ビッグデータが注目される中、多くの企業がデータドリブンな意思決定のために工夫を重ねています。データドリブンとは何か、重視される理由や実現するための方法を解説します。データに基づいた合理的な経営を目指す企業の方は、ぜひ参考にしてください。
データドリブンとは、どういうことか?
まずはデータドリブンとは何か、概要を理解しておきましょう。単にデータに基づいて物事を決めるというだけではなく、膨大なデータとアルゴリズムをもとに、深い分析を加えた結果を意思決定に生かすのが特徴です。
データドリブンの意味
データドリブン(Data Driven)とは、主観に基づく定性的な推論や過去の成功体験などではなく、さまざまな種類の膨大なデータを蓄積したビッグデータに対して、高度なアルゴリズムを用いた分析結果を軸に意思決定を行う手法を言います。
いわゆるKKD(勘や経験、度胸)に頼らず、あくまでもデータの分析結果によって施策を立案したり、ビジネス上の決定を行ったりすることを指し、データに基づいたアクションを重視する企業に注目されています。
データドリブンマーケティングの概要
マーケティング活動を徹底的にデータに基づいて行おうとする企業は増えており、データドリブンマーケティングなどと呼ばれています。
市場全体の動向や顧客の価値観の変遷、具体的な顧客行動などを膨大なデータの分析によって明らかにし、それをマーケティングの戦略に落とし込むやり方です。
熟練のビジネスパーソンになるほど、自らの勘や経験を軸に物事を判断してしまいがちですが、データドリブンマーケティングにおいては、そういった客観性が担保されていない要素よりも、データに基づいた客観的な判断を重視します。
なぜデータドリブンが注目されるのか?
なぜデータドリブンな考え方が多くの企業に注目されているのでしょうか?
その背景としては、顧客の価値観の多様化や業務プロセスの複雑化などが挙げられます。ロジカルシンキングがビジネスシーンで重視されているのと同様に、データに基づいた合理的な経営を目指す企業が積極的に導入しているようです。
消費者の行動や価値観の多様化
データに基づいた意思決定が重視されるようになったのは、消費者の行動や価値観の多様化が挙げられます。
一人ひとりの顧客の価値観が多様化する中では、これまでの経験が役に立たないケースも珍しくありません。データドリブンを実践することで、これまで企業が経験して来なかった顧客の価値観や行動の変化に対応できるようになります。
特に近年は、顧客の口コミやインターネット上での評判によって、予期せぬ商品が注目されたり新たなトレンドが作られたりする場合も多いです。
そのような動きを経験や勘で把握するのは困難であるため、客観的なデータをもとに深い分析を加えて、売り上げの向上を目指すアプローチが重視されるようになっています。
業務プロセスの複雑化
消費者行動の多様化にともない、企業の業務プロセスも複雑化してきています。消費者は日常生活を送りながら、デジタル空間でも多様な行動をしているため、企業はリアルとデジタルの双方において、市場の動向を把握してマーケティング施策を実行しなければいけません。
そのため、どうしても業務プロセスが複雑になりがちで、さまざまな施策が入り乱れて収拾がつかなくなっている企業は決して珍しくないでしょう。
他社のやり方を単純に真似したからといって、環境が違えば上手くいくとは限りません。無駄な施策を乱発してしまっている企業も多くあります。
そこで、データドリブンの考え方を導入することで、どのような施策でもデータの裏付けが必要になり、ロジカルな企業行動が取れるようになります。
データという合理的な根拠があるため、社内でも支持を得やすくなり、全社一丸となってマーケティング施策を打ち出せるようになるでしょう。
データドリブンを実現するには?
ではデータドリブンを企業が実現するには、どういった要素が必要でしょうか?
すでにデータを意思決定の最重要根拠としている企業は、それをさらに洗練させれば良いですが、これまでマネジメント層の経験や勘に基づいて意思決定をしてきた企業の場合は、まずデータを収集・蓄積するための基盤が必要になります。
データを収集・蓄積するための基盤構築
データを企業行動の基準とするならば、まずはデータを効率的に収集・蓄積するための基盤を構築しなければいけません。
データの収集方法は企業によって変わってきますが、マーケティングのために収集すべきデータとしては、顧客の購買履歴やリピート率、アンケート調査の結果などが挙げられます。
さらに、Webサイトの閲覧履歴や問い合わせにつながったWebページ、SNSにおける顧客の投稿などを収集・分析するための基盤も必要でしょう。
特に近年はデータマイニング(テキストマイニング)の技術が進歩しているため、大量の定性データを定量的に分析するための手法も出てきています。積極的に導入することで、合理的な企業行動に結びつく基盤を確立できるでしょう。
データの分析ツールを導入
データの収集基盤を構築したら、効率的にデータ分析ができるツールを導入しましょう。
データの収集に特化したものや、データ分析のためのツールなど、さまざまな製品やサービスがリリースされていますが、Excelでも使い方次第では高度な分析が可能になります。
ただし効率的にデータ分析をするためには、BIツールを活用したり、R言語やPythonなどの言語を活用したりしてツールを構築する必要があります。自社にデータサイエンティストがいれば、自社に環境に合ったデータ収集・分析のための環境を構築してくれるでしょう。
データを重視する企業文化の醸成
データドリブンな意思決定を徹底するには、データの収集・分析のための基盤の構築に加えて、データを重視する企業文化の醸成が不可欠です。
たとえデータアナリストやデータサイエンティストが膨大なデータから有意な情報を抽出しても、マーケティングや営業などの現場がそれを生かせなければ意味がありません。
チーム内にデータを軽視する社員がいるだけで、情報を十分に生かせず経験や勘によって意思決定してしまう可能性が出てくるので、マネジメント層が率先してデータを活用する取り組みを啓蒙する必要があるでしょう。
熟練社員の経験や勘を軽視する必要はありませんが、データに基づいた意思決定の重要性とメリットを社内に周知させることが大事です。
データドリブンの実践ステップ
続いて、データドリブンの実践ステップをみていきましょう。以下のアクションを繰り返し、改善を重ねることで、データに基づいたスムーズな意思決定ができるようになっていきます。
データを収集・整理する
まず社内の各所に散在しているデータを収集・統合し、各部署が使いやすいように整理しなければいけません。
どういったポリシーでデータを集めるか、どのような管理システムを導入するかは、データ分析の専門家であるデータサイエンティストや、マネジメント層が中心となって決めるようにしましょう。
部門によって使っている管理システムが違っている企業も多いので、横断的にデータ収集して「見える化」するための環境が必要です。場合によっては、基幹システムを見直す必要があるかもしれません。
データを分析する
解決したビジネス上の問題や課題に応じて、データ分析を行います。
日頃、マーケティングでデータを活用しているスタッフならば、ある程度は有意な情報を引き出せますが、膨大なデータの中から傾向をつかんだり、他のデータとの相関関係を深く分析したりするのは、相応の知識が必要です。
したがってデータアナリストやデータサイエンティストなど、データ分析のバックグラウンドとなる知識を持った人材が求められます。そういった人材がいない企業の場合は、分析のみ外注して専門家にやってもらうのも良いでしょう。
具体的な行動計画を策定する
ビジネス上のテーマに基づいてデータ分析を行ったら、それを基準に具体的な行動計画を策定します。プランを実行するには、担当部署のみならず、他の部署やチームの協力が不可欠です。事前にプランの実行について協調できる体制を整えておきましょう。
各組織を横断的に統率する部門や担当者を置くのも有効です。施策を実行したら結果を測定し、改善を繰り返しましょう。
データドリブンの実現をサポートするツール
最後に、データドリブンの実現をサポートしてくれるツールを紹介しておきます。いずれも多くの企業が導入している管理システムなので、なじみのある人も多いでしょう。
どれも便利なツールではありますが、重要なのはビジネス環境に合ったものを選択することが大事です。
MA(Marketing Automation)
MAツールはマーケティングの業務プロセスを自動化・簡略化できるツールです。
いわゆる「リードジェネレーション(リードの獲得)」および「リードナーチャリング(リードの育成)」に活用されるツールですが、ビッグデータを分析した結果、導き出した施策を実行するのにも役立ちます。
マーケティング部門の業務効率化にも寄与します。
CRM(Customer Relationship Management)
CRMはもともと顧客との関係を構築するための手法ですが、それを実現するためのツール全般を指すようになりました。
顧客の基本情報や購入履歴、過去の取引情報などを一元的に管理することで、それぞれの顧客に応じた最適なアプローチが可能になります。
膨大な顧客データを活用することで、効果の高いマーケティングが実現できるので、データドリブンな経営に寄与するツールと言えるでしょう。
SFA(Sales Force Automation)
SFAとは企業の営業活動を支援するツールで、顧客の情報はもちろん、進行中の案件や商談の経緯なども管理できます。
一つひとつの商談を成功に導くために、データを生かして組織的なアプローチができるようになるため、データドリブンの考え方と相性が良いツールと言えるでしょう。上記のMAツールなどとも組み合わせて運用されるケースも多くあります。
データドリブンな環境を構築する
データドリブンとは何か、基本的な部分を解説しました。データドリブンとは、データに基づいた合理的な活動や意思決定をすることを意味します。
データ分析を主軸としたマーケティングがデータドリブンマーケティングであり、データの収集・整理基盤と分析ツールが必要です。
さらにデータを重視する企業文化も醸成しなければいけません。データを重視する企業文化を育てるには時間が掛かりますが、全社的に取り組むようにすれば、非常に合理的で無駄のない経営が可能になります。
一つひとつの施策も実行しやすくなるので、これまで勘や経験に頼っていた経営者の方は、この機会にデータドリブンな考え方を導入してみましょう。
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