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フリーランスによる初めての確定申告! 書類の作り方から提出方法まで徹底解説

最終更新日: 2025年01月07日

フリーランスとして働いている場合、毎年の確定申告は避けられない壁です。確定申告の手続きを怠ったらさまざまなペナルティが課されてしまうため、期日までにしっかりと対応しましょう。

この記事では、フリーランスが確定申告を行う手順や基礎知識について詳しく解説していきます。

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確定申告とは「1年間の所得と税額を算出するための手続き」

確定申告とは「1年間の所得と税額を算出するための手続き」
そもそも確定申告とは、1年間の所得と税額を計算して、税金を納めたり還付を受けたりするための手続きです。

会社員の場合は、自分の代わりに会社が確定申告の手続きを行ってくれます。一方でフリーランスの場合は、自分自身で税額を計算・納入しなければいけません。

難しそうなイメージのある確定申告ですが、一度慣れてしまえばそこまで複雑な手続きではありませんのでご安心ください。

所得は「売上-経費-控除」で算出する

所得と収入が異なる点には注意が必要です。税額を決める基準となる所得は以下のように計算します。

所得 = 売上 - 経費 - 控除

経費と控除を引かないと、税額を決める基準である金額が本来より大きくなるので、余計な所得税を納めることになってしまいます。

経費とは、事業に関係のある支出のことです。控除とは特定の条件を満たすことで売上から差し引けるもので、基礎控除や扶養控除などさまざまな種類があります。

所得税率は所得の金額によって変わる

所得が大きくなればなるほど、所得税率も上がっていきます。この制度を「累進課税制度」と呼びます。

所得税の速算表 出典:No.2260 所得税の税率|国税庁

所得税率に加えて控除の金額も増えていきます。控除額を間違えると本来より多く税金を払うことになるので注意しましょう

提出期間は「2月16日~3月15日」

確定申告書を提出する期間は、毎年2月16日~3月15日の間です。この期間中に、前年1月1日~12月31日に発生した所得にかかる所得税を計算して申告しなければいけません。

もし2月16日、もしくは3月15日が土日である場合は、その次の月曜日が期日になります。

フリーランスに確定申告の義務が発生する条件

フリーランスに確定申告の義務が発生するのは、1年の所得が48万円を超えた場合です。

なぜなら誰でも利用できる「基礎控除」の金額が48万円だからです。所得が48万円未満だと、基礎控除を差し引くことで課税対象の所得がゼロになるため、確定申告の義務は発生しません。

フリーランスによる確定申告の申告方法には2種類ある

確定申告をするうえで欠かせないのが、日々のお金の流れを帳簿にまとめることです。帳簿をつけることで支出と収入の流れが明確になり、税額の計算が容易になります。

帳簿の付け方には2種類あり、それぞれメリットが異なります。

  • 青色申告
  • 白色申告

青色申告:最大65万円の控除が利用できる

青色申告とは、複式簿記というやりかたで帳簿をつけて、その帳簿をもとに確定申告を行うことでさまざまな優遇を受けられる制度です。

青色申告で確定申告を行うことで、最大で65万円の特別控除を受けられます

青色申告を選択する場合は、青色申告をしようとする年の3月15日まで(1月16日以降に事業を開始した場合は事業開始日から2月以内)に、「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。期限までに申請書を提出しなかった場合、青色申告で申告することはできません。

白色申告:「単式帳簿」なので記帳が簡単

青色申告を選択しなかったら、自動的に白色申告での申告となります。

白色申告は、簡易的な記帳(単式帳簿)で提出可能です。節税効果はないものの、青色申告の複式簿記より簡単に記帳ができるため、日々の会計作業の手間が小さくなります

初めて確定申告を行う場合は、無理をせず白色申告で確定申告を済ませるのが良いでしょう。

それぞれの帳簿の付け方については、以下の記事で詳しく解説しています。

参考記事:個人事業主の帳簿の付け方は?基礎知識を初心者にもわかりやすく解説

フリーランスによる確定申告の手続き7ステップ

インターネットからの確定申告

ここからは、フリーランスによる確定申告の手順について具体的に解説していきます。

  1. 提出方法を選ぶ
  2. 必要書類を準備する
  3. 領収書をもとに帳簿をつける
  4. 「収支内訳書」または「青色申告決算書」を作成する
  5. 「確定申告書」を作成する
  6. 作成した書類を提出する
  7. 納税する(または還付を受ける)

①提出方法を選ぶ

まずは確定申告書の提出方法を選びます。提出方法は以下の3種類があります。

  1. 税務署に郵送で提出する
  2. 税務署の受付に持参する
  3. e-Taxで申告する

税務署に郵送で提出する

郵送の場合、提出期限日の消印が有効なため、期限ギリギリでも当日の消印さえあれば遅延になりません。

ただし万が一書類に不備があった場合は再提出に時間がかかり、期限内の納付が難しくなる場合があります。初めての確定申告などで、提出書類の内容に自信がない人には向きません。

関連記事:確定申告は郵送でできる! 封筒のサイズやマイナンバーについて解説

税務署の受付に持参する

税務署への持参は目の前で内容をチェックしてもらえるため、初めて確定申告する場合や、作成に慣れていない場合に安心です。間違いがあった場合はその場で修正でき、差し戻されて期限が過ぎるというリスクはありません。

ただし持参する方法は税務署が遠い人や、仕事が忙しくて開庁時間内に時間が取れない人には難しく、期間内は混雑して長時間待たされるというデメリットもあります。

e-Taxで申告する

e-Taxを使って電子申告をする方法もあります。e-Taxはインターネットで24時間いつでも作成でき、すぐに申告できるのが大きなメリットです。

ただしe-Taxはいったん導入すれば非常に便利ですが、事前準備の手間がかかります。マイナンバーカードや読み取り用のスマホを用意して、手続きしなければなりません。

マイナンバーカードがない場合は「ID・パスワード方式」で利用することになりますが、手続きするため税務署の窓口で本人確認を行なう必要があります。

参考:ご利用の流れ | 【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)

②必要書類を準備する

確定申告に必要な書類を揃えます。必要書類が見当たらない場合、発行に時間がかかる場合もあるため早めに確認しましょう。

  • 本人確認書類【マイナンバーカード・その他】
  • 確定申告書
  • 収支内訳書または青色申告決算書
  • 収支がわかる帳簿・領収書・レシートなど
  • 控除証明書や給与・年金の源泉徴収票(ある場合)

確定申告書の用紙は、次の方法で手に入れられます。

  • 税務署や市区町村の役所、確定申告の相談会場で受け取る
  • 国税庁のサイトからファイルをダウンロードして印刷する
  • 住所を書いた返送用封筒と希望書類のメモ書きを税務署へ送付する

③領収書をもとに帳簿をつける

領収書やレシートをもとに帳簿をつけていきます。

確定申告の前にまとめてつけるとミスが発生しやすいので、毎日コツコツ記帳を進めておくのがおすすめです。

④「収支内訳書」または「青色申告決算書」を作成する

確定申告書より先に、収支内訳書または青色申告決算書を作成します。

白色申告の場合は収支内訳書、青色申告では青色申告決算書です。1年間の売上高や経費などを記載した帳簿をもとに、集計した数字を入れていきましょう。

このとき一番重要なのは、集計作業です。売上は漏らさず集計し、経費も間違いなく計算して正しい数字を計上します。

詳しい書類の作成の仕方は、国税庁の資料を参考にしましょう。

参考:

令和5年分 収支内訳書(一般用)の書き方

令和5年分 青色申告決算書(一般用)の書き方

関連記事:【初心者向け】「白色申告の収支内訳書」の書き方を詳しく解説

確定申告書作成コーナーでも収支内訳書、青色申告決算書を作成できます。

初めて帳簿を作成したり、収支内訳書や青色申告決算書を作成したりするとなると戸惑うことも多いでしょう。

「どうしたらいいか分からない」「締め切りまで時間がない、、!」という方は、会計業務のプロである税理士に業務をお願いするのがおすすめです。以下から無料で見積もりとチャット相談ができますよ。

⑤「確定申告書」を作成する

完成した収支内訳書または青色申告決算書の数字をもとに、確定申告書を作成します。確定申告書には第一表と第二表があり、それぞれに記入しましょう。

第一表は所得税を計算し、第二表は所得控除や住民税に関する事項を記入する書類です。

確定申告書も、国税庁から作成の手引きが用意されています。

参考:令和5年分所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き

こちらも分からないことがあれば、税務署か税理士に相談しましょう。

税務署が教えてくれるのは書類の書き方までなので、そもそも決算書を正しくつけられているか不安な方は、税理士への相談をおすすめします。

⑥作成した書類を提出する

作成した確定申告書と収支内訳書または青色申告決算書、所得控除に関する書類を提出します。

⑦納税する(または還付を受ける)

確定申告書の提出が終わったら、納税の必要がある場合は速やかに納付しましょう。納付期限は確定申告の最終日(3月15日)です。

所得税を納め過ぎていた場合は還付金が戻ります。確定申告してから1ヶ月から1ヶ月半後に指定口座へ振り込まれますが、 電子申告のe-Taxで提出した場合は約2〜3週間と早いのが特徴です。早く還付してもらいたい場合はe-Taxを利用するのがよいでしょう。

フリーランスが確定申告を行わなかったらどうなる?

確定申告の義務が発生しているのにもかかわらず手続きを怠ると、将来的に自身の首を絞めることになります。

少額でも確定申告をしなかったらバレる

たとえ小さい金額であっても、確定申告を行わなかったら一発でバレます。もしバレなかったとしても泳がされているだけです。

延滞税などのペナルティが課される

もし確定申告の義務を怠った場合、以下のようなペナルティが課されるリスクがあります。

  • 無申告加算税:納付すべき税額に対し50万円までは15%、50万円越分は20%
  • 延滞税:納税すべき日から延滞した日数に応じて加算(納付すべき税額に対し、2ヶ月までは原則年7.3%、2か月越は原則年14.3%)

どちらともかなり重い金額になりますので、期日中に必ず確定申告を行うようにしましょう。

フリーランスが確定申告をスムーズに行うためのポイント

確定申告を初めて行う場合、さまざまな壁にぶつかるでしょう。

そこでここからは、フリーランスが確定申告をスムーズに済ませるポイントを紹介します。

  1. 普段からコツコツ記帳を進めておく
  2. 青色申告会や税務署で不明点を相談する
  3. 税理士に確定申告の作業を依頼する

普段からコツコツ記帳を進めておく

記帳作業はまとめてやるのではなく、普段からコツコツと進めておくことをおすすめします。

まとめて記帳をしようとすると、量が多くてミスが発生しやすくなるからです。

可能であれば月に一度のペースで帳簿を付けておくと、確定申告の直前になっても慌てることなく対応できるでしょう。

青色申告会や税務署で不明点を相談する

検索をしてもわからない点が解決できない場合、確定申告のことについて相談できる場所へ足を運ぶのがおすすめです。

確定申告について質問ができる場所には、以下のようなものがあります。

  • 税務署
  • 税理士
  • 市役所などの特設会場
  • 青色申告会・商工会議所
  • 信用金庫・銀行の相談会

詳しくは以下の記事で詳しく解説しています。

参考記事:確定申告の相談先は税務署以外にもある!相談方法や注意点を徹底解説

税理士に確定申告の作業を依頼する

もし自力での確定申告が難しそうだったら、税理士に丸投げしてしまうのも手です。

期日の直前は依頼先を見つけるのが大変になりますので、なるべく早めに依頼をするようにしましょう。

早めに確定申告の準備を始めて、期日までにしっかりと提出しよう

初めての確定申告はなかなかスムーズにいかないことがほとんどだと思いますが、一度経験してしまえばすぐに慣れます。

本記事を参考に、確定申告の手続きを進めてみてください。もしつまづいたら、税理士などに相談してみることをおすすめします。