領収書とレシートにはどのような違いがあるのでしょうか。レシートと領収書の違いや知っておきたい注意点などをチェックして業務に生かしましょう。領収書やレシートなどの取引書類をスッキリと整理できる保管方法も紹介します。
領収書とレシートの違いは宛名の有無
領収書とレシートの大きな違いは宛名の有無です。宛名が書かれている領収書の方が、レシートよりも信頼できるのでしょうか。まずは領収書とレシートの特徴について解説します。
税務上ではどちらも支払いを証明する書類
結論からいうと税務上では、領収書とレシートの両方が支払いを証明する書類として認められています。そのため領収書と同じようにレシートを経費計上の書類として提出することが可能です。
そのほか税務上で支払いの証明が可能な書類もチェックしておきましょう。
- 預かり書
- 受取書
- 納品書
- 請求書
納品書や請求書には「代済」「相済」「了」など、受取事実を確認できる記載が必要です。
信頼性が高い?海外ではレシートが主流
アメリカやイギリスなどのように買い物をしたり、タクシーを利用したりした際に領収書が発行されない国もあります。
レシートは英語で「receipt」と書き、意味は「領収書」です。海外の多くではレシートが領収書そのものを指しているので、「レシートではなくて領収書を発行する」という文化がありません。
また「お品代」と記載されている領収書よりも、購入した商品の金額や購入日などの支払い情報が細かく記載されたレシートの方が、信頼性が高いとする声もあります。
さらに手書きで作成する領収書よりも偽装の可能性が低いため、確定申告の内容をチェックする税務調査ではレシートの情報を重視する傾向にあります。
領収書とレシートの同時発行はできない
領収書とレシートは両方とも支払いを証明する書類のため、同時に発行することはできません。領収書とレシートを二重発行すると、受け取った相手は1回の支払いに対して2回の経費精算ができてしまうからです。
二重発行をすると受け取った人だけではなく、発行した側も脱税行為への協力を疑われる可能性があります。領収書を発行してもらいたいときは、基本的にレシートの返却が必要です。
消費税法では宛名のある領収書が必要
消費税法においては原則、経費の計上には宛名が記載された支払い証明書類を必要としています。消費税法が示している経費の計上として認められる書類の定義は、以下の五つです。
- 発行者の住所・氏名
- 日付
- 取引内容(但し書き)
- 金額
- 書類を受け取った事業者の氏名や名称(宛名)
消費税法は物の販売やサービスの提供により発生する、消費税に関してのルールを財務省が定めたものです。そのため税務上の決まりのもとに行われる税務調査においては、宛名のないレシートも経費の書類として認められます。
業種によっては宛名のないレシートも有効
消費税法でも以下のような職種に限り、宛名のないレシートでも支払い証明書類として有効です。
- 小売業
- 飲食店業
- 旅客運送業
旅客運送業に該当するのは、バス会社や鉄道会社、航空会社などです。タクシーに乗ったり、コンビニエンスストアで買い物をしたりした際に、領収書の発行を頼むと「領収書」と記載されたレシートが渡される場合もあります。もちろん「領収書」と記載されたレシートも、支払い証明書として認められます。
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多くの会社が領収書を重視する理由
備品の購入や取引の際には、必ず領収書をもらうように義務付けている会社もあるでしょう。多くの会社において、レシートよりも領収書を重視する理由を紹介します。
社員の不正を防止するため
税務上で支払いの証明書類とされているレシートを経費請求の書類として認めない背景には、社員の不正を防止する意図があります。
出張や接待などでかかった経費を精算する書類として、領収書の提出を義務付けている会社は少なくありません。
宛名のないレシートを経費の書類として認めると、個人的な飲食費や買い物費用を経費として精算する人が出てくる恐れがあります。多くの会社で宛名が記載された領収書の提出を求めているのは、社員の公私混同を防ぐためでもあるのです。
レシートは長期保存に向かない
レシートの用紙には、表面がツルツルとした感熱紙が使われています。感熱紙には光や水、熱などに弱い特徴があり、時間がたつと日焼けや室内の温度で文字が消えることがあります。
取引の情報が網羅されているレシートでも、文字が消えてしまうと支払いの証明書類としては認められません。そのためレシートより長期の保存にたえられる、領収書の提出を求めている会社もあります。
領収書やレシートに関する注意点
仕事で毎日大量の領収書やレシートを扱う人もいるでしょう。領収書やレシートに関する注意点をチェックして業務に生かしましょう。
領収書では「上様」や「品代」を避ける
宛名が「上様」になっていたり、購入内容を表す但し書きに「品代」と書かれていたりする領収書だと、数年後に確認したときに何を購入したのかが分かりません。
提出された領収書の宛名には会社名、但し書きに飲食代や書籍代などの、具体的な購入内容が書かれているかを確認しましょう。
なお飲食代や贈答品代の場合は、業務で利用したことが証明しにくい面もあります。取引先の会社名や、どのような目的で使ったお金なのかを、追記しておくのが大切です。
法人の場合は7~10年間の保存が必要
法人企業の場合、取引に関する書類を帳簿と一緒に事業年度の確定申告を、提出する期限の翌日から7年間保存しなくてはなりません。
取引に関する書類には損益通算書や注文書、契約書、領収書などが含まれます。以下のような事業年度の取引に関する帳簿や書類は、10年間の保管が必要です。また、2018年4月1日以前に開始した事業年度は、9年間の保存が義務付けられています。
- 青色申告を提出し、青色繰越欠損金があった
- 青色申告を提出しておらず、災害損失欠損金額が生じた
「青色繰越欠損金」は損失を繰り越すことで、次年度に発生する所得と相殺できる金額です。一方「災害損失欠損金額」は災害により、販売目的で仕入れた商品や原材料などの棚卸資産や固定資産が、損害を受けた際に生じる損失の金額を指しています。
「青色繰越欠損金の繰越し」は青色申告をしている法人が、「災害損失欠損金の繰越し」は青色申告を提出していない事業年度でも申請が可能です。
領収書やレシートの保存方法
確定申告のために領収書やレシートを保管する必要があるといっても、大量の領収書やレシートを長期間保存しておくのは大変です。必要な領収書やレシートを確認しやすい保存方法をチェックして税務調査に備えましょう。
日付や月ごとにファイリングする
クリアファイルを使って月ごとに管理すると、領収書やレシートを一つずつ確認する手間が省けます。領収書やレシートの量が多い場合には、日付ごとにまとめてインデックスで索引を作るのも一つの方法です。
月ごとにまとめたファイルを事業年度ごとに整理しておくと、税務調査でレシートや領収書の提出を求められたときにも困らないでしょう。
レシートをファイリングする際には、光や熱などによる劣化を見込んでコピーをとっておくのがポイントです。レシートのコピーを原本と一緒に保管し、経費の証明ができるようにしておきましょう。
電子帳簿保存制度を使ってデータ保存
取引に関する帳簿や書類を7~10年もの間事業年度ごとに保管するのは、手間がかかる上にスペースも必要です。
なるべく効率よく領収書やレシートを含めた書類管理を望む人には、電子帳簿保存制度を使ったデータ保存がおすすめです。
2022年1月1日から「電子帳簿保存法」が新しくなり、国税庁でも以下のような経理業務のデジタル化を促進しています。
- 領収書をスマホで撮影して保存
- 紙の領収書やレシートをスキャンで読み取り、画像データで保存
- 取引先とデータでやり取りした、領収書や請求書を保存
しかし自分の会社がデータ化を進めたとしても、取引先が紙ベースの場合もあるでしょう。紙とデータの書類が混在すると、統一するための手間がかかるのも事実です。
電子帳簿保存対応になっている会計ソフトを使うと、紙とデータの領収書をまとめてクラウド内に保管できます。
ファイリングと違って場所もとらないため、領収書やレシートなどの取引書類を整理することが可能です。
領収書とレシートの管理は経費精算システムが便利
領収書とレシートの大きな違いは宛名の有無で、税務上は両方とも経理の書類として認められています。
多くの会社で経費の精算書類として領収書の提出を求めるのは、社員の不正を防止するためでもあるのです。
また取引に関する書類を事業年度ごとに7~10年ずつ保管しなければならない法人にとって、作業の効率化は重要事項といえるでしょう。
「経費精算システム」ではレシートや領収書のデータスキャンが可能で、スキャンしたデータはクラウドサーバーに自動的にバックアップされるのがほとんどです。経費精算の一連のフローをPC上で一元管理することができ、レシートや領収書の管理作業が効率化されます。
次の記事ではおすすめの経費精算システムを紹介しています。ぜひ、あわせてご覧ください。
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