ホテルや旅館の予約管理では、OTA含む複数経路からの予約の一元管理やダブルブッキングの防止など、複数の課題があります。ホテル・旅館向けの予約システムを導入することで、予約管理を効率化でき、お客様の満足度も向上します。
最終更新日: 2025年11月04日
ホテルや旅館など、宿泊施設におすすめの予約システムを5製品紹介します。宿泊施設の予約管理でよくある課題別に機能を解説し、製品を比較するので、導入する製品の比較・検討の参考にしてください。
ホテル・旅館向けの予約システムとは？
ホテル・旅館向け予約システムは、インターネット等での宿泊予約の受付・管理、空室情報の自動更新、顧客情報や売上の一元管理、決済機能、OTA連携など多彩な機能を備え、業務効率化とサービス向上に貢献するデジタルツールを指します。
ホテル・旅館向けの予約管理システムは3種類に分けられる
ホテル・旅館など宿泊業向けの予約管理システムは、大きく分けると3つに分けられます。
サイトコントローラー
複数のOTA（旅行サイト）や自社予約サイトの客室在庫、料金、予約情報を一元管理し、在庫や価格の自動同期でダブルブッキングを防ぐ中継管理システムです。
自社予約エンジン
自社公式サイトから直接予約を受け付ける仕組みで、予約画面のカスタマイズ、オンライン決済、キャンペーン実施、顧客データの蓄積や販促施策に活用できます。
オールインワン型HMS
予約管理、PMS（客室管理）、販売チャネル連携、顧客管理、売上管理など宿泊業務全体を一元化。多機能かつ複数システム連携不要で、現場の業務効率と情報管理を最大化します。
ホテル・旅館向けの予約システムでできること
ホテルや旅館など、宿泊業に向いている予約システムは以下の機能があります。
① 予約管理
ホテル予約システムの最も基本的な機能は、自社サイト経由の予約を受け付けることです。これは「ブッキングエンジン」とも呼ばれ、宿泊客がスマートフォンやPCから24時間いつでも直接予約を完了できるようにします。
ブッキングエンジンによりこれまで電話で対応していた予約業務の時間を削減し、そのリソースを他のおもてなし業務などに充てることが可能になります。
また、サイトコントローラーと連携することで、OTA経由の予約と一元管理され、ダブルブッキングを防ぐことにも繋がります。
② 在庫・プラン管理と料金設定
宿泊施設の在庫（部屋）と料金プランを管理する機能です。従来、OTA（予約サイト）ごとに管理画面へログインし、手動で在庫や料金を更新する作業は膨大な手間がかかっていました。
予約システムがサイトコントローラーと連携することで、これらの情報を一括で自動管理できるようになります。
また、高機能なシステムでは「宿泊プラン」だけでなく、「日帰り温泉プラン」や「リモートワーク向けデイユース」、「体験アクティビティ予約」など、施設の空き時間や資産を活用した多様な商品を販売することも可能です。
③ 顧客管理（CRM）
CRM（Customer Relationship Management）とは、顧客情報を管理し、関係性を構築することでリピーター獲得を目指す機能です。
予約システムがCRM機能を持つか、PMS（ホテル管理システム）と連携することで、過去の宿泊履歴やアレルギー情報、要望などをデータとして蓄積・活用できます。
これにより、個々のお客様に合わせた最適なサービスや、リピーター向けの特別プランを案内するなど、戦略的なマーケティングが可能になります。OTAへの高額な手数料から脱却し、利益率の高い自社予約比率を高めるための重要な戦略の一つです。
④ オンライン決済
予約時にクレジットカードなどで事前に決済を完了できる機能です。オンライン決済を導入することで、お客様は現地での支払いの手間がなくなり、よりスムーズな予約体験（UX）が実現します。
これは予約フローをシンプルにし、途中で離脱してしまう「カゴ落ち」を防ぎ、予約転換率（CVR）を高める効果が期待できます。
また、施設側にとっても、無断キャンセルの防止（ノーショウ対策）や、フロントでの会計業務の削減に繋がり、業務効率化に大きく貢献します。
⑤ チェックイン・チェックアウト連動
予約システムがPMS（ホテル管理システム）と連携することで、フロント業務の中核であるチェックイン・チェックアウト作業が効率化されます。
予約時に受け付けた情報（氏名、住所、到着予定時刻など）が自動でPMSに反映されるため、当日の記帳作業や情報入力の手間が大幅に削減されます。
また、システムによっては、予約時にアレルギー情報や送迎の要否などを確認する質問フォーム機能もあり、事前の準備が可能になります。これにより、フロント業務の負担を軽減し、より質の高いおもてなしに時間を使えるようになります。
⑥ OTA・サイトコントローラー連携
ホテル予約システム（自社サイトの予約フォーム）の真価は、サイトコントローラーとの連携で発揮されます。サイトコントローラーとは、楽天トラベルやじゃらん、一休.comなど複数のOTA（オンライン旅行代理店）と、自社予約システムの在庫・料金情報を自動で一括管理するシステムです。
この連携がなければ、各チャネルの在庫を手動で調整する必要があり、ダブルブッキングの危険性が常につきまといます。
連携により、いずれかのチャネルで予約が入ると全チャネルの在庫が即座に調整され、人的ミスの防止と業務の圧倒的な効率化が実現します。
ホテル・旅館向けの予約システムを選ぶポイント
ホテル・旅館向けの予約システムを選ぶときは、以下3つのポイントに注意しましょう。
楽天トラベル・じゃらん等OTA・サイトコントローラーとの連携ができるか
自社サイトの予約フォーム（予約システム）を導入するだけでは、ダブルブッキングの問題は解決しません。
楽天トラベルやじゃらん、Booking.comなどのOTAと自社サイトの両方で販売する場合、それらの在庫・料金・予約情報を自動で一括管理する「サイトコントローラー」との連携が絶対に必要です。
サイトコントローラーと連携すれば、いずれかのチャネルで予約が入った瞬間に、他のすべてのチャネルの在庫が自動で調整されます。
これにより、ダブルブッキングを確実に防止できるだけでなく、これまでエクセルや各管理画面で行っていた手動の在庫調整作業がなくなり、業務負担を大幅に削減できます。選定時には、予約情報の取り込みと在庫・料金の反映が両方できる、双方向の連携に対応しているか必ずチェックしてください。
また、連携に追加のオプション費用がシステム側とサイトコントローラー側の双方で発生しないかを必ず確認しましょう。
多言語・マルチデバイスに対応しているか
自社サイトからの直接予約（直販比率）を最大化するためには、予約ページが「スマートフォン」でいかに使いやすいかが最も重要です。
現代の予約行動はスマホが主流であり、もし自社の予約ページがスマホの画面に対応していない、あるいは予約完了までのステップ数が多くて使いにくい場合、お客様は予約を完了する前にページを閉じてしまいます。
特に小規模施設向けの安価なシステムを選ぶ際は注意が必要です。初期費用が無料でも、「スマートフォンには完全対応しておりません」と明記されているシステムもあり、その場合、最も重要なスマホ経由の予約を日々取りこぼしている危険性があります。
安さだけで選ぶのではなく、必ず自分のスマホで予約テストを行い、機会損失を生まないかを確認すべきです。また、インバウンド需要を取り込むために、自動翻訳機能などの「多言語対応」が可能かも確認しましょう。
ホテルの規模やオペレーションに合っているか
必要な機能は、施設の規模によって根本的に異なります。
全15室のような小規模施設の場合、チェーンホテル向けの高度なCRM機能や一元管理機能よりも、まずは予約管理の基本機能が揃っており、低コストで導入できるシステムが適しています。たとえば「innto」や「Staysee」のように初期費用が無料で、30室以下なら月額5,980円といった小規模施設向けの料金体系を持つシステムが選択肢となります。
ただしコストを優先するあまり、前述した「スマートフォン対応」が不十分でないかは最大限の注意が必要です。また、「宿泊」だけでなく、「日帰り温泉プラン」や「リモートワーク向けのデイユースプラン」など、自施設が売りたい独自のプランに対応できる機能があるかも、収益を最大化する上で重要な選定基準となります。
ホテル・旅館におすすめの予約システム製品の比較表
ホテル・旅館など宿泊業におすすめの予約システムを5製品紹介します。システムの種類とおすすめの規模の2軸で比較表を作成したので、比較検討の助けにしてください。
| 製品名 | システムの種類 | おすすめの規模 |
|---|---|---|
| DYNA IBE（旧 Direct In S4） | 自社予約エンジン（IBE） | 中規模～大規模 |
| 予約プロプラス | 自社予約エンジン（IBE） | 中規模～大規模 |
| タビチャットエンジン | 自社予約エンジン（IBE） | 小規模・民泊 |
| accommod | オールインワン型（PMS+IBE） | 小規模（～50室程度） |
| AirHost | オールインワン型（PMS+SC+IBE） | 小規模～中規模 |
略称について追記
PMS:Property Management System（ホテル管理システム）
SC:Site Controller（サイトコントローラー）
PMS:Property Management System（ホテル管理システム）
SC:Site Controller（サイトコントローラー）
ホテル・旅館におすすめの予約システム5選
ホテル・旅館等旅行業向けのおすすめ予約システムは以下の5つです。
「DYNA IBE （旧：Direct In S4）」英語・中国語（簡体・繁体）・韓国語への自動翻訳。インバウンド観光客が多いホテルに最適
- 自社サイトの直販率向上（マーケティング）に特化した予約エンジン
- Google ホテル広告などメタサーチ連携機能で集客を強化
- 既存のPMSとは別システムとして導入し、直販課題の解決に注力
バリューコマース株式会社が提供する自社予約エンジン（IBE）です。
既存のPMSやサイトコントローラーはそのままに、自社サイトのマーケティング強化と直販率向上を目的に導入されます。
Google ホテル広告などメタサーチへの自動連携機能が強みで、OTAとの価格競争を支援します。料金は要問合せで、中規模から大規模ホテルでの導入が推奨されています。
「予約プロプラス」キャンセル待ちも自動対応！集客のチャンスを逃さない
- 初期費用30,000円、月額12,000円の固定料金制を採用
- 主要サイトコントローラーやGoogleホテル検索との連携費用が無料
- 最短3ステップの予約UIで、予約完了率の向上と離脱防止に注力
株式会社アビリブが提供する自社予約エンジン（IBE）です。月額税込13,200円の固定制で、予約数が増加してもコストが変わらないのが特徴です。
主要なサイトコントローラーやGoogleホテル検索との連携費用が無料のため、追加コストを抑えつつ直販強化が可能です。固定費を許容できる中規模から大規模ホテルに適しています。
「タビチャットエンジン」圧倒的な安さと使い勝手のよさを両立
- 初期費用・月額費用0円の無料プランから導入可能
- 無料プランでも「ねっぱん！」など外部サイトコントローラーと連携可能
- コストを徹底的に抑えたい小規模施設や民泊に最適
株式会社NinNinが提供する自社予約エンジン（IBE）です。最大の特徴は「初期・月額0円」から利用できるフリーミアムモデルを採用している点です。
無料プランでありながら、別途契約した「ねっぱん！サイトコントローラー＋＋」等のサイトコントローラーとも連携可能。コストをかけずに自社サイトの予約受付と在庫の一元管理を始めたい小規模施設に最適です。
「accommod」スマホやタブレットから、業務の合間に管理できる
- 客室数50室以下に特化したオールインワンシステム
- フロント業務（PMS）と自社予約（IBE）を統合管理
- 24時間365日の無料カスタマーサポートが標準付帯
株式会社タップが提供する、50室以下の小規模施設に特化したオールインワンシステムです。
紙やエクセルでの管理から脱却し、フロント業務（PMS）と自社サイトの予約機能（IBE）を一元化します。IT専任者がいない施設でも安心な「24時間365日の無料サポート」が標準付帯。
OTA連携に必要なサイトコントローラー連携は別途有料オプション（月額5,000円）で対応しています。
「AirHost」高機能なオールインワン型ソリューション
- PMS・サイトコントローラー・IBEをすべて内蔵したオールインワンHMS
- 1室から対応可能で、料金は客室単位の従量課金制
- スマートロック連携など、非対面・省人化オペレーションに強み
株式会社エアホストが提供するオールインワンHMS（ホテル管理システム）です。調査対象製品で唯一、PMS（フロント業務）、サイトコントローラー（在庫管理）、IBE（自社予約）の3機能を標準で内蔵しています。
別途サイトコントローラーの契約が不要でシステム構成がシンプルです。料金は客室単位の従量課金制で、民泊や小規模ホテルの省人化・自動化に適しています。
予約システムの導入でホテル業務の効率化を
宿泊施設の業態はホテル・旅館・ペンションなど、実に多様です。ホテル予約システムもさまざまなタイプが出回っており、どのシステムが最適か判断に迷うこともあります。
システム選びのポイントは、必要な機能から選ぶことです。まずはフロント業務・会計業務・顧客管理など、省人化・省力化を図りたい業務をリストアップしてみましょう。
また多言語に対応しているかどうか、実際に利用するスタッフにとって使いやすいかも重要です。自社に最適なシステムを導入して、ホテル業務の効率化を図りましょう。
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