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労働者名簿とは?人事が知っておくべき基本知識と注意点を解説

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最終更新日: 2024年03月07日

従業員の情報を正しく管理するための書類「労働者名簿」。作成方法および対象の人物、保管については、労働基準法により細かく定められています。

しかしいざ労働者名簿を作成しようと思っても「誰が書くの?」「書き方はこれであっている?」と疑問も多く生まれるでしょう。

本記事では「労働者名簿」の間違えや記入漏れなく正しく作成できる書き方や、知識を解説。誰でも完璧に「労働者名簿」の作成をできるようお手伝いいたします。

労働者名簿は誰が書く?

労働者名簿は基本的に会社の労務担当者が作成します。担当者がいなければ、企業側の管理者などが作成することもあるでしょう。従業員は作成のための情報を提出します。

労働者名簿の必要事項は?

①社員の氏名・性別・生年月日②社員の住所③履歴④雇入れた生年月日⑤携わる業務の種別・履歴⑥退職や死亡した年月日とその事由(退職の事由が解雇の場合は、理由を含む)

労働者名簿とは、従業員を雇用すると必ず作成する書類

書類を書く人

簡単にいうと労働者名簿とは「従業員を雇用した際に必ず作成しなければならない書類」です。

従業員の氏名や生年月日などパーソナルな情報を記す労働者名簿は、入社時に1人ずつ作成されます。

そして変更があれば都度改定することが、労働基準法第107条で義務付けられているのです。

労働者名簿は労務担当者が作成する

労働者名簿は基本的に会社の労務担当者が作成しなければなりません。

しかし労務担当者がいないような中小企業や個人事業主が、従業員にある程度作成を手伝ってもらったり、大きな企業でも情報の吸い上げのため別紙に情報を記載してもらったりすることもあるでしょう。

法律で従業員本人が記載することを禁じることはありません。しかし内容に不備があったり作成をしていないと30万円以下の罰金や労働基準監督署の是正勧告対象となります。

そのため労働者名簿の作成を従業員当人にまる任せにする企業は、ほとんどないでしょう。

大抵が企業や雇い主が中心となって従業員の情報を吸い出し、労働者名簿を作成できる体制や仕組みを作っています。

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名簿を作成すべき企業と対象者

メモを取る人

労働者名簿の作成は「従業員を雇っている全企業」「全従業員」が対象となります。しかし一部において例外があります。具体的にどんな人が対象外になるのか、説明しましょう。

法人・個人に関わらず「従業員を雇う全企業」が対象

労働者名簿の作成は、大企業や中小企業の法人企業はもちろん、個人企業にかかわらず作成・整備しなければなりません。

個人事業主であっても従業員を雇っている場合は、必ず労働者名簿を作成・整備する必要があります。

もし作成しなかった場合は、作成義務違反に該当し30万円以下の罰金、記載内容に不備がある場合は労働基準監督署の是正勧告対象になるため注意しましょう。

アルバイト・パートを含む「全従業員」が対象

労働者名簿に記載する対象ですが、労働基準法によって「各労働者」と定められています。労働者の定義は、労働基準法第9条にある「事業又は事業所に使用される者で、賃金を支払われる者」です。

つまり、企業に勤めて労働し、対価として賃金を受け取っている労働者であれば労働者名簿の記載対象者になります。アルバイトや契約社員、パートなど、勤務形態に関わらず、企業で働き給料を受け取っているなら、漏れなく記載をしてください。

対象外になる労働者

労働者名簿の対象者ですが、一部は対象外になるケースがあります。以下のケースに該当する従業員は労働者名簿の作成対象外です。

対象者 内容
代表者および役員 記載対象ではありません。労働基準法上「労働者」に該当しないのが理由

※社会保険事務所の調査の場合、帳簿資料の提出が必要な場合もあり

派遣労働者 派遣元が管理を行うため、派遣先企業には作成や管理義務はなし
日雇い労働者 記載の対象外。労働者名簿の作成や管理義務の対象として、労働基準法に定められていないのが理由
在籍出向中の社員 出向元・出向先の両方の企業で労働者名簿への記載義務がある
移籍出向中の社員 出向先の企業のみで労働者名簿への記載義務がある

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働者名簿に記載すべき項目

労働者名簿 書き方見本
労働者名簿の書き方見本

労働者名簿に何を記載すればよいのかは、労働基準法により定められています。間違いが許されない部分だけに、しっかりと把握しておきましょう。

労働者名簿のフォーマットは下記よりダウンロードできます。

参考:労働者名簿フォーマット|厚生労働省

名前・住所など「必要記載事項」

労働者名簿にはまず、必ず記載しなければいけない事項があります。次の項目について、制作や管理に関係する業務の人は覚えておきましょう。

記載事項 備考
①社員の氏名・性別・生年月日 社員の各情報を記載しましょう
②社員の住所 住民票の住所と実際の住所が異なる場合は、連絡の取れる現在住んでいる住所を記載しましょう
③履歴 異動や昇進など、社内での履歴を記載しましょう
④雇入れた生年月日 採用された日ではなく、雇用した日を記載しましょう
⑤携わる業務の種別・履歴 社内での業務内容が分かるように記載しましょう。ただし労働者数が30人未満の事業は、必ずしも記載する必要はありません
⑥退職や死亡した年月日とその事由(退職の事由が解雇の場合は、理由を含む) 従業員の都合による退職の場合は理由を記載する必要はありませんが、会社の都合による退職は退職理由を記載しましょう

雇用保険など「推奨記載事項」

必ずしも労働者名簿に記入の必要はありませんが、大抵の企業では「雇用保険・厚生年金・健康保険」「電話番号・緊急連絡先」の記載を求めることが多いでしょう。

労務や人事関連の手続きなどを行う際はどちらも必須なため、記載がなくても罰則はありませんが、雇用保険や年金についての手続きができなくなる恐れがあります。

記載内容は、雇用保険なら雇用保険被保険者番号、厚生年金なら基礎年金番号、健康保険なら健康保険被保険者番号、およびそれぞれの事業所番号を記載します。

電話番号については、自宅か携帯の電話番号いずれかの記入で構いません。

緊急連絡先は両親や配偶者の連絡先を記載しましょう。

労働者名簿の履歴について

履歴は法令や行政解釈では記載範囲について、明確な提示がありません。

そのため、下記企業ごとに解釈した内容を記載することが大前提ですが、ほとんどの企業は「入社前の職歴や最終学歴、社内での配置転換や人事異動など」を労働者名簿の履歴に記載することとしています。

新卒の場合は最終学歴、中途の場合は最終学歴と入社前の職歴を記載すると良いでしょう。

職歴は、今まで何をやってきたかがわかるように書くようにすると良いです。必須ではありませんが、人事考課の要素として使われる可能性もあるため、なるべく全社記載することをおすすめします。

アルバイト・パート歴まで書く必要はありません。

また社内での配置転換や人事異動を行った際は、常に履歴を更新するようにしましょう。

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労働者名簿の保管方法・期間・取り扱い管理

労働者名簿は提出の頻度は極めて低い書類です。行政のどこかの期間へ提出することはごく稀ですが、例えば労働基準監督署の監査が入った場合などには提出が求められます。

保管や保管期間についてもそれぞれ法律で定められているため、違反しないよう注意しましょう。

3年間の保管が義務付けられている

労働者名簿は「法定三帳簿」の1つです。そのため、3年の保管が義務付けられています。

法定三帳簿はいずれも労働基準法により、成や保管を正しく実行しなかった場合は、処罰の対象になる可能性があるとされています。

「法定三帳簿」は今まで3年の保管義務が求められていましたが、2020年4月施行の改正法により5年の保管義務と改められました。

ただし現在は、経過措置中のため3年の保管義務で問題ありません。いつまでが経過措置であるかは明かされていませんが、2025年の施行5年経過したタイミングで切り替わるのではないかと言われています。(※諸説あり)

また、労働者名簿は「退職」「死亡」など従業員が会社を離れた日を起算日として、そこから保管義務の期間が3年となります。入社日ではないので注意しましょう。

法定三帳簿に関しては以下の記事で詳しく説明しているため、参考にしてみてください。

関連記事:法定三帳簿の必要性から罰則までを解説。簡単に作れるテンプレート集も|ミツモア

内容の更新

氏名や住所、また人事異動などの履歴や職務内容の変更があった場合、速やかに労働者名簿の内容を更新しましょう。

労働基準法第53条では、労働者名簿の更新が「遅滞なく」と定めており、怠ると罰則や是正勧告が出される可能性があるためです。

紙での管理をおこなっている場合は、変更箇所に二重線と訂正印を押し、情報を更新すれば良いかと思います。電子の場合は情報を置き換えれば問題ありません。

個人情報保護法の対象

労働者名簿に記載する社員のデータは、個人情報にあたります。2017年5月に全面施行された個人情報保護法の改正法により、会社は社員の個人情報を個人情報保護法のルールに基づき取り扱わなければなりません。

当然ながら、労働者名簿に社員の情報を記載するには、該当社員の同意が必要です。

収集した情報の使用目的や使用範囲も、説明する義務があります。企業として社員の情報を取得することは、大きな責任が伴うという事実を認識しておきましょう。

労働者名簿は紙でも電子保存でも問題ない

労働者名簿の保管方法は、明確な定めがないため、紙でも電子保存でも問題ありません。

ただし電子化には以下の内容を満たしていることが、条件となります。

【電子化に対する条件内容】

  • 事業場ごとに労働者名簿を画面に表示し、印字するための装置を備えておくこと
  • 労働基準監督署による調査等で労働者名簿の閲覧・提出等が必要になった場合に、直ちに必要事項が明らかになっている写しを提出できるようにしておくこと

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労働者名簿のテンプレート

重要書類

労働者名簿の作成は、テンプレート(ひな形)を利用すると効率よく行えます。様式や書式は決められていないため、管理しやすい形式を取り入れましょう。

労働者名簿の様式とテンプレート

パソコンで検索を行うと様々なひな形が出てきます。自社にとって扱いやすいテンプレートを比較検討してみるとよいでしょう。氏名、性別、生年月日、住所、履歴などの必要事項が網羅されているため、すぐに利用できますよ。

厚生労働省テンプレート【様式第十九号】

参考:労働者名簿テンプレート|厚生労働省

biz ocean「ワード」形式

参考:労働者・従業員名簿001|biz ocean

労働者名簿は漏れなく正確に

仕事をする女性

労働者名簿は、企業が従業員を雇用した場合に作成する書類です。「賃金台帳」「出勤簿」と並び法定三帳簿と呼ばれています。正しく作成しない場合は労働基準法により罰せられる可能性もでてくるのです。

基本的にすべての従業員が名簿の記載対象ですが、役員や日雇い労働者など、一部例外も存在します。記入項目も詳細に決められているため、漏れがないよう注意してください。社員が退職した場合も、労働者名簿は5年間の保管義務があります。

労働者名簿は書面だけでなくデータでの作成もOKなため、保管や共有のしやすいデータ形式がおすすめです。間違いのないよう作成し、正しい方法で保管しましょう。

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