固定資産税の課税標準額という言葉を聞いたことはありますか?
固定資産税は土地や建物などを所有しているとかかる身近な税金ですが、その計算方法のカギを握る課税標準額は非常に複雑な仕組みです。
この記事では、固定資産税の課税標準額や、固定資産税の納税額が変わる仕組みなどを計算例も交えながら分かりやすく解説します。
この記事を監修した税理士
菅野歩税理士事務所 - 宮城県仙台市宮城野区
固定資産税の課税標準額とは?
固定資産税の課税標準額は税額計算の基礎となる数字です。似たような指標に固定資産税評価額もありますが、必ずしも「課税標準額=固定資産税評価額」とはならないので、それぞれを厳密に理解しておく必要があります。
まずは、固定資産税は誰が支払う税金なのかという基本的な仕組みと課税標準額・固定資産税評価額の違いについて確認してみましょう。
固定資産税課税標準額とは
固定資産税課税標準額とは、固定資産税を算出する際に課税対象となる金額のことを指します。固定資産課税台帳に記載された固定資産税評価額に、いくつかの特例措置を考慮して算出する金額が固定資産税課税標準額です。
固定資産税を算出する際、最後は固定資産税課税標準額に税率をかけて求めます。そのため原則的に固定資産税は以下の計算式で求められます。
固定資産税=課税標準額×標準税率(1.4) |
そもそも固定資産税とは?
固定資産税とは、土地や建物、償却資産(注1)を保有している個人や会社に課される税金です。1月1日時点でこれらの資産を保有しているものが固定資産税の納税義務を負うこととなり、市区町村から送られてくる納税通知書に基づいて固定資産税を納めます。
土地や建物、償却資産はそれぞれ異なるプロセスで納税額が決まる仕組みとなっていますが、この記事では主に土地と建物の課税標準額に着目して説明します。
(注1)土地と建物以外の事業に使用する機械や備品などの固定資産
「固定資産税評価額」と「課税標準額」との違い
固定資産税の税額を決める際には基準となる固定資産の評価額があり、これを「固定資産税評価額」と言います。固定資産税評価額は、総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づいて各市区町村が計算して個別に決定する評価額です。
しかし、この固定資産税評価額に税率をかけるだけでは正しい税額を計算することができないことも多いです。居住用の土地や建物などの固定資産は政策によって様々な特例措置が実施されており、これによって負担する固定資産税の軽減が図られています。
そのため、正しい税額を計算するためには「固定資産税評価額」にこれらの特例措置を加味した「課税標準額」を求める必要があります。これが固定資産税の評価額と課税標準額の違いです。一般的に、課税標準額は固定資産税評価額よりも小さい金額になります。
固定資産税課税標準額の調べ方
固定資産税を正しく計算するためには課税標準額を正確に把握することが重要です。この課税標準額は、市区町村が決定した固定資産税評価額に特例措置などを加味した税額計算の基礎となる金額のため、市区町村が発行する書類などで確認することができます。
ここからは、固定資産税の課税標準額の調べ方について確認してみましょう。
①納税通知書
土地や建物を所有している方は、固定資産税を課税する市区町村から年に1回納税通知書が送付されます。
この納税通知書には固定資産税を納付する際に必要な納付書の他に課税明細書という書類が付いています。課税明細書には必ず課税標準額の欄があるので、ここを見ることで対象となる固定資産の課税標準額を調べることが可能です。
②固定資産課税台帳
固定資産課税台帳は、固定資産を課税する市区町村が固定資産の状況や課税標準額などを管理するために備え付けている書類です。この固定資産課税台帳にも固定資産税の課税標準額が記載されており、課税される市区町村で閲覧することができます。閲覧の際に必要な申請書等は各市区町村のホームページなどでダウンロードすることができ、手数料はかかりますが写しを請求することも可能です。
また、固定資産課税台帳については納税者が評価額を適正かどうか確認できるように縦覧制度というものも設けられています。この縦覧制度では、一定期間内であれば近隣の土地や建物などの評価額が記載された土地(家屋)価格等縦覧帳簿を無料で閲覧することが可能です。
③固定資産評価証明書
登記や相続税の申告の際に必要となる固定資産評価証明書にも固定資産税の課税標準額が記載されています。固定資産評価証明書の交付を受ける際は申請する市区町村の申請書が必要となり、交付手数料も別途必要です。
④不動産仲介会社の担当に尋ねる
これから住宅を購入する方がその住宅の課税標準額を確認したい場合は、不動産仲介会社の担当者に尋ねると教えてもらえます。
中古の場合は、既に市区町村が固定資産税の課税標準額を計算しているため、その時点の所有者である不動産会社または売主が課税標準額を把握しています。新築の場合は、まだ課税標準額の決定は行われていませんが、不動産会社に概算値を出してもらうことが可能です。
課税標準額の算出方法と指標
固定資産税の税額が適正かどうかを判断するためには課税標準額の算出方法と関連する指標の理解が必要です。
ここからは、土地や建物の課税標準額を計算する際に考慮される固定資産税の減税に関わる特例措置などを説明し、税額計算に適用される標準税率についても確認してみましょう。
固定資産税“評価額”
既に説明した通り、固定資産税の課税標準額は「固定資産税評価額」を基準に計算されます。住宅の場合、建物は基本的に「課税標準額=固定資産税評価額」です。
しかし、土地は住宅用地に対する特例措置や負担調整措置などの課税標準の特例が適用できるため課税標準額が固定資産税評価額より低くなることが一般的です。以下でこれらの特例措置について詳しく確認してみましょう。
【固定資産税の特例措置一覧】
特例措置対象 | 適用範囲 | 課税評価額 |
住宅用地 | 200㎡以下の部分 | 評価額×1/6 |
200㎡超の部分 | 評価額×1/3 | |
新築の家屋(3階以上かつ耐火構造) | 120㎡以下の部分 | 評価額×1/2(5年間) |
120㎡超の部分 | 評価額×1/2(3年間) | |
認定長期優良住宅(3階以上かつ耐火構造) | 120㎡以下の部分 | 評価額×1/2(7年間) |
120㎡超の部分 | 評価額×1/2(5年間) |
特例措置(土地の場合)①小規模住宅用地
住宅用地については固定資産税の負担を軽減する観点から減税の措置が設けられています。課税標準額を減額する特例措置が定められており、この特例措置を適用した計算方法よって税負担の軽減が図られる仕組みです。
住宅用地の面積が200㎡以下の部分は小規模住宅用地として課税標準額が固定資産税評価額の1/6に減額されます。
特例措置(土地の場合)②一般住宅用地
小規模住宅用地では200㎡以下の部分の課税標準額を減額する措置が行われますが、200㎡を超える部分についても一般住宅用地として課税標準額の減額措置が適用可能です。200㎡を超える一般住宅用地については課税標準額を固定資産税評価額の1/3に減額する措置が適用されます。
特例措置(土地の場合)③負担調整措置
土地は近隣の開発などによって急激に固定資産税評価額が上昇することもあります。この場合、納税者の固定資産税負担が急増することによって生活を圧迫することが考えられるため、税負担の上昇を緩やかに抑えるための措置として設けられているのが負担調整措置です。通常、土地の固定資産税評価額は3年毎に見直しが行われるため、このタイミングで評価額の急激な上昇がある場合は負担調整措置が適用されます。
特例措置(家屋の場合)①新築の建物
家屋についても新築物件は一定期間固定資産税が減額される措置が設けられています。減額措置の内容は以下の通りです。
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特例措置(家屋の場合)②認定長期優良住宅の建物
通常の住宅と比べて長く使用できる新築の認定長期優良住宅については、上記の特例措置が更に期間延長されます。
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ただし、この特例措置を受けるためには着工までに市区町村の認定を受ける必要があり、減額の適用を受ける場合も新築した翌年の1月31日までに市区町村への申告が必要です。
標準税率
特例措置などを考慮して固定資産税の課税標準額が計算出来たら税率をかけることで税額を求めることができます。
固定資産税の額=課税標準額×標準税率(1.4%) |
固定資産税は標準税率が1.4%と決められており、ほとんどの市区町村はこの標準税率での計算です。ただし、お住いの地域などによっては自治体の裁量によって税率を引き上げた超過税率を採用している場合もあるので、税率は各市区町村のホームページなどで個別に確認する必要があります。
都市計画税って何?
固定資産税の納税通知書を確認してみると、固定資産税の他に都市計画税という税金が課されていることもあります。都市計画税は固定資産税と併せて課される税金のため固定資産と混同されることもありますが、実際は全く異なる税金です。こちらでは、都市計画税の概要や計算方法などを確認してみましょう。
都市計画税と固定資産税は別物!
都市計画税は、都市計画法による市街区域で毎年1月1日時点に土地や建物を所有している場合に課される税金です。都市計画税も固定資産税と同様に課税標準額に税率をかけて計算しますが、課税標準額は固定資産と違う場合もあります。納税通知書には固定資産税と併せて記載されているため同じような税金かと勘違いすることもありますが、実際には全く異なる税金です。
都市計画税の計算方法
都市計画税は以下のような計算方法で求めることができます。
都市計画税=課税標準額×制限税率(0.3%) |
制限税率とは、この税率を超えて課税してはいけない税率です。そのため、都市計画税は基本的に0.3%の税率で課税され、課税標準額については固定資産税と同様に住宅用地の特例措置なども適用されます。
都市計画税の減免措置(土地の場合)
都市計画税の課税標準額も固定資産税と同様に住宅用地の減免措置があります。ただし、減免される割合は異なり、200㎡以下の小規模住宅用地の部分は課税標準額の1/3、200㎡を超える一般住宅用地の場合は課税標準額の2/3の金額がそれぞれの課税標準額です。
固定資産税では新築家屋に関しても減免措置が設けられていますが、都市計画税では原則として家屋に関する減免措置がありません。
土地の固定資産税の計算方法とは
固定資産税とは、所有している固定資産に課税される税金のことです。たとえば一戸建てを購入した場合、土地と建物の両方に固定資産税が課税されます。
そして固定資産税の計算方法ですが非常にシンプルで、下記2つの式から固定資産税を求めることができます。
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本項ではこれら2つの税計算についてくわしく説明すると共に、「負担水準」や「軽減税額」についても解説していきます。
固定資産税=課税標準額×税率で計算される
固定資産税は課税標準額に税率をかけるだけで求められます。式にするとシンプルなのですが、実は課税標準額を求めるのはすこし複雑です。
固定資産評価額は固定資産税の基準となる価格で、各自治体が算定しています。固定資産税評価額の計算方法はこのあと詳しく説明します。
固定資産税の税率の基準は1.4%ですが、税率は自治体ごとに自由に決めることが可能です。自治体ごとの税率が気になる方は、お住まいの市役所のホームページなどで確認してみてください。
固定資産税評価額は公示価格や時価の約70%
固定資産税評価額は公示価格や時価(実勢価格)の70%を目安として計算されます。
土地の公示価格は、国土交通省が年に1回定めています。一方で、固定資産税評価額は3年に1回しか評価替えをしません。
これでは更新する頻度がちがうので、土地の価値が大きく変動したときに、土地の所有者が損をしてしまう恐れがありますよね。そのため、固定資産税評価額は公示価格や時価の約70%の金額を目安に計算されるのです。
土地の固定資産税評価額の計算方法
実際に土地の固定資産税を計算してみましょう。計算方法は以下の手順です。
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では、4項目それぞれについて詳しく説明していきましょう。
土地の固定資産税評価額は公示価格の70%程度
土地の固定資産税評価額は公示価格の約70%です。
もう少し詳しく説明しますと、固定資産税評価額は路線価から求めることができます。固定資産税の路線価とは、街路に沿って標準的な土地の地積東京)あたりの価格を表示したものです。
国税庁はウェブサイトにて各都道府県の路線価図・評価倍率表を公開しています。気になる方はチェックしてみましょう。
宅地用の場合は軽減措置がある
居住のための家屋が建つ土地(住宅用地)については、軽減措置があります。この軽減措置は、土地の面積によって「小規模住宅用地」と「一般住宅用地」に分けられており、それぞれに「特例率」が設けられています。
住宅地用の軽減措置を表にまとめましたので、ご覧ください。
区分 | 適用範囲 | 本来の課税標準額(評価額×特例率) |
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---|---|---|---|
固定資産税 | 都市計画税 | ||
小規模住宅用地 | 住宅1戸につき200平方メートルまでの住宅用地 | 評価額×1/6 | 評価額×1/3 |
一般住宅用地 | 住宅1戸につき200平方メートルを超える部分の住宅用地 | 評価額×1/3 | 評価額×2/3 |
たとえば小規模住宅用では、固定資産評価額に1/6の特例率をかけることができます。逆に商業用にはこのような軽減措置はないので、住宅用の方が税負担を軽減されているのです。
課税標準税額の「負担水準」とは
固定資産税の課税標準額は、「負担水準」を考慮する必要があります。
この制度は1994年にできましたが、趣旨としては「これまでは固定資産評価が時価の約20~30%と安かったので、これからは時価の70%になるように評価額を上げましょう」というものです。時価よりも実際の固定資産税額が低かったのを、是正するための制度ということですね。
負担水準を考慮した課税標準額は、以下の2ステップで求めましょう。
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後付けで入れられた制度なので、ここから計算がすこし複雑です。
負担水準を計算する
負担水準の計算式は以下の通りです。
負担水準=前年度課税標準額/今年の価格×100 |
前年度課税標準額は県税事務所から郵送(例年5~6月頃)されてくる固定資産税の課税明細書に記載されていますので、確認してみてください。
負担水準を求めたあとは、下記の表にしたがって、課税標準額を計算しましょう。
これで、やっと課税標準額が確定しました。
最後に軽減税額があるか確認して、固定資産税の計算は終わりです。
軽減税額を確認する
地方自治体ごとに軽減税額を設けているところがあります。詳しくはお住まいの役所に問い合わせてみてください。
軽減税額が特になければ、課税標準税額に固定資産税率をかけたものが固定資産税になります。固定資産税率についても、自治体ごとに異なりますので確認してみましょう。とはいえ、税率を1.4%としているところが多いです。
家屋の固定資産税評価額の計算方法
土地のつぎは、家屋の固定資産税を求めていきます。式は以下の通りです。
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本項ではまず固定資産評価額の計算方法を説明した上で、軽減税率や都市計画税についての解説もしていきます。
家屋の固定資産評価額を計算する
家屋の固定資産評価額は「再建築価額×経年減点補正率」によって求められます。
再建築価額とは、「その建物を立て直すためにはいくらかかるのか」を表す金額です。総務省が発表している「再建築費評点基準表」に照らし合わせながら、再建築したときにいくらかかるのかを検討します。
また経年減点補正率も、「経年減点補正率基準表」から補正率を参照します。注意点としては、経年減点補正率はゼロにならないことです。
家屋の年数がいくら経っていようとも、経年減点補正率は最低でも20%はかかります。そのため、家屋の年数が100年経とうが、固定資産税は払い続けないといけません。
軽減税額を確認する【2020年までの新築物件】
家屋の固定資産評価額を求めたあとは、軽減税率があるか確認しましょう。
住宅については2020年3月31日までに新築すると、固定資産税の軽減税率が適用されます。1戸あたり120m2相当分までの固定資産税率が1.4%から0.7%へと減額されるお得な制度ですので、ぜひ活用しましょう。
なお、軽減される期間はマンション(※)は5年間、戸建住宅は3年間です。
※ 3階建て以上の耐火・準耐火建築物に限る
「固定資産税」には都市計画税も含まれている
ここまで話を複雑にしないために固定資産税を一括りにして説明してきましたが、実は「固定資産税」は、以下のように2つ分かれています。
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これら2つの税金の総称を「固定資産税」と呼んでいるのです。
都市計画税は、土地建物が都市計画区域内にある場合のみ0.3%課税されます。ただし、土地建物が都市計画区域内になければ課税されませんので、覚えておきましょう。
都市計画税を含めて固定資産税を計算するときは下記のような式を用います。
固定資産税(1.4%)+都市計画税(0.3%)=固定資産税(1.7%) |
固定資産税シミュレーション2例
ここからは具体例を挙げながら固定資産税と都市計画税の計算をシミュレーションしてみます。
以下の一戸建てとマンションの2つの購入例について、初年度と6年目、11年目の固定資産税と都市計画税がいくらになるか、その計算方法をシミュレーションしてみましょう。
Case1.一戸建て(新築、120㎡)
固定資産税評価額が土地1,500万円、建物(耐火構造)2,000万円の敷地面積120㎡の新築一戸建てを購入した場合
①初年度
(固定資産税)
土地は200㎡以下なので小規模住宅用地の特例によって課税標準額が1/6となり、家屋は耐火構造の新築なので5年間1/2減額される特例が適用されます。
土地:1,500万円×1/6×1.4% = 35,000
建物:2,000万円×1.4%×1/2 = 140,000 固定資産税納税額:35,000+140,000 = 175,000 |
(都市計画税)
土地が200㎡以下なので小規模住宅用地の特例によって課税標準額が1/3となりますが、都市計画税については建物の減免措置がありません。
土地:1,500万円×1/3×0.3% = 15,000
建物:2,000万円×0.3% = 60,000 都市計画税納税額:15,000+60,000 =75,000 |
②6年目
(固定資産税)
6年目は新築家屋の減免措置がなくなります。また、家屋の固定資産税評価額は、評価の時点で同じものを新築する場合にかかる再建築価格に経年劣化による損耗を考慮する経年原価補正率をかけた金額とします。以下は再建築価格が初年度から変わらないと仮定して計算したものです。
土地:1,500万円×1/6×1.4% = 35,000
建物:2,000万円×0.8335(注2)×1.4% = 233,380 → 233,300(百円未満切捨て) 固定資産税納税額:35,000+233,300 = 268,300 |
(注2)
平成29年に総務省が告示した経年原価補正率表の数値から引用しています。
6年→0.8335 11年→0.7163 15年→0.6225 21年→0.4820 26年→0.3794 |
本来は単位当たりの再建築費評点に床面積をかけた後に経年原点補正率をかけて金額を算出しますが、ここでは簡易的に当初の固定資産税評価額に経年原価補正率をかけて計算します。
(都市計画税)
建物の都市計画税の課税標準額は固定資産税の課税標準額と同じです。
土地:1,500万円×1/3×0.3% = 15,000
建物:2,000万円×0.8335×0.3% = 50,010 → 50,000(百円未満切捨て) 都市計画税納税額:15,000+50,000 = 65,000 |
③11年目
(固定資産税)
土地:1,500万円×1/6×1.4% = 35,000
建物:2,000万円×0.7163×1.4% = 200,564 → 200,500(百円未満切捨て) 固定資産税納税額:35,000+200,500 = 235,500 |
(都市計画税)
土地:1,500万円×1/3×0.3% = 15,000
建物:2,000万円×0.7163×0.3% = 42,978 → 42,900(百円未満切捨て) 都市計画税納税額:15,000+42,900 = 57,900 |
Case2.マンション(築15年、70㎡)
Case1と同様に、新築時の固定資産税評価額が土地1,500万円、建物2,000万円の敷地面積120㎡の築15年中古マンションを購入した場合
①初年度
購入初年度でも築年数が15年経っているため15年目の固定資産税を計算することで固定資産税と都市計画税を求めることができます。
(固定資産税)
土地:1,500万円×1/6×1.4% = 35,000
建物:2,000万円×0.6225×1.4% = 174,300 固定資産税納税額:35,000+174,300 = 209,300 |
(都市計画税)
土地:1,500万円×1/3×0.3% = 15,000
建物:2,000万円×0.6225×0.3% = 37,350 → 37,300(百円未満切捨て) 都市計画税納税額:15,000+37,300 = 52,300 |
②6年目
①と同様に築15年のマンションを購入して6年経っているため21年目として計算します。
(固定資産税)
土地:1,500万円×1/6×1.4% = 35,000
建物:2,000万円×0.4820×1.4% = 134,960 → 134,900(百円未満切捨て) 固定資産税納税額:35,000+134,900 = 169,900 |
(都市計画税)
土地:1,500万円×1/3×0.3% = 15,000
建物:2,000万円×0.4820×0.3% = 28,920 → 28,900(百円未満切捨て) 都市計画税納税額:15,000+28,900 = 43,900 |
③11年目
②と同様に26年目として計算します。
(固定資産税)
土地:1,500万円×1/6×1.4% = 35,000
建物:2,000万円×0.3794×1.4% = 106,232 → 106,200(百円未満切捨て) 固定資産税納税額:35,000+106,200 = 141,200 |
(都市計画税)
土地:1,500万円×1/3×0.3% = 15,000
建物:2,000万円×0.3794×0.3% = 22,764 → 22,700(百円未満切捨て) 都市計画税納税額:15,000+22,700 = 37,700 |
まとめ:固定資産税課税標準額
固定資産税は身近な税金ですが、その仕組みについて詳しく理解している方は少ないのが現状です。固定資産税は自ら税金を計算して申告する所得税や法人税とは違い、市区町村が税額を決定する賦課課税方式によって税額が決まります。そのため、本来は市区町村が計算した税額が妥当かどうかを縦覧制度などを利用して確認する必要があり、不当に高いと感じる場合には必要に応じて固定資産税評価額などを見直してもらうことも必要です。
ただし、ここまで説明してきた通り固定資産税の課税標準額や税額の算出は非常に複雑な仕組みとなっています。そのため、このような場合には税理士などの身近な専門家に相談してから対応を検討することも有効な選択肢の一つです。
監修税理士のコメント
菅野歩税理士事務所 - 宮城県仙台市宮城野区
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この記事を監修した税理士
菅野歩税理士事務所 - 宮城県仙台市宮城野区