「確定申告終わらせたー!」それで終わりだと思っていませんか?実は、そこはまだ道の途中です。所得税が確定したら納税、そこまでが一括りの手続きです。
申告期限である3月15日までに申告書を税務署に提出するとともに、申告書に記載した金額と同じ額の税金を納付しましょう。
この記事では、税金を納めるときの支払い方法について具体的に説明します。自分にあった納税方法を選ぶ参考にしてください。
税金の支払い方法は?
確定申告によって計算した所得税を納付する方法としては、次の6つがあります。
- 振替納税
- クレジットカード納付
- コンビニ納付
- ダイレクト納付
- インターネットバンキング
- 窓口納付
以下、それぞれの方法について順番に説明します。
所得税は、自分で計算をして納付をしないといけません。住民税や固定資産税のような税金では役所が税金の計算をして納付書を郵送してきてくれますが、所得税の場合にはこのようなことはないのです。
もし納付期限が過ぎてしまうと、延滞税や加算税といった形でペナルティを課せられてしまう可能性もありますから注意してください。
振替納税
所得税の納税を行う方法の1つ目は、振替納税です。
これは、指定した銀行口座から、一定の期日が来たタイミングで自動的に税金の引き落としをしてもらう方法です。
水道光熱費や携帯電話料金が自動的に引き落とされるのと同じように、確定申告書で申告した税額が自動的に引き落としにかかります。
所得税の場合、振替期日は以下の通りです。事業者の方が所得税と同時に申告する、消費税についても振替納税を使えます。
- 所得税の振替納税引き落とし日:4月中旬
- 消費税の振替納税引き落とし日:4月中旬~下旬
振替納税を行う方は、3月15日までに預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書を所轄の税務署か、口座振替を利用する金融機関に提出してください。
メリットは、納税期限を1か月程度伸ばしてもらえること
税務署のホームページでは「4月中旬」となっていますが、通常は4月20日に引き落としがかかることが多いです(土日に当たる場合はその翌日)。
現金で納めた場合の所得税の納付期限は3月15日ですから、1か月ほど納期日を待ってもらことができます。
振替納税のメリットは払い忘れになるのを防げる点と、現金で納める場合と比べると納税期限が少し長くなることですが、万が一口座残高が足りないなどの場合には納税未済となってしまうので注意しておきましょう(引き落とし日に納税ができないと延滞税が発生してしまいます)。
また、事業をされている方は大きな金額が忘れたころに突然引き落としされると、資金繰りに大きな影響を与えてしまいますから、納税用の口座を別に作っておくか、資金繰り表の準備をしっかりと行うようにしてください。
振替納税を利用するデメリット
以前は振替納付の場合も領収書が発行されていたのですが、現在は領収書の発行はされなくなっています。
その代わりに、国税庁のe-Taxのサイト(確定申告の電子申告を行うサイトです)の画面上で振替金額の表示がされる仕組みになっています。この画面を納税済みの証明に使うことができます。
融資審査を受ける際など、正式な納税額を証明する必要がある場合には、税務署で納税証明書の発行をしてもらうようにしましょう。
また、引っ越しなどによって所轄の税務署が変わった際には、もう一度「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」を提出する必要があります。
この手続きを忘れてしまうと引き落としがされないため、転居をした際は忘れずに手続きを行いましょう。
クレジットカード納付
現在、印紙税以外のすべての種類の税金はクレジットカードで納付することができるようになっています。
一般的なカード会社のクレジットカードであれば問題なく使うことができます。ただし、納税額は1000万円未満であることと、当然ながらクレジットカードの利用限度額を越えることはできません。
なお、申告書に記載する本税の金額だけでなく、延滞税や加算税などの税金についてもクレジットカード払いが選択できますので便利です。
クレジットカードを使えば、クレジットカードの決済日までは現金を手元に置いておけるので、一時的に資金繰りに余裕が出るという大きなメリットがあります。
クレジットカード払いのデメリット
一方で、クレジットカード払いを選択することには、次のようなデメリットもあります。
- 納税証明書の発行が遅い(3週間程度)
- 決済手数料がかかる(納税額1万円まで82円で、以降1万円ごとに82円加算)
深刻な問題となるケースがあるのは納税証明書の発行が遅い点です。
銀行融資の審査を受けるときにはこの納税証明書の提出を求められるのが普通ですから、3月~4月のタイミングで借入を検討している方は注意しましょう。
クレジットカード払いが認められるのは専門サイト経由のみ(窓口不可)
税金のクレジットカード納付は「国税クレジットカードお支払サイト」という専門のインターネットサイトを使わないと手続きができません。
税務署の窓口や銀行の窓口でクレジットカード払いをしようとしても、認めてもらえないので注意してください。
コンビニ納付
税金の納付は、コンビニでも行うことができます。大手のコンビニであれば納付が可能です。
税務署に所得税の確定申告書を出すときに、「バーコード納付書」をもらい、その納付書をコンビニのレジで読み取ってもらうことで納税ができるシステムです。バーコード納付書は窓口でその場で発行してもらいましょう。
コンビニ払いを行った際にはコンビニで「払込金の受領書」が発行されます。役所が発行する領収書とは違いますが代替できます。
コンビニ納付のデメリット
コンビニ納付は30万円を超える納税には使えません。納付額が30万円を超える方は他の方法で納税してください。
また、バーコード納付書には利用期限があります。利用期限は納付書の裏面に記載されているので、きちんと確認の上期限内に納付を済ませましょう。
コンビニ納付を選択した場合、納税証明書の発行に3週間程度必要になる点も注意が必要です。
ダイレクト納付
確定申告を電子申告の形で行った場合、ダイレクト納付を利用することができます。
ダイレクト納付とは、その名の通り、インターネットのサイト(「e-Tax」)上で操作を行うことにより、指定した銀行口座から直接引き落としをしてもらう方法です。この方法ではインターネットを通じて手続きをするとすぐに口座から納税額が引き落とされます。
ダイレクト納付のメリット
ダイレクト納付はインターネットを使用できる環境があれば、どこでも納付できるのが最大のメリットと言えるでしょう。
わざわざ窓口や銀行に赴くのが面倒な方や子育てなどで外出が難しい方におすすめです。
ダイレクト納付のデメリット
ダイレクト納付は、確定申告をe-Taxで行った人のみが利用できる納付方法である点に注意が必要です。
また、ダイレクト納付を使った場合にも領収書を発行してもらうことはできません。e-Taxのサイト上で表示される納付済みページを納税済みである証拠に使う必要があります。
ダイレクト納付の利用可能時間はe-Taxの利用可能時間内のみである点にも注意してください。利用可能時間は時期によっても異なるため、事前に確認しておきましょう。
インターネットバンキング等
インターネットバンキングを使っている人であれば、税金を普段のインターネットバンキングの利用サイト上から支払うことも可能です。
使い方としては次の2ステップが必要になる点に注意してください。
まず、あらかじめe-Taxのページで「e-Taxの開始届出書」を提出しておきます。
「e-Taxの開始届出書」はこちらから作成が可能です。
開始届出書を送信すると、次の3つが発行されますのでメモしておいてください(③は誰でも共通であらかじめ決まっています)。
- ①納付番号(利用者識別番号)
- ②納税用確認番号(開始届出書を送信する際に、自分で決めます)
- ③納付目的コード(国税庁のページで確認できます)
これらの番号を控えたら、利用されているインターネットバンキングの税金払い込みのページに進みましょう。
「収納機関番号」の入力を求められると思いますので、ここでは国税庁を意味する「00200」を入力してください。
後は、画面の表示に従って上の①~③を入力していけば、インターネットバンキング上の処理で銀行口座が納税額を引き落としてもらうことができます。
インターネットバンキングのメリット
インターネットバンキングはいつでも、どこからでも納税が可能です。お忙しい方にはありがたい納税方法といえます。
インターネットバンキングのデメリット
この方法で支払った場合にも領収書は発行されません。e-Tax上の振り込み済みページを納税済みであることの証明に使わざるを得ないので注意しましょう。
窓口納付
もちろん窓口納付も可能です。
税務署の窓口や、郵便局、日本銀行歳入代理店である銀行または信用金庫の窓口で現金を支払うことによって納税することができます。
日本銀行歳入代理店はこちらのサイトから確認が可能です。
窓口であれば、税務署の領収書をその場で受け取ることができますし、納税証明書もその場でもらうことができます。銀行で納付した場合は、銀行発行の領収書を持参すればすぐに発行できますので、必要な方は利用してください。
ただし、上述したように、窓口納付の際にクレジットカードは使えないことに注意してください。
税金の支払い期日は?
上では所得税の支払期日について説明いたしましたが、その他の税金についても支払期日がありますので確認しておきましょう。
それぞれの税金の支払期日は以下に記載の通りです(それぞれ、土日や祝日に当たる場合はその翌日が支払期日です)。
- 所得税及び復興特別所得税:3月15日
- 消費税及び地方消費税:3月31日
- 贈与税:3月15日
- 法人税:事業年度終了の翌日から2か月以内
- 相続税:相続発生を知った日の翌日から10か月以内
- 源泉所得税:源泉徴収を行う必要がある支払いをした月の翌月10日まで
なお、所得税は納税額が一定額を超える場合には、1年間で何回かに分けて納める「予定納税」を行う必要があります。
所得税を予定納税で納める場合、納期限は以下の通りです。
- 第1期の予定納税:7月31日
- 第2期の予定納税:11月30日
なお、所得税の第3期はすなわち確定申告による納税をさします。
第1期と第2期の予定納税額は、あくまでも概算額での前払いですので、確定申告の計算で年間に納付すべき正確な金額と清算し、3月15日の納税期限で差額を支払います。
どうしよう!税金が払えない時!
税金は納期限までに必ず納める必要があります。
もし期限までに納税ができない場合には、延滞税や加算税といった形でペナルティが課せられる可能性がありますので、注意しておきましょう。
以下では税金を期限までに支払うことができない場合の扱いについて説明いたします。
税金の支払いは基本的に現金
税金の支払いは、基本的に現金で行う必要があります。
ただし、相続税については土地や建物といった不動産をそのまま税務署に所有権移転することで納税の代わりとしてもらうこと(物納)も可能になっています。
ただし、物納の場合には、その不動産の評価額は、相続税の計算を行う際に使った評価額(土地なら路線価・建物なら固定資産税評価額)によって計算される点に注意が必要です。
これらの不動産評価額は市場価格よりも一般的に低く設定されているからです。
具体的には、路線価は時価のおよそ8割程度、固定資産税評価額は時間の7割程度になることを理解しておきましょう。
不動産を相続税納期限までに売却して現金で納めるのは?
物納以外の方法として考えられるのは、不動産を売却してその代金で相続税を支払う方法です。
しかし、相続税の納期限は自分が相続人となる相続が発生したことを知った日の翌日から10か月以内ですから、その間に不動産の売却を完了しなければなりません。
通常、不動産の売却には買い手が見つかるまで長い時間がかかりますし、あせって売買契約を成立させた場合には市場価格よりも安い値段で売らざるを得ない場合もあります。
不動産の売却には不動産仲介業者に支払う手数料なども発生するので注意が必要です。
支払い期日に遅れると延滞税がかかる
納期限までに納税を行わなかった場合には、次の計算式に基づいて延滞税が課税されてしまいます。
- 2か月以内の分:本税の金額×2.6%×延滞日数÷365日
- 2か月超の分 :本税の金額×8.9%×延滞日数÷365日
納期限の日から2か月以内の分と、2か月超の分を別々に計算し、合算した額が延滞税です。
例えば、100万円の税金を300日間延滞したとすると、延滞税の計算は以下の通りです(1か月間は31日とします)。
- 2か月以内の分:100万円×2.6%×(31日×2か月)÷365日=4416円
- 2か月超の分 :100万円×8.9%×(100日-62日)÷365日=9265円
- 合算の金額:4416円+9265円=13600円(百円未満は切り捨て)
延滞税は日割り計算で計算され、1日遅れればその1日分、税金の負担額が大きくなってしまいます。
また、2か月を超える場合の延滞税利率は現状8~9%と、消費者金融でキャッシングしたときに近い高利率となっているので、少しでも早く納税するようにしましょう。
※延滞税の税率は毎年変わります
どうしても支払いができない場合は延納の届け出を
納税がどうしてもできない場合には、税務署の窓口に「延納の届け出」を出すことによって、納税を待ってもらうことも可能です。
ただし、延納を利用する場合には次のような条件がある点に気をつけておきましょう。
- 納期限に本税の2分の1は支払わないといけない
- 利子税がかかる(平成30年中は0.7%:毎年変わります)
利子税の負担は延滞税と比べるとはるかに安くなりますので、どうしても払えない場合には納期限に半分を納税したうえで利子税を負担する延納を利用するほうがメリットは大きいでしょう。
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今回は、確定申告の際の税金の支払い方法について解説いたしました。
従来は現金払いか振替納税しか選択肢がありませんでしたが、現在はインターネット経由の支払いやクレジットカード払いも選択できるようになり、とても便利になっています。
納税が遅れると延滞税や加算税などのペナルティが課せられるとともに、納税証明書の発行が遅れるなどの影響が出ますから注意しておきましょう。
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