給与明細書のペーパーレス化は当たり前？メリットやツールの特徴を解説

近年リモートワークを推進する企業が増えており、データ化された給与明細書をWeb上で閲覧するペーパーレス化のニーズが高まっています。給与明細書をペーパーレス化する際の注意点や、導入のメリット、おすすめのツールについて解説していきます。

給与明細書のペーパーレス化が進んでいる

給与明細書は、従業員に紙で手渡すのが主流でした。理由として手書きの給与明細書に、社印(社判)が義務付けられていたことや、手渡す際のコミュニケーションを重要視する慣習などが考えられます。

しかし2020年の新型コロナウイルスの流行を発端に、リモートワークを推進する企業が増えました。同時に給与明細書のペーパーレス化に踏み切る企業も、増えてきています。

リモートワークの環境が整った企業にとって、従来通りの手渡しや、郵送で交付する方法はあまり効率的とはいえません。リモートワークの必要性が高まる時世にこそ、給与明細書のペーパーレス化が求められています。

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給与明細書のペーパーレス化の注意点

給与明細書のペーパーレス化には、いくつかの注意点があります。給与明細書のペーパーレス化の前に、注意点についてしっかりと確認をしておく必要があります。

従業員の同意を得る必要がある

「所得税法第231条1項」や「所得税法施行規則第100条・第100条第一項」では、会社(給与支払者)から従業員への、給与明細書の発行義務が記されています。給与明細書は従業員が受け取るため、交付方法については従業員の同意が必要です。

仮に社内でペーパーレス化が進んでおり、給与明細書についてもペーパーレス化の方針を企業側が希望していたとしても、従業員が電子化された給与明細書の受け取りを拒んだ場合は、紙の給与明細書を交付する必要があります。

そうなると「電子化された給与明細書を受け取る従業員」と「紙の給与明細書を受け取る従業員」で二分されてしまい、かえって給与計算を行う労務担当者などの業務が、煩雑となってしまう可能性があります。

情報漏洩のリスクがある

企業にとって情報漏洩は、絶対に避けなればならない大きな課題です。給与明細書の電子化には、コンピューターウイルスによる情報漏洩の可能性が、ゼロではないことをしっかりと認識しておく必要があります。

給与明細書を電子化すると、個人のパソコンやタブレット、スマートフォンなどからも容易にアクセスできます。便利な一面がある一方、企業としてより一層情報漏洩対策を講じなければなりません。

具体的には「社内用パソコンのセキュリティ強化」や「社員一人一人がセキュリティに対する意識を高める」必要があります。

給与明細書を確認するにはパソコンなどの端末が必要になる

ペーパーレス化において、紙の明細書の代わりに発行するのは「明細書の電子データ」です。発行する会社側はもちろん、従業員も受け取るための環境を整える必要があります。

若い世代にとってパソコンやタブレット、スマートフォンなどの端末は、普段から身近にあるツールです。一方で年配者にとっては、セキュリティ認証や保存先の管理など、やや難しく感じてしまう可能性があります。

そもそもパソコンやスマートフォンを個人で所有していないこともあります。端末が手元になければ、受け取り後に直ちに給与明細書を確認できず、不便に感じるかもしれません。

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給与明細書をペーパーレス化するメリットとは？

給与明細書をペーパーレス化することで、企業側にも従業員側にも双方にメリットがあります。両者の立場における、それぞれのメリットについて解説します。

企業側のメリットは給与明細書発行のコスト削減

紙の給与明細書は紙代をはじめ、印刷代や封筒代などのコストがかかります。リモートワークになってからも、直接従業員に給与明細書を手渡しできない場合は、郵送対応が必要でした。ペーパーレス化すれば、郵送費の削減にもつながります。

1通ずつ見れば小さなコストかもしれませんが、従業員が多い企業ほど、継続的に運用を続けていけば、大きな費用となってしまうでしょう。

労務担当者が業務で行う給与明細書の印刷や封入、配布の時間も短縮されるため、給与明細書のペーパーレス化は、人件費の削減にも貢献します。

従業員は給与明細書を好きな時に確認できる

給与明細書のペーパーレス化は、従業員にも恩恵があります。通常電子化された給与明細書は、給与明細書を管理しているシステムにログインして、確認できます。

社内のパソコンはもちろんのこと、自宅のパソコンやスマートフォンなどでも閲覧が可能です。「望んだときに、いつでも確認できる」のは、大きなメリットです。

また紙でもらった給与明細書に比べて、保管後の紛失リスクが少なくなります。過去のデータを1カ所にまとめておけば、比較したいときもスムーズです。

電子化された給与明細書を、手元においておきたいときには「PDFで出力しプリントアウトする」ことも可能です。紙の給与明細書と同じように、書類として保管することもできます。

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社内のペーパーレスを可能にするツールの種類

社内のペーパーレス化は給与明細書に留まりません。社内のペーパーレス化を実現するには、ツールを取り入れる方法があります。給与明細書の作成や管理に役立つツールの特徴を紹介します。

クラウドストレージ

データの格納をネットワーク上に行えるのが、クラウドストレージシステムです。インターネットの環境があれば、いつでもアクセスして閲覧できます。給与明細書の情報も、クラウドストレージにデータを保存するだけで、リアルタイムで複数人が作業できます。

自社内のデータを扱うときには、カスタマイズ性の高い「ファイルサーバー」を用いる会社も少なくありません。容量の大きいデータが膨大にある場合は、容量を増やすために、機器を追加する必要があります。

クラウドストレージならプラン変更のみで容量を拡張しやすく、保管先として活躍します。

文書管理システム

文書管理システムはもともと紙媒体であったデータをスキャンしてデータ化し、管理を行うシステムのことです。紙の資料は増えていくと、保管場所の確保や発行時期の整理が難しくなり、廃棄するのも手間がかかります。

文書管理システムを活用することで、紙を保管するスペースなどを用意しなくて済むため、省スペースが実現できます。特にリモートワークで働く人は、わざわざ会社に出社しなくても、リモートで必要な資料にアクセスできるため、とても便利です。

保存時期も記録されており、並び替え機能や日付検索機能を使えば、過去の資料を自分で探すことなく短時間で見つけられます。

給与明細書をペーパーレス化できるおすすめツール

給与明細書のペーパーレス化を可能にするツールには、「労務管理一体型ツール」と、「給与ソフト一体型ツール」のタイプがあります。

奉行Edge給与明細書電子化クラウド

従業員の勤怠管理などの労務管理と、一体化したツールです。給与明細書のデータは雇用形態に合わせて、「メール配信で送る方法」と「専用ページにアクセスしてWeb照会する方法」から選べます。Web照会の場合は、過去の3年分の明細書を、いつでも閲覧することが可能です。

セキュリティ対策も講じており、メール参照はPDFファイルに「参照制限」をかけられます。Web照会は、IDとパスワードを入力しなければ、ログインできない仕組みです。

【奉行Edge 給与明細電子化クラウド】給与明細システム・ソフトのOBC

マネーフォワードクラウド給与

「株式会社マネーフォワード」が提供している、給与計算ソフト一体型のツールです。利用条件として従業員数に制限を設けており、「従業員1,000名未満の企業」を対象としています。

クラウド給与は「給与計算を正確に早く」行うツールです。給与計算対象者の判定から、保険料や所得税の計算までを自動で済ませます。

「給与計算」をはじめ、株式会社マネーフォワードが提供している「会計システム」や「経費精算システム」などとの互換性があります。連携させて使うことで、企業内の会計処理の利便性が向上するでしょう。

マネーフォワード クラウド給与 – 無料で試せる給与計算ソフト

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注意点も踏まえた上で給与明細書のペーパーレス化を検討しよう

リモートワークを導入する企業が増えている中で、給与明細書のペーパーレス化は、現代の社会に即している施策です。

導入前に知っておくべき注意点がいくつかあるものの、企業側と従業員側双方に大きなメリットが存在します。実現可能にするツールも多くあるため、導入を検討してみましょう。