迷惑メールに対してはDKIMが有効に働くでしょう。DKIMとは電子署名を使った認証技術で、なりすましメールの対策ができるのです。DKIMの仕組みやメリット・デメリット・運用時の注意点を解説します。
DKIMとはどのような仕組みなのか?
迷惑メール対策として、DKIMは有効な対策方法です。しかしDKIMについて詳しく知らない人が多いのではないでしょうか。そこで、DKIMの概要について解説します。
電子署名を使った認識技術
DKIMとは「Domain Keys Identified Mail」の略です。電子署名を使ったドメイン認証技術になります。
メールの送信側は電子メールを送信する時に「秘密鍵」と呼ばれるキーを使って電子署名を付加します。そしてサーバー上には「公開鍵」を登録しておきます。
メールの受信者は、メールに付与された「秘密鍵」を元にサーバーに対して、公開鍵の情報を取得するのです。取得した公開鍵を使い、メールに付与された電子署名が正しいかどうかを検証します。
電子署名の情報が一致すればメールを受信し、一致しなかった場合は偽装と判断して、受信拒否または迷惑メールBOXへ移動させるといった処理を行う仕組みです。
「作成者署名」と「第三者署名」
DKIMで使用する電子署名には「作成者署名」と「第三者署名」の2種類が存在します。
作成者署名とはメール作成者のドメイン名で署名された電子署名を指します。メールの作成者以外の、異なるドメイン名で署名された電子署名を第三者署名といいます。
第三者署名はメールを作成した者のドメイン名が本物であるかどうかを証明できません。メールがどのドメインから送信されたのか、確認することは可能です。
二つの署名を比べた時に、よりセキュリティが強固なのは作成者署名です。作成者署名で送られてきたメールは、メールを作成した本人のドメインであるとわかるからです。
DKIMを運用する際には、作成者署名を使うとよいでしょう。
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迷惑メールの現状と対策の必要性
「迷惑メールなんてそこまで気にする必要がない」と感じる人がいるかもしれません。しかし迷惑メールを送る側も日々巧妙になっており、対策をしていなければ被害に遭う可能性は否定できません。
迷惑メール対策の重要性について解説します。
迷惑メールによる被害が多発している
迷惑メールによる手口は日々巧妙化しており、被害が多発しています。迷惑メールの代表的なものとして「なりすましメール」があります。
なりすましメールとは、実在する企業になりすましてメールを送ることです。不正にお金を振り込ませることや、ウイルスに感染させることを目的としたデータの送付を行うなど多種多様に存在しています。
「迷惑メール白書2021」によると、2020年度の迷惑メールによる被害件数は約300,000件以上あります。2019年度と比べると約4倍以上に増加しています。なかでも被害額として大きいのが、不正送金による被害です。
2020年度に起きた不正送金の発生件数は約1,700件以上、被害額は約11億3,300万円とされています。1件あたりの被害額を計算すると、約650,000円です。
なりすますメールによる攻撃は誰にでも起こることを考えると、対策が必要だとわかるでしょう。
対策としてDKIMやSPFなどが有効
迷惑メールの対策としてはDKIMやSPFを使うのが効果的です。SPFとは、DKIMのような送信ドメイン認証技術のことです。IPアドレスが正しいかどうかを確認し、なりすましメールを防ぎます。
電子署名やIPアドレスを元にメールの検証を行うことで、正しい送信元からメールが送られているのかどうか確認できるのです。
なりすましメールによる攻撃から身を守るためにも、DKIMやSPFの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
DKIMとSPF、DMARCとの違い
なりすましメール対策として、SPFやDMARCはDKIMと何が違うのでしょうか。それぞれの認証方式の違いを説明します。
SPFとは検証する内容が異なる
DKIMとSPFの違いは、検証内容です。DKIMでは付与された電子署名を元に、改ざんされていないかどうかをチェックをします。しかしそれだけではメールの送信元が正しいのかどうかを完璧に保証できません。
SPFはIPアドレスを使った認証方法です。送信側はサーバーにIPアドレスを登録し、受信側がその情報を取得、送信元が詐称されていないかどうかを判断します。IPアドレスを使った認証なので、メールの送信元までしっかりと検証できます。
しかしSPFはメール内容が改ざんされたかどうかを検知できません。そのためメールの正当性までは保証できないのです。
SPFとDKIMはそれぞれ得意不得意があるため、二つの認証技術を導入するとよいでしょう。
DMARCはSPFとDKIMの役割を持つ
DMARCとは「Domain-based Message Authentication Reporting and -Conformance」の略で、DKIMとSPFの両方の役割を担います。
DMARCが未導入な場合、処理の方法についてはメールを受信した人に判断を委ねるしかなく、どのような処理をしたのか知る術がありません。DMARCを導入することでSPFとDKIMの認証が失敗した際に、送信側がメールの処理方法を指定できるようになります。
そしてDMARCは送信側に「認証が失敗した」というレポートを受信側が送れる仕組みになっています。送信側はレポートの中身からメールの運用が正しくできているかを知ることができるのです。
DMARCはDKIMとSPFの両方を活用することで、それぞれのメリットを生かすことが可能になります。
DKIMを導入する際のメリット
DKIMのメリットとは、どのようなものがあるでしょうか。DKIMを導入するメリットを三つ解説します。
転送メールが誤判定されにくい
DKIMを導入するメリットは、転送されたメールを認証する時に、誤ってなりすましメールだと判断されにくい点です。
送信元が電子署名を付与するため、メールの配送途中で内容が変更されなければ、転送メールだったとしても認証が可能です。
DKIMを導入することで、転送メールに対応できるようにしておきましょう。
メールの改ざんチェックができる
メール内容の改ざんがチェックができる点も、DKIMを導入するメリットです。電子署名を付与したメールは暗号化されているため、第三者の手で変更できません。
仮に第三者が不正にメールの内容を改ざんした場合は、メールを受信した際の認証は失敗に終わります。
このようにDKIMは改ざんを検知する仕組みがあるため、DKIMを導入することでなりすましメールから守ることができます。
セキュリティ性能が高い
DKIMを導入するメリットとして、セキュリティ性能が強固です。秘密鍵によって暗号化された情報は、復号することが困難です。暗号を解読しようとしても、複雑な計算処理が必要になります。
またサーバー上で公開する公開鍵だけでは、暗号化された文章を復号できないためセキュリティ面は万全です。
セキュリティ面を強化するためにも、DKIMを導入してみてはいかがでしょうか。
DKIMを導入した際のデメリット
DKIMの導入は、メリットばかりではありません。DKIMのデメリットについてもしっかりと知っておきましょう。
DKIMを設定するハードルが高い
DKIMのデメリットとして、DKIMの設定を行う際にハードルが高い点が挙げられます。DKIMの導入には、ある程度の専門的な知識が必要になるからです。
サーバー上に公開鍵を登録する方法や電子署名の設定方法、管理する方法などを理解しておく必要があります。SPFと比べると、より専門的な知識がいるでしょう。
設定するハードルは少し高いかもしれませんが、一度設定をすれば後は運用していくだけです。
DKIMを導入することによって大きな効果が得られるので、ぜひ導入を検討してみてください。
データの暗号化に大きな負荷がかかる
データの暗号化によってサーバーへの負荷が大きくなる点は、DKIMを運用する上でのデメリットのひとつです。電子署名を付与する分だけ、送受信する際の情報が多くなります。
データを暗号化するには、複雑な処理が必要です。そのため情報を暗号化せずにデータを送るときと比べて、サーバーへの負担は大きくなるでしょう。
サーバーへの負荷が気になる場合は、公開鍵と秘密鍵をひとつの「共通鍵」として利用する方法があります。共通鍵を活用することで、データの暗号や復号の処理を高速化できます。
しかし共通鍵を使う場合は、公開鍵と秘密鍵の二つを使うよりも、セキュリティが低くなります。
状況に応じて、2種類のキーを使う方法や共通鍵を使った方法を組み合わせることで、サーバーの負担を軽減することが可能です。
DKIMを導入する際の注意点
DKIMを導入する際には、注意すべき点があります。導入する際に注意したい、二つの点を説明します。
電子署名の作成に使用した秘密鍵の保管
DKIMを導入する際には、秘密鍵の保管方法について注意する必要があります。秘密鍵の情報が他者にもれてしまうと、認証が成り立たなくなってしまうからです。
秘密鍵が漏えいすると、第三者も同じように電子署名が作成できてしまいます。これでは暗号化している意味がなくなってしまいます。
秘密鍵が必要な人以外は、むやみに情報へアクセスができないように厳重な管理が重要です。
秘密鍵・公開鍵の定期的な更新
DKIMを導入する際の注意点として、定期的な秘密鍵や公開鍵の更新が必要です。セキュリティの面を考えると、少々手間でも鍵を定期的に更新することが望ましいでしょう。
秘密鍵や公開鍵の更新を定期的にしておけば、鍵を不正に入手されたとしても悪用される期間を、次のキーを更新するまでにおさえられます。
更新もせず、秘密鍵や公開鍵を使い続けている状態で秘密鍵が不正に盗まれると、漏えいしたことに気が付くまで悪用され続けます。
DKIMを運用する際には、秘密鍵や公開鍵を定期的に更新することを覚えておきましょう。
DKIMを導入してセキュリティを万全に
今回はDKIMについて解説しました。DKIMはなりすましメール対策のひとつであり、未然に被害を防ぐための有効な技術です。
DKIMは、電子署名を使った認証技術であり、ほかにもSPFやDMARCといった認証技術が存在します。違いは検証内容です。
DKIMのメリットはSPFとは違い、転送メールが誤判定されにくい点です。メール本文が改ざんされていないかのチェックもできます。
DKIMを導入して、なりすましメールの対策を行ってみてはいかがでしょうか。
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