電子データの暗号化や照合など、さまざまな場面で活用されている「ハッシュ値」と「ハッシュ関数」。意外と身近な部分で活用されるこの値は、いったいどのような仕組みなのでしょうか。
ハッシュ値とハッシュ関数の関係性や活用例などから「ハッシュ値とは何か?」について、わかりやすく解説します。
ハッシュ値とは
ハッシュ値とは、元のデータからハッシュ関数によって算出された固定の桁数の値のことです。いわゆる暗号に近い性質を持つことから、文書や画像ファイルなど、さまざまなデータの暗号化や認証に応用されています。
ハッシュ値は元のデータが同じであれば、必ず同じ値がハッシュ関数によって生成されます。またその一方で、元のデータが少しでも異なれば、生成される値も全く異なるものとなります。
ハッシュ値は計算の過程において情報の欠損が生じる不可逆変換が行われるため、生成された値から元のデータに復元することはできません。
データをハッシュ関数でハッシュ値に置き換える処理を「ハッシュ化」と呼び、パスワード管理や個人情報の保護など、セキュリティ要件を必要とする多くのシーンで活用されています。
【覚えておきたい3つのポイント】
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ハッシュ化のイメージ【具体例で解説】
オンライン上で会員登録を行うケースを例に、ハッシュ化をシュミレーションしてみましょう。
例えば、あるユーザーのパスワード「1234pass5678」に対して、会員登録のデータベースでハッシュ化が実行されると「87cf1080755fcc5d0d243169b22264fa」のようなハッシュ値が生成されます。「87cf1080755fcc5d0d243169b22264fa」は「1234pass5678」と連動する固有の値です。
そして2回目以降のログインでは、入力されたパスワードに対してデータベース側で「87cf1080755fcc5d0d243169b22264fa」との照合を行えば済むため、秘匿性の高いログイン処理が可能になるのです。
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ハッシュ関数の特徴と種類
ハッシュ関数には、データの秘匿性を高めるいくつかの特徴があります。主な種類についても知っておきましょう。
ハッシュ関数の特徴とは
ハッシュ関数では、元のデータが少しでも異なるものであれば、全く違う値を返します。理論上は同じ出力値を生成する可能性があっても、実際に同じものが出ることはほぼありません。
ハッシュ値同士に関連性がないことも特徴です。入力値は1文字しか違っていなくても、出力値は全くの別物が生成されるため、ハッシュ値の関連性を分析する意味がありません。
処理後のデータは常に一定の長さになることから、大容量のデータをコンパクトに収納できます。出力値は不可逆変換されるため、入力値を推測できない点も特徴です。
ハッシュ関数にはいくつかの種類がある
ハッシュ関数の主な種類には、「MD5」「SHA-1」「SHA-2」「SHA-3」があります。MD5とSHA-1は脆弱性が発見されたため、セキュリティ用途では使われていないのが現状です。
現在主流のSHA-2は、出力パターンが膨大であり、安全性が高いとされています。ハッシュ値の長さにより、SHA-256やSHA-512など6種類に分かれています。
最も安全性が高いのがSHA-512、最も多く利用されているのがSHA-256です。SHA-3は、2015年にリリースされた最新のハッシュ関数です。
ハッシュ化と暗号化の違い・活用例
ハッシュ化と暗号化の相違点やハッシュ化の活用例を紹介します。どのくらい安全性が高いのかも確認しておきましょう。
ハッシュ化と暗号化の違いとは?
データの秘匿性を高める技術には、ハッシュ化だけでなく暗号化もあります。双方の大きな違いは、データを元に戻せるかどうかです。
不可逆性を持たないハッシュ化と異なり、暗号化は秘密鍵や公開鍵を使えばデータを復号できます。処理方法だけでなく鍵の扱いにも注意しなければならない点が、暗号化の特徴です。
不可逆性の面に関してそれぞれが正反対の特性を持っているため、活用されるシーンも異なります。暗号化は、主にデータの送受信のセキュリティを高めるために使われる技術です。
ハッシュ化が活用されている例
ハッシュ化はパスワードの保管で多く活用されています。ECサイトや銀行のWebサービスで個人情報を保管する際、ハッシュ化しておけばデータを盗まれても安心です。
近年多くの企業で導入が進んでいる電子署名でも、ハッシュ化の技術が用いられています。電子署名とは、電子文書の送信者が正規の送信者であることを証明する技術です。
暗号化のように公開鍵や秘密鍵と組み合わせて、ハッシュ値が同一であることを確認し、送信されたデータが改ざんされていないものであることを証明します。
ハッシュ化の安全性は?
ハッシュ化におけるセキュリティの高さは、生成される文字列の長さで変わります。文字列が長いほど生成パターンが増えるため、同じものが返される「衝突」が起こりにくくなるのです。
かつての主流であったMD5やSHA-1はハッシュ値の長さが短いため、現在はセキュリティ技術としての利用が推奨されていません。
一方、現在の主流となっているSHA-2のうち、最も安全性が高いとされるSHA-512の生成パターンは「16の128乗」通りです。42.9億を16回掛けた数の文字列が生成されるため、衝突確率はほぼゼロと考えてよいでしょう。
意外と身近なハッシュ値の理解を深めよう
ハッシュ関数とは、入力する文字列の長さにかかわらず、常に決まった長さの値を返す関数です。ハッシュ関数で生成された出力値をハッシュ値といいます。
ハッシュ化を行うとデータの秘匿性を高められるため、パスワード保管や電子契約する際の電子署名などに活用されています。意外と身近なシーンで使われているハッシュ値の理解を深め、電子データを安全かつ効率的に活用していきましょう。
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