「銀行のファクタリング」と聞くと、多くの方が「信頼性」や「手数料の低さ」を期待します。しかし同時に、「審査が厳しいのではないか」「時間がかかるのでは」「取引先に知られてしまう(3社間契約)のではないか」といった不安もよぎるはずです。
「銀行系ファクタリング」は、主に「伝統的な銀行グループ会社が提供するサービス」と、「銀行がフィンテック企業と提携して提供するスピード重視のオンラインサービス」の2種類に分けられます。
2つの「銀行系ファクタリング」の違いを明確にし、独立系サービスと比較しながら、手数料、審査基準、スピードの観点から、どの選択肢が自社の状況に最適なのかを解説します。
銀行系ファクタリングとは?独立系との違いと2つの分類
銀行系ファクタリングとは、銀行本体、そのグループ会社、または銀行が提携する企業が提供するサービスです。
最大の特徴は、運営母体の「信頼性の高さ」と、独立系に比べた「手数料の低さ」にあります。一方で、一般的には融資に準じた「厳格な審査」が求められ、資金化までに「時間がかかる」傾向がありました。
しかし、現在、この「銀行系」の定義は大きく2つに分かれています。まずは、一般的なファクタリングサービス分類における銀行系の位置づけを、以下の比較表で確認してください。
| 比較項目 | 銀行系ファクタリング | ノンバンク系ファクタリング | 独立系ファクタリング |
|---|---|---|---|
| 運営母体 | 銀行、銀行グループ会社、銀行提携先 | 信販会社、消費者金融など | ファクタリング専門企業 |
| 手数料相場 | 1%〜9%程度 | 5%〜15%程度 | 2%〜20%程度 |
| 入金スピード | 最短即日〜数週間 | 1週間程度 | 最短即日〜数日 |
| 審査難易度 | 厳格 | やや厳格 | 柔軟 |
| 主な契約形態 | 3社間(一部2社間対応) | 2社間・3社間 | 2社間・3社間 |
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銀行系ファクタリングは「2種類」に分類される
上記の表で「銀行系」の手数料やスピードに大きな幅があるのは、サービスが以下の2つのタイプに明確に分かれているためです。
タイプ1:銀行本体・グループ会社型
三菱UFJファクターやみずほファクターなど、メガバンクや大手銀行のグループ会社が伝統的に提供してきたサービスです。
- 特徴:信頼性は抜群で、手数料も1%〜5%程度と極めて低い
- 適応:数千万円から数億円単位の大口債権に対応可能
- 注意点:原則として売掛先に通知・承諾を得る「3社間ファクタリング」が基本
※審査も最も厳格で、入金までに1〜2週間以上かかる
タイプ2:銀行提携・フィンテック(クラウド)型
OLTA(オルタ)やマネーフォワードといったフィンテック企業が開発したオンライン完結型サービスを、地方銀行や信用金庫が提携して窓口となり、顧客に紹介・提供する形態です。
- 特徴:AI審査などにより「オンライン完結」で手続きが済み、最短即日での入金も可能
- 適応:数十万円からの小口債権にも対応し、取引先に知られない「2社間ファクタリング」が利用可能
- 注意点:手数料は2%〜9%程度とタイプ1よりは高めだが、独立系よりは低い水準
どちらの「銀行系」を選ぶべきか
自社の状況によって、選ぶべき「銀行系ファクタリング」は異なります。
- 取引先に通知しても問題なく、大口債権を低費用で資金化したい
→銀行本体・グループ会社型が最適 - 銀行が紹介する信頼性を担保しつつ、「2社間」かつ「スピーディーに」資金化したい
→銀行提携・フィンテック(クラウド)型が最適
銀行系ファクタリングのメリット
銀行系ファクタリングを利用するメリットは、主に「信頼性」と「手数料の低さ」、「大口対応力」、「サービスの多様性」の4点です。
圧倒的な信頼性・安全性
銀行系ファクタリング最大のメリットは、運営母体である銀行(またはそのグループ会社)が持つ社会的な信用力です。ファクタリングを装った違法な「偽装ファクタリング」や高金利業者について金融庁が注意喚起を行うなか、銀行法や関連法規を遵守する銀行系サービスであれば、不透明な手数料を請求されたり、違法な取り立てに遭ったりする危険性はありません。
安心して大口の取引を任せられる点は、経営上の大きな安心材料といえます。
手数料が格段に安い
手数料の低さも大きな魅力です。 独立系の2社間ファクタリングでは10%〜20%が相場になることもありますが、銀行系ファクタリング、特に「銀行本体・グループ会社型」では、1%〜5%程度の水準で利用できる場合があります。
手数料が低い理由は、売掛先から直接債権を回収する「3社間ファクタリング」を基本とし、ファクタリング会社側の未回収リスクを低く抑えているためです。「銀行提携・フィンテック(クラウド)型」も、その多くが2%〜9%程度と、独立系に比べて競争力のある手数料を提示しています。
大口債権(数千万円~数億円)に対応可能
銀行やそのグループ会社が持つ豊富な資金力は、独立系ファクタリング会社では対応が難しい大口債権の買取を可能にします。 国内のファクタリング事業者の多くは小規模であり、高額な債権の買取には限界があります。
しかし、銀行系であれば数千万円から数億円規模の売掛債権にも対応できるため、大規模な建設プロジェクトや大型受注を扱う中堅・大企業にとって、重要な資金調達手段です。
保証・国際ファクタリングなどサービスが多様
単なる「買取ファクタリング」だけでなく、企業の財務上の危険性に対応する多様な解決策を提供している点も銀行系の強みです。 たとえば、取引先の倒産時に売掛金を保証する「保証ファクタリング」や、輸出取引の危険性を回避する「国際ファクタリング」は、銀行系が得意とする分野です。
ほかにも、建設業の下請債権を守る「下請債権保全支援事業」や、診療報酬・介護報酬を早期化する「医療・介護報酬ファクタリング」など、特定の業種に特化したサービスも展開しています。
銀行系ファクタリングのデメリットと注意点
銀行系ファクタリングには大きなメリットがある反面、利用前に確認すべき4つの注意点があります。特に「審査」と「3社間契約」は重要な判断材料です。
審査が非常に厳格(赤字・税金滞納は困難)
銀行系ファクタリング、特に「銀行本体・グループ会社型」は、融資審査に準じた厳格な審査基準を設けています。
独立系ファクタリングが「売掛先の信用力」を最重要視するのに対し、銀行系は売掛先だけでなく、利用企業(自社)の財務状況や信用情報も厳しく審査します。赤字決算や税金の滞納がある場合、審査を通過するのは困難な場合が多いです。
原則「3社間ファクタリング」(取引先への通知・承諾が必須)
原則として「3社間ファクタリング」を採用している点が、多くの企業が銀行系ファクタリングの利用をためらう主な理由のひとつです。「銀行本体・グループ会社型」は、債権の存在を確実に保全するため、売掛先(取引先)への通知と承諾を必要とする「3社間ファクタリング」を基本としています。
売掛先にファクタリングの利用を知られると、「あの会社は資金繰りが苦しいのではないか」と勘繰られ、将来の取引に影響が出る(信用不安)危険性を考慮しなければなりません。
ただし「銀行提携・フィンテック型」は、この懸念点を解消する「2社間ファクタリング」に対応しています。取引先に知られずに資金化したい場合は、「銀行提携・フィンテック型」の利用を検討しましょう。
入金までに時間がかかる(最短でも1~2週間)
厳格な審査と3社間契約の手続き(売掛先からの承諾取り付けなど)が必要なため、「銀行本体・グループ会社型」は申込みから入金までに1〜2週間、あるいはそれ以上の時間がかかります。
独立系ファクタリングの「最短即日」というスピード感とは大きく異なるため、「来週の支払いに間に合わせたい」といった緊急性の高い資金需要には対応できません。「銀行提携・フィンテック型」であれば、AI審査などにより最短即日〜2営業日程度での入金ができます。
銀行の融資審査に影響する可能性
ファクタリングは債権の売買(資産の売却)であり、融資(負債)ではないため、信用情報機関に利用履歴が記録されることはありません。しかし、銀行系ファクタリングを利用した場合、その情報が銀行グループ内で共有される可能性は否定できません。
万が一、「この会社はファクタリングに頼らなければならないほど資金繰りが厳しい」と見なされた場合、将来的な追加融資や条件変更の審査に、間接的な影響が出る可能性もゼロではない点に留意すべきです。
銀行ファクタリングと銀行融資の違い
ファクタリングと融資は、どちらも資金を調達する手段ですが、その性質は全く異なります。特に銀行系ファクタリングは融資審査と近いため、混同しやすい点に注意が必要です。
融資審査が通らず、銀行系ファクタリングを検討している場合は、両者の違いを明確に理解しておきましょう。
| 比較項目 | 銀行融資 | 銀行系ファクタリング |
|---|---|---|
| 法的性質 | 負債(借金) | 債権売買(資産の売却) |
| 審査対象 | 自社の信用力・返済能力 | 売掛先の信用力(+自社の信用力) |
| 信用情報への影響 | 記録される(借入残高) | 記録されない |
| 資金化スピード | 数週間~1ヶ月以上 | タイプによる(最短即日~数週間) |
| 調達可能額 | 自社の与信枠(信用力)に基づく | 保有する売掛債権の額面に基づく |
| 返済義務 | 自社が返済義務を負う | 原則なし(ノンリコース) |
融資は「自社の信用」を担保にお金を借りる行為(負債)ですが、ファクタリングは「売掛先の信用」を基に売掛金という資産を売却する行為です。
タイプ別 銀行系ファクタリングの主要サービス
主要な銀行系ファクタリングサービスを、先に定義した2つのタイプに分類して紹介します。
タイプ1:銀行グループ会社型(大口・低手数料・3社間)
大企業・中堅企業向けで、取引先への通知(3社間)が問題にならず、大口債権を低費用で資金化したい場合に適しています。ここでは、主要銀行のファクタリングサービスについて紹介します。
三井住友銀行 販売先信用保証(ポートフォリオ型ファクタリング)
売掛債権の「買取」ではなく、「保証」に特化したサービスです。取引先(販売先)が倒産するなどで、保有している売掛債権が支払い不能になった場合に、三井住友銀行が取引先に代わって支払いを行います(あらかじめ設定した保証限度額が上限です)。
Webポータルサイト「Amulet(アミュレット)」を通じて、Web上で手続きを行える点も特徴です。
三菱UFJファクター
三菱UFJ銀行の完全子会社である三菱UFJファクターは、ファクタリング業務や代金回収業務などを事業の柱としています。業歴は50年以上を誇り、社会的信用性の高さと強固な経営基盤が強みです。
三菱UFJファクターのファクタリングは根保証です。売掛先が倒産した際は、債券を保証限度額の範囲内で100%を保証します。取引先の信用状況を随時調査し、変化があればすぐに通知するため、利用者としては安心してビジネスに注力できるでしょう。
資金調達の手段としてはもちろん、ファクタリングサービスを与信管理に活用する企業も少なくありません。下請債権保全支援事業や、国際ファクタリングにも対応しています。
みずほファクター
みずほファクターはみずほフィナンシャルグループの一員で、みずほ銀行の完全子会社です。国内ファクタリングと国際ファクタリングの両方に力を入れています。業界トップレベルのノウハウを駆使しながら、各企業に最適なソリューションを提供しています。
みずほファクターの回収保証サービスは、売上債権を保証限度額内で最大100%保証するものです。個別保証であれば保証対象を任意で選択できるため、保証料の無駄がありません。手形や売掛金、電子記録債権の明細単位で保証を付けられます。
銀行提携・フィンテック型(小口・スピード・2社間)
中小企業・個人事業主向けで、銀行の信頼性を背景に持ちつつ、売掛先企業に通知しない「2社間ファクタリングの利用」や、「早く資金化したい」場合に適しています。
主なファクタリング会社は、以下の2社です。
OLTA(オルタ)
AI審査によりオンラインで手続きが完結し、最短即日(24時間以内)での入金が可能です。日本初のクラウドファクタリングサービスとして知られ、多くの地方銀行や信用金庫と提携しています。
提携金融機関は45行にのぼり、スルガ銀行やGMOあおぞらネット銀行などで、2社間ファクタリングに対応し、数万円からの小口債権も取り扱っています。
マネーフォワード(Early Payment)
会計ソフトで圧倒的なシェアを持つマネーフォワードも、金融機関と連携したファクタリングサービスを展開しています。中でも「Early Payment」では、手数料率1.0%〜10.0%で利用することができ、資金調達にかかる時間も最短2営業日です。
発注時点での売掛金の買取も対応できるため、案件受注から入金までの期間が長く、資金繰りに悩む企業も利用できます。
経理担当者が選ぶべきファクタリングは?
結局、どのファクタリングを選ぶべきか。自社の状況に応じて、「タイプ1」「タイプ2」「独立系」の3つの選択肢から判断しましょう。
タイプ1:銀行グループ会社型を推奨するケース
- 売掛先(取引先)との信頼関係が強固で、3社間契約(通知・承諾)に同意を得られる
- 資金調達まで数週間の時間的余裕がある
- 数千万円~数億円単位の大口債権を資金化したい
- 何よりも手数料を1%でも低く抑えたい
タイプ2:銀行提携型(OLTAなど)を推奨するケース
- 取引先にファクタリングの利用を知られたくない(2社間契約が必須)
- 数日以内に資金調達が必要で、スピードを重視する
- 数十万円〜数百万円の小口債権を資金化したい
- 「銀行本体・グループ会社型」の厳格な審査には通らないが、銀行が紹介する安心感は欲しい
独立系ファクタリングを推奨するケース
- 赤字決算、税金滞納、創業間もない、などの理由で銀行系の審査に通る自信がない
- とにかく今日・明日にでも現金が必要で、スピードを最優先する
この場合は「銀行系」にこだわらず、審査が柔軟でスピードが速い「優良な独立系ファクタリング」を検討すべきです。
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