経費精算業務に忙殺され、「もっと本質的な業務に時間を使いたい…」と日々感じてはいないでしょうか。紙の領収書のチェック、不備による差し戻し、会計ソフトへの手入力。これらの定型業務は、担当者だけでなく会社全体の生産性を蝕んでいきます。
本記事ではそんな課題を抱える方に向けて、自社の状況にあった最適な一手を見つけるための「課題診断」から、経費精算の効率化を完遂するためのロードマップを解説します。
経費精算の効率化は「3つのステップ」と「5つの方法」で実現できる

経費精算の非効率を解消し、全社の生産性を向上させるには、「現状把握→施策選択→段階的導入」という3ステップで進めるのが最も確実です。
そして、その具体的な打ち手としてシステム導入から規程見直しまで5つの方法が存在します。まずは、この成功への全体像を掴んでいきましょう。
効率化を実現する3つのステップ(ロードマップ)
- ステップ1: 現状把握と課題の特定 最初に、自社の非効率がどこで発生しているのか(申請者・承認者・経理)を正確に把握します。ボトルネックを特定することが、的確な打ち手に繋がる第一歩です。
- ステップ2: 施策の選択と優先順位付け 特定した課題に対し、後述する5つの方法から最も効果的かつ即効性のある打ち手を選択します。すべての課題を一度に解決しようとせず、インパクトの大きいものから優先順位を付けて着手すべきです。
- ステップ3: 段階的な導入と効果測定 全部門での一斉導入は混乱を招くリスクがあります。特定の部門でスモールスタートし、効果を測定しながら改善を重ね、成功モデルを確立してから全社へ展開するのが成功の定石です。
経費精算を効率化する5つの具体的な方法
- 経費精算システムの導入【最も効果的】 申請・承認・精算・仕訳までを一気通貫で自動化し、非効率を根本から解決する最も強力な手法です。
- 法人カード・キャッシュレス決済の活用 現金の取り扱いをなくし、利用明細データを連携させることで申請者の入力負荷を劇的に削減します。
- 経費精算規程のシンプル化と周知徹底 複雑なルールは、申請ミスや差し戻しの温床です。規程を簡素化し、全社に周知徹底することで、無駄なコミュニケーションコストを削減します。
- ペーパーレス化の推進(電子帳簿保存法への対応) 領収書の電子化は、糊付けやファイリング、保管といった物理的な手間を完全に排除し、リモートワークの推進にも貢献します。
- 経理業務のアウトソーシング(BPO) 経費精算のチェックや承認といった定型業務を専門の外部業者に委託し、社内リソースをより付加価値の高い業務へ集中させます。
最も重要なのは、自社の課題に合った方法を正しく選択することに他なりません。次章の「課題診断チャート」で、貴社が今すぐ取り組むべき最適解を見つけましょう。
【STEP1】まずは1分で課題を可視化!あなたの会社の経費精算タイプ診断
以下の質問に答えるだけで、貴社が抱える課題のタイプと、それに最適な経費精算の効率化への方向性が明確になります。
経費精算セルフ診断チャート
あなたの会社の経費精算はどのタイプ?最も当てはまる項目にチェックを入れて、課題を可視化しましょう。
【診断方法】 以下の質問(Q1〜Q13)のうち、「はい」と答えるものが最も多いセクションが、あなたの会社の課題タイプです。
セクション1:従業員の申請負担
- Q1: 従業員から「経費精算が面倒、時間がかかる」という声がよく上がる。
- Q2: 領収書の糊付けや、紙の申請書への手書き作業を従業員が行っている。
- Q3: 外出先や移動中に、スマートフォンで経費申請や承認ができない。
- Q4: 従業員の立替払いの期間が長く、精算の遅れに対する不満がある。
セクション2:経理部門の作業負荷
- Q5: 月末月初、経理担当者が経費精算のチェックと処理に追われ、残業が常態化している。
- Q6: 会計ソフトへの仕訳データの入力が、手作業(手打ち)で行われている。
- Q7: 法人カードの利用明細と、従業員からの申請内容の突合作業に膨大な時間がかかっている。
セクション3:コミュニケーション・ロス
- Q8: 申請内容の不備(費目間違い、金額ミスなど)が多く、差し戻しが頻繁に発生している。
- Q9: 経費精算のルールが複雑、または周知されておらず、従業員からの問い合わせが経理に絶えない。
- Q10: 承認者が出張や休暇で不在の場合、承認プロセス全体が止まってしまうことがある。
セクション4:データの不透明性
- Q11: 経営層から「先月の部門別経費は?」と聞かれても、すぐに正確な数字を報告できない。
- Q12: プロジェクトごとや出張ごとなど、費用の発生状況をリアルタイムに把握できていない。
- Q13: 過去の経費データを分析して、コスト削減の提案や次年度の予算策定に活かせていない。
診断結果別|最初に取り組むべき効率化の打ち手
- セクション1の「はい」が最も多い場合 → Bタイプ(従業員の申請負担過典型)
- セクション2の「はい」が最も多い場合 → Aタイプ(経理の作業負荷集中型)
- 経理部門がボトルネックになっています。手作業を抜本的になくす、会計ソフトと連携可能な経費精算システムの導入を最優先で検討すべきです。
- セクション3の「はい」が最も多い場合 → Cタイプ(コミュニケーションロス型)
- 無駄な確認や修正作業が多発しています。まずはコストのかからない経費精算規程のシンプル化と周知徹底から始め、同時に申請・承認フローをシステム化することを推奨します。
- セクション4の「はい」が最も多い場合 → Dタイプ(データ活用不全型)
- 経費が経営判断に活かされていない状態です。リアルタイムでのデータ可視化や分析機能を持つ経費精算システムを導入し、「攻めの経営」への転換を目指しましょう。
【STEP2】5つの効率化手法を徹底比較|メリット・デメリットと費用の目安
診断結果で示された方向性に基づき、各手法の詳細を深く理解しましょう。自社にとって最良の選択をするために、メリット・デメリット、そして費用の観点から多角的に比較検討します。
1. 経費精算システムの導入:非効率を根本から解決する王道
経費精算システムは、申請から承認、データ連携、そして会計処理まで、プロセス全体をデジタル化し、非効率を根本から解決する王道のアプローチです。
- メリット: 申請者、承認者、経理担当者それぞれの工数を大幅に削減し、ペーパーレス化も同時に実現できます。AI-OCRによる領収書読み取りなど、最新技術を活用した製品も増えています。
- デメリット: 初期費用や月額のランニングコストが発生します。また、導入には業務フローの見直しや社内への定着活動が必要です。
- 費用の目安: 提供形態(クラウド型/オンプレミス型)や利用ユーザー数によって変動します。
- こんな企業におすすめ: 従業員数が多く、経理部門の負荷が高いすべての企業。
2. 法人カード・キャッシュレス決済の活用:申請者の手間を劇的に削減
従業員に法人カードを配布し、経費の支払いをキャッシュレスに移行させる手法です。
- メリット: 利用明細データがシステムに自動連携されるため、申請者の入力ミスや手間が劇的に削減されます。現金精算がなくなるため、小口現金の管理も不要になります。
- デメリット: カードが利用できない店舗での支払いには対応できません。また、私的利用を防止するためのルール策定とモニタリング体制が不可欠です。
- 費用の目安: 年会費がかかるカードが一般的ですが、利用額に応じて無料になるプランも存在します。
- こんな企業におすすめ: 出張や接待が多く、従業員の立替負担が大きい企業。
3. 経費精算規程のシンプル化と周知徹底:コストゼロで始められる一手
誰が読んでも解釈に迷わない、シンプルで分かりやすい経費精算規程に見直すことは、コストをかけずに始められる有効な一手です。
- メリット: 費用をかけずに、申請ミスや問い合わせ、差し戻しといった無駄なコミュニケーションを削減できます。
- デメリット: この施策だけで解決できる課題は限定的であり、手作業による非効率そのものは残ります。効果を出すには、全社への根気強い周知徹底が欠かせません。
- 費用の目安: ゼロ。
- 具体的な見直しポイントの例: 複雑な勘定科目の整理、出張時の日当規定の明確化、承認フローの簡素化など。
4. ペーパーレス化(電子帳簿保存法への対応):保管コストと手間を削減
領収書や請求書をスキャンやスマートフォン撮影によって電子データとして保存する取り組みです。
- メリット: 紙の領収書を台紙に貼り付け、ファイリングし、倉庫に保管するといった一連の物理的な作業とコストを完全に排除できます。検索性が向上し、監査対応も迅速化します。
- デメリット: 電子帳簿保存法の要件を満たすシステム導入や、業務フローの変更が必要になります。
- 押さえるべきポイント: 法令要件は年々改正されるため、法改正に迅速に対応できる信頼性の高いシステムを選定することが極めて重要です。
5. 経理業務のアウトソーシング(BPO):リソースをコア業務に集中
経費精算の申請内容チェックや承認代行といった業務を、専門の外部パートナーへ委託(Business Process Outsourcing)する選択肢です。
- メリット: 経理担当者が定型的なチェック業務から解放され、予算管理や経営分析といった、より戦略的で付加価値の高いコア業務にリソースを集中できます。
- デメリット: 外部への委託コストが発生します。また、業務プロセスがブラックボックス化しないよう、委託先との密な連携や管理体制の構築が求められます。
- 費用の目安: 委託する業務範囲や処理件数によって変動します。
【STEP3】失敗しない導入プロジェクトの進め方|社内調整からROI試算まで
最も効果的な「経費精算システム」の導入を成功させるための具体的なプロジェクト進行を、準備・計画、製品選定、導入・構築、運用・定着の4つのフェーズで解説します。
フェーズ1:準備・計画|経営層を説得する論拠を作る
プロジェクトの成否は、この準備段階で8割決まります。目的は、経営層から「投資する価値がある」という承認を得るための、客観的で説得力のある論拠を構築することです。
- 現状の工数とコストを可視化する: まず、現状の経費精算業務に「誰が、何に、どれくらいの時間を使っているか」を洗い出し、人件費に換算してコストを定量的に示します。
- 費用対効果(ROI)を試算する: システム導入によって削減できる工数とコストを算出し、投資額に対してどれくらいのリターンが見込めるか(ROI)を明確に提示してください。
- 【テンプレート付】費用対効果(ROI)の試算シート
- 導入目的とゴール(KGI/KPI)を設定する: 「残業時間を月20%削減する」「ペーパーレス化率を100%にする」など、具体的で測定可能なゴールを設定します。
フェーズ2:製品選定|自社に合うシステムを見極める5つのポイント
市場には数多くの経費精算システムが存在します。その中から自社に最適な製品を見極めるには、以下の5つのポイントを必ずチェックしてください。
- ポイント1:操作性(誰でも直感的に使えるか) ITリテラシーの高くない従業員でも、マニュアルなしで直感的に使えるシンプルなインターフェースか。
- ポイント2:機能の過不足(自社の課題を解決できるか) 自社の課題解決に不要な多機能・高価格な製品を選んでいないか。逆に、必要な機能が不足していないか。
- ポイント3:連携性(会計ソフトやチャットツールと連携できるか) 既存の会計ソフトや給与計算ソフト、ビジネスチャットツールとスムーズに連携できるか。
- ポイント4:サポート体制(導入後も安心して相談できるか) 導入時の設定支援はもちろん、運用開始後に不明点やトラブルが発生した際に、迅速で的確なサポートを受けられるか。
- ポイント5:法令対応(電子帳簿保存法・インボイス制度に対応しているか) 頻繁な法改正に、追加費用なしで迅速にアップデート対応してくれるか。
フェーズ3:導入・構築|社内の協力を取り付けるコミュニケーション術
優れたシステムを選定しても、従業員に使われなければ意味がありません。社内の協力を円滑に取り付け、スムーズな導入を実現するためのコミュニケーションが鍵となります。
- 関係者を巻き込むための説明会を開く: 導入の目的と、従業員にとってのメリット(申請が楽になる、精算が早くなる等)を丁寧に説明し、協力を仰ぎます。
- 反対意見への対処法: 「新しいことを覚えるのが面倒」といった反対意見には、個別のフォローアップや分かりやすいマニュアルの提供で対応します。「よくあるQ&A集」を事前に準備しておくことも有効です。
- スモールスタートで始める部門の選び方: まずはITツールへの抵抗が少ない部門や、業務改善に協力的な部門からスモールスタートし、成功事例を作ってから横展開するのが鉄則です。
フェーズ4:運用・定着|効果を最大化する改善サイクル
システム導入はゴールではありません。むしろスタートです。導入効果を最大化するためには、継続的な改善サイクル(PDCA)を回し続けることが不可欠です。
- 利用状況のモニタリングと改善点の洗い出し: 定期的にシステムの利用率や特定の機能の活用状況をチェックし、活用が進んでいない部門や従業員へのフォローを行います。
- 社内からのフィードバックを収集する仕組み: ヘルプデスクやアンケートを通じて、利用者からの「使いにくい点」や「改善要望」を積極的に収集し、システムのベンダーにもフィードバックします。
- 効果測定と経営層へのレポーティング: フェーズ1で設定したKPIを定期的に測定し、導入効果を定量的にまとめて経営層へレポーティングすることで、プロジェクトの価値を証明します。
経費精算の効率化は「攻めの経営」の第一歩になる
経費精算の効率化は、単なる守りの業務改善に留まりません。蓄積されたデータを活用することで、経営の意思決定を加速させる「攻めの武器」へと進化させることができます。
「経費の見える化」がもたらす3つの戦略的メリット
- メリット1:コストの異常値を即座に検知し、無駄な支出を削減 経費データがリアルタイムで可視化されることで、特定の部門や費目におけるコストの急増や異常値を即座に検知。迅速な原因究明と対策を講じ、無駄な支出を抑制できます。
- メリット2:プロジェクト別・部門別の費用対効果を正確に把握 どのプロジェクトにどれだけの経費が投下され、どれくらいのリターンを生んでいるのか。これまで感覚的にしか把握できなかった費用対効果を正確に測定し、より収益性の高い事業へのリソース配分を判断できます。
- メリット3:データに基づいた精度の高い予算策定と経営予測 過去の経費実績データを分析することで、季節変動や事業計画を織り込んだ、精度の高い予算策定が可能になります。これにより、将来のキャッシュフロー予測の精度も向上します。
【事例】データ活用でコスト最適化に成功した企業の取り組み
例えば、あるITソリューション企業では、経費精算システムを導入したことで、プロジェクトごとの経費がリアルタイムで可視化できるようになりました。その結果、不採算プロジェクトの経費構造を詳細に分析し、外注費の見直しや移動交通費の最適化を実行。年間で大幅なコスト削減を実現しただけでなく、データを基にした正確な見積もり作成が可能になり、受注率の向上にも繋がりました。
まとめ:経費精算の効率化は会社の未来への投資

経費精算の効率化は、もはや単なるバックオフィスの一業務改善ではありません。それは、企業の競争力を左右する重要な経営課題です。
本記事で解説したロードマップを参考に、まずは自社の課題タイプを診断することから始めてみてください。そして、現状のコストを可視化し、経営層を説得するための論拠を固め、自社に最適な解決策を実行に移しましょう。
経費精算という定型業務の変革は、従業員満足度の向上、全社的な生産性の飛躍、そしてデータに基づいた「攻めの経営」の実現といった、会社の未来を創るための極めて重要な投資なのです。貴社の変革への第一歩を応援しています。
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