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ABC分析とは?効果的な販売戦略につながる分析方法をわかりやすく解説

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最終更新日: 2024年06月28日

「どの商品に注力するべきかわからない」「商品の売れ行きを可視化したい」そんなときに効果的な分析手法がABC分析です。

この記事では、ABC分析とはどのような分析手法なのか、図解や例を使ってわかりやすく解説。ABC分析のやり方をマスターして、利益向上を効率よく目指していきましょう。

ABC分析とは

ABC分析の図解
各商品の売上データから3つのグループに分類する

ABC分析とは、在庫商品の「重要度」や「優先度」を決める分析手法のことです。

各商品の売上高をベースに構成比を計算し、全体売上への影響度が大きいものからA・B・Cの3つのグループに分類して「重要度」を定めます。そして「重要度」が高いものから「優先度」を決定し、売上が見込める商品を重点的に管理します。

このことから、ABC分析は別名「重点分析」とも呼ばれます。売上データに基づいた現状把握は、在庫管理の最適化や効果的な販売戦略の実現につながります。

Aグループ:重要度「大」【在庫の欠品は厳禁】

Aグループに分類される商品は売上の大部分を占める最重要品目です。そのため絶対に欠品を起こしてはいけません。

いわば売上拡大のドライバーとなる商品なので、継続的な発注や生産が必要です。需要が大きいことが想定され、プロモーション強化などの販売強化施策も視野に入ってきます。

Bグループ:重要度「中」【現状維持・定期的な補充】

Bグループは重要度がそこまで高くないものの、一定の需要が見込める商品群です。決してないがしろにしてはいけませんが、基本的には現状維持でよいでしょう。

毎月の定期的な補充をベースに、売上の土台作りが期待できる商品です。

Cグループ:重要度「小」【在庫が切れてから補充でOK】

Cグループの商品は重要度が低いです。ここに分類される商品は、全体売上に占める売上高の割合が低いことを意味します。

在庫が切れてからの補充でも、売上全体の増減に大きな影響はありません。

より高い利益が期待できる商品への入れ替えや、場合によっては取り扱いをやめる選択も視野に入れてよいでしょう。

ABC分析はパレートの法則がベース【80:20の法則】

パレートの法則の図解イラスト

ABC分析は「パレートの法則」と呼ばれる統計分析の考え方がベースになっています。「売上の8割は全体の2割の商品が生み出している」といった考えで、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートによって提唱されました。

「少数の要因が大勢を動かす」といった社会現象を定義づけた法則で、この特徴から別名「80:20の法則」や「ばらつきの法則」とも呼ばれています。

これをABC分析にあてはめてみると「売上上位のAグループが売上のほとんどを生み出している」ことを意味します。

つまり、すべての商品を平等に扱うのではなく、売上上位の商品を優先度高く取り扱うことで、高い費用対効果が追求できるのです。

ABC分析のやり方【エクセルで表を作りながら進めよう】

ABC分類表 (例:文房具店)
ABC分類表は5つのステップでかんたんに作成可能

ABC分析は次の手順で進めていきます。

  1. 各商品の売上高を列挙する
  2. 商品の売上高が高い順に並び替える
  3. 上位から売上高を順番に足して「累積額」を算出する
  4. 「累積額÷総売上高×100」の計算式で「累積構成比」を算出する
  5. 累積構成比を元に「A」「B」「C」の3グループに分類する

ここでは「文房具店の在庫管理」を例題として解説します。

分析の際には売上高のデータ集計が必要となるので、エクセルを使って表を作成しながら進めていくとよいでしょう。

各商品の売上高を列挙する

ABC分析のデータ記載
まずは商品と売上高を並べる

まずは各商品の売上高データを集めて列挙していきます。このとき、データの並び順はいったん意識しなくてもかまいません。

ただし、正確な分析を行うためにも、商品の単位は「商品グループごと」や「個別の商品ごと」、「売り場ごと」などでそろえておく必要があります。今回の例の場合はボールペンやノートなど、商品グループごとに進めていきます。

各商品の売上高がまとめられたデータがすでにあるのであれば、エクセルに転記するのもよいでしょう。

商品の売上高が高い順に並び替える

ABC分析のデータ並び替え
売上高が記載されたB列を選択して並び替え

分析したい商品のデータが出そろったら、売上高が高い順に並び替えます。

エクセルの「並び替え機能」を使って「降順」を選択すれば、売上高が高い順に項目ごと並び替えられます。売上高のデータを記載した列を選択した状態で操作してください。

上位から売上高を順番に足して「累積額」を算出する

ABC分析の累積額計算
ひとつ上のセルと左のセルを足した金額が累積額になる

売上高を順番に足して「累積額」を求めていきます。

たとえば図のボールペンの場合、ノートの売上「682,641円」とボールペンの売上「586,906円」を足した「1,279,547円」が累積額です。その後は鉛筆の売上「495,885円」を先ほどの累積額「1,279,547」円に足して「1,775,432円」が累積額となります。

このように、累積額はどんどん積み上げ式で大きくなり、最終的な項目に達した時点の金額はすべての商品の売上高を足した金額と同じになります。

【ワンポイントアドバイス:SUM関数を使えばミスなく簡単に計算可能】

累積額を算出するとき、売上高と累積額を引数としたSUM関数を使って足し算を行えば、計算ミスがありません。

また最初の関数を入力したセルの右下をクリックして、下にドラッグするオートフィル機能の活用もおすすめです。自動的に計算式が適用されるので、各項目の累積額をさらに簡単に求められます。

「累積額÷総売上高×100」の計算式で「累積構成比」を算出する

ABC分析における累積構成比の計算
累積額を総売上高で割って構成比を求める

「累積額÷総売上高×100」の計算式で「累積構成比」を算出していきます。

今回の例の場合、総売上高は「320万円」。これを計算式にあてはめると、ボールペンの累積構成比は「1,279,547円÷3,200,000円×100」の計算式で「40%」と求められます(小数点以下は四捨五入)。

累積額と同様に、すべての項目の累積構成比を算出していきましょう。

【ワンポイントアドバイス:書式を「%」に設定しておけば変換の手間が省ける】

累積構成比をエクセルで計算する際、書式を「%」に設定しておくと「累積額÷総売上高」の簡単な計算式で算出できます。単位を「%」にわざわざ手動で設定する必要もありません。

累積構成比を入力するセルの書式設定は、あらかじめ「%」に設定しておくとよいでしょう。

累積構成比を元に「A」「B」「C」の3グループに分類する

ABC分析のグループ分類
ランクごとに色を分ければ視認性アップ

累積構成比を計算したら、いよいよ各商品を「A」「B」「C」の3グループに分類します。算出した累積構成比とグループ別の基準を照らしあわせて、ランク付けを進めていきましょう。

【ABC分析のランク基準値】

ランク 累積構成比の基準値
Aグループ 70%以下
Bグループ 71~90%
Cグループ 91~100%

今回の例の場合は「ノート」「ボールペン」「鉛筆」「クリアファイル」の4品目がAグループに分類されました。つまりこの文房具店では、これらの商品在庫を切らすことなく在庫管理を行い、販売戦略を展開することが重要だといえます。

このように「現状ではどの商品が売れていて、重要な役割を担っているのか」をはっきりと可視化できるのがABC分析です。

【+α】分類表からパレート図を作成する

ABC分析のパレート図
各商品の売上高と累積構成比が、ひと目でわかる

ABC分類表が完成するとパレート図を作成できます。作成は必須ではありませんが、パレート図があれば分析結果をひと目で確認できるようになります。

作成方法もABC分類表からグラフを作るだけと非常にかんたん。「商品」「売上高」「累積構成比」が記載された列をそれぞれまるごと選択して、グラフを出力しましょう。「売上高」は棒グラフで、そして「累積構成比」を折れ線グラフで表すとパレート図が完成します。

なおエクセルには、パレート図のテンプレートがあらかじめ用意されています。「挿入」メニューから「おすすめグラフ」を選択して最下部に表示されるパレート図をクリックすれば、上記のようなグラフが出力されます。

ABC分析を効果的に活用するためのポイント

サーバに蓄積されたデータのイメージイラスト

売上状況の現状把握を通じて、今後の見通しや戦略を立てられるABC分析。活用の効果をさらに高められるポイントを紹介します。

なるべく定期的に実施する

ABC分析は定期的に実施することで真価を発揮します。商品の売上はさまざまな需要に応じて変動するため、分析結果をアップデートしないと市場の変化についていけません。

たとえば、テレビ番組や雑誌、You Tubeなどで取り上げられて話題になった商品は、一定期間だけ売上が伸びる可能性があります。このような場合は、一時的にAグループにスコアリングされるケースもあるでしょう。しかしブームが去ってしまえば、Cグループに分類される可能性も否めません。

顧客ニーズの変化を見逃さずに販売戦略に反映するためにも、なるべく定期的にABC分析を実施しましょう。

商品どうしの関連性も考慮する

商品どうしの関連性を考慮することも、ABC分析を進めていくうえでは重要です。いわゆる「セット買い」や「ついで買い」のようなもので、Cグループの商品がAグループの商品を購入するきっかけになる可能性は多いにあります。

たとえば文房具店では「ボールペン」の売上が多いです。しかし「替芯」の売上構成比は本体と比較して低くなる傾向にあります。そのためABC分析のグループ分類も本体と替芯で差がつくと考えられますが、本体を購入した顧客は次回以降の来店で「替芯」を求める可能性があります。

つまり、スコアが低いからといって商品の取り扱いをないがしろにしていると、顧客の信用を失ってしまう結果にもなりかねません。思わぬ機会損失を防ぐためにも、部分的ではなく全体を俯瞰的にとらえたうえで販売戦略の意思決定を行うことが大切です。

商品が「なぜ、そのスコアになっているのか」を考える

分析したデータを活用する人々のイラスト

ABC分析を今後の販売戦略に活かしていくためにも「なぜ、そのスコアになっているのか?」を深掘りしていきましょう。

たとえば「ニーズがありそうだから売れそうだ」と判断していた注力商品のスコアが「C」だったとします。しかし、もしかするとプロモーションが十分でなく、顧客の認知が取れていないだけかもしれません。

またスコアが「A」の商品が売れている要因を探っていくと、ほかの商品に横展開できる施策がみつかるケースも考えられます。

最初は感覚ベースでもかまわないので、ABC分析の結果が出たら「違和感のあるスコアリングがないかどうか」の観点からチェックを進めていくとよいでしょう。要因分析を通じてスコアリングの解像度が上がれば上がるほど、分析結果から効果的な施策が生まれます。

分析内容を施策に落とし込んで実行する

ABC分析は分析結果を施策に落とし込んで実行に移すことが大切です。分析はあくまでも目標達成のための「手段」であり「目的」ではありません。理想のゴールに到達するためにも、分析の後は必ずアクションに結びつけていきましょう。

たとえばAグループの商品であれば、販売コーナーの拡大や顧客の目につきやすい場所への陳列などの施策が考えられます。在庫スペースの拡充によって、品切れ防止を徹底するのもよいでしょう。

またBグループやCグループの商品では取り扱い数量を変更したり、売れ行きが見込めるのであればマーケティングを強化したりするのも効果的です。

現状把握からみえてきた期待や課題をカバーした改善を、地道にでも繰り返し続けていけば、あなたが理想とする姿にグッと近づきます。

ABC分析を活用した施策の例

マーケティング戦略のイメージイラスト

ABC分析を通じてみえてきた期待や課題から、どのように改善を進めていくのがよいのでしょうか。市場動向や自社の状況もふまえつつ、施策例を参考にして最適なアクションを導き出していきましょう。

マーケティング強化の優先度策定

ABC分析でAグループに分類される商品は、売上への貢献度が非常に高いです。さらなる売上拡大につなげるためにも、優先的にマーケティング施策を強化していく必要があるといえます。

具体的な施策としては、ポップを作成して店頭に置いたり、SNSを活用したプロモーションの頻度を上げたりなどが考えられます。購買経験のある顧客へのDM送付や、店舗での商品展開を拡大するなどのアクションも効果的でしょう。

そしてBグループやCグループに分類される商品は、全体売上に占める割合が少ないと考えられます。そのためマーケティング施策の優先度は、どちらかといえば下げてしまってもかまいません。

売れる商品から優先度高く施策を進める「選択と集中」を通じて自社の強みを伸ばしていくことこそが、売上拡大への近道となります。

人材や時間などリソースの配分見直し

売上への貢献度に応じてリソース配分を見直すのも効果的です。限られたリソースを最大限に活かすべく、人材配置や時間の使い方をABC分析の結果から考えていきましょう。

たとえば、Cグループの販促に着手していた人員の配置転換を行い、Aグループの商品担当に変更するなどの施策が考えられます。

Cグループの商品の仕入れや生産に時間がかかるようであれば、オペレーションを見直してAグループの商品管理に費やす時間を増やしてもよいでしょう。

在庫管理コストの見直し

売上貢献度が高いAグループの商品に欠品があってはなりません。しかし考え方によっては、発注ロットを増やしてディスカウントをねらうなどの施策に落とし込むことも可能です。

またBグループやCグループの商品は欠品が見えてから発注や生産を行うことで、在庫管理にかかる工数を削減できます。

ABC分析のランクに応じた在庫管理体制の見直しは、仕入れや人件費、保管場所などのさまざまなコスト削減につながります。

分析内容を活かした施策の実行で売上基盤の確立を

ユーザー評価のイメージイラスト

全体売上に占める商品の売上貢献度を可視化できるABC分析。販売実態に基づいた現状把握を通じて、在庫管理の最適化や販売戦略の策定を効率的に進められる分析手法です。

分析結果から落とし込まれたアクションを着実に実行していけば、利益拡大が大きく近づくといっても過言ではありません。ABC分析を最大限に活用して、売上基盤の確立を目指していきましょう。

ぴったりの在庫管理システム選びはミツモアで

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在庫情報をシステム上で一元管理できる在庫管理システム。ABC分析と併用することで、より精緻な分析と施策へ落とし込むことが可能です。

とはいえ、在庫管理システムは製品によって特徴や機能もさまざまです。ひとつずつ製品の特徴や機能を調べていては、時間も手間もかかってしまいます。

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