の汚れを完全に落とすのは自分では困難なので、プロの業者にクリーニングを依頼してみてはいかがでしょうか。
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エアコンをきれいにして、夏も冬も快適な空調環境を手に入れましょう。