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領収書の収入印紙はいくらから必要?印紙税の金額や貼り方、不要なケースを解説

最終更新日: 2024年06月28日

「領収書はいくらから収入印紙が必要?」「領収書にはいくらの収入印紙を貼ればいいの?」などの疑問をお持ちではないでしょうか。

ビジネスマンにとって、商品代金やサービス利用料などの受領の際に発行する領収書の取り扱いは、ぜひ押さえておきたいポイントです。収入印紙の貼り付けが必要な領収書の金額から印紙税額など、基本となるルールをわかりやすく解説します。

この記事を監修した税理士

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

 

受取金額が5万円以上の領収書は収入印紙の貼り付けが必要

収入印紙を貼り付けた領収書
(画像作成:ミツモア)

領収書に記載された受取金額が5万円以上であれば、原則として収入印紙の貼り付けが必要です。一方で、領収書に記載された受取金額が5万円に満たない場合は非課税文書となり、収入印紙の貼り付けは不要です。

印紙税額は受取金額に応じて決定し、200円から20万円までの金額が段階的に定められています。受取金額が5万円を超えて100万円以下の領収書は、200円の収入印紙を貼らなければなりません。

領収書は印紙税法上で「金銭又は有価証券の受取書」にあたる、印紙税の課税対象文書です。収入印紙の貼り付けは、印紙税の徴収を合理的に進めるうえで欠かせないものとなっています。

受領金額と印紙税の金額一覧表

領収書の印紙税額は明記された受取金額に応じて段階的に設定されています。

受取金額 印紙税額
5万円未満 非課税
5万円以上100万円以下 200円
100万円を超え200万円以下 400円
200万円を超え300万円以下 600円
300万円を超え500万円以下 1,000円
500万円を超え1,000万円以下 2,000円
1,000万円を超え2,000万円以下 4,000円
2,000万円を超え3,000万円以下 6,000円
3,000万円を超え5,000万円以下 10,000円
5,000万円を超え1億円以下 20,000円
1億円を超え2億円以下 40,000円
2億円を超え3億円以下 60,000円
3億円を超え5億円以下 100,000円
5億円を超え10億円以下 150,000円
10億円を超えるもの 200,000円
受取金額の記載がないもの 200円

なお、この印紙税の額は「売上代金に係る金銭または有価証券の報告書」に適用されるものです。売上代金とは商品やサービスを提供することで得られる対価のことを指します。

売上代金以外の領収書の場合

売上代金以外の領収書(受取書)の場合、受取金額5万円未満は非課税なのは同じですが、5万円以上でも印紙税は一律200円です。また、受取金額の記載がないものについても200円の収入印紙を貼る必要があります。

例えば、借入金や保険金、損害賠償金や株券の譲渡代金、公社債、預貯金の利息などはサービス・商品の提供による対価ではないため、売上代金には含まれません。これらの名目で受け取った金銭の領収書は「売上代金以外の受取書」になります。

印紙税の課税は消費税を除いた受取金額が対象【領収書の記載方法に注意】

税抜金額が49,000円の領収書
受取金額が5万円前後の場合は特に注意 (画像作成:ミツモア)

印紙税の課税は消費税を除いた受取金額をもとにして判断します。たとえば税込の金額が53,900円だった場合、税抜の金額が49,000円なので印紙税はかからず、収入印紙を貼る必要もありません。

しかし、領収書に内訳の記載がなく、消費税の金額を明示していない場合は記載された金額がそのまま受取金額と判断されます。この場合、たとえ税抜の金額が5万円を超えてないとしても、記載額が5万円を超えていれば収入印紙を貼り付ける必要があるので注意してください。

不要な印紙税の発生による二重課税を防ぐためにも「5万円前後の金額を受領する際は消費税の内訳を必ず記載する」など、領収書の書き方をルールづけておくとよいでしょう。

領収書内に消費税が記載されている場合

消費税の内訳が記載された領収書
消費税の内訳が記載された領収書 (画像作成:ミツモア)

領収書に消費税額がわかるように記載されている場合は、消費税額を含まない金額で課税額を判断します。

【税抜49,000円の売上代金を受領する場合】

  • 総額53,900円 (内訳)税抜価格49,000円、消費税額4,900円
  • 総額53,900円 うち消費税額4,900円
  • 総額53,900円 税抜価格49,000円

これらのような記載がある場合は、領収金額が49,000円と判断されます。5万円未満なので収入印紙は必要ありません。

領収書内に消費税が記載されていない場合

消費税を記載していない領収書
消費税が明記されていない領収書 (画像作成:ミツモア)

領収書内に消費税が記載されていない場合は、記載された金額が受取金額と判断されます。

【税抜49,000円の売上代金を受領する場合】

  • 総額53,900円
  • 総額53,900円(税込)

このような領収書は消費税の記載がないため、消費税額を含んだ総額が受取金額です。このケースでは受取金額が5万円以上とみなされるため、収入印紙の貼付けが必要になります。

収入印紙の正しい貼り方【割り印を忘れずに】

領収書に収入印紙を貼る位置
貼付欄に貼るのが基本 (画像作成:ミツモア)

収入印紙を貼る位置に決まったルールはなく、どの部分に貼っても無効になるということはありません。貼り付けた後は割り印も忘れずに押しましょう。

一般的な領収書の用紙には、通常右下か左下に収入印紙の貼り付け場所が表示されているため、その位置に貼るのがベターです。複数枚になる場合は横か縦に並べて貼ります。貼る場所がない場合は裏面に貼っても問題ありません。

収入印紙と領収書にまたがるように割り印(消印)をする

収入印紙の割り印の正しい押し方と間違った押し方
サインの場合も同様です (画像作成:ミツモア)

収入印紙を貼ったあと、再利用を防ぐために割り印(消印)として印鑑を押します。必ず、収入印紙と領収書にまたがるように押さなければなりません。それぞれに半分程度かかるようにしましょう。

なお、印鑑が手元にない場合は手書きのサインでもかまいません。ただし、消せるペンや鉛筆などではなく、必ず消えないペンで書きましょう。領収書の用紙と収入印紙の両方にかかるようにするのは印鑑と同様です。

この押印は一般的に割り印と呼ばれますが、正しくは消印になります。割り印とは複数枚の書類に押印した際、書類を離した時に印影が割れることから使われる言葉です。収入印紙を剥がして印影が割れることはないため、割り印と呼ぶのは正しくありません。正確には消印になるということも覚えておくとよいでしょう。

収入印紙の貼り付けが不要になるケース

バツ印のジェスチャーをする女性

領収書の受取金額が5万円以上の場合は原則として収入印紙を貼る必要があります。しかし、決済をクレジットカードで行なったときや、領収書をpdfなどの電子データでやりとりしたときなどは、受取金額が5万円以上の場合でも収入印紙の貼り付けは不要です。

決済をクレジットカードで行なった時

印紙税の課税文書に該当しないもの(第1号から第20号の課税文書に該当しないもの)は、印紙を貼る必要はありません。

例えば、クレジットカードで決済をすると、利用伝票の控えと一緒に領収書を発行してくれるお店があります。

しかし、実際には金銭を受け取っていないため、クレジット決済で発行される領収書は、「売上代金に係る金銭の受取書」(第17号文書)に該当しません。

したがって、クレジットカード決済で発行した領収書に印紙を貼らなくてもOKです。

ただし国税庁は、領収書に「クレジットカード利用」である旨が記載されていなければ課税文書として扱う、というルールを決めています。印紙税を納付していない領収書と見分けがつかないため、実務上の判断基準を定めたものだと考えられます。

参考:No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断|国税庁

pdfなどの電子データで取引をした時

領収書の画像データや電子データ(Wordで作成したものをPDFファイルに変換したもの等)を電子メールで送信した場合や、FAXで送信した場合、収入印紙を貼る必要はありません。

そもそも課税原因となる課税文書の作成が行なわれていないため、印紙税の対象外となります。印紙税の節税になるので、覚えておくとよいでしょう。

銀行振込をした時

銀行振込で代金を受領した場合は振込明細書を領収書代わりとするのが一般的なので、領収書の発行は必要ありません。印紙税は銀行から支払われており、5万円以上の振込で振込手数料が高くなっているのはそのためです。

ただし、先方から領収書を依頼された場合は発行しなければなりません。印紙税は領収書など「紙文書」の作成に課されるものであるため、銀行振込の領収書を発行した場合は収入印紙の貼り付けが必要になります。

銀行振込で印紙代の支出を免れたい場合は、請求書に「金融機関への振込明細書をもって領収書に代えさせていただきます」などの文言を入れておくのがよいでしょう。あらかじめ契約で決めておくのもおすすめです。

また、振込明細書と領収書の二重計上を避けるため、領収書には備考欄に「○月○日銀行振込分」などの記載をしておきましょう。

個人が領収書を発行する時

事業を営んでいない個人が発行する領収書は、受取金額が5万円以上でも収入印紙は必要ありません。収入印紙が必要になる領収書は、営業に関する場合のみです。

営業とは「営利を目的として同種の行為を反復継続すること」を指します。個人事業主であっても事業を離れた私的日常生活に関する領収書は営業に関するものではないため、印紙が不要になります。

例えば、私物を友人に安価で譲り、受領した代金に対する領収書などは、金額にかかわらず収入印紙の貼り付けは必要ありません。

営業活動に関係しない場合

領収書金額が営業活動に関係しない場合は、5万円未満と同様に非課税です。利益を得る目的で同種の行為を反復継続すること、つまり継続的に営利行為をすることが「営業活動に関係する」とみなされます

具体的には次のような場合で作成されたものが、営業活動に関係しない領収書です。

個人が私物を販売したときなどに作成した場合

オークションで私物を販売するなど、個人が反復継続せずに私的財産を譲渡する場合は営業活動にあたらず、領収書は非課税になります。

公益法人が作成した場合

公益法人は収益事業を行なう場合でも、収益事業で得た利益を公益以外の目的で使用することが認められていません。商法上の商人にあたらないため、公益法人の名義で作成する領収書はすべて非課税です。

公益等を目的とする人格のない社団が作成した場合

「人格のない社団」とは、法人と同じ活動をしている団体のことです。学校のPTAやマンションの管理組合などがこれにあたります。

公益及び会員相互間の親睦など、非営利事業を目的として設立されている人格のない社団の場合、活動が営業にあたらないため領収書は非課税です。

農業や林業、漁業に従事する者が作成した場合

店舗やそれに類似する設備を持たない農業や林業、漁業は一般的に営業にあたらないとされています。それに従事する者が自己の生産物の販売に関して作成する領収書は、すべて非課税です。

医師や弁護士などの士業が作成した場合

医師や弁護士・税理士などの士業といった自由職業は、一般的に営業にあたらないとされています。つまり支払った報酬に対する領収書は非課税です。

「賃金を得る目的で物を製造、または労務に従事する者の行為」も営業にあたらないため、主婦などの内職もこれに含み、作成する領収書に収入印紙は必要ありません。

会社以外の法人で利益金・剰余金の配当や分配ができない法人が作成した場合

会社以外の法人で利益金・剰余金の配当や分配ができない法人とは、労働組合や商品取引所などです。作成する領収書は非課税のため、収入印紙は不要になります。

利益金・剰余金の配当や分配のできる法人がその出資者との間で作成する受取書の場合

会社以外の法人で利益金・剰余金の配当や分配ができる法人であっても、出資者に対して行なう事業は営業に含まれません。そのため、出資者に対して発行する領収書は非課税になります。

必要にもかかわらず収入印紙を貼らないとどうなる?

電話対応に追われるビジネスマン

収入印紙が必要にもかかわらず領収書への貼り付けがなかった場合、過怠税の徴収や罰則に課せられる可能性があります。なお、収入印紙が必要な領収書に印紙が貼られていない場合でも、無効にはなりません。

過怠税の徴収

印紙を貼らなかった場合、不納付の印紙税額に加えて、税額の2倍に相当する過怠税を徴収されます。つまり徴収される税額は、不納付の印紙税額の3倍です。

また、印紙に割り印(消印)をしていない場合は、不納付印紙税額と同額の過怠税が徴収されます。

罰則を課される可能性も

印紙税法において、印紙の貼り付けをしなかった場合は懲役1年以下又は罰金50万円以下、消印をしなかった場合は罰金30万円以下の罰則も規定されています。悪質な脱税を罰する目的ですが、懲役刑まであるため、印紙税のペナルティは非常に厳しいと言えます。

領収書は不特定多数に交付することが考えられるため、バレないなどと思わずに絶対に貼りましょう。

参考:国税庁 No.7131 印紙税を納めなかったとき

領収書に印紙が貼られていなくても無効にはならない

収入印紙が必要な領収書に印紙が貼られていない場合でも、無効になることはありません。有効な領収書となり、経費の書類として使うことができます

印紙税の納付義務があるのは領収書を発行する側なので、受取人が収入印紙を貼る義務もありません。取引先に連絡して貼るよう依頼する必要はありませんが、常に印紙を貼らない場合は指摘しておくのがよいでしょう。

間違った金額の収入印紙を貼ってしまった時の対処法

間違った金額の収入印紙を貼ってしまった場合、金額が多いか少ないかで対応が異なります。金額が多かった場合は税務署に持参し、少なかった場合は不足分を貼り付けましょう。

金額が多かった場合は税務署に持参

金額が多い収入印紙を貼った場合、あるいは非課税の領収書に間違って収入印紙を貼った場合は印紙税の過払いになります。返還を受けることができるため、税務署に持参しましょう。

返還請求に必要な「印紙税過誤納確認申請書」を作成して、収入印紙の貼られた領収書とともに提出してください。申請書は税務署にありますが、国税庁のホームページからもダウンロードできます。収入印紙を剥がしたり、印紙部分を切り取ったりはせず、必ずそのままの状態で持参しましょう。返還請求ができるのは、文書を作成した日から5年以内です。

金額が少なかった場合は不足分を貼り付け

金額が少なかった場合、気づいたらすぐに不足分を貼り付けてください。そのまま放置していると貼らなかった場合と同じく過怠税が課せられるため注意しましょう。

収入印紙を購入できる場所

郵便局

収入印紙は郵便局やコンビニ、役所や金券ショップなど、さまざまな場所で入手可能です。

郵便局

郵便局は31種類の収入印紙すべてを揃えているため、高額な収入印紙でも必ず手に入るというメリットがあります。

小さな郵便局は平日の17時までですが、本局には時間外も受けつける窓口があり、土日や平日の夜間も収入印紙を購入できるので便利です。

コンビニ

急いで収入印紙がほしい場合は、24時間営業しているコンビニが便利です。

ただし、基本的にコンビニが取り扱っているのは、一般的に広く使われている200円の収入印紙のみ。それ以外の金額はほとんど扱われていません。高額の収入印紙が必要な場合は、役所や郵便局に行くのが確実です。

急ぎの場合で200円の印紙しか手に入らない時は、400円や600円印紙の代わりに200円の印紙を複数貼ってもかまいません。

役所・法務局

役所や法務局に提出する書類は収入印紙が必要なものも多く、窓口や建物内の売店などで購入できます。書類の提出で出向く場合には便利ですが、最寄りにない、利用できる時間が限られているというのがデメリットです。

金券ショップ

金券ショップは、収入印紙を額面よりも安く購入できるのが利点です。ただし、金券ショップで扱っているのは需要の高い200円などの収入印紙がほとんどで、高い収入印紙の在庫は限られています。

収入印紙のルールを押さえて気持ちのよい取引を

オフィスで働くビジネスマン

領収書の印紙について紹介しました。お伝えしてきたのは、次のような内容です。

  • 領収書の収入印紙は印紙税納付の役割を持つ
  • 5万円以上の領収書には収入印紙の貼り付けが必要
  • 営業活動に関係しない領収書は収入印紙が不要
  • 領収書に消費税が記載されていない場合は総額が受取金額になる
  • 収入印紙の貼り方や割り印 (消印)の方法
  • 収入印紙を貼らなかった場合は過怠税徴収や罰則のペナルティあり
  • クレジットカード決済や銀行振り込みの際は収入印紙が不要

領収書の受取金額が5万円を超える場合は収入印紙を貼る必要があり、100万円を超えるとかかる印紙税額も異なります。営業活動にかかる領収書を取り扱う場合は、この基本的なルールさえ押さえておけば迷うこともありません。

領収書の印紙に関するルールをマスターして、日々の取引を気持ちよく行ないましょう。

監修税理士からのコメント

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

領収書の発行を行なうことが多い方は印紙税の取り扱いに気を付けましょう。最初にきちんと認識しておかないと、税務調査で指摘を受け、数倍の税額を支払うことになりかねません。

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この記事の監修税理士

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

安田亮(公認会計士・税理士・CFP🄬)1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格、2010年京都大学経済学部経営学科卒業。大学在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応等を経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。所得税・法人税だけでなく相続税申告もこなす。