いまやDXは企業が継続的に成長するために、必要不可欠な要素です。マーケティング分野や営業分野でもDXを目指す企業が増えており、人事部門においても採用のDXが注目されています。採用DXのメリットや推進するプロセスについて解説します。
最終更新日: 2024年06月28日
採用DXとは何か？
DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉は聞いたことがあっても、どのような取り組みか知らない人事担当者も多いようです。まずは採用のDXとはどういうものか、概要を知っておきましょう。
IT技術を採用活動に取り入れる取り組み
採用のDXはIT技術を積極的に企業の採用活動に取り入れ、優秀な人材を獲得するための取り組みを指します。
近年はITツールによって業務効率化を図り、組織の生産性アップを目指す企業が増えており、人事領域もその例外ではありません。特に慢性的な人手不足に悩む企業は、優秀な人材を確保するために採用活動に力を入れる必要があります。
自社にとって必要な人材を安定的に採用するには、自社の魅力を広く外部に伝える必要があり、さらにIT技術を活用して採用におけるCX(候補者体験)をうまく設計しなければいけません。
さらにオンライン採用が一般的になっている昨今は、DXによって応募のハードルを下げつつ、より自社が魅力的に感じられるような体験を提供することが大事です。
そもそもDXとは？
DXとはIT技術やデジタルデータを活用して、企業の業務プロセスを効率化し、新たな価値を市場に提供することで競争優位性を確立する取り組みです。
もともとDXはIT技術によって社会に革新的な変化がもたらされ、人々の生活がよりよい方向にシフトすることを指す概念でした。それがビジネスシーンにおいて、IT技術を活用してビジネスを変革する取り組みとして広まってきた経緯があります。
すでに多くの企業でIT化が進んでいる営業部門やマーケティング分野はもちろん、近年では人事領域にもDXの波が広がっている状況です。
採用DXが注目されている背景
採用のDXが多くの業界で注目されている背景としては、以下の点が挙げられます。特に慢性的に人手不足に悩んでいる業界では、優秀な人材を確保するために、積極的にDXを推進する企業が増えているようです。
採用のミスマッチの増加
さまざまな業界で採用後の人材のミスマッチが問題となっており、DXによって自社の魅力を採用市場にアピールし、環境に合った優秀な人材を獲得しようとする企業が増えています。
また年間を通じて採用活動を行う企業も多いため、採用のDXによって効率的に採用活動ができるように体制を整えようとする企業も少なくありません。
さらにITツールの利用に加えてSNSなども活用することで、自社の情報を積極的に発信し、内定辞退や早期退職を防ごうとする企業も多いようです。
SNSの普及とオンライン採用の増加
近年の新型コロナウイルスの影響によって、オンラインでの採用活動が注目されるようになり、DXによって採用活動に必要な環境を整えようとする企業が増えたのも、一つの理由として挙げられます。
もともと政府の働き方改革の推進により、企業の採用部門でもITツールの活用が進んでいましたが、さらにオンライン採用のニーズが増したことで、採用部門のDXの流れが加速したのです。
またSNSの普及によって企業の採用活動においても、SNSの有効性が広まった点も背景にあります。
今後さらに採用活動のオンライン化が進んでいくと考えられるため、これまでDXにあまり興味を示していなかった業界の企業でも、徐々にITツールの積極的な活用が広まっていくでしょう。
採用DXに注力するメリット
企業が採用のDXに力を入れるメリットを解説します。DXによって得られるメリットはさまざまですが、人事領域では採用担当者の負担の軽減や、採用力の底上げなどが期待できるでしょう。
採用担当者の負担を軽減できる
DXによって採用プロセスの業務効率化が進むため、人事担当者の負担を軽減できます。これまで企業の採用活動は会社説明会や面接などのために、会場の準備や移動などに相応の手間とコストをかける必要がありました。
しかし採用活動の多くをオンライン化すれば、オフィス内で採用活動のほとんどを完結できるでしょう。さらに採用活動のために臨時で人材を雇う必要もなくなり、人的コストの削減にもつながります。
企業の採用力を底上げできる
オンラインで採用に関する多くの手続きができるようになれば、DXが進んでいない企業に比べて応募者からの評価も上がり、結果的に優秀な人材が集まりやすくなるでしょう。採用活動もスピーディーに進められるので、採用力の底上げが可能になります。
また積極的に自社に関する情報を発信すればブランド力の向上にもつながり、自社が求める優秀な人材を確保しやすくなるはずです。人材紹介会社や人材エージェントに頼らなくても、必要なタイミングで人材を集められるようになるでしょう。
人材のデータベースを構築できる
DXによって応募者のデータベースを構築できるため、自社にマッチした人材に直接アプローチできる機会が広まるのもメリットの一つです。
近年はダイレクトリクルーティングによって人材を獲得する企業が増えていますが、自社で独自のデータベースを構築していれば、優秀な人材に直接声をかけて採用できる可能性が出てきます。
ほかにもデータベースを活用したさまざまな採用手段を用いることで、多様な強みを持った人材を獲得しやすくなるはずです。
独自の人材データベースを持っている企業はまだ少ないので、採用市場で優位に立つためにも、積極的に取り組んでみるとよいでしょう。
採用DXの推進プロセス
採用のDXを推進するための、具体的なプロセスを紹介します。企業によってDXの取り組み方は大きく異なりますが、大まかには以下の流れで採用部門のデジタル化を進めていきます。
現状の採用体制を見直す
まずは自社の人材採用体制を見直して、問題や課題を抽出するところから始めます。ITツールの導入によって、採用部門の抱えるどういった悩みを解消するのか、最終的には何を達成するのかを明確にしなければいけません。
同時に応募者にとって理想の体験(CX)はどういうものか把握する必要があります。「CX」とは日本語では「候補者体験」などと呼ばれており、採用希望者が自社を認知してから、採用活動を終えるまでに体験する事柄を指します。
つまり採用プロセスが終わるまでに、できるだけ応募者に価値を提供することで、自社のファンを獲得する活動です。
採用の合否にかかわらず、CXの質を向上させ、自社の人材募集に応募してよかったと思ってくれる人材を増やすことで、ブランド力や社会的評判の向上につながります。結果的にそんな評判を聞いた優秀な人材が集まりやすくなるのです。
自社に合った採用ツールを導入する
採用活動における問題や課題を乗り越えるため、自社に合った採用ツールを導入します。既存のツールの改善によって対応できるケースもありますが、多くの場合、より環境に合った採用ツールを導入する方が、よい結果になる可能性が高いでしょう。
企業の採用活動を支えるツールやシステムは数多くリリースされていますが、盲目的に導入しても現場で使いこなせないかもしれません。さまざまなツールやシステムの導入を検討した上で、最も費用対効果が高いと考えられるものを導入しましょう。
応募者のCXをデジタル化する
導入したITツールを活用しながら、初めに設定した理想のCX(候補者体験)の実現に向けて、採用部門の組織改革を進めます。
具体的に採用活動のどういった面でDXを実現するかは企業によって異なりますが、多くの企業では採用のオンライン化にまず取り組むケースが多いようです。積極的に採用フローのデジタル化を推進しましょう。
またCXの質を上げるためにSNSや広告、各種メディアをうまく使いながら、応募者とコミュニケーションを取ることも大事です。
さまざまな媒体で自社の考え方や価値観、職場の雰囲気などを伝えれば、採用後のミスマッチが少なくなり、自社にマッチした優秀な人材を集めやすくなります。
採用DXの推進で優秀な人材を獲得しよう
採用のDXとは何か基本的なところを解説しました。DXとはIT技術によって業務プロセスを改善する取り組みを指し、採用のDXは人事部門において業務効率化を実現し、優秀な人材を獲得するための施策を意味します。
DXに積極的に取り組めば、採用担当者の負担を軽減できるのに加えて、採用力の底上げが可能になります。
またDXには自社の環境にマッチしたITツールの導入が不可欠なので、まずは人事部門における問題や課題を明らかにして、それを解決できるシステムを慎重に選択しましょう。必要に応じてシステムベンダーにDXの支援を受けることも有効です。
採用のDX推進に役立つツールとして、採用管理システムがあります。採用管理システムについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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