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固定資産税は分割払いがキホン!納期やお得な支払い方法まで解説

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最終更新日: 2024年01月29日

固定資産税には分割払いと一括払いがありますが、分割払いが一般的でお得といわれています。今回は固定資産税の基礎知識から固定資産税を納めるにあたって知っておきたい納付期間や納付期限、そしてお得な支払い方法まで解説していきます。

この記事を監修した税理士

高崎文秀税理士事務所 - 東京都文京区本郷

高崎文秀(たかさきふみひで)文京区水道橋駅近くで、低価格で品質の高いサービスをご提供する税理士事務所を運営。起業家向けに月額1万円、決算料なしからの税務顧問を提供する。 創業したばかりでお金と時間に余裕がない、という方でも経理、節税、税務調査などを心配せず、本業に集中して頂き、1日でも早く事業を軌道に乗せて頂くことをコンセプトしている。事務所HP : https://ft-taxacc.com/

固定資産税についての基礎知識

固定資産税についての基礎知識

家族が増えるので新しい家が欲しい、事業を始めるので建物を購入したい、そのような時に気になることの1つに固定資産にかかってくる税金があります。ここでは固定資産税について、共有名義の固定資産税の課税方法、そして固定資産税の計算方法などをお伝えしていきます。

そもそも固定資産税とは?

固定資産税とは、土地(住んでいる場所の土地や田畑、山林など)・建物(家屋や倉庫、店舗や工場など)そして償却資産(事業などで使うパソコンや農機具など時間が経過すると価値が減少していくもの)にかかってくる税金のことをいいます。

その年の1月1日の時点で所有している人が固定資産がある所在地の市町村に納めなくてはならない税金のことを固定資産税というのです。

その金額は、市区町村が算出した固定資産税評価額に基づいて、同年の4月1日から翌年の3月31日までの分になります。

共有名義の固定資産はどう課税されるか

共有名義になっている固定資産の場合は、どうやって課税されるの?と迷われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。共有名義の場合は共有者が全員で共有しているという捉え方をします。そのため共有者全員で固定資産税を負担しなければならないということが地方税法によって決められているのです。

例えば家屋を父と息子が共有名義にしていた場合を例にしてみます。父がまとめて全額を支払ったという場合は、息子の納税義務はなくなるということになります。

ここで注意することが1つあります。上記のように全額を片方が支払うこと自体は問題がないのですが、相続税法を加味すると金額によっては贈与にあたることがあるため、贈与税の納税義務が発生する場合があります。生活費贈与などは贈与税の課税対象とならないことも考えられるため事前の確認をしておくと安心ですね。

納税通知書は共有名義先1つに1通だけが代表者になっている方に送られてきます。そして代表者は変更届で変更することもできます。

固定資産税の計算方法

固定資産税は、所持している固定資産の評価額に標準税率(1.4%)をかけることで計算することができます。

固定資産税を求める計算式:固定資産の評価額×標準税率(1.4%)

固定資産の評価額は土地や家屋の時価の約70%で、各自治体の調査によって決まります。評価額は持っている土地の価格の変動があるため、3年に1回見直しをして再評価が行われることになっています。

住んでいる土地や家屋の場合には、住んでいる家屋の住宅用地の特例があり、住んでいる土地や併用している住宅の建物の4分の1を居住用としている土地の固定資産税については、条件に応じた特例措置が取られているのです。市区町村の条例によっては、固定資産税が軽減される特例が設けられていることもあります。

また建てたばかりの新築物件の特例(2020年3月31日まで)など条件によっては固定資産税の軽減措置の適用になるものもありますので、該当するものは使っていきたいところです。

固定資産税は原則年4回の分割払い

固定資産税は原則年4回の分割払い

固定資産税は原則として年4回の分割で支払いをすることが一般的です。気になるのはその支払い月と時期、そして支払い納期の期限ではないでしょうか。ここでは、固定資産税の納付期間とその納付期限、そして一括払いについてもお伝えしていきます。

固定資産税の納付時期はいつ?

固定資産税の納付期間や納付期限はいつになるのでしょうか。固定資産税は、市区町村(東京都の23区内は都)から、例年4月から6月頃に通知が送付されてきます。

固定資産税の納付時期は基本的には年に4回となっています。市区町村(東京都の23区内は都)や自治体によってその納付期限もさまざまです。ここでは東京23区内の期間と期限と神奈川県横浜市の期間と期限を例にとって見てみましょう。

例)東京23区内の場合の納付期間・納付期限は以下のようになっています。

第1期  令和元年6月1日から6月30日まで (納付期限 6月30日)
第2期  令和元年9月1日から10月2日まで (納付期限 10月2日)
第3期 令和元年12月1日から12月27日まで (納付期限 12月27日)
第4期  令和2年2月1日から2月28日まで (納付期限 2月28日)
(令和元年度固定資産税・都市計画税の納税通知書は、6月1日に発送)

そして神奈川県横浜市の納付期間・納付期限は以下のようになっています。

第1期 令和元年4月1日〜4月30日まで(納付期限 4月30日)
第2期 令和元年7月1日〜7月31日まで(納付期限 7月31日)
第3期 令和元年12月1日〜12月31日まで (納付期限 12月31日)
第4期 令和2年2月1日〜2月28日まで (納付期限 2月28日)
(令和元年度固定資産税・都市計画税の納税通知書は、4月上旬に発送)

市区町村によってもこのように納付期間と納付期限はまったく異なってきますので、あなたの固定資産のある市区町村の納付期間と納付期限を調べておくといいですね。

一括払いができる場合もある

固定資産税の支払い方は、一括払いか年4回払いか、いずれかを選択することができるようになっています。そのためもちろん一括払いで支払うこともできます。ただし、国民年金のように前納や一括払いすることによる割引などは残念ながらありません。

支払い用紙についても知っておきたいところ。その年に固定資産を持っている場合には4月になると固定資産税の支払い案内が固定資産のある市区町村から送られてきます。送られてくる通知書には一括払いまたは分割払いそれぞれの場合の振込用紙が合計して5枚付いてきますので、どちらかを選んで固定資産税を納めることになります。

気になる一括での支払いの納付期限ですが、一括でその年の1年分を納める場合は、毎年ほぼ同日の4月30日が納付期限となります。

固定資産税は一括払いより分割払いの方がおすすめ

固定資産税は一括払いより分割払いの方がおすすめ

固定資産税の支払いをする時には一括払いと分割払いのどちらがよいのでしょうか。結論から言いますと、分割払いの方がメリットが大きく、そのため固定資産税は分割払いの方をおすすめします。

ここでは一括払いと分割払いの支払い額について、そして分割払いをおすすめする理由をお伝えしていきます。

合計の支払い額はどちらも同じ

一括払いというと国民年金の一括払いを思い出す方が多いのではないでしょうか。国民年金は一括で支払いをした方が合計の支払い額は安くなりました。そのため一括払いの方が支払い額が安いのでは……と思うのも無理はありません。

しかし、固定資産税の場合は分割で納付しても一括で納付しても合計の支払い額はどちらも同じなのです。

分割払いをおすすめする理由

一括払いを選ぶと4月という1年のうちのまだ早い段階で固定資産税を一括で支払わなければいけなくなります。しかし分割払いにしておけば4分の1ずつを支払っていけばよく、資金繰りが厳しく払う予定であったが払えなくなってしまったというようなことも一括払いの時より少なくなるのではないでしょうか。

一括払いと比べて手持ち資金に余裕が持てることがメリットになります。そしてもう1つ言えることが分割で支払うことを選択すると、固定資産税を分割で支払うまで手元に置いておける現金が増えるということです。

そのため、その間に現金に働いてもらうことができるというのも利点です。今は2週間毎に満期が来る定期預金や投資信託、そしてボーナス時期等期間限定で金利の良い定期預金などの商品を打ち出している金融機関もあります。

一括で納付してしまってそのようなチャンスに手元に現金がないと焦ったり諦めたりするよりは、分割で支払って動かせる現金を持っておくことはメリットになるのではないでしょうか。

しかし、1つ気を付けなければならないのが分割払いの納付忘れです。それを防ぐには口座振替にしておくことです。口座振替にしておけば、期日までに自動で引き落としをしてくれますし手数料もかかりません。口座振替は納付を忘れることもなくおすすめです。

引き落とし月に残高が不足してしまって引き落としが滞ってしまうと延滞金が発生してしまうため、支払い月には残高があることを確認しておきましょう。

固定資産税を支払う5つの方法

固定資産税を支払う5つの方法

市区町村で固定資産税の支払いをする方法としては、各市区町村で若干違いはありますが基本的には

  1. 現金で支払う
  2. クレジットカードで支払う
  3. 口座振替で自動的に支払う
  4. ペイジー(Pay-easy)で支払う
  5. nanacoやWAONなどの電子マネーで支払う

という5つの方法があります。

ここでは上記5つそれぞれの支払い方法がどのようであるか、そして最もお得な支払い方法はどれになるのかを見ていきましょう。

1.指定の窓口やコンビニエンスストアに行き現金で支払う

現金払いで指定の窓口、またはコンビニエンスストアで固定資産税の支払いをするという方法はよく行われる一般的な支払い方法になります。

支払い可能なコンビニエンスストアや市区町村窓口等の情報は最寄りの市区町村のホームページ、または市区町村から送付されてくる納付通知書にも印字されていますので支払いの際には確認をしてみてください。

現金で支払いができる方法は以下の3つになります。

  1. 市区町村の窓口で支払う
  2. 銀行や郵便局等の金融機関の窓口で支払う
  3. コンビニエンスストアで支払う

①②③の支払い方法では、支払った時に領収書と受領書が受け取れるため後日、支払いをしたということ、そしてその日付を確認することができるのが便利なところです。他の支払い方法では領収書と受領書は出ないため自分で支払ったことを覚えているかもしくは書き留めておく必要があります。

市区町村の窓口や銀行・郵便局等の金融機関の窓口は基本的に平日営業時間内に行かなくてはいけないため、その時間に働いている場合はなかなか行くことが難しいという場合も多いのではないでしょうか。

そんな時に便利なのがコンビニエンスストアです。1つ気を付けなければいけないのが、バーコード印刷のある納付書のみコンビニエンスストア払いに対応しているということです。どこのコンビニエンスストアで支払いができるかについては納付書やホームページで確認して支払いをしましょう。

2.クレジットカードで支払う

最近はクレジットカードで支払うことができる自治体が増えてきたこともあってとても便利になってきています。クレジットカードで支払いをする場合は今のところ市区町村が運営するウェブ専用サイト、もしくはふるさと納税でも使われているYahoo公金支払いにて支払いを進めるという2つのパターンがほとんどです。

①ウェブ専用サイトで支払う
ウェブ専用サイトで支払うことができるところは東京23区などになります。
都税をクレジットカードで支払う時はこちらから

②Yahoo公金支払いで支払う
Yahoo公金支払いで支払うことができるところは東京都の武蔵野市や国分寺市・埼玉県の入間市や久喜市などです。Yahoo公金にて支払いすることができる市区町村はこちらで確認することができます。Yahoo公金で支払う時にはTポイントがたまりますのでお持ちの方にはおすすめです。

クレジットカード払いの2つの注意点

クレジットカード払いには2つの方法がありYahoo公金支払いではTポイントも貯まりお得な感じもしますが、2つの注意点があります。

1つめは、1.の現金支払い対応の店舗では直接クレジットカード払いはできないという点です。

2つめは、クレジットカードは利用料金によってポイントが加算されるのはメリットに感じますが、固定資産税では決済手数料が別にかかってしまうという点です。

クレジットカード払いの決済手数料について

ここではクレジットカード払いの決済手数料について見ていきましょう。決済手数料は市区町村によって計算方法がさまざまなのが現状です。

例えば、東京23区では1万円までは73円決済手数料がかかり、それ以降は1万円かかるごとに73円増えていく(税別)のですが京都市ですと1万円までは0円とかかりませんが、1万円までは25円そしてそれ以降は1万円ごとに75円と市区町村によって全く変わってきます。

そのため、クレジットカード払いを選択する場合は、対象の市区町村はどのようであるのかを確認しておく必要があります。

また、クレジットカードの支払いに上限金額を設けている市区町村もあります。そしてクレジットカード払いが全ての市区町村でできるようになったわけではないため、固定資産のある市区町村が対応しているのかどうかもホームページなどであわせて確認をしておきましょう。

3.口座振替で自動的に支払う

銀行や郵便局口座からの口座振替を1回設定しておけば毎年の引き落とし時期に継続して固定資産税を口座振替処理してくれます。この方法だと、振替手数料はかかりません。

固定資産のような税金は支払いをうっかり忘れると延滞金がかかってきてしまうため、口座振替にしておくと支払いを忘れて余分な延滞金を支払わなくてはいけなくなったというようなこともなく確実に支払いができるため安心、そして便利な方法です。

口座振替の登録方法

口座振替の登録方法は市区町村から送付される納付書に同封されてくる「口座振替依頼書」か金融機関で直接「市税口座振替依頼書」をもらって金融機関に提出するだけで、自動で指定口座より引き落とし処理をしてくれます。

口座振替の注意点

口座振替には2つの注意点があります。1つめは口座振替は口座から振替はしてくれますが、領収書は発行されませんので明細を確認し出金がされているかどうかを確認しておく必要があるということです。

そして、もう1つは、口座残高が足りず引き落としができなかった場合には自動的に再引き落としはされないということです。引き落としができなかった場合には後日納付書が郵送されてきますので現金などの口座振替以外の方法で支払いをする必要があります。

4.便利なペイジー(Pay-easy)で支払う

インターネットバンキングやモバイルバンキングそしてATMではペイジー(Pay-easy)での支払いをすることができますが、税金もペイジー(Pay-easy)を利用することができる市区町村が増えています。

平日の営業時間にしか対応していない金融機関や市区町村の窓口に行かずともATMやインターネットそしてモバイルバンキングでどこでも支払うことができるようになって便利になりました。

①ペイジー(Pay-easy)対応のATMで支払う

市区町村から送付されてきた納付書にペイジーマークが付いている場合は、ペイジーに対応しているATMにてお持ちの該当金融機関のキャッシュカードを使って支払うことができます。

市区町村によっては市区町村窓口にも対応ATMが設置されている場合もあります。残念ながらコンビニエンスストアのATMは対象外となっています。

ATMで支払う場合は、納付書にある4つの項目(収納機関番号・納付番号・確認番号・納付区分)の入力が必須になりますので納付書を持参して支払い手続きを行ってください。

②インターネットバンキング・モバイルバンキングで支払う

インターネットバンキング・モバイルバンキングで支払う場合は、金融機関のホームページよりペイジーのメニュー画面を選んで支払うことができます。利用するには前もって金融機関との契約が必要になります。

ペイジー(Pay-easy)の注意点

①②ともに金融機関で振込手数料などの手数料はかかりません。注意点は領収書が発行されないことです。銀行の場合はインターネットバンキングモバイルバンキングの明細や通帳にて確認することになります。

5.nanacoやWAONなどの電子マネーで支払う

上記クレジットカードでの支払いは市区町村からの決済手数料、そしてお持ちのカードのポイント還元率によってお得になる場合は限られてきます。ではnanacoやWAONなどの電子マネーにキャッシュカードからチャージして支払う場合はどうでしょうか。

この方法は手間はかかりさえしますが、誰でも利用することができる方法です。

nanacoやWAONなどの電子マネーにはチャージするのには決済手数料はかかりません。そのためクレジットカードだけで支払う時と違ってクレジットカードのポイントが決済手数料で相殺されることなくまるまるゲットできるのです。

nanacoやWAONなどの電子マネーで支払う方法は?

クレジットカードからnanacoやWAONなどの電子マネーに支払いに足りるよう金額をチャージし、チャージした電子マネーで固定資産税をコンビニエンスストアで支払います。

nanacoやWAONなどの電子マネーで支払う際の注意点

電子マネーへクレジットカードからチャージする場合は、事前に手続きをしておく必要があります。そして電子マネーの種類によって使えるコンビニエンスストアやクレジットカードが変わってきますのでどの電子マネーを使用するのかなど事前に確認と手続をしておきましょう。

最もお得な支払い方法は?

この5つの支払い方法の中で最もお得なのは5.のnanacoやWAONなどの電子マネーでの支払いです。

なぜなら、クレジットカード単体で支払う時と違って決済手数料もかからず、クレジットカードからチャージした金額分のカードのポイントやカードによってはマイルが付与された分もお得になるからです。

事前手続きは少々煩わしく感じるかもしれませんがポイントやマイルの全てがもらえるため固定資産税を支払う際にはnanacoやWAONなどの電子マネーで支払う方法は誰でもできる方法であり、最もお得になるためおすすめです。

支払いを滞納しても減額できる場合がある

支払いを滞納しても減額できる場合がある

固定資産税を支払うことができなくなって税金を滞納してしまった。そんな場合でも、理由によっては減額が認められる場合があります。ここでは延滞金はどのくらい発生してくるのか、その猶予などについてお伝えしていきます。しかしなるべく滞納はしないようにしてくださいね。

支払いを滞納すると延滞金が発生する

一括払いにも年4回払いにも、どちらもそれぞれの市区町村で納付の期限を設けています。納付期限までに納税をしていない場合には、基本的に最大で年14.6パーセントの延滞税を支払わなくてはならないため、納税忘れには注意しましょう。

延滞金の計算式は下記のようになります。

{(税額×日数①×特例基準割合+1%)÷365日}+【{税額×日数②×(特例基準割合+7.3%)}÷365日】
=延滞金
日数①:納期限の次の日からひと月を経過する日までの期間の日数
日数②:納期限の次の日からひと月を経過した日から納付日までの期間の日数

では、滞納した場合に延滞金は実際にはどのくらいかかってくるのでしょうか。下記の例を参考に見ていきましょう。例として税額が200,000円、納期限が令和元年6月30日、納付日が令和元年8月25日の場合を、上記の計算式に当てはめて延滞金を計算してみます。

{(200,000円×31×2.6%)÷365日}+{(200,000円×25×8.9%÷365日)}=441+1,219円=1,660円

以上の例では、延滞金が1,660円かかってくることがわかりました。

また、納税をしなかった場合には督促状が送付されてきます。督促状が送られてきても納税を怠っていると、延滞税を課せられるということだけでなく、最終的には自宅を差し押さえられてしまって競売にかけられてしまうということもあります。

もし、経済的に困っていて納税するお金がないのであれば、早めに該当の市区町村の担当窓口に相談をしに行きましょう。延滞を放置してしまったことで、財産を強制的に競売にかけられて強制徴収されてしまうからです。支払えない何らかの事情によっては納税を猶予してもらったり、減額してもらったりできる場合もあるため、延滞してしまった時に相談に行く、ということはとても大切です。

固定資産税を延滞してしまっても、競売を防ぐ方法がいくつかあります。固定資産税の延滞を解消するには、分割して納付する ”分納”の手続きで延滞を解消することができます。”分納”には通常の分納・納税の猶予・換価の猶予の3つの対処法があります。ここではその3つの対処法を見ていきましょう。

対処法1.「通常の分納」をする

通常の分納は、いちばんシンプルでよく行われている一般的な分納の方法になります。特別な書類を準備することもなく、手続きもカンタンですので、いろいろな書類を用意するのが億劫という方にも向いています。

カンタンな手続きの方がいいという方は「通常の分納」で延滞を解消していきましょう。以下、メリットとデメリットになります。

メリット
  • 3つの分納方法の中で一番シンプルでカンタン
  • 方法は電話や窓口に出向くなどして分納の相談を行って計画通りに支払うだけ
デメリット
  • 延滞税は免除されない
  • 差し押えられる可能性が残る
  • 返済が遅延した時も弁明できない

通常の分納では、市区町村の徴収係の方と自分で決めた支払い計画通りに支払いをしていけば延滞は解消されます。カンタンですね。しかしその約束が守られなければ、もう弁明はできずにすぐに差し押さえが行われてしまいます。また年利9.1%の延滞税も免除されることはないため、支払わなければなりません。

「通常の分納」の方法とそのコツ

「通常の分納」はどのようにするのでしょうか。実はやり方はカンタンで、市区町村の担当部署に電話をしたり窓口に出向いたりして分納の相談をするだけです。

その際の注意点として、税金を納める気持ちがあること、その誠意を示すためにも滞納してから早めの段階で自ら相談に行くことが挙げられます。「通常の分納」を選択したいという場合は、早速分納の相談ができる市区町村の固定資産税を取り扱う課に出向くか、電話にて相談をするようにしましょう。

延滞している固定資産税の額が大きい額ではなく、数回分納することで延滞が解消できるような場合には、特に詳細な聴取もなく担当者と相談した通りに、分納すれば問題はありません。

しかし、延滞している固定資産税の額が多額であったり、分納期間が1年を超えてしまっていたりするような場合には、以下のようなことは担当税務職員に聴取される可能性があります。聴取の内容としては、主に4つあります。

  1. 延滞の理由
  2. 現在の収支の状況や財産の状況
  3. 預貯金などですぐに納めることができる金額の確認
  4. これからの分納の計画

そして分納計画の内容を決める中で使われている目安は3つあります。

  1. 分納期間は原則として1年。もし1年で払い終えそうにないという場合は、さらに1年の延長をすることができる
  2. 今の時点で支払うことが可能な金額(普通預金や定期預金など)は、分納開始時にすべて税金を納付することに充当する
  3. 分納が始まった後は、毎月かかる生活費などを除いて残った額を税金を納付することに充当する

上のような目安を基準にして、担当者と分納の話し合いが進められる可能性が高いため、その目安を知っていることで話し合いがスムーズに進みます。計画を立てる際に普通預金や定期預金などの預貯金がある時は納税に回さなければいけないため憂鬱に感じるかもしれません。

しかし、今は預貯金より滞納の延滞税の方が金利よりもずいぶん高くなっています。どうあっても税金は強制徴収されるため、滞納しなければ延滞税が得になると考えて早めに納税するほうがあなたのためにもなります。

その理由は、少しずつ滞納を解消していったとしても、延滞税は発生し続けて、その上翌年にはまた新しく固定資産税が発生してきて、いつまでたっても滞納が解消されず延滞金をあわせて支払う2重苦に陥ってしまうことを防げるためです。

通常の分納では、延滞している税金に年利9.1%の延滞税がかかり続けてしまうため、なるべく速やかに滞納をなくせる計画を立ててそれを実行したほうが全体の支払いを少なくできるのです。以上が、通常の分納を利用する方法です。

対処法2.「納税の猶予」を利用する

通常の分納と比べて「納税の猶予」は手続や書類は多くなりますが、お得になることが多くなるため、該当する方にはメリットが多い方法です。ここでは「納税の猶予」についてその内容を見ていきましょう。

メリットがあり利用できる要件に当てはまっているという方は「納税の猶予」で延滞を解消していきましょう。以下、メリットとデメリットになります。

メリット
  • 延滞の免除が受けられる(50~100%の免除が受けられる)
  • 分納の計画を立てたとおりに納税をすることができなくなったとしても、”弁明の機会”を与えてもらえる
  • 差し押さえされることがなくなる
  • 差し押さえが現在されている場合でも、一定要件に合致すれば差し押さえを解除することができる
デメリット
  • 書類の用意が大変

全ての人が使えるわけではありませんが、怪我や病気で支出がかさんでしまったという人や、事業がうまくいかずに収入が減少してしまったという場合などは、「納税の猶予」を利用することができる可能性が高くなります。

通常の分納にしていた人が後になって納税の猶予への切換をすることもできますので、納税の猶予のことも知っておきましょう。

「納税の猶予」の利用条件

  1. 災害や盗難に遭った場合
  2. ご家族や近親者が怪我または病気をしてしまった場合
  3. 事業を休止、もしくは廃止した場合
  4. 事業で大きな損失を負った場合
  5. 災害・盗難・怪我・病気と、似たような事柄が起こった場合
  6. 事業の廃止・休止・大きな損失を負ったわけではないけれど、似た事象があった場合

上記の①~⑥の中のどれか1つに該当していれば、「納税の猶予」を使うことができます。また、①~④にあてはまる時は延滞税が100%免除され、⑤と⑥にあてはまる時は延滞税が50%免除されます。

⑤や⑥の内容は範囲が広くなりますので多くの方が利用できる可能性があるということになります。

「納税の猶予」の方法とそのコツ

①徴収猶予申請書
書類を準備し、記入押印をして、市区町村の固定資産税関係の課に納税の猶予を提出しにいきます。市区町村側は書類の申請を拒めませんので受理してもらえるように作成方法を参考にして作成しましょう。書類の作成方法はこちらを参考にして下さい。

②現在納付可能資金額の納付
次に、現在の納付可能な資金額を納める必要があります。そのため、現在納付可能資金額の納付書を市区町村の相談担当者などに作成してもらってその納付書を、金融機関の窓口などへ現金とあわせて持参をして納付をしましょう。

③書類審査
準備して提出した書類に不備があった時、市区町村から補正通知書という書類が送られてきます。補正通知書が送られてきたら、20日以内に内容を訂正して書類をもう一度提出します。20日を過ぎてしまうと申請の取り下げをしたとみなされてしまうため間に合うように提出しましょう。

④「猶予許可(もしくは不許可)通知書」が郵送される
徴収の猶予が認められた時には、「猶予許可通知書」が送られてきます。そこには分割納付計画が記入されているため、その通りに税金を納めていきましょう。不許可通知書が届いてしまった場合には60日以内に、「異議申立」か「審査請求」をしましょう。

⑤分納計画通りに税金を納付
分割納付計画通りに税金を納付するようにしましょう。計画通りに納めることができない場合には、苦労して許可が出たのにその猶予が取り消されてしまう場合があるからです。しかし、そうなった場合でも、弁明の機会は与えられますので、すぐに財産が差し押さえられてしまうということはありません。

以上が、納税の猶予を利用する方法です。

対処法3.「換価の猶予」を利用する

「納税の猶予」は条件が合わなくて使えず、そしてもう財産の差し押さえが執行されている人は、財産が売却されるのを保留してもらっている間に分納を進める「換価の猶予」を利用することを考えましょう。以下、メリットとデメリットになります。

メリット
  • 50%延滞税の免除ができる
  • 財産の換価を一時的にだが先延ばしすることができる
デメリット
  • 換価の猶予はなかなか認められない

換価とはお金に換えることから売却のことを指します。もう差し押さえられている財産が強制的に売却されるのを猶予してもらえる制度です。この制度が使えれば、換価を1年~2年猶予してもらって、その猶予の間に延滞金を返済すれば、財産を失わずにすみます。

そして、換価の猶予が認められることによって、換価の猶予の間の延滞税が半分免除になるという利点もあります。以下が利用条件です。

  1. 財産がもう差し押さえられている
  2. 財産が売却されてしまったら生活に困る、もしくは事業を続けられなくなる恐れがあること
  3. 換価の猶予にかかる固定資産税の他に、税金の延滞をしていない
  4. 税金を納めることを誠実に考えていると認められる

財産を差し押さえられて売られてしまった場合に、生活や会社の事業が続けれらなくなってしまい困窮してしまうという方なら、利用の申請を”お願い”することができます。

固定資産税を含む地方税の換価の猶予を申請する「申請権」は、納税するものには与えられていないのが現状であり、そのため”お願い”をするという方向で話を進める必要があるのです。

そのため、お願いを拒否されてしまうことも多くあって、その間に苦情申し立てをすることもできますが、そうこうしている間に財産を売却されてしまっては元の木阿弥なのがなかなか難しいところです。しかし、財産が売却されてしまっては路頭に迷ってしまうという場合にはお願いをしてみることは意味のあることになります。

「換価の猶予」の方法とそのコツ

①の猶予に関する上申書、必要書類の提出
書類を作成し、印鑑とともに、市区町村の固定資産税の関係課に換価の猶予をお願いに行きます。
窓口では、換価の猶予をお願いしに来たことと、相談にのって欲しい旨を伝えましょう。

②現在納付可能資金額の納付
「現在納付可能資金額」を納付していきます。現在納付可能資金額を伝えてその額の納付書をその場で作成してもらいましょう。
その納付書を持って、金融機関や郵便局等の窓口等で納付をしていきましょう。

③書類の審査
書類に不備があれば、行政から補正通知書という書類が送られてきます。その書類を受け取ったら、20日以内に内容を直した書類をもう一度提出してきましょう。20日を超えると「お願い」を取り下げたとみなされてしまうからです。

④換価の猶予が認められたかの回答
審査結果が認められた場合は、「猶予許可通知書」、不許可の場合は「猶予不許可通知書」が送られてきます。送付されたら権利が発生した証拠を残すため取っておきましょう。

許可通知書の場合は、「分割納付計画」が同封されてきます。この同封の分割納付計画通りに税金を納付しておけば、財産の売却を一時的に先延ばしすることができます。

⑤分納計画をたてた通り分納していく
必ず分納は計画通りに支払いましょう。換価の猶予には弁明の機会が与えられていないため、納付が遅れるとあなたの財産がすぐに売却されてしまう可能性があるからでます。
これらが換価の猶予に関する説明です。

監修税理士のコメント

高崎文秀税理士事務所 - 東京都文京区本郷

固定資産税はあまり意識されていない方が多いのですが、意外と負担が大きい税金といえます。特に不動産を購入した場合には税金も高くなりがちで、毎年支払わなければならないため、トータルの税金として大きくなってしまいます。したがって不動産や償却資産の購入前に固定資産税がどのくらいの負担になるかをきちんと確認しておくことが大切です。

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見積もり依頼をすると、税理士より最大5件の見積もりが届きます。その見積もりから、条件にあった税理士を探してみましょう。税理士によって料金や条件など異なるので、比較できるのもメリットです。

チャットで相談ができる

依頼内容に合う税理士がみつかったら、依頼の詳細や見積もり内容などチャットで相談ができます。チャットだからやり取りも簡単で、自分の要望もより伝えやすいでしょう。

税理士に依頼するならミツモアで見積もり依頼をしてみてはいかがでしょうか?

ミツモアで見積もってみる