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個人事業主の食費は経費で落ちる?カフェ代やコンビニ代などケース別に解説

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最終更新日: 2024年06月28日

個人事業主の食費は、事業に関連するものであれば経費に落とせます

食費の一部を経費に落として賢く節税している個人事業主は多くいます。その上、個人事業主の経費に上限は決まっていません。

ただし経費の中で最も間違いが起こりやすく、チェックされる項目が「食費」です。この記事では、個人事業主が経費に落とせる食費と、落とせない食費について詳しく解説していきます。

個人事業主が食事代を経緯計上するときの勘定科目は?

「交際費」「会議費」とすることが多いでしょう。ただし仕事の関係者と打ち合わせや取引を兼ねた食事をする場合が前提です。個人が仕事をする目的でカフェなどに入った時の飲食代は「雑費」として処理します。

どんな食費なら経費に落とせる?

経費に落とせる食費は事業に関連するもののみです。プライベートや日々の生活の食事代は経費にできません。

個人事業主の「経費で落とせる食費」と「経費で落とせない食費」

個人事業主の「経費で落とせる食費」と」「経費で落とせない食費」

個人事業主の経費として認められる食費とはどのような食費なのでしょうか?

基本的に事業に関係のない食費は経費として落とすことはできません。また、会計処理の際に経費として落とせる勘定科目は限られています

まずは、個人事業主が経費として落とせるのはどのような食費なのか解説していきます。

事業に関連のない食事は経費に落とせない

個人事業主の必要経費に算入できる金額の条件について国税庁ホームページには以下のように記載されています。

必要経費に算入できる金額

事業所得、不動産所得及び雑所得の金額を計算する上で、必要経費に算入できる金額は、次の金額です。

⑴総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額

⑵その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額

出典:国税庁

簡単に言えば、「売上や仕入れなどを確保するために直接必要だった費用」「販売費や管理費などの業務に使用した費用」ということです。事業に関連のない費用は経費計上することはできません

自分が生きるための食事などの生活費は事業とは無関係ですので経費に落とせません。しかし、個人事業主の場合、経費に関してはグレーゾーンが多いのが実情です。

最終的には個別の判断にはなりますが、明らかに個人の用途として使用したものは経費として計上することはできません。

経費に落とせる食費と4つの勘定科目

食費は主に「会議費」「交際費」「旅費交通費」「福利厚生費」のいずれかの勘定科目に分類することで簡単に経費として落とすことができます。おおまかな分類方法は以下の通りです。

会議費 食事をしながら取引先や従業員などと会議をした場合
交際費 取引先や従業員などの仕事に関係のある人との食事もしくは仕事に有益な情報を得るための食事
旅費交通費 仕事で遠方に行った際の食事
福利厚生費 会社が従業員に食事を支払った場合

このように、食事に使用した経費は主に上記いずれかの勘定科目に分類されます。

ただし、従業員を雇用していない個人事業主の場合には福利厚生費を使用することはできません。福利厚生費とは、役員を含むすべての従業員に公平に支給される給与以外のお金のことで、会社がすべての従業員の福祉向上のために使用した経費です。そのため、従業員を雇用していない個人事業主は福利厚生費を使用することはできません。

つまり、従業員を雇用していない個人事業主が食費を経費計上する際の勘定科目は「会議費」「交際費」の2つです。

ケース別「この食費は経費に落とせる?」

ケース別「この食費は経費に落とせる?」
ケース別「この食費は経費に落とせる?」

経費として認められる食費は、「会議費」「交際費」「福利厚生費」のいずれかです。

しかし、具体的にどのシーンでの食費がどの勘定科目に入るのか、またどのシーンでの食費は経費計上できないのかというのは分かりにくいですね。

シーン別に経費として認められるのかどうか、どの勘定科目で処理できるのかについて詳しく見ていきましょう。

ケース①:仕事でカフェを利用した

個人事業主がカフェで仕事をした時の支出は経費になります

今は、フリーランスのエンジニアやデザイナーやライターなどはWi-Fi環境が整っているカフェで仕事をするのはよく見る光景です。この場合、事業に必要な経費として経費算入されることが一般的です。

ただし、認められる範囲はドリンクや軽食のみで、高価な食事やアルコールなどへの支払いは経費としては認められません

処理する際の勘定科目は「雑費」として経費計上することが一般的です。

1人で仕事をしているのですから、接待交際費として経費計上しないように注意しましょう。

ケース②:ファミレスで会議をした

ファミレスで会議をした場合の費用は「会議費」として経費に算入することができます

会議費として計上するのは、会議としてふさわしい場所である必要がありますが、一般的にファミレスであれば会議として認められるでしょう。

また、この場合もアルコールへの支払いがある場合には、会議として不適切ですので会議費として計上することはできず、交際費となります。

個人事業主の場合、会議の相手が家族であったとしても本当に事業の内容について会話をしているのであれば会議費として計上できます。ただし、同居の家族との食事代などを会議費として計上することは避けるべきでしょう。

念のため会議の内容は議事録などで記録に残しておくことをおすすめします

ケース③:取引相手と飲み会をした

取引相手と飲み会をした場合には「接待交際費」として経費計上することができます

取引先と親睦を深め、事業の拡大や円滑化を図るための飲み会であれば事業の必要経費として取引先との飲み会は経費計上が認められています。

なお、法人の接待交際費には上限があり、中小法人の場合、以下のいずれか高い方に限られています。

  • 飲食した交際費の50%
  • 年間800万円以下の交際費

個人事業主の場合には上限はありませんので、本当に事業の取引先と飲み会をしたのであれば金額無制限に経費計上することが可能です。

ケース④:従業員の食事補助を出した

従業員の福祉向上のための食事代の補助を出す場合には以下の条件を満たすと「福利厚生費」として経費計上することができます

  • 一食あたり半分以上の費用を従業員が払うこと
  • 月3,500円以内であること

ただしこの食費は、会社が作るか会社が出前をとるなどの「会社が支出した」形にしなければなりません

従業員に現金で食費補助を出した場合、会社は経費として参入できますが、従業員の所得に加算されますので従業員が支払う所得税は上がってしまいます。

なお、前述したように、福利厚生費は法人のみが使うことができる勘定科目です。個人事業主が従業員の食費を補助したとしても福利厚生費を使用することはできません。

ケース⑤:テレビ電話会議の時に弁当を食べた

会議というと複数人で同じ空間に集まるというのが当たり前のように感じますが、今はテレビ電話などでランチミーティングをすることも少なくありません。

そのため、テレビ会議の時にお弁当などを購入した場合も経費として参入することができます

この場合は「会議費」として経費に計上します。

やはりアルコールなどはNGですし、議事録や動画などで会議を行なったという証拠として記録に残るものを残しておきましょう。

ケース⑥:スーパーやコンビニで食品を購入した

スーパーで購入した食費は基本的に経費計上することはできません。生活のために支出したと判断される可能性が高いためです。

しかし、例えば飲食店が仕入れのためにスーパーで食材を購入した場合には「仕入」として経費計上することができます。また、スーパーなどで事業に必要な文房具や電池や電気機器などを購入した場合には「消耗品費」などとして経費計上することができます。

業種によって経費計上することができるかどうかは異なりますが、事業に無関係な生活費であれば経費計上は不可能です。

ケース⑦:出張中の従業員との食事代

出張した際に従業員との食事代を支出したケースは少々複雑です。

ホテルの予約を朝食付きでとったのであれば「旅費交通費」として経費計上しても問題ないでしょう。ただし、アルコール付きの夕食だった場合には経費に入れることは難しいでしょう

また、ホテルとは別の場所に従業員と食事に行った際の食事代は、福利厚生費として経費計上することはできません。従業員に食事代は払うというと「福利厚生費じゃないの?」と思われる方も少なくないでしょう。

しかし、前述したように、福利厚生費とは従業員全員の福祉向上のために認めれられている経費です。出張に従業員全員を連れていかない限りは、一部の従業員だけに食費を払っていることになるので福利厚生費として使用することはできません

食事で会議を行なったのであれば「会議費」になります。ただし、高価な食事やアルコールは会議費としては認められませんし、場合によっては交際費としても認められない可能性もありますので注意しましょう

個人事業主の食費を経費に落とす際の注意点

食費を経費に落とすときの注意点
食費を経費に落とす際の注意点

個人事業主は法人と異なり経費の上限がないので、なんでもかんでも経費に入れてしまいがちです。

しかし、税務調査に入られた時のためにいくつかの点に注意をはらう必要があります。ここからは、個人事業主が食費を経費に落とす際の注意点について詳しく解説します。

領収証をもらい、メモを取る

食費を経費計上する場合にはレシートではなく領収書を必ずもらうようにしましょう。また、受け取った領収書に以下の項目が具備されていることを確認しましょう。

  • 店の名前(会社名)
  • 店の住所
  • 店の電話番号
  • 支払った金額
  • 但し書き

これらの項目は領収書に必ず必要な項目ですので、漏れがないかよく確認しましょう。

また、領収書の裏面に「何の名目」で「誰と使ったのか」ということを鉛筆書きで記入しておくとよいでしょう。

これだけで領収書の信頼性が高まり、「私的な使途で使ったのではないか」という疑いの目を向けられる可能性が著しく減るのです。

監修税理士からのコメント

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

食事代が経費になるかならないかは、その支出が事業に必要かどうかで判断されます。判断に迷った場合はこの基準をもとに考えましょう。 また、仮に取引先と食事に行っていたとしても、その額があまりに大きくなると一定額以上を経費として認めないという税務調査での実務が行なわれているのが実態です。特に個人事業主の交際費の支出については、常識の範囲内にとどめるようにしておきましょう。

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この記事では、個人事業主の食費が経費に落ちるのかについてお話ししました。

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この記事を監修した税理士

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

安田亮(公認会計士・税理士・1級FP技能士) 1987年 香川県生まれ 2008年 公認会計士試験合格 2010年 京都大学経済学部経営学科卒業 大学在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応等を経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。所得税・法人税だけでなく相続税申告もこなす。