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勘定科目「利子割引料」支払利息との違いや按分・仕訳例を解説

最終更新日: 2019年10月29日

今回は、科目名だけ言われてもいまいちピンとこない勘定科目の一つ「利子割引料」について解説していきます。「利子割引料」とはそもそも何なのかというところから、混同されがちな「支払利息」との違い、実際の記帳例など、個人事業主として独立したばかりの方がつまずきやすいポイントに重点を置いていますので、独立したての方は特に参考にしてみてください。

利子割引料とは

利子割引料とは
利子割引料とは

まずは利子割引料の概要から見ていきましょう。どのようなお金の流れが利子割引料に当たるのか、具体例を挙げながら詳しく解説していきます。

利子割引料には「利子」と「割引料」が含まれる

「利子割引料」に該当するお金の流れは、「支払った利子」と「支払った割引料」の2つです。確定申告の際にはこれらは経費として計上できます。

利子割引料に含まれるもの

具体的に利子割引料に分類される費用のうち、代表的なものは以下の通りです。

  • 店舗や事務所を購入する際やリフォームする際に必要になった借入の利子
  • 自動車購入時に組んだローンの利子
  • 事業用資金の借入に際して発生した利子
  • 手形の割引料

上の3つは何となく想像がつくのではないでしょうか?事業に関する借入やローンを組んだ際に発生した利子であれば、基本的に利子割引料に含めることができます。

一番最後の手形の割引料は、身近ではないので想像がつかないかもしれません。

例えば、ある仕事の報酬が、3か月後にお金が振り込まれる約束手形だったとしましょう。しかし、資金繰りの問題で「今すぐにそのお金がほしい」というときには、未決済の手形を銀行に売却することで(売却先は銀行以外でも可能ですが、ここでは代表的な事例ということで銀行を例に挙げています)、銀行から手形相当額のお金をもらうことができます。

しかし、ここでもらえる金額は満額ではなく、銀行に一定の手数料を支払ったあとの残りの金額。ここで発生した手数料が、手形の割引料と呼ばれているのです。

少しややこしいかもしれませんが、大きく分けて「借り入れやローンに対して発生した利子」と「手形の売却に際して発生した割引料」が、利子割引料に分類されると理解しておけば十分です。

利子割引料の消費税区分

利子割引料に分類される出費に関して、現状の税法では非課税となっています。支払った利息や手数料はそのまま経費として計上することができますので、利子割引料の概念さえ理解できてしまえば、その後の計算は比較的単純です。

利子割引料と支払利息の違い

利子割引料と支払利息の違い
利子割引料と支払利息の違い

利子割引料とよく似ている勘定科目に「支払利息」というものがあります。名前がよく似ているので多くの方が違いについて迷われるのですが、結論から言ってしまうと「利子割引料」と「支払利息」に大きな違いはありません。

利子割引料と支払利息に大きな違いはない

利子割引料のことを、「支払った利子」と「手形の現金化に際して発生した割引料」からなるグループだと説明しましたが、「支払利息」というのは、このうちの「支払った利子」のみが分類される勘定項目のことです。ちなみに、「手形の現金化に際して発生した割引料」についても、「手形売却損」という勘定科目が独立して存在しています。

要するに、「利子割引料」=「支払利息」+「手形売却損」なのです。そのため、特に手形の割引を行っていないのであれば、「利子割引料=支払利息」という認識で問題ありません。

確定申告の際は「利子割引料」として記入

今回のテーマである「利子割引料」については、「利子割引料」という勘定科目で申告書に記載されています。先ほど説明したように、「支払利息」と「手形売却損」の合計額をこちらに記入するようにしてください。

業務・家事に按分する場合の利子割引料

業務・家事に按分する場合の利子割引料
業務・家事に按分する場合の利子割引料

社用車をマイカーとしても使用している場合や、自宅が事務所を兼ねている場合には、それらに関連して発生した費用のうち、事業に使った割合分だけ経費にすることができます。これを家事按分といいます。

これと同じことは借入やローンに際して発生した利子についても行えます。家事按分して支払った利子の一部を利子割引料として計上するとき、どのような計算方法になるのか見ていきましょう。

家事按分する場合の計算

利子割引料は帳簿において「営業外費用」に分類されます。営業外費用というのは、事業の本業以外にかかる費用のこと。仕入れ費や外注費用などと違い、支払利息や手形の割引料は事業の本業にかかわるものではないので、特に難しく考えずともお分かりいただけると思います。

それでは社用車を購入する際、年利2%で10万円のローンを組んだと想定して、いくらを利子割引料として計上できるのかを考えてみましょう。

購入した自動車が100%事業用の場合、支払った利息の全額、つまり2,000円を利子割引料で経費として計上することができます。

一方、例えば年間の走行距離から考えて事業で使用された割合が全体の50%だった場合には年間に支払った利息の50%である1,000円を利子割引料に計上することができます。残りの1,000円については、事業ではなくプライベートでの利用とみなされますので、利子割引料に入れることはできません。

家事按分の際の注意点

個人事業主として独立したての場合、どの程度まで家事按分で経費に計上していいのか基準がわからないかもしれません。

この家事按分の割合は税務調査でも特に詳しくみられるポイントです。税務署に対してしっかりと説明できるよう、あらかじめ使用割合や基準などを設定しておくことをおすすめします。どうしても不安だという方は、税理士に相談してみてください。

この記事を監修した税理士からのコメント

越智聖税理士事務所 - 愛媛県松山市天山

家事按分の割合に関しては原則として“事業の為に使った割合”になります。 例えば“実際事業に使った割合”、“実際に使ってる部分(面積)”“実際使った時間”などが挙げられ第三者が納得できるような説明が可能なら問題ございません。
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利子割引料の仕訳例

利子割引料の仕訳例
利子割引料の仕訳例

この見出しでは利子割引料の仕訳について具体例を交えながら解説していきます。具体例としては前の見出しと同じく、社用車の購入に際して年利2%で、10万円のローンを組んだと仮定します。

全額事業目的の借り入れの場合

まずは、支払利息や手形割引料の全額を利子割引料に分類するときの仕訳を見ていきます。事業用途で購入した社用車や、生活に使用しない店舗や事務所を購入した場合がこれに当たります。

借方勘定科目 金額 貸方勘定科目 金額 摘要
借入金 100,000 普通預金 102,000 自動車ローン元本
利子割引料 2,000 自動車ローン利息

家事按分する場合の仕訳例

次に、家事按分をして支払利息の一部を利子割引料とで経費として計上する場合の仕訳例です。条件は先ほどと変わらず借入10万円、年利は2%、事業としての使用割合は50%と仮定します。家事按分を行い、私用となった分に関しては勘定科目「事業主貸」を用いて処理します。

借方勘定科目 金額 貸方勘定科目 金額 摘要
借入金 100,000 普通預金 102,000 自動車ローン元本
利子割引料 1,000 自動車ローン利息
事業主貸 1,000 自動車ローン利息(家事按分)

確定申告時の利子割引料の書き方

確定申告時の利子割引料の書き方
確定申告時の利子割引料の書き方

最後に、確定申告における利子割引料の扱いと、書き方、記入手順を解説していきます。

内訳の記入例

収支内訳書の書き方

収支内訳書
収支内訳書 出典:国税庁を元に作成

白色申告の場合、利子割引料が関係するのは収支内訳書になります。収支内訳書の2枚目にある「利子割引料の内訳(金融機関を除く)」欄に、該当する利子割引料を記入してください。

  1. 「支払先の住所・氏名」欄に、借入を受けた相手の情報を記入
  2. 「期末現在の借入金等の金額」欄に、期末時点での借入残高を記入
  3. 「本年中の利子割引料」欄に、該当年に支払った利息や割引料を記入
  4. 「左のうち必要経費算入額」欄に、家事按分をした後の金額を記入(全額事業用であれば、手順3と4は同額になる)
  5. 借入先が複数あれば、同じ手順で下の欄に記入

青色申告決算書の書き方

青色申告決算書
青色申告決算書 出典:国税庁を元に作成

青色申告者が確定申告の場合には、青色申告決算書の3ページ目にある「利子割引料の内訳(金融機関を除く)」欄に、該当する利子割引料を記入していくことになります。記入方法は収支内訳書と同じなので割愛します。

金融機関を除く機関からの借入の場合にのみ記入

ただし、「その年に支払ったすべての支払利息と手形割引料を記入する」というわけではない点はご注意ください。というのも、収支内訳書にも青色申告決算書にも、「利子割引料の内訳」の隣に「(金融機関を除く)」とあるように、銀行や消費者金融などの金融機関を介した借入やローンで発生した利息や割引料については、記入する必要がないのです。

収支内訳書や青色申告決算書に記載する利子割引料は、知人や親族、出資者といった、金融機関以外の個人や法人に支払った利息や割引料ということになります。

利子割引料を理解して確定申告に備えよう

利子割引料を理解して確定申告に備えよう
利子割引料を理解して確定申告に備えよう

今回はいまいち何を指すのかわかりづらい勘定科目「利子割引料」について解説してきました。最後に要点を簡単にまとめておきます。

  • 支払った利息や手形の割引料が相当し、経費として計上することができる
  • 利子割引料は非課税
  • 借入やローンを組んで購入した物件や物品(住居や車など)を個人でも使用している場合は、使用割合に応じて家事按分することで経費に計上することができる
  • 収支内訳書や青色申告決算書に記入する利子割引料は、金融機関を介さないローンや借入で発生した利子や手形割引のみ

ただし、家事按分の割合などは複雑な部分もあります。また、取引が多くなってくると記帳に関連する作業も煩雑になってくるので、負担が大きいようでしたら税理士に相談してみるのも一つの手です。

この記事を監修した税理士からのコメント

越智聖税理士事務所 - 愛媛県松山市天山

事業を行っていくうえでほとんどの方が避けて通れない“借入” 借入の返済の処理に関しては“利息部分”のみが必要経費になり、“元金部分”は必要経費にならず、その部分がポイントになります。 金融機関から借入を行った場合は確定申告書をその金融機関が適正に申告しているか確認するためそこの部分に注意して適正に会計処理し、金融機関にもしっかりとアピールしましょう!!
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この記事を監修した税理士

越智聖税理士事務所 - 愛媛県松山市天山

越智聖(おちさとる)1980年愛媛県今治市生まれ。香川大学経済学部卒。大学卒業後愛媛県西条市の税理士事務所で12年間の勤務の間に税理士試験に合格し平成27年4月に愛媛県松山市にて独立開業。スタッフ5人。法人の顧問先102件、確定申告約130件(平成30年実績)相続税申告年間約5件。“人の為に動く”を経営理念とし、愛媛県で一番話しやすい税理士と言われている。
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