請求書に値引き表記が必要な場合、具体的にどのように書けばよいか迷ってしまう人は多いのではないでしょうか。なんとなく理解はしているものの、全員が正しい理解をしているという企業やチームは多くはないかもしれません。
実際に値引き表記に関して法律的なルールはありません。しかし取引先が見ても分かりやすい表記を心がけるのが原則です。
今記事では、値引きする際の請求書の書き方のポイントや、値引きが発生しやすい具体的なケースや注意点について解説します。
請求書で値引き表記する際の書き方
実際に上記のような値引きが発生した場合には、請求書にも取引の経緯が分かるような記載をしなければなりません。値引き時には請求書にどのような書き方をすればよいのか、表記方法を解説していきます。
マイナスの表記方法に決まりはない
実は請求書に記載するマイナスの表記方法に厳密な決まりはありません。ただし取引先とのトラブルを回避するためにも、取引先や第三者に分かりやすい表記をすることが原則です。
基本的には品番、数量、単価、値引き金額、金額の順に書くとわかりやすいでしょう。値引き金額の箇所は分かりやすく記号を付けるのが一般的です。
一般的な値引き金額部分のマイナスの表記方法は以下の3種類です。
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この3つの表記方法であれば、大抵の場合マイナスであることが先方にスムーズに伝わるでしょう。
値引きの詳細が分かるように記載
値引きの記載時には単に金額を示すだけでなく、なぜ値引きが行われたのかの理由も含めることが推奨されます。
そうすることで、請求書を受け取る側が値引きの背景を理解しやすくなり、将来的に同様の条件で値引きが適用される可能性がある場合の参考にもなります。
たとえば量販割引、期間限定のプロモーション、早期支払い割引など、値引きの具体的な理由を記載します。
赤文字よりも黒文字で表記する
赤文字は通常、警告や注意を引くために用いられることが多く、値引きのような情報には適していないと考えられています。黒文字を使用することで、請求書の他の情報と視覚的に調和しつつ、明確に情報を提示できます。
また請求書を印刷するときやコピーを取る際にも黒文字ははっきりと読み取りやすいため、記録や管理がしやすくなります。
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請求書で値引き表記をする際の注意点
請求書にマイナスの表記をする際にはどのような点に注意をすればよいのでしょうか。2つの注意点を解説します。
「値引き」の項目はほかの項目と分けて書く
値引きの項目は、売上項目や他の料金と区別して記載します。請求書の受け手が、どの商品やサービスがどれだけの値引きを受けたのかを容易に理解できるようにするためです。
たとえば商品Aが定価で販売される一方で、商品Bに対して特定の値引きが適用される場合、商品Bの値引き額を別項目として明示することが推奨されます。
値引き理由の明記
値引きの理由を明記することで、取引の透明性を高めることができます。また値引きの詳細が記載されていれば、後日その請求書を参照する際に、なぜその金額が値引かれたのかをすぐに把握できます。これは会計処理や税務審査の際にも役立ち、効率的な対応を可能にします。
表記例)
項目 | 単価 | 数量 | 単位 | 金額 | 備考 |
製品A | ¥1,500‐ | 5.0 | 個 | ¥7,500‐ | |
製品B | ¥1,000‐ | 20.0 | 個 | ¥20,000‐ | |
製品B(特別お値引き) | ▲¥100‐ | 20.0 | 個 | ▲¥2,000‐ | 大量発注による特別お値引き |
カンマを付ける
請求書に金額を記載する際にはトラブル防止のため、「500,000」といったようにカンマ記号をつけましょう。カンマ記号は数字が読み取りやすくなるだけでなく、桁数を増やしたり消したりといった改ざんや訂正ができなくなります。
また改ざん防止に役立つ記号はカンマだけではありません。例えば金額の先頭に「¥」マークを付けたり、金額の最後に「−」を付けたりする方法もあります。
漢数字を利用する場合には「一」の代わりに「壱」を「二」の代わりに「弐」を記載する方法もあります。
消費税の金額表記を明確にする
値引きと消費税のどちらを先に計算するかによって、処理方法や請求金額に差が生じるため注意しましょう。
消費税を先に計算する場合には、経理の際に税抜価格を算出したり端数が発生してしまったとき処理が煩雑になります。
値引きの計算を消費税の計算より先に行えば、最後に税込みの金額を計算するだけなのでスムーズな処理が可能です。
インボイス制度において請求書の値引きが発生した場合の対応
インボイス制度の下で請求書に値引きが記載される場合、適切な取り扱いが重要です。以下に主な注意点を解説します。
適格返還請求書(返還インボイス)の使用する
適格返還請求書は、発行事業者が値引きや返品などで対価を返還する際に発行する必要がある書類です。インボイス制度の下で義務付けられており、対価の返還を正確に顧客と税務当局に報告するために重要です。
正確な税額表示をする
値引きや返品によって変動した取引価格に基づいて、消費税額が再計算される必要があります。新たに計算された正確な税額を含めることが求められます。
請求書に値引きが発生する具体的なケース
請求書に値引きが発生する具体的にどのようなケースでしょうか。具体的なケースを解説します。
売上割戻
請求書にマイナスが出る事例の一つ目は「売上割戻」です。他に「リベート」や「キックバック」「ボリュームディスカウント」といった呼び方もあります。
セット購入やまとめ買いセールなど、商品を一定量以上購入したときに発生する割引です。売上割戻が発生したときは、契約時の販売価格から割戻した分の金額をマイナスして計上する必要があります。
割引
「割引」によるマイナスが発生する代表的な例は商品購入者からのクレームです。販売した商品に欠陥などの不具合があったとき、返品ではなく販売額からの値引きを行うケースを「割引」とみなします。「キックバック」と呼ばれる場合もあります。
売上割戻と間違えやすい勘定科目ですが、割引は商品が単体であっても発生するため量が少なくても適用されるかで判断しましょう。
割引の際にも見積もり時の金額との差異を生じさせないために、実際の販売価格からのマイナス表記で処理をしなければなりません。このようにしっかり経緯を記載しておかないと、請求時のミスやトラブルに発展する可能性があるため注意が必要です。
相殺
売掛金が発生したときに現金で回収する代わりに、もともとあった買掛金を減じて取引を完結させる処理方法を「相殺」と呼びます。
例えばA社がB社に500,000円の請求を行うとき、A社にB社との別の取引で発生した500,000円の買掛金があれば相殺を行えます。すると売掛金と買掛金がともに0円になり、二つの取引が完結できるのです。
また買掛金の金額が売掛金を下回っている場合にも、売掛金の一部を相殺できます。
相殺処理を行えば自社でも取引先でも現金を動かす必要がなくなり、回収の手間もかかりません。ただし取引先との合意をとった上で、請求書にも第三者が見ても分かるような形で記載をする必要があります。
クレーム値引き
クレーム値引きは、提供された商品やサービスに何らかの問題や損失があった場合に発生する値引きです。
商品が破損していた、約束された仕様と異なっていた、配達が遅延したなどの理由で顧客が満足できなかったなどの場合、損失分を解消するために値引きが行われます。
出精値引き
出精値引きは企業の自主的な値引きの提案であり、継続的な取引関係を円滑にするための値引き方法です。
発注を後押しするためにサービスとして行われ、許容範囲内での値引きとなります。
処理しやすい請求書を作成しよう
請求書にマイナスが出るケースには売上割戻や割引・相殺などがあり、請求書に値引きがあった旨を記載する必要があります。
表記の方法に厳格な決まりはないものの、トラブル回避のためには取引先や第三者が見ても分かりやすい書き方を心がけましょう。
数字の前にはマイナス記号( – )や三角形(△)(▲)を付けるのが一般的です。またどのような経緯で値引きが発生したのかも詳細に記載しておくと、トラブルに発展する心配がありません。
加えて改ざんを防ぐために記号を付ける、消費税の計算のタイミングを明確にするといった点にも注意が必要になります。自社にも取引先にも処理のしやすい請求書を作成して、業務を円滑に進めましょう。
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