給料を支払うときは所得税を源泉徴収し、税務署に納付しなければなりません。しかし以下のような場合では源泉所得税が0円になります。
- 給与金額が少なく、源泉所得税額表にあてはめて0円で済む人しかいないとき
- 年末調整の還付金が預かった源泉所得税の金額よりも多くなり、相殺されて0円となるとき
源泉所得税が0円であっても「0円」の所得税徴収高計算書(納付書)を作成して税務署へ提出する必要があります。
この記事では「0円」の所得税徴収高計算書の書き方や手間が省ける提出方法などをご紹介します。
この記事を監修した税理士
風間公認会計士事務所 - 東京都品川区南品川
源泉徴収額が0円の所得税徴収高計算書の書き方
0円の所得税徴収高計算書に記載する内容は、提出方法が紙でもe-Taxでも同じです。
e-Taxで提出する場合は所得税徴収高計算書を作成・送信した後、念のため表示される受信通知のボタンをおして内容を確認しておきましょう。
【0円の所得税徴収高計算書の書き方の手順】 |
1.会計年度を記入
所得税徴収高計算書(納付書)の左上には「会計年度」を記載する欄があります。会計年度を令和○年の形式で記載しましょう。
例えば令和3年度(2021年度)の場合は「03」と記入します。
2.管轄税務署名、税務署番号を記入
管轄税務署名は漢字で記載します。所得税の申告を行っているお住まいや事業所の地域の管轄の税務署名を記載してください。
税務署名の右横には管轄の「税務署番号」を記載する欄が用意されています。税務署から郵送されてきた「所得税徴収高計算書(納付書)」には、すでに税務署番号が印字されているので記載の必要はありません。
全くの白紙になっている新しい納付書の場合は、印字された税務署番号の数字を転記して使うといいでしょう。
管轄の税務署番号は、ネットで検索してもわかります。以下の国税庁HPでは郵便番号や地図から調べられます。
3.送られてきた整理番号を記入
税務署から送付された所得税徴収高計算書(納付書)には、すでに「整理番号」が記載されています。わからない場合は、税務署に聞いてもいいでしょう。
4.納期の区分を記入
所得税徴収高計算書(納付書)の右端には「納期の区分」の記載欄があります。給与支払い月を基準にして年月の記載を行いましょう。
納付特例の所得税徴収高計算書はこの欄が2行になっているため、いつからいつまでの支払い分なのかをわかるように記載します。
5.給与を支払った年月を記入
給与の支払った年月は、給与の支給日を基準にします。例えば、令和元年6月分の給与で月末が支給日の場合「010630」と記入してください。
6.支払った人数と給与金額、支払った期間、税額
人員の欄は数字の記載方法に特に注意しなければなりません。
延べ人数の支給額なので「人数×支払った期間(月)」を記入します。
また支給額は、期間分の支給額合計を記入します。
源泉徴収額がある場合は、税額の欄に合計金額を記入しましょう。
7.年末調整の還付金を記入
年末調整による従業員への還付金額を記入します。ただし源泉所得税の金額よりも年末調整の還付金の金額が多い場合は、そのままの金額を記載するとマイナスになってしまうので、源泉所得税の金額の合計と同額の数字を年末調整の還付金の欄に記入しましょう。
この月に差し引けなかった還付金は、翌月以降の源泉所得税から差し引くことができます。住所の下の摘要欄に「翌月に繰り越して還付する金額〇〇円」などと繰越の金額を書いておくと、税務署へ知らせるだけでなくこちらの備忘にもなります。
もし2月末までに全額引ききれない場合には、税務署に書類を提出して還付請求できます。手続きは国税庁のHPを参照ください。
8.本税、合計覧に¥0と記入
納めるべき税金が0円になる場合、本税に0を記入します。
そして最も下の欄にある「合計額」に「¥0」と記載します。合計額の0の前には、必ず「¥」マークを記載するようにしましょう。
書き間違えたときの訂正方法
所得税徴収高計算書(納付書)を書き損じをした場合は、二重線で訂正して正しい内容を記入しましょう。印鑑は不要です。
ただし合計額については修正ができません。間違えた場合は新しい納付書を取り寄せて最初からすべて書き直す必要があります。
所得税徴収高計算書は税務署or郵送で入手
所得税徴収高計算書(納付書)は様式が決まっており、税務署の窓口か郵送を手配して入手する必要があります。
税務署に行って窓口で入手する方法が一番確実に手に入れられる方法です。
時間のない方や所轄の税務署が事業所から遠方にあるような場合は、税務署に連絡をして郵送の手配をすると、数日はかかりますが郵送も可能です。
所得税徴収高計算書(納付書)にはいくつか様式の種類があります。給与所得および退職所得分の様式については「一般用」と「納期特例分」の2種類です。納期の特例の承認を受けていない場合は一般用を使用します。間違えないように注意しましょう。
手間が省ける提出方法
所得税徴収高計算書(納付書)は毎月送付し、納税する必要があるので手間がかかります。手間を省きたい場合は、郵送やe-Taxの使用がおすすめです。
紙面は税務署に持参できるが面倒
納付税額がある場合は、金融機関等での納付に変えることができますが、0円納付の場合は、管轄の税務署に提出する必要があります。
税務署に納付書を持参して提出しなければ、日付入りの収受印が押された「納付書の控え」を受け取れないので注意が必要です。
紙面の場合は郵送も可能
紙面を税務署に郵送して提出できます。郵送すれば持参する必要がないので手間が省け、特に遠方のかたにはおすすめです。ただし控えを返送してもらうために返信用封筒を同封しておきましょう。
また宛名は税務署の住所になりますが、宛名の横に「0円の所得税徴収高計算書在中」などと提出物を具体的に記載しておくと税務署内でスムーズに処理してもらえるでしょう。
e-taxは電子証明書なしで送れる
e-taxなら、所得税徴収高計算書(納付書)の申告・納税は、パソコンを使ったオンラインでの提出が可能です。電子証明書(マイナンバーカード)も不要です。
納付書を取り寄せる必要がないので、必要事項を入力し、間違いなく登録作業を終えたうえで、データを作成し、提出期限までに提出作業を行いましょう。
詳しくは「国税電子申告・納税システム」のサイトを参考にしてください。
特例納期なら年2回提出になる
特例納期の制度を利用すると、毎月提出する所得税徴収高計算書の提出が年2回になります。毎月10日提出だったものが、1~6月分を7月10日までに、7~12月分を1月20日までに納付するだけで済むのです。
特例納期の制度を利用するには「特例の申請書を税務署に提出し承認を受ける」「従業員人数が10人未満」という2つの条件のクリアが必要です。
【条件1】源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書を税務署に提出
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書を所轄の税務署に提出し、承認を受けなければなりません。
注意点はすぐに承認されるわけではない点です。申請書を提出した月の翌月末日に承認されます。
また税務署からは承認の通知は来ない点にも注意が必要です。承認されると所得税徴収高計算書の左下の記載が納期特例分になるので確認しましょう。
【条件2】従業員人数が10人未満
従業員人数が10人未満とは、給与を支払っている従業員の数が常に10人未満になるかどうかということです。
期中に従業員が10名を超えそうな場合は、毎月提出しなければならなくなるので注意が必要です。
監修税理士からのコメント
風間公認会計士事務所 - 東京都品川区南品川
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