企業が目標と結果の差異や変遷を確認するために必要なツールである予実管理表。
最終更新日: 2024年06月28日
主に月次やプロジェクトごとに策定されますが、具体的な作り方や注意点についてよく知らない方もいるのではないでしょうか？
当記事では、そんな予実管理表の基本情報や作り方をカンタンにまとめています。
予実管理表とは
予実管理表は予算を管理するために、事業計画で立てた目標と実際の結果を比較できる形式にした表です。予算と実績の数値を一覧に並べ、事業の進捗状況を確認します。
具体的には以下のような項目を対象に、月次や約束ごとに予算と実績の数値を記入していきます。
予実管理表で比較する項目
- 売上高
- 売上原価
- 販売費及び一般管理費
- 営業利益
- 経常利益
- 当期純利益
予実管理を業務の一環としておこなうにあたって、予実管理表の作成は必須です。事業規模や業種を問わず、あらゆる企業で作成、活用されています。
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予実管理表を作成するメリット
計画と実績の乖離を早期に発見し戦略を立てられる
予実管理表を作成することで、事業計画で設定した目標と実際の業績を比較し、課題を明確に把握することができます。
見通しと現実がどの程度、何が要因で離れているか見えやすくなります。事業の方向性や当初予測を修正し、目標達成に向けた戦略を立てられます。
部門ごとの業績を評価し問題点を特定できる
予実管理表を作成する際、部門ごとに予実を集計するため、各部門の業績を明確化できます。
全社的な業績管理だけでなく、部門ごとの業績評価が可能です。業績が芳しくない部門の予実を分析することで、問題点を特定し改善策を策定しやすくなるでしょう。
経営資源の適切な配分や予算の修正に役立つ
予実管理表を活用することで、各部門や事業の業績を評価し、経営資源の配分を最適化することができます。
業績が好調な部門にはより多くの資源を投入し、業績が振るわない部門については資源配分を見直すことで、事業全体の効率性を高めることが可能です。
また必要に応じて予算の修正を行い、変化する事業環境に適応することができます。
予実管理表の作り方
予実管理表は基本的には以下の手順で作ります。使用するツールは企業や担当者によって異なりますが、おもに表計算ソフトやデータ分析ツールなどを使用するようです。
手順1:予実管理の対象を明確化する
予実管理表を作成する目的に沿って、対象を明確化しましょう。
会社全体の業績などの大きな対象から売上高や営業利益、経常利益などの細かい項目ごとの対象
手順2:管理項目を決定する
予実管理する対象に合わせた管理項目を決めましょう。売上高であれば、商品別や地域別、担当者別などの項目を設定できます。
また企業全体の予実管理表を作成する場合は、当月実績や当月予算、予実差額・予算比等が管理項目になります。
手順3:予算の目標値と期間を設定する
月次や四半期、年次など、管理する期間と期間ごとの目標値を設定します。
期間は長すぎると管理が難しく、短すぎると意味がないので、過去の実績や見通しを参考に適切な設定をしましょう。目標値も無理のある値にはしないようにしましょう。
手順4:実績値の記録と測定をおこなう
決まった期間が始まったら、実績値を記録していきましょう。項目にもよりますが、日次や週次、月次など、こまめに記録することが大切です。
手順5:予実差異の計算と分析をおこなう
目標値と実績値の差異を計算し、プラスかマイナスかを確定させます。差異が大きければ、生じた原因を分析します。
要因となった事象が一時的なものか、今後も影響するものかなどを深堀りしていきながら、対策や今後の見通しを立てます。
手順6:目標値や管理項目の修正と見直しをする
予実差異や分析した結果をもとに、管理項目や目標値の見直しをおこないます。
事業環境の変化や新たな課題に対応するため、次の期間からの目標値や管理項目を適宜、修正しましょう。
予実管理表を作成できるツール
Microsoftエクセル
エクセルは予実管理表を作成するのにあたって最も一般的なツールです。
機能が豊富で、数式や関数を使って自動計算できるため、実績と予想の差、予算比を簡単に出力できる点が予算管理表の作成に役立ちます。
ただ枚数が増えれば増えるほど、データが重くなる点には注意が必要です。
Googleスプレッドシート
Googleスプレッドシートは、クラウド型の表計算ツールでインターネット接続環境があれば、どこからでもアクセスできます。
エクセルと似た機能や操作性を持つため、予算管理表の作成が可能です。またクラウドツールであるため、複数のメンバーで予実管理表を作成、共有したい場合に適しています。
予算管理システム
予算管理システムを使って、予実管理表を作成する方法も一般的となっています。予算管理システムは予実管理を含めた予算に関わる業務を効率化するツールです。
予実管理表以外にも予算案の作成や対策レポートの出力などを一括してできるため、予実管理表の作成から活用までを表計算ソフトを使うより、効率化できます。
予実管理表の数値入力ミスや補正も自動でできるため、より精密に管理表を作成したければシステムを使うといいでしょう。
ERP（統合基幹業務システム）
ERPは、企業の基幹業務を統合的に管理するためのシステムです。会計管理、販売管理、在庫管理などの機能と連動して、予算管理表を作成することができます。
またエクセルで作った管理表をERPで管理することも可能でしょう。
BIツール
BIツールは、企業内の様々なデータを収集・分析し、意思決定を支援するためのソフトウェアです。
予算管理表の作成には、「Microsoft Power BI」や「Tableau」などのBIツールを活用できます。
データ収集と分析に長けたツールであるため、予算と実績の実用的な分析をより深く掘り下げられます。
予実管理表作成時の注意点
定期的な更新と確認を怠らない
予実管理表は定期的に更新し、確認することが重要です。予算案や計画は期間ごと、イベントごとに刷新しなければいけないため、併せて管理表も更新する必要があります。
予算の問題点は流れで見ないと分からないケースがあり、定期的に確認しなければ、対策を講じる機会を逃す可能性があります。
関連部門との連携を密にする
予実管理表の作成には、社内の様々な部門からデータを収集する必要があります。関連部門との連携を密にし、適切なデータを適時に入手できる体制を整えることが重要です。
また作成した予実管理表の内容は、できるだけ早く関連部門と共有し、問題点の解決に向けて協力して取り組むことが求められます。
予実管理表の限界を理解する
予実管理表は事業の進捗状況を把握し、問題点を特定するための有効なツールですが、万能ではありません。
あくまで数値的にしか把握できない事項も多く、事業全体を長期的に評価するには向いていません。
関連部門にも話を聞いたり、同業の様子も確認しながら対策を決めましょう。
予実管理表だけでは万全の予算管理は難しい
予実管理表を作成し、予算と実績の差を確認することで、適切な経営資源の配分や予算案の策定ができるようになります。
一方で、予実管理表だけでは把握しきれないことも多く、表計算ツールで作る場合は時間や手間がかかることが分かっています。
予実管理業務の効率化を促進するためには、予算管理システムなどの業務効率化ツールを利用することをおすすめします。
以下の記事では、おすすめの予算管理システムを各製品の特徴や機能で比較しています。あわせて参考にして見てください。
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