エアコンについている除湿(ドライ)の機能。冷房との電気代の違いや、機能の違いなどいまいちピンとこないですよね。
この記事ではエアコンの除湿機能について徹底解説。冷房との違いや、電気代を節約するための機能の使い分け方などを紹介します。
エアコンの除湿(ドライ)とは?冷房との違いは?
エアコンの除湿(ドライ)は、冷房や暖房と何が違うのでしょうか。仕組みなどを把握しておきましょう。
エアコンの除湿(ドライ)機能とは?どんな仕組み?
エアコンの除湿(ドライ)機能とは、その名のとおり乾燥した空気を室内に放出する仕組みです。
空気の温度が高いほど、空気中に含まれる水分量は多くなります。そのため除湿機能では、室内から取り込んだ空気の温度を下げることによって空気中から水蒸気を追い出すのです。そして水分量が少なくなって乾燥した空気を、室内に放出しています。
ちなみに取り除かれた水分は、水として排出されるわけではなく、室外機のファンから熱い風に乗って排出されます。
除湿と冷房とでは何が違うの?
除湿機能と冷房の仕組みは基本的に同じです。しかし「何を目標にしているか」という点が違います。たとえば冷房の場合はリモコンで「設定温度」を決め、その温度に到達するまでフルパワーで稼働しますよね。除湿の場合は温度ではなく、目標の「湿度」に到達するように稼働するのです。
除湿機能で運転しつづけたとき「寒くなりすぎる」というケースは、室温は十分に下がっていても、湿度はまだ目標に達していないと考えられます。
ただしエアコンの機種によっては、「再熱除湿」という仕組みも。再熱除湿の場合には、冷やして水分を取り除いたあとで、空気をもう1度温めてから送風するので、そこまで寒くなることはありません。
冷房の方が除湿量が多いというデータもある!
東京電力が2009年に発表した『エアコンの「冷房」と「除湿」の上手な使い方』によると、同じ条件下で使用した冷房と除湿機能とでは、もっとも除湿量が多かったのは冷房でした。
<設定温度24℃で使用したときの除湿量>
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なんと冷房を使っていると、弱冷房除湿の約2倍ほどの除湿量です。ただしそれぞれの吹出温度を見たとき、冷房は16.6℃になり設定温度よりも冷えすぎる結果になっています。もっとも設定温度に近いのは再熱除湿で23.1℃、次に弱冷房除湿で18.3℃です。
この結果から考えると、「いっきに部屋の温度・湿度を下げたいときには冷房」「温度・湿度がある程度まで下がったら除湿」というふうに使い分けると快適に過ごせます。
除湿機能を使ってカビを防ぐことはできる?
「除湿」というと、なんとなく「エアコン内部のカビ予防ができそう」というイメージがありますが、じつは除湿機能を使ってもカビ予防にはなりません。エアコン内部の湿度を下げるのではなく、除湿した空気を放出する機能だからです。
除湿や冷房を使ったときにはエアコン内部の冷却フィン(熱交換器)が冷やされ、周りの空気に含まれる水分が結露します。エアコン内部に水分が豊富な状態になると、カビが繁殖しやすくなるのです。
エアコン内部に付着した水滴を乾燥させるには、除湿機能でなく「内部クリーン」「送風」「暖房」などを使うのが適しています。冷房や除湿を使ったあとは、これら3つのどれかで運転してカビを予防しましょう。
エアコンの除湿機能にかかる電気代は?
エアコンの除湿(ドライ)は大きく分けて3種類あり、それぞれ電気代にも差があります。冷房・暖房とも比較した一覧表を見てみましょう。
運転方法 | 1時間あたりの電気代目安 |
---|---|
弱冷房除湿 | 約4~7円 |
再熱除湿 | 約15~20円 |
ハイブリッド除湿 | 約4~6円 |
冷房(6~8畳モデル) | 約2.8~23円 |
暖房(6~8畳モデル) | 約2.8~41円 |
冷房・暖房も含めて電気代が高い順にならべると「暖房>再熱除湿>冷房>弱冷房除湿≒ハイブリッド除湿」となります。それぞれの除湿機能について、特徴やメリットを詳しく見ていきましょう。
弱冷房除湿は1時間あたり約4~7円
弱冷房除湿は、もっとも一般的に普及している除湿方法です。空気中の水分を取るために冷やした空気を、そのまま室内に放出します。そのため冷たい空気が出てくるのが特徴です。
冷房と違って、一定以下の室温になっても「湿度が下がるまで」稼働しつづけるので、肌寒くなりやすいのがデメリット。
弱冷房除湿の電気代は、1時間あたり約4~7円。消費電力は約150Wほどと言われています。
再熱除湿は1時間あたり約15~20円
再熱除湿は、除湿のために冷やした空気を、もう1回温め直してから送風する機能です。温めなおすために電力の消費量が多くなり、電気代も若干高くなるのはデメリットと言えます。
しかし部屋の温度をあまり変えずに除湿機能を使えるのがメリットです。肌寒くなりにくいので、より快適に過ごすことができます。
再熱除湿を使用したときの電気代は、1時間あたり約15~20円ほどが目安。また消費電力は約560Wほどと言われています。
【再熱除湿が使える機種は?】
再熱除湿は上位モデルに搭載されていることが多いです。家庭用エアコンでは、おもに以下のような機種に搭載されています。
パナソニック | Xシリーズ、SXシリーズ、Vシリーズ |
日立 | 白くまくん「Sシリーズ」 |
三菱 | 霧が峰「ZWシリーズ」 |
シャープ | B-SXシリーズ、A-SXシリーズ |
富士通 | nocria「Zシリーズ」 |
東芝 | 大清快「JDRシリーズ」「JDTシリーズ」「JDXシリーズ」「JVシリーズ」「DRNシリーズ」 |
ダイキン | Rシリーズ、Sシリーズ、DXシリーズ、Fシリーズ |
「除湿機能は使いたいけど、室温も保ちたい」という方は、エアコンを買い替える際の参考にしてみてください。
ハイブリッド除湿は1時間あたり約4~6円
ハイブリッド除湿は「水分を除去したあとの冷たい空気」と「室内の空気」とを混ぜて(ハイブリッドして)送風するという仕組みです。
再熱除湿と違って、空気を温めなおすのに電力を使わないので、電気代は安いままで「室温を下げすぎない」ことがメリット。
ハイブリッド除湿の電気代は、約4~6円ほど。消費電力にして約150Wほどと言われています。冷房よりは安く、弱冷房除湿と同じくらいの値段です。
実際にハイブリッド除湿が搭載されているエアコン機種を探すときには、「新ハイブリッド方式」と記載されている機種を探してみましょう。
エアコンの除湿機能の上手な使い方
人間が快適に過ごせる環境は、湿度50~60%ほどが目安と言われています。もちろん人によって体感は違いますが、可能であれば部屋に湿度計を用意しておくのがオススメ。温度・湿度のバランスを見ながら、除湿機能や冷房機能をうまく使い分けましょう。
冷房と除湿とをうまく使い分けよう!
冷房と除湿をうまく使い分けることで、電気代の節約や省エネ効果が期待できます。
弱冷房除湿は冷えた空気を送ってはくれますが、室内温度を下げるなら冷房のほうが効率的です。しかし冷房だけ使っていると、消費電力が増えてしまいます。
冷房で室温を整えた後に、弱冷房除湿に切り替えることで、少ない電気代で快適な状態をキープできますよ。
冷房 | 部屋が暑いうえに、ジメジメしていて不快なときに使う。 |
除湿 | 部屋はそこまで暑くないけど、ジメジメしていて不快なときに使う。 |
前述したように、冷房を使うと室温・湿度どちらもいっきに下がります。そのため夏頃の暑くてジメジメした時期にはまず冷房をかけ、室温・湿度が落ち着いてきたタイミングで、消費電力の少ない除湿に切り替えるというのがオススメ。
「部屋の温度がそこまで高いわけではないけど、ジメジメしていて体感温度が高くて不快」というときは最初から除湿運転するのがオススメ。冷房でも除湿効果は高いですが、気温が下がりすぎてしまう可能性があります。
除湿の設定温度を28℃以上にして使う
除湿冷房が搭載されている機種で、温度設定をできるタイプのエアコンも登場しています。
たとえば「気温が高くないものの湿度が高い日」に除湿機能を使用する場合は、設定温度を少し高めの28℃以上にするのがおすすめです。
必要以上に部屋が寒くなってしまうと体調面でもあまりよくありませんが、温度を下げるために電気代も無駄にかかってしまいます。
除湿機能を使用していて「少し寒い」と感じたときは温度設定を見直して、室内の温度が低くなりすぎるのを防ぎましょう。
洗濯物を部屋干しするときに除湿機能を使う
洗濯物を部屋干しすると、衣類から水分が蒸発して、部屋がジメジメと湿気であふれてしまいます。エアコンの除湿機能で湿気を除去して、洗濯物を乾きやすくしましょう。
服が乾くためには「温度」と「湿度」のどちらも大事ですが、室温20℃以上の場合は、温度を上げるよりも湿度を下げるほうが乾きやすくなります。
極端な例ですが、「室温28℃で湿度80%の部屋」と「室温20℃で湿度30%」の部屋だと、湿度30%の部屋のほうが洗濯物が乾きやすいと考えるのが妥当です。
また洗濯物を乾かすには「風」も大切です。扇風機を使ったり窓を開けたりして、洗濯物に風を通すことも忘れずに。
パナソニックの「エオリア」など一部機種では、「衣類乾燥モード」が搭載されていて、よりパワフルに除湿してくれます。
部屋のカビ防止に使う
梅雨などの湿度が高くなる時期に除湿機能を活用すれば、部屋のカビ発生を防止することが可能です。
カビは温度が20~30℃、湿度が70%以上のときに発生しやすくなる性質があります。除湿機能を使えば部屋の湿度を50~60%近くまで下げられるため、カビ発生のリスクを減らすことができますよ。
ただしエアコン内部の湿度を下げられるわけではありません。除湿を使い終わったあとは「内部クリーン」や「送風」を1時間ほど運転させて、エアコン内部の水気も飛ばしてカビ予防しましょう。
湿度の下げすぎに注意
ここまで除湿のメリットや活用法について紹介してきましたが、湿度の下げすぎにも注意する必要があります。湿度が40%を下回ると過度な除湿になってしまい、空気が乾燥するのを肌で感じる程度になります。
また湿度40%以下だとインフルエンザの活動が活発になると言われているため、特に秋から冬にかけては過度の除湿を気にかける必要があるのです。
エアコンの除湿(ドライ)が効かない時の対処法
除湿機能を使用していると、効きが悪いと感じることがあるかもしれません。効果がないのにずっと運転し続けていれば、ただ電気代だけがかかってしまうことになりますよね。
原因を取りのぞき、除湿機能の効果を十分に感じられるようにしましょう。
冷房機能に異常がないか確認する
先述の通り、除湿(ドライ)機能は基本的に冷房と同じ原理で動いているため、冷房機能に異常があると除湿能力も下がってしまいます。
なので除湿の効きが悪いと思ったら、冷房でも室温が涼しくならないか確かめるとよいでしょう。
扇風機を使って空気を循環させる
除湿機能が効かない時、まずは扇風機などで空気を循環させてみましょう。
水分を含んで暖かくなった空気は、上に溜まるという性質があります。すると湿った空気が天井付近に滞留し、ドライ効果が低下につながってしまうのです。
扇風機を上に向けて送風することで空気が流れるため、除湿機能の効率を上げることができます。
エアコンを強設定で稼働するよりも、扇風機を併用したほうが電気代を抑えられるのも嬉しいポイントです。
そもそもエアコンのパワーと部屋の広さが釣り合っていないこともあるので、説明書などで確認してみましょう。
フィルターの汚れを掃除する
除湿機能の効きが悪い時は、フィルターの汚れもチェックしてみましょう。室内干しを頻繁に行う家庭だと、フィルターが汚れている可能性が高いです。
フィルターは、稼働中常にほこりをブロックしてくれているので、とても汚れやすいパーツ。フィルターが汚れていると、エアコンが空気を吸い込みづらくなり効きが悪くなってしまいます。
そのため、もしもフィルターに汚れが付着しているようなら、すぐにでも掃除に取り掛かりましょう。
フィルターの掃除は掃除機と水洗いで簡単に落とすことができますよ。
アズマ フィルター掃除用ブラシ
掃除方法については次の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてみてくださいね。
ミツモアでエアコンクリーニングを依頼しよう!
「除湿機能を使うとカビ臭い」「フィルターを掃除しても効きが弱い」そんな場合は、エアコンの内部にたまった汚れが原因の可能性が高いです。
室内機内部の掃除は自分では難しいため、プロのクリーニング業者への依頼を検討しましょう。
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エアコンの汚れをきれいに掃除して、除湿機能を最大限に活用してみてはいかがでしょうか。