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入社手続きに必要なものとは?提出書類の一覧、会社側の業務フローも解説

最終更新日: 2024年06月28日

入社手続きには保険証や源泉徴収票、マイナンバーカードなど必要になるものがさまざま。企業によっては健康診断書や卒業証明書、資格取得の証明書類も提出が求められることもあります。

万が一、提出を求められた書類を紛失してしまっても再発行が可能なので安心してください。

本記事では、入社手続きで必要な書類の説明と発行の仕方、書類の提出方法、会社側の業務手続きについても解説します。

会社側の手続きをスムーズに進めるためにも、1つも欠けることなく書類提出することが大事です。万全の状態で入社日を迎えられるようにしましょう。

入社手続きで必要になるもののチェックリスト【提出書類一覧】

入社手続き 書類

入社の手続きに必要な書類を次の表で確認してみてください。

ほとんどの会社で提出が必要なもの
会社によっては提出が必要なもの

書類が準備できず入社の手続きに手こずってしまわないよう、前もって手元に用意しておくとよいでしょう。

入社手続きでの必要書類【提出必須なもの・企業によって提出すべきもの】

入社手続き 書類

入社する際には会社側でさまざまな手続きが必要になります。そのために、入社する従業員は書類を用意して提出しなければなりません。

ほとんどの会社で提出が必要となる書類が7種類、会社によって提出がもとめられるものが8種類です。

会社によって異なるので、提出すべき書類を再度確認したうえで準備をすすめましょう。

基礎年金番号通知書(旧 年金手帳)

基礎年金番号通知書 イラスト
出典:日本年金機構「基礎年金番号・年金手帳について」

厚生年金の加入手続きに必要な書類です。20歳以上は公的年金制度の加入が義務付けられており、その加入を証明する書類でもあります。

(※令和4年4月1日から年金手帳が廃止され、代わりに基礎年金通知書となりました)

基本的に会社が保管し、従業員の退職時に返却されます。転職時にも提出が求められるので、退職時には忘れずに受け取りましょう。

もしも紛失してしまった場合には再交付が必要です。その際は社会保険事務所で再交付の手続きをとるようにしてください。

雇用保険被保険者証

雇用保険被保険者証 イメージ
出典:ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」

雇用保険に加入する際に必要になります。雇用保険は従業員が失業した場合に手当を受けられる制度で、会社は従業員に加入させる義務があります。

退職時に必ず受け取るべき書類で、転職時は会社に提出しなければなりません。

雇用保険被保険者証を万が一紛失してしまった場合は、ハローワークで再発行の申請をしましょう。

源泉徴収票

年末調整を正しく行うために必要な書類です。転職時は前職場から受け取り、会社に提出する必要があります。

源泉徴収票を通して1年の給与総額を把握し、その額から納めるべき所得税を算出します。

扶養控除等申告書

扶養控除等申告書
出典:国税庁「[手続名]給与所得者の扶養控除等の(異動)申告」

扶養する親族を把握し、社会保険および税金の手続きを行うのに必要な書類です。

入社する企業から書類を渡されるので、記入・捺印をして提出します。扶養家族がいなくても、全社員が提出しなければならない点に注意しましょう。

健康保険被扶養者異動届

健康保険被扶養者異動届
出典:日本年金機構「家族を被扶養者にするとき、被扶養者となっている家族に異動があったとき、被扶養者の届出事項に変更があったとき」

社会保険の手続きを行うための書類で、扶養する家族がいる人のみ提出が必要です。会社から渡された書類に記入・捺印をして提出します。

給与振込先届出書

給与をもらう際、どの口座に振り込んでほしいかを届け出る書類です。

会社から届出書を受け取ったら支店名や口座番号、口座名義人等の事項を記入して提出します。

企業によっては、銀行通帳の支店名と口座名が記載されているページのコピーを求められることもあります。会社に確認したうえで、求められているものを提出しましょう。

マイナンバーがわかるもの

マイナンバーカード

マイナンバーは社会保険・雇用保険・年末調整の手続きで必要になります。次のいずれかの方法で、マイナンバー情報を提出してください。

【マイナンバーの証明書類】

  • マイナンバーカードの両面コピー
  • マイナンバー通知カード+身分証明書(運転免許証、パスポート等)
  • 住民票の写し+身分証明書(運転免許証、パスポート等)

企業によっては提出が必要なもの

以下の書類は必須ではありませんが、企業によっては提出が求められることがあります。会社に確認したうえで書類を準備しましょう。

入社誓約書
  • 内定通知を受けた場合、期日までに会社に提出する書類
  • 入社後の待遇を確認したうえで署名・捺印をして提出
雇用契約書
  • 従業員の労働条件を明示した書類
  • 会社と従業員の双方が署名・捺印する必要があり、直筆のサインと捺印をして提出
身元保証書
  • 入社後に起こした問題に関して、賠償責任を行うことを会社に約束する書類
  • 身元保証人が署名・捺印をして提出

※会社によっては印鑑証明書を求める場合も

健康診断書
  • 従業員の健康状態を把握するための書類
  • 会社から指定された日時・病院で診断を受けるのが一般的(費用は会社負担)
従業員調書
  • 人事管理のための書類
  • 家族や社員個人の情報を記入して提出

※履歴書で代用するケースも

住民票記載事項証明書
  • 従業員が履歴書と同一の住所に住んでいるかを確認するための書類
  • 会社から書類を受け取り、記入したら役所の窓口へ持参して手続きを行う
卒業証明書
  • 学歴が正しいかを証明するための書類
  • 卒業校から取り寄せ、会社に提出

※新卒・第2新卒で必要

免許や資格の証明書類 業務内容に応じて、免許や資格が必要な場合に提出する書類

書類に押す印鑑は認印でもOK!

印鑑
認印でOK!シャチハタやゴム印は避けよう

入社手続きで必要な書類への捺印は認印でも大丈夫です。印鑑登録を行っていないハンコでも問題ありません。

ただし、シャチハタやスタンプなどのゴム製のものは変形しやすく、量産されていて同じ印面のものが多くあるので避けるようにしましょう。

なお、身元保証書で印鑑証明を求められた場合は、保証人の実印が必要になります。その際は印鑑登録を行ったハンコで捺印してください。

入社手続きに必要な書類の提出方法【メール・郵送・手渡し】

書類 パソコン

会社に内定をもらい、入社に際して必要な書類を準備したら、その書類を提出しなければなりません。

会社で提出方法を指定されなければ「メール」「郵便」「手渡し」のいずれかを選択します。

いずれの方法にしても書類がきれいな状態で提出すると、提出先企業にもよい印象を与えられるでしょう。

メールで送付する場合

メールに書類を添付して提出する場合は次のポイントが間違っていないか、再度確かめてからメールを送信しましょう。

  • 件名
  • 宛名
  • 署名
  • 添付ファイル名

返信メールの場合は件名を変えず「Re:」をつけて、履歴付きで返信するようにしてください。

また、メールの本文には添付している書類を記載し、メール受信者が確認しやすいようにするのもポイントです。

郵送する場合

クリアファイル イラスト
書類が折れないようファイルにいれて送ろう!

入社手続きに必要な書類を郵送する際は送付状(添え状)を同封し、すべての書類をクリアファイルに入れたうえで送るようにしましょう。

送付状は書類の差出人と受取人を明確にし、同封内容について説明する役割があります。同封している内容に不備がないか、会社側が確認するのに役立つのです。

次の項目は必ず含めて送付状を作成するようにしてください。

【送付状の記載項目】

  • 日付:送付状の右上に記載
  • 宛先:会社名・部署名・担当者名を記載
  • 差出人:住所・氏名・連絡先を記載
  • 本文:「拝啓→挨拶文→本文→敬具」の流れで内容を組み立て
  • 同封内容:書類名を列挙して記載

書類を送付する際は角形2号の封筒を使用するケースが多いです。同封書類が折れてしまわないよう、きれいな状態で送付するようにしましょう。

手渡しの場合

入社オリエンテーションなど、会社に訪問するタイミングで担当者に直接渡すこともあります。

会社に着いてから「書類を忘れてしまった」という事態を防ぐためにも、チェックリストを使って前日に準備しておくのがポイントです。

提出書類には多くの個人情報が含まれているため、会社に向かいながらどこかに置き忘れることがないよう注意しましょう。

書類の紛失や期日までに提出が間に合わない場合の対処法

書類 紛失 女性
書類を失くしても再発行すれば大丈夫!

入社する会社に提出しなければならない書類を紛失してしまっても、もう一度取り寄せたり再発行したりできるので大丈夫です。

また、書類の発行や自身の事情で提出が期日に間に合わない場合は、会社に連絡すれば大丈夫なので落ち着いて対処していきましょう。

書類を再発行する

入社手続きで提出が求められる書類は、企業が各種保険や税金の手続きを行うために必要です。

書類を紛失してしまった場合は再発行をしたうえで、不備なく提出できるようにしましょう。

【各種書類の再発行方法】

基礎年金番号通知書(旧 年金手帳)
  • 年金事務所で再発行が可能
  • 窓口に訪問すれば即日発行が可能
  • 電子申請・郵送での手続きの場合は3週間程度で発行
雇用保険被保険者証
  • 居住地の管轄ハローワークで再発行が可能
  • 窓口に訪問すれば即日発行が可能
  • 郵送での申請の場合は1週間程度で発行
源泉徴収票
  • 退職先(前の職場)から取り寄せが可能
  • 即日~2週間程度で発行
健康診断書
  • 各保健機関で再発行が可能
  • 2週間程度で発行
卒業証明書
  • 卒業校の窓口か郵送での申請が可能
  • 窓口に出向けば即日発行が可能なところも
  • 1~2週間程度で発行

提出が間に合わない場合は提出先へ早めの連絡

書類の提出が期日を過ぎそうな場合は、間に合わないとわかった時点で早めに担当者に連絡するようにしてください。

電話かメールで「提出が遅れる書類」と「提出が遅れる理由」を説明したうえで、「提出できそうな日付」を伝えるとよいでしょう。

また、期限を過ぎて書類を郵送する場合は、郵送が完了したときにメールで連絡をいれておくと提出先にとっても安心です。

【会社側の業務】入社手続きの5ステップ

ビジネスウーマン

万全の状態で新入社員を迎え入れるためには、次の5ステップで入社のための手続きを進めていきましょう。

  1. 法定三帳簿を作成する
  2. 社会保険の手続きをする
  3. 雇用保険の手続きをする
  4. 税金に関する手続きをする
  5. 備品を用意する

各種保険等の公的手続きだけでなく、備品など労働環境を整えることも大切です。新入社員が良いスタートを切れるよう、段階を踏んで用意していきましょう。

①法定三帳簿を作成する

法定三帳簿とは、「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」の3種類の書類のことです。まず初めに、人事担当者はこれらの書類の作成を行います。

労働者名簿 性別、氏名、住所、生年月日、業務の種類、入社年月日等の所定記載事項を記載
賃金台帳 賃金計算期間、労働日数、労働時間、基本給・手当等の事項を記載
出勤簿 雇用形態に関係なく、正社員や契約社員、アルバイト・パート、日雇い労働者を含む全従業員を記載

法定三帳簿について、以下の記事でさらに詳しく解説しています。

関連記事:法定三帳簿の必要性から罰則までを解説。簡単に作れるテンプレート集も|ミツモア

②社会保険の資格取得手続き

入社する人が正社員採用で70歳未満の場合、社会保険の資格取得手続きが必要です。

【社会保険の加入条件】

正社員の場合 70歳未満
契約社員や派遣社員、アルバイト・パートの場合
  • 週または月の労働日数が就労先の一般従業員の3/4以上
  • 契約期間が2カ月以上

手続きは年金事務所や健康保険組合・厚生年金基金で行い、雇用開始から5日以内に「健康保険・厚生年金被保険者資格取得届」を提出します。

手続きでは配偶者や子どもの有無や年金受給の有無を確認し、被扶養配偶者がいる場合は「国民年金第3号被保険者関係届書」の提出が必要です。

また、同居の証明に住民票が必要になる場合もあります。

資格取得の手続きが完了すると、全国健康保険協会から会社に「健康保険被保険者証」が届きます。発行されたら従業員に配布しましょう。

入社して間もない使用期間中でも、社会保険の加入手続きが必要なので注意が必要です。

③雇用保険の資格取得手続き

入社する従業員が次の条件を満たす場合、雇用保険の手続きが必要です。

【雇用保険の加入条件】

  • 31日以上の雇用が見込める
  • 所定労働時間が週20時間以上

ハローワークにて手続きを行い「雇用保険被保険者資格取得届」を雇用した日の翌月10日までに提出します。

雇用保険は、失業した社員が失業手当を受け取るのに重要な保険です。採用者に前職があり、雇用保険の被保険者であった場合は「雇用保険被保険者証」の提出を求めます。

雇用保険の手続きでは「賃金台帳」「労働者名簿」「出勤簿」などの添付書類の提出も必要です。

企業や法人の経営者、経営に携わる役員、日雇いの労働者などは雇用保険被保険者の対象外であるため手続きは必要はありません。

④所得税と住民税の手続き

入社時には「所得税」と「住民税」の2つの税金に関する手続きが必要です。

所得税の手続き 源泉徴収や年末調整のため、従業員に前職の源泉徴収票を提出してもらう
住民税の手続き 住民税の納付方法を「普通徴収」と「特別徴収」いずれかを従業員に選んでもらう

原則、所得税は給与から天引きで源泉徴収されます。前職の退職と入社が同じ年の場合は前の会社からの「源泉徴収票」を提出してもらいます。また、あわせて「扶養控除等申告書」の提出も必要です。

また、住民税は社員自らが市区町村へ支払う「普通徴収」と、給与から天引きして会社が代わりに納付する「特別徴収」から選べます。

普通徴収は従業員側が、特別徴収は会社側が市区町村への手続きを行わなければなりません。徴収方法によって「誰が手続きをするのか」が変わってきます。

なお、前職で特別徴収を選択していた場合「特別徴収にかかる給与所得者異動届」を転職先に提出すれば、新しい入社先でも自動で特別徴収が継続されます。

入社時には普通徴収から特別徴収への切り替えも可能です。

⑤備品を用意する

オフィス 内観

新しいメンバーが入社当日からスムーズに業務を行えるよう、必要な備品はあらかじめ準備します。

【用意する備品例】

  • イス
  • 事務用品
  • 社員証
  • 制服
  • 名刺
  • PC
  • 入退室に必要なICカード

以上の備品の他にも、メールアドレスの設定や社内ネットワークへの接続確認をしておくと安心です。万全の状態で新しく入るメンバーを迎え入れましょう。

その他必要な業務

企業によってはシステムを導入して、従業員の管理を行っているところもあります。新しい従業員が入ってきたら、使用しているシステムに従業員情報を新たに入力する必要があるでしょう。

代表的な例として、面倒な給与計算をスムーズにするための「給与計算システム」があります。

システムを使うには、全従業員も氏名や住所、扶養家族の有無、支払先情報など個人に関する事項の入力が必要です。

入力は「扶養控除等申告書」に記載された情報を元に行います。従業員が住民税の特別徴収を希望している場合は、住民税額と支払先も入力しなければなりません。

給与の払いそびれがないよう、振込先の銀行情報も忘れずに入力しましょう。

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会社の入社手続き業務で気を付けるべきポイント

入社手続き ポイント

会社の入社手続きを進めるにあたって、次の2点に気を付けましょう。

  • 雇用形態や雇う人によって手続きが異なる
  • 各種保険の手続き期限に遅れないようにする

やるべき手続きを忘れてしまい、追加で業務が発生するのは避けたいところです。スムーズに新入社員を受け入れられるよう、期限を守りつつ正しく対応していきましょう。

雇用形態や雇う人によって手続きが異なる

正社員を雇うのと派遣社員を雇うのとでは、手続きが全く異なります。また、外国人を雇う際にはハローワークに届出を行わなければいけなりません。

このように、雇用形態や雇う人によって少しずつ入社手続きが異なるので、次の表で前もって確認しておきましょう。

派遣社員を雇う場合
  • 派遣先企業は入社手続きの必要なし
  • 「労働者派遣契約」を締結
パート・アルバイトを雇う場合
  • 正社員が入社する際と同じ手続き
  • 社会保険・雇用保険は条件を満たす場合のみ加入
高齢者を雇う場合
  • 加入条件を満たせば65歳以上も雇用保険に加入
  • 厚生年金保険は70歳未満、健康保険は75歳未満が加入
障害者を雇う場合
  • 「障害者雇用促進法」に基づいた措置が必要
  • 給付金や助成金の対象となる場合は申請を行う
外国人を雇う場合
  • 在留資格やパスポートの確認が必要
  • ハローワークに「外国人雇用状況の届出」を行う

各種保険の手続き期限に遅れないようにする

入社時に必要な社会保険や雇用保険の手続きには期限があります。その期限を過ぎてしまうと、追加で書類提出が求められます。

【雇用保険の手続きが遅れた場合】

  • 期日より3カ月以上遅れた場合、所定の提出物のほかに「賃金台帳」と「出勤簿」の提出が必要
  • 期日より6ヶ月以上遅れた場合は「遅延理由書」の作成・提出が必要

※さかのぼれる記録は原則として過去2年間まで

【社会保険の手続きが遅れた場合】

  • 賃金台帳と出勤簿の提出が必要
  • 健康保険の手続きが遅れると、保険証の交付が遅延

保険証の交付が遅れた場合は、入社日までさかのぼって保険料が徴収されるので注意が必要です。

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