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【税理士監修】広告宣伝費とは | 販売促進費・交際費との違いや仕訳例を解説

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最終更新日: 2024年06月28日

会社が事業活動を行う際、商品やサービス内容を宣伝しなければなりません。この時に支払った費用は「広告宣伝費」という勘定科目を用いて会計処理を行ない、費用計上されます。一方で広告宣伝費によく似た費用に、販売促進費や交際費、外注費といったものがあります。

どのような支出が広告宣伝費となるのか、広告宣伝費とその他の費用とでは何が違うのかを理解し、節税につなげていきましょう。

この記事を監修した税理士

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

「広告宣伝費」とは

「広告宣伝費」とは

広告宣伝費とは具体的にどのようなものを指すのか、ここでは具体例を列挙して説明していきます。広告宣伝費として計上してよいものかどうか迷った際に参考してください。また、消費税の課税区分についても注意点がありますので、ここで解説していきます。

勘定科目「広告宣伝費」とは

「広告宣伝費」とは不特定多数の方に向けた宣伝効果を意図して支出する経費のことをいいます。つまり自社の製品やサービスを宣伝するためのインターネット広告や新聞広告、テレビのCM作成、パンフレットやリーフレットの作成などにかかった経費を計上する時に使用する勘定科目です。

広告宣伝費の内訳

広告宣伝費となるものの内訳は以下です。

【広告宣伝費に含まれるもの】

  • 新聞や雑誌、情報誌などの広告代
  • ポスターやチラシ、パンフレット、カタログの制作費用
  • 会社案内の作成費用
  • サンプルや見本品の費用
  • ホームページの作成費用
  • バナー広告代
  • 求人広告費用
  • 広告目的で配布するカレンダー・手帳・タオルなどの費用
  • 広告宣伝のためのクイズや懸賞の賞金・商品の費用

一方で以下に該当するものは広告宣伝費になりません。

【広告宣伝費に含まれないもの】

  • 広告宣伝効果はないが、特定の事業者との関係を良好にするために支出する協賛金
  • イベントの主催団体や自治体と良好な関係を築くために支出する協賛金
  • 得意先や仕入先などの事業関係者に対する贈答品などの費用

また広告宣伝費となるものの特徴として、宣伝効果が1年以内に失われることが挙げられます。その効果が1年を超えて発生するものは、広告宣伝費とは別に会計処理しなければなりません。このように広告宣伝費として計上される費用は、不特定多数の人に対する広告宣伝効果を持たなければなりません。

一方で広告宣伝費に該当しないものは、特定の相手との関係を良好にするために支払った費用です。該当しない費用の例として、宣伝効果が不明瞭な特定の相手・企業に対する接待代やお土産代などが挙げられます。

協賛金が広告宣伝費となる場合・ならない場合

協賛金とは、例えばイベント等が開催される際、そのイベント等の趣旨に賛同する個人事業主や企業が一部を負担する開催費用のことです。個人事業主や企業が協賛金を支出した目的によって取り扱いが異なります。

【協賛金を支出する目的別の仕訳方】

  1. 宣伝効果があるため、広告宣伝として協賛金を支出する →広告宣伝費
  2. 宣伝効果は見込めないが、協賛金を募っている事業者との関係を良好なものとすることを目的として協賛金を支出する →交際費
  3. イベントを主催する団体や地域との良好な関係を築くために、協賛金を支出する →寄附金

上記のように、広告宣伝費として協賛金を仕訳できるのは対象が不特定多数である1の「宣伝効果があるため広告宣伝として協賛金を支出する」場合です。特定の対象のための費用は交際費や寄附金なので注意しましょう。

名刺が広告宣伝費となる場合

名刺を作成した場合に掛かった費用の勘定科目は、消耗品費や事務用消耗品です。なぜなら名刺は基本的に少額物品の購入となる場合が多いためです。

ただし名刺作成代の勘定科目として広告宣伝費を使用できる例外もいくつかあります。

  • 広告宣伝のために不特定多数の人に名刺を配る目的で作成した場合
  • デザイン会社や広告代理店等に依頼して名刺を作成した場合
  • 商品の説明を名刺のような紙に印刷した場合

広告宣伝費は消費税の課税対象

広告宣伝費は原則として、消費税の課税対象となります。協賛金などの対価性のない寄附金は課税仕入にはなりませんが、協賛金に広告効果などの対価性が認められる場合は課税仕入です。

またビール券や商品券等を購入した場合や譲渡した場合は非課税取引となります。

広告宣伝費は個人事業主でも経費にできる

個人事業主も法人の場合と同じく、店舗や事務所、あるいは商品やサービスを不特定多数の人に向けて広告宣伝するためにかかった金額は、広告宣伝費として経費に計上できます。

計上するタイミングは広告宣伝を行なった時

広告宣伝費に計上するタイミングは広告宣伝のためのお金を支払った時ではなく、実際に広告宣伝を行なった時点です。

例えば新聞や雑誌に広告を掲載する場合は、実際に掲載された日に費用計上します。またポスターやチラシを作成する場合は、そのポスターやチラシを実際に張り出したり配布したりした日です

ただし広告宣伝の方法によっては、支払時期と実際の広告の時期が期をまたぐこともあります。その場合は実際に広告が始まる時点から完了する時点までの期間が含まれる年度で広告宣伝費として計上します。例えば以下のような場合です。

【例:年度内にテレビCMを契約し支払いも終えたが、翌年度にテレビCMが放映される場合】

2021年12月 テレビCM代の支払い

2022年3月 今年度決算(テレビCM代除く)

2022年4月~ テレビCMが放映開始 (2023年3月までにCMが終了すると想定)

2023年3月 翌年度決算(テレビCM代含む) ←ここで計上

広告宣伝費の処理の仕方

広告によっては効果が期をまたいだり、長期間にわたって掲載したりする物もありますよね。そうした場合、広告宣伝費としてはどのように処理すれば良いのでしょうか?またどう処理すれば節税に繋がるのでしょうか?以下で詳しく解説していきます!

広告宣伝費は固定費だが、変動費になる場合もある

法人や個人事業主が支払う費用には、固定費と変動費の2種類があります。このうち固定費は売上に関係なく、一定期間に一定の金額が発生するものです。家賃や通信費・水道光熱費などは固定費の代表例といえます。一方で変動費は売上に応じて変動する費用です。例えば仕入や原材料費などが変動費に該当します。

広告宣伝費は、基本的に固定費に該当します。なぜなら売上と広告宣伝費との間の明確な因果関係が存在しないからです。

ただし広告宣伝の方法によっては、広告宣伝費が変動費に該当します。例えば商品を3個購入したら1個無料にすることとした場合、売上に比例して確実に広告宣伝費が発生するため変動費になるのです。

広告宣伝費は節税に利用することもできる

広告宣伝費は経費になるので、計画的に広告宣伝を利用すれば節税に利用できます。例えば予想以上に利益が発生したため、予定になかったカタログを作成して予算を超える費用を計上するようなケースです。期末近くに広告を実施すれば今期の節税になるほか、翌期の売上増にも繋がるでしょう。

ただし節税目的の広告宣伝を行なう場合には注意が必要です。今期の広告宣伝費として計上したい場合、今期中にカタログを作成したり広告が掲載されたりしなければなりません。もし期間内に広告宣伝が完了しなければ費用計上できるのは翌期となり、今期の税額を減らすことができないのです。

広告宣伝費は期をまたぐ経理処理も可能

毎月発生する広告宣伝費をまとめて支払っている場合、契約期間が2つの会計期間にまたがる「期をまたぐ」ケースがあります。そうした場合、支払った広告宣伝費のうち今期の費用となるのは今期中の月数分だけです

例えば3月決算の法人で、2022年12月15日に2023年1月~2024年12月の2年分の広告宣伝費を支払ったとします。この場合、2022年度分の広告宣伝費となるのは2023年1~3月の3か月分だけであり、残りの21か月分は翌期以降の費用となるため前払費用に計上します。

例外として期をまたぐ場合でも契約期間が支払から1年以内で、かつ毎期同様の支払いがあるのであれば、支払時点の含む年度で広告宣伝費として計上することが認められます。ただしこの場合は翌年度に同じ支払が発生すると、同じように支払時の費用として処理しなければなりません。

広告宣伝費は繰延資産になる場合もある

広告宣伝費とした支出の中には、効果が1年以上にわたって及ぶものもあります。例えば自社の商品を取り扱ってくれている店舗に、看板や陳列棚、広告宣伝用の自動車などを提供した場合です。

金額が20万円未満であれば、効果が1年以上のものも広告宣伝費として費用計上が認められます

しかし20万円以上になると繰延資産に該当するため、長期前払費用としなければなりません。なぜなら資産は最高60か月で償却計算しなければならないので、支出時の費用になり得ないからです。

広告宣伝費と他の勘定科目の違い

広告宣伝費と交際費の違い

法人でも個人事業主でも、広告宣伝のための支払いが発生すると広告宣伝費に計上するのが原則です。しかし中には広告宣伝費に該当するのか、販売促進費や交際費など他の勘定科目に該当するのか、判断に迷うケースも少なくありません。

そこで広告宣伝費とその他の勘定科目との違いから、どのように勘定科目を決定するのか確認していきましょう。広告宣伝費と他の費用との違いを列挙すると、以下のようになります。

勘定科目 使用目的 費用の対象者 具体例
広告宣伝費 会社の知名度を上げる・売上を増やす 不特定多数(消費者) ポスター・チラシ・会社案内・ホームページ作成費用
販売促進費 商品販売やサービス普及を促し売上増加を図る 商品を購入した又は購入見込みの法人・個人 商品サンプル・ノベルティグッズ・割引券・クーポン券
交際費 取引先などの関係者と円滑な関係を築く 取引先や仕入先など事業に関係のある法人・個人 飲食代・お中元・お歳暮
外注費 外部の法人・個人に業務の一部を委託する 業務委託した法人・個人 デザイン・プログラミング・原稿料

広告宣伝費と販売促進費の違い

広告宣伝費と販売促進費の大きな違いは対象者です。広告宣伝費は不特定多数の人を対象とすることです。これに対し販売促進費は実際に顧客となっている、あるいは顧客になる可能性のある法人や個人に、直接的に働きかけるために支払います。そのため商品やサービスを特定の人に見てもらう、あるいは試してもらうための費用は販売促進費なのです。

また同じものを購入してもらっても、作成物の対象者によって勘定科目を使い分けることができます。例えば対象者を絞らずに作成した商品サンプルの作成費用は広告宣伝費となります。これに対し、商品サンプルを取引先へ配布するために作成した場合は販売促進費です。

広告宣伝費と交際費の違い

広告宣伝費と交際費の大きな違いもまた対象者です交際費が得意先や仕入先など事業に関係のある相手に対する贈答品などの費用であるのに対し、広告宣伝費は不特定多数の人に対する費用です。対象となる相手は幅広い一方で、まったく何の利害関係もない人の可能性もあります。

ただし広告宣伝費と交際費の識別は難しいのが正直なところです。例えば会社の名前の入ったカレンダーを取引先に渡す際の費用は、交際費に該当すると考えられる方も多いかと思います。しかしカレンダーのような少額のものを受け取った側には接待や贈答を受けたとする意識はなく、不特定多数が対象のパンフレットやチラシを受け取ったのと違いはありません。

そこで交際費については、国税庁のホームページで確認するのが安心でしょう。

交際費等とは、得意先や仕入先その他事業に関係のある者に対する接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用をいいます。ただし、カレンダー、手帳、手ぬぐいなどを贈与するために通常要する費用や次のような不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図した費用は、交際費等には含まれないものとされ、広告宣伝費となります。

  1. 製造業者や卸売業者が、抽選により、一般消費者に対し金品を交付するための経費又は一般消費者を旅行、観劇などに招待するための経費
  2. 製造業者や卸売業者が、金品引換券付販売に伴って一般消費者に金品を交付するための経費
  3. 製造業者や販売業者が、一定の商品を購入する一般消費者を旅行、観劇などに招待することをあらかじめ広告宣伝し、その商品を購入した一般消費者を招待するための経費
  4. 小売業者が商品を購入した一般消費者に対し景品を交付するための経費
  5. 一般の工場見学者などに製品の試飲、試食をさせるための経費
  6. 得意先などに対して見本品や試用品を提供するために通常要する経費
  7. 製造業者や卸売業者が、一般消費者に対して自己の製品や取扱商品に関してのモニターやアンケートを依頼した場合に、その謝礼として金品を交付するための経費

引用元:No.5260 交際費等と広告宣伝費との区分|国税庁

さらに国税庁のホームページでは、以下のような特定の業種を営む人たちを対象にしている場合、「一般消費者を対象にしている」ことにはならないと例示されています。以下のような場合は注意が必要です。

  1. 医薬品の製造業者や販売業者が医師や病院を対象とする場合
  2. 化粧品の製造業者や販売業者が美容業者や理容業者を対象とする場合
  3. 建築材料の製造業者や販売業者が、大工、左官などの建築業者を対象とする場合
  4. 飼料、肥料などの農業用資材の製造業者や販売業者が農家を対象とする場合
  5. 機械又は工具の製造業者や販売業者が鉄工業者を対象とする場合

引用元:No.5260 交際費等と広告宣伝費との区分|国税庁

広告宣伝費と外注費の違い

広告宣伝費と外注費の違いは、広告物の作成に依頼側が関わったか否かです。依頼側が少しでも関わった場合は外注費となります。

例えばチラシの構想から作成まで全て外部業者に完全委託した場合、支払った費用は原則として広告宣伝費です。なぜならチラシは会社名や商品名などを知ってもらうために作成したと考えられるためです。

しかし依頼側の企業が構想を練るなどしてから外部業者に指示通りにチラシを作成してもらった場合、支出は外注費に該当します。なぜならこの場合に掛かる費用は、会社が考える内容のチラシを外部の業者に作成してもらうためのものだからです。

広告宣伝費の仕訳例

広告宣伝費の具体例と仕訳例

ここでは広告宣伝費の具体例についてより詳細に紹介します。製品やサービスを宣伝するための費用でも、広告宣伝費として経費計上できないものもあるので注意が必要です。

テレビ・新聞・ローカル雑誌等への掲載費用

販売する製品やサービスを宣伝するために、テレビ・新聞・ローカル雑誌等へ掲載した際に支払った経費を広告宣伝費として計上できます。例えば自社製品をローカル雑誌で宣伝するために、50,000円を預金から振り込んだ場合には以下のような仕訳を行います。

借方 貸方 摘要
広告宣伝費 50,000円 普通預金 50,000円 雑誌掲載費

ホームページ作成経費

個人事業主でもホームページを持っている場合は多く存在します。このように自社製品やサービスを宣伝するためにホームページの作成や維持費用が発生した場合、広告宣伝費として計上できます。

ただし高機能のホームページの場合、国税庁の見解によるとプログラムの一種とみなされるため、無形固定資産として計上し、5年間で償却して経費にしていく必要があります。なお高機能のホームページとは以下のようなものをいいます。

  • 動画を配信する機能・・・動画を掲載しているサイト
  • ネット予約できる機能・・・美容院など予約できるサイト
  • ネット販売などで商品を検索する機能・・・ウェブショップなど
  • PDFなどをダウンロードできる機能・・・E-BOOKなどを無料ダウンロードできる機能
  • 会費を収集する機能・・・有料のオンラインサロンなど

ホームページ作成費用として100,000円を預金から支出した場合は次のように仕訳を行ないます。

借方 貸方 摘要
広告宣伝費 100,000円 普通預金 100,000円 ホームページ作成費用

次に高機能のホームページの作成費用として500,000円を預金から支出した場合は次のように仕訳を行ないます。

借方 貸方 摘要
ソフトウェア 500,000円 普通預金 500,000円 ホームページ作成費用
借方 貸方 摘要
ソフトウェア償却費 100,000円 ソフトウェア 100,000円 ホームページ作成費用

チラシ・パンフレット等の作成費用

チラシ・パンフレット等を作成し、製品やサービスを宣伝する場合にも広告宣伝費として経費に計上できます。パンフレット作製費用として100,000円を預金から支出した場合には以下のように仕訳を行ないます。

借方 貸方 摘要
広告宣伝費 100,000円 普通預金 100,000円 パンフレット作成費用

また納品されたパンフレットのうち、未使用在庫となっているものは 「貯蔵品」として仕訳します。例えばパンフレット作製費用として100,000円を預金から支出し、70,000円分を配布したことによって30,000円分が在庫として残った場合、以下のように仕訳します。

借方 貸方 摘要
貯蔵品 100,000円 普通預金 100,000円 パンフレット作成費用
借方 貸方 摘要
広告宣伝費 70,000円 貯蔵品  70,000円 パンフレット作成費用

営業活動で配布する物品の購入経費

例えば営業活動で配布するために5,000円の物品を現金で購入した場合の仕訳は以下のようになります。

借方 貸方 摘要
広告宣伝費 5,000円 現金 5,000円 物品購入費

広告宣伝費の相場は?

広告宣伝費にかける金額は会社や業種によってその適正なラインが異なり、一概にいくらがいいとは言えません。

しかし広告宣伝費の業界別の相場は、おおよその金額が分かります。また広告宣伝費を多く支出している企業についても、そのランキングを調べることができます。このような指標から、どれくらい広告宣伝費にかけるのがいいか考えてみましょう。

業界別・広告宣伝費の相場

ここでご紹介するのは、東洋経済オンラインの「『広告宣伝費』が多いトップ300社ランキング』から算出した業界別の売上高に対する広告宣伝費の比率です。各会社によって事情が異なるため必ずしもこの表のとおりではない場合もありますが、参考にしてみてはいかがでしょうか。

業界・業種名 売上に対する広告宣伝費の比率・割合
外食・関連サービス 5%
化粧品・健康食品 10%
不動産 4%
教育 3%
通販・サービス 15~20%
化粧品 15~20%
流通 1~3%
自動車 1~2%
飲料 5%
金融 1~5%

参考:東洋経済オンライン(2017年)「『広告宣伝費』が多いトップ300社ランキング」

引用元:業種別・業界別広告宣伝費(販促費)の売上比率・割合の平均は?最適な広告予算を立てよう

上記の表を見るに、業界・業種ごとに広告宣伝費が占める割合は大きく異なっているようです。

例えば売上が10億円、広告宣伝費が5,000万円という会社があった場合、売上高における広告宣伝費の割合は5%となります。この会社の業界が外食・関連サービスであれば割合は業界相場といえますが、流通業であればほぼ相場の倍である可能性があります。

その業界・業種の相場をある程度把握して、広告宣伝費にかける金額を考えるとよいでしょう。

広告宣伝費の費用が多い企業ランキング

同じく東洋経済オンラインの「『広告宣伝費』が多いトップ300社ランキング』では、2020年9月期~2021年8月期の広告宣伝費が多い上位50社までをランキング形式で掲載しています。以下ではそのうちトップ10を紹介します。

順位 会社名 広告宣伝費(億円)
1 ソニーグループ 2,600
2 日産自動車 2,325
3 イオン 1,705
4 リクルートホールディングス 1,417
5 サントリー食品インターナショナル 1,306
6 セブン&アイ・ホールディングス 1,129
7 ブリヂストン 974
8 マツダ 925
9 資生堂 860 
10 任天堂 844
参考:東洋経済オンライン(2021年)「『広告宣伝費』が多いトップ300社ランキング」

現在では新型コロナウイルスの感染拡大で多くの企業が影響を受けていることで、広告宣伝費の額は大きく減少傾向となっています。1位のソニーグループでも、2020年よりも1000億円ほど広告費が減ったよいです。

一方でコロナ禍の影響で巣ごもり需要が拡大したため、ゲーム会社である任天堂の広告宣伝費が増えた年となりました。

【まとめ】広告宣伝費を理解して確定申告に備えよう

広告宣伝費を理解して確定申告に備えよう

どのようなものが広告宣伝費となるのか、そして支払った広告宣伝費がいつの費用となるのかは、会社や個人事業主が広告宣伝費を理解するうえで大きなポイントとなります。支払ったタイミングで費用とならないものについては、特に注意が必要です。

また広告宣伝費は費用となるため節税にも利用できますが、広告宣伝費を使いすぎるとかえって事業の足を引っ張りかねません。適正な水準を把握しておき、いつの費用とするのかを考えたうえで、計画的に広告宣伝活動を行なっていきましょう。

監修税理士からのコメント

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

交際費と広告宣伝費とは混在しがちです。 税金計算上の取り扱いも異なりますので、国税庁の例示をしっかりと見て、損をしないようにしましょう。

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この記事の監修税理士

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

安田亮(公認会計士・税理士・CFP🄬)1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格、2010年京都大学経済学部経営学科卒業。大学在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応等を経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。所得税・法人税だけでなく相続税申告もこなす。