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小口現金を廃止する5つの手順を解説!やめるべき理由や代替案も紹介

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最終更新日: 2025年09月30日

毎月の残高確認、伝票処理、原因不明の差異の究明…。小口現金の管理に追われ、「もうやめたい…」と心の底から感じていませんか?その感覚は、時代の変化を捉えた正しい問題意識です。DX推進やインボイス制度といった法改正の波を背景に、先進的な企業はすでに小口現金という旧来の慣習から脱却し始めています。

しかし、いざ廃止しようにも「何から手をつければいいのか」「どうやって上司や他部署を説得すればいいのか」と、具体的な一歩が踏み出せない担当者は少なくありません。

この記事ではそんなあなたに向けて、小口現金廃止を成功に導くための手順を5つのステップでわかりやすく解説。説得材料や実行計画、そしてぶつかりがちな壁の乗り越え方まで網羅的に紹介します。

小口現金は今すぐ廃止できる!5ステップで実現するロードマップ

小口現金の廃止は、決して複雑なプロジェクトではありません。成功の鍵は、①現状把握、②代替案の選定、③計画書の作成、④社内ルールの整備、⑤段階的な移行という5つの明確なステップを着実に実行することにあります。このロードマップに沿って進めることで、誰でも迷うことなく改革を推進できます。

Step1: 現状把握と課題の見える化

改革の第一歩は、現状を正確に把握することから始まります。「誰が、何に、いくら現金を使っているのか」を客観的なデータとして洗い出してください。このファクトが、後の効果試算や関係部署を説得する際の強力な武器となります。

まずは1ヶ月分の出金伝票をすべて分析し、利用部署、用途、金額を一覧化することから始めましょう。

Step2: 代替案の選定と比較

現状分析で課題が明確になったら、次に自社に最適な代替策を選定します。主な選択肢は、法人カード、経費精算システム、キャッシュレス決済、そして従業員による立替精算の4つです。

それぞれにメリット・デメリットがあり、企業の規模や文化、利用頻度によって最適な答えは異なります。後の章で詳述する比較表を参考に、自社の状況に最もフィットする選択肢はどれか、冷静に見極めましょう。

Step3: 廃止計画書の作成と関係者への根回し

代替案の方向性が固まれば、いよいよ上司や関連部署を動かすための「廃止計画書」を作成します。この計画書には、廃止の目的、現状の課題、期待される効果(特にコスト削減額の試算)、具体的な代替案、導入スケジュール、想定されるリスクと対策を盛り込むことが不可欠です。

計画書が完成したら、いきなり会議にかけるのではなく、キーパーソンへ事前に説明し、協力を取り付けておく「根回し」がプロジェクトの成否を分けます。

Step4: 社内ルールの整備と周知徹底

計画が承認されたら、新しい経費精算プロセスを公式な社内ルールとして整備します。ここで重要なのは、誰が読んでも理解できるよう、可能な限りシンプルで分かりやすいルールにすることです。

フロー図などを用いて視覚的に示すのも有効でしょう。ルールが完成したら、全従業員向けの説明会を実施したり、周知用のメールで通知したりと、丁寧なコミュニケーションを通じて変更への理解と協力を求めてください。

Step5: 段階的な移行と完全廃止

準備が整ったら、いよいよ実行です。全社一斉の切り替えは現場の混乱を招くリスクがあるため、特定の部署から先行導入するなど、段階的な移行期間を設けるのが賢明です。

この期間で課題を洗い出し、ルールを微調整することで、スムーズな全社展開が可能になります。最終的にすべての経費精算が新ルールに移行したことを確認し、小口現金の口座を完全に閉鎖すれば、プロジェクトは完了です。

なぜ今、小口現金を廃止すべきなのか?会社を動かす3つの説得材料

小口現金をやめたいというあなたの想いを、会社を動かすための正式な提案へと昇華させるには、客観的で強力な説得材料が不可欠です。提案の鍵を握るのは、①生産性の劇的向上、②経営リスクの回避、③法改正への対応という3つの視点です。

これらを定量的なデータと共に提示することで、単なる現場の業務改善ではなく、全社的な経営課題の解決策として経営層にアピールできます。

【説得材料1】生産性の劇的向上:年間120時間の工数削減効果とその試算方法

「小口現金管理にはコストがかかっていない」というのは大きな誤解です。実際には、経理担当者の人件費という目に見えないコストが日々発生しています。

例えば、担当者が月に10時間この作業に費やしていると仮定しましょう。担当者の時給が仮に2,500円なら、月間25,000円、年間では30万円もの人件費が、付加価値を生まない作業に消えている計算です。年間120時間という時間を、より戦略的な業務に再投資できるインパクトを具体的に示してください。

【説得材料2】経営リスクの回避:不正・紛失の防止と内部統制の強化

現金は、その性質上、不正や紛失のリスクと常に隣り合わせです。手渡しやどんぶり勘定での管理は、担当者の記憶に依存するため記録が曖昧になりがちで、内部統制上の重大な欠陥と言わざるを得ません。

実際に、小口現金の不正利用に関する事例は後を絶ちません。現金管理を廃止し、すべての取引記録がデータとして残る仕組みに移行することは、こうした経営リスクを根本から断ち切り、企業の信頼性を守る上で極めて重要です。

【説得材料3】法改正への対応:インボイス制度・電子帳簿保存法を乗り切る最適解

インボイス制度や改正電子帳簿保存法への対応は、もはや待ったなしの経営課題です。これらの法制度は、取引の透明性を高め、正確な証憑書類のデジタル保存を企業に求めています。

領収書の手作業での管理や、出金伝票による運用が中心の小口現金は、これらの法改正と非常に相性が悪いのが実情です。経費精算システムなどを導入し、ペーパーレス化を進めることは、法対応をスムーズに進めるための最適な解決策となります。

3つの代替策を比較。あなたの会社に最適なのはどれ?

パソコンを見ながら打ち合わせをするビジネスウーマン

小口現金の代替策は多岐にわたりますが、最適な選択肢は企業の状況によって全く異なります。重要なのは、それぞれのメリット・デメリットを正しく理解し、自社の従業員数や利用頻度、ITリテラシーといった実情に合わせて判断することです。ここでは、主要な代替策を比較し、自社に最適なプランを見つけるための具体的な指針を提示します。

ケース別推奨プラン①「まずは手軽に」なら:従業員の立替精算+振込

導入コストをかけずに、今すぐ始められるのがこの方法です。運用ルールさえ決めれば即日スタートできる手軽さが最大のメリットですが、一時的に従業員が費用を立て替える負担が発生します。

このプランを成功させるには、申請から振込までの期間を可能な限り短縮し、「立て替えてもすぐに精算される」という安心感を醸成することが従業員の不満を生まないための絶対条件です。

ケース別推奨プラン②「利用頻度が高い・ガバナンス重視」なら:法人カード

経費の利用頻度が高く、誰が何に使ったかを明確に管理したい企業には、法人カードの導入が最適です。利用明細がデータで一元管理されるため、経費の透明性が飛躍的に向上し、ガバナンス強化に直結します。

導入にあたっては、私的利用の防止や利用上限額の設定などを定めた、明確な利用規定を事前に整備することが、トラブルを未然に防ぐ上で不可欠となります。

ケース別推奨プラン③「全社DXを推進したい」なら:経費精算システム

経費精算システムの導入は、単なる小口現金の代替にとどまりません。申請から承認、仕訳、振込データ作成までの一連のプロセスをデジタル化し、経理業務全体のDXを推進する強力なエンジンとなります。

スマートフォンアプリで完結する製品も多く、従業員の利便性も格段に向上します。選定で失敗しないためには、自社の規模や既存システムとの連携性を事前にチェックし、費用対効果を冷静に見極めることが重要です。

廃止プロジェクトで必ずぶつかる壁と、その乗り越え方(実践Q&A)

小口現金の廃止は、全社を巻き込む改革である以上、現場からの反対や想定外のトラブルはつきものです。しかし、これらの壁は事前に対策を練っておくことで、乗り越えることが可能です。ここでは、プロジェクトで必ずぶつかる3つの障壁と、それを突破するための具体的な解決策をQ&A形式で解説します。

Q1. 営業部から「現金じゃないと支払えない取引先がある」と反対されたら?

これは最も頻繁に発生する反対意見です。しかし、感情的に反論するのではなく、まずは「具体的にどの取引先で、どれくらいの頻度・金額の現金支払いが発生しているのか」をデータで示してもらいましょう。

事実を分析すると、大半が思い込みであったり、他の決済手段で代替可能であったりするケースがほとんどです。どうしても現金が必要な場合に備え、上限金額や事前申請を必須とする「例外精算ルール」を設けることで、現場の理解を得やすくなります。

Q2. 経費精算に不慣れな従業員から、問い合わせが殺到しないか心配…

新しいルールやシステムの導入時に、問い合わせが一時的に増加するのは避けられません。重要なのは、その負荷を経理担当者が一人で抱え込まない仕組みを事前に作っておくことです。

具体的には、①誰が読んでも分かる図解入りのマニュアル、②質疑応答の時間を設けた丁寧な説明会、③想定される質問と回答をまとめたFAQ集、この3点セットを用意することで、問い合わせの大部分を未然に防ぐことができます。

Q3. 災害時など、緊急で現金が必要になった場合はどうすればいい?

「小口現金の廃止」は、「社内から現金を一切なくす」ことと同義ではありません。BCP(事業継続計画)の観点から、非常時に備えた現金は別途確保しておくべきです。

具体的には、防災用品などと一緒に金庫に一定額の現金を保管し、その使用には「役員承認を必須とする」など、厳格なルールを定めておくのが現実的な解決策です。これにより、日常業務の効率化と、有事への備えを両立できます。

まとめ:小口現金廃止は、経理担当者が主役の「業務改革プロジェクト」

オフィスでパソコンを操作するビジネスウーマン

本記事で解説したロードマップに沿って行動すれば、小口現金の廃止は必ず実現できます。

改めて要点を振り返りましょう。

  • 現状分析から始める5つのステップで、着実にプロジェクトを進める。
  • 「生産性」「リスク」「法対応」の3つの視点で、経営層を説得する。
  • 自社の状況に合わせ、最適な代替案を選択する。
  • 想定される現場の反対や疑問には、先回りして対策を打つ。

あなたが抱いている「小口現金をやめたい」という問題意識は、単なる目の前の業務を楽にしたいという小さな話ではありません。それは、会社全体の生産性を引き上げ、内部統制を強化し、法改正という時代の変化に対応するための、極めて重要な「業務改革プロジェクト」の第一歩なのです。

そして、その改革の主導権を握り、会社を動かしていく主役は、他の誰でもない経理担当者のあなたです。このプロジェクトの成功は、あなたのキャリアにおける大きな実績となるでしょう。まずは最初の一歩として、あなたの会社だけの廃止計画書の骨子を作成することから始めてみませんか?

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