引越しでエアコンを新居に持っていく際、部屋の広さが同じ場合は移設がおすすめです。一方、引越し先の部屋の広さが合わないときや購入から6年以上経っているとき、買い替えたほうが移設よりもお得になるケースがあります。
引越しが決まった際のエアコンの取り扱いについて、移設と買い替え、どちらがお得なのでしょうか。エアコンの移設作業ができる主な依頼先と費用相場を含めて解説します。
引越しでエアコンの移設か買い替えかを決めるポイント
引越しが決まってエアコンを移設するか、買い替えたほうがお得なのか迷っているとき、下記のポイントを踏まえて判断しましょう。
判断ポイント | 移設がおすすめ | 買い替えがおすすめ |
エアコンの製造年数 | 製造年から6年未満 | 製造年から6年以上経過している |
エアコン本体の購入価格 | 5万円以上 | 5万円以下 |
引越し先の間取り | 旧居と同じ間取り | 旧居よりも広く、または狭くなる |
引越し先のコンセントと電圧 | 現在使用中のエアコンに対応している | 現在使用中のエアコンに対応していない |
1.エアコンの製造年数
製造年から6年未満のエアコンを使用している場合、引越し先の間取りに対応できていればそのまま移設しましょう。一般的にエアコンの寿命は10年といわれており、修理用の部品が確保できるかどうかも10年前後が目安です。
6年以上使用し続けるとエアコンの汚れが溜まるほか、経年劣化で冷暖房効率が低下して消費電力が増えてしまうため、引越しを機に買い替えを検討しましょう。
2.エアコン本体の購入価格
現在使用しているエアコンの購入価格が5万円以上の場合、引越し先の間取りに対応できていれば移設できます。一方、購入価格が5万円未満のエアコンを引越し先に移設すると、買い替え費用よりも高くなってしまう可能性があるため、買い替えを検討しましょう。
省エネ性能や稼働効率を改善したエアコンを新たに購入すれば、ランニングコストを下げられる可能性があります。
3.引越し先の間取り
旧居で使用中のエアコンが新居の間取りに対応していないとき、引越しを機に買い替えましょう。
たとえば現在使用しているエアコンの最大畳数が8畳ですが、引越し先が14畳と広くなる場合、冷暖房効率が悪くなり電気代が高くなります。
住宅の構造や住まいの状況によって変わるため、各メーカーのカタログやネットショップに記載された最大畳数を参考にエアコンの移設か買い替えかを判断しましょう。
4.引越し先のコンセントと電圧
引越し先にあるエアコン用のコンセントが、旧居で使っているエアコンに対応していないとき、引越し先に対応する電圧に対応したエアコンの買い替えが必要です。
新居のコンセントとエアコンの電圧が合わないとき、電圧の切り替えやコンセントの増設工事も可能ですが、エアコンの取り外し・取り付け工事費用のほかに2,000〜5,000円の追加工事費用もかかります。
引越し時のエアコン移設にかかる費用相場
引越しでエアコンを移設する際にかかる費用相場は、下記のとおりです。
取り外し費用 | 5,120円 |
取り付け費用 | 13,389円 |
合計 | 18,509円 |
※ミツモアにおけるエアコン移設の平均価格から算出(2023年10月1日~2024年9月30日)
上記の費用はあくまでも標準工事を行った場合の費用相場です。なお、引越し先までの移動距離や設置条件によっては、以下の追加工事で費用がかかることもあるので、注意しましょう。
室外機の屋根設置 | 9,000円~ |
壁掛け・天吊り | 7,000円~ |
電圧・コンセントの形状変更 | 3,000円~ |
配管の延長や交換 | 3,000円~ |
引越し時のエアコン移設はどこに依頼する?
引越し先にエアコンを移設するにあたって、自力でやろうとすると故障や感電のリスクがあるため、やらないようにしましょう。
専門知識やスキル、工具を持ったプロの業者に引越し時のエアコン移設作業を依頼することをおすすめします。具体的な業者は、以下のとおりです。
依頼先 | 費用相場 | メリット | デメリット |
引越し業者 | 22,000~50,000円※要見積もり | ・スムーズに移設作業が進められる
・運搬時の故障リスクが軽減 ・引越し当日から使用できる |
・引越し料金が割高になる
・委託先の施工業者とのコミュニケーション不足が懸念 ・作業品質が不透明 |
エアコン工事業者 | 20,000~30,000円 | ・作業料金が安い
・移設作業の質が高い |
・エアコンの運搬に対応しないところがある
・日程調整や相見積もりの手間がかかる |
引越し業者
荷物の搬出入作業とあわせて、オプションサービスでエアコン移設作業を依頼できます。相見積もりや日程も引越し予定日にあわせて調整してもらえるほか、ほかの荷物とあわせて故障リスクの高い運搬作業も任せられるのもメリットのひとつです。
ただし引越し当日の作業は委託先の施工業者が担当するため、引越し費用は業者への仲介手数料込みの金額で請求されます。
加えて依頼主は施工業者と直接連絡が取れないケースが多く、作業の開始予定時間よりも遅くなったり、作業の質が不透明な点に注意が必要です。
エアコン工事業者
専門的な知見や豊富なスキルのあるエアコン専門の工事業者に依頼するのもおすすめです。
引越し業者から委託されているところもありますが、引越し業者を介さず直接依頼ができれば、仲介手数料が発生しないため、費用を安く抑えられます。
ただし自分で業者を探したり、日程の調整や相見積もりをとる必要があるほか、直前に依頼すると引越し予定日に間に合わない可能性があるので、早めに依頼しましょう。
引越し時のエアコン移設の流れ
引越しと同時にエアコンを移設するとき、下記のとおりに行います。
1.作業スペースの確保
引越し業者やエアコン工事業者が自宅に来る前に工事が滞りなくできるように、作業スペースを確保しておきましょう。エアコン本体(室内機)や室外機の周辺になるべく物を置かず、片付けておくことが大切です。
2.旧居でのエアコン取り外し作業
エアコン本体や室外機周辺にある荷物を運び出した後、以下のような流れで取り外し作業を行います。
- 取り外すエアコン本体(室内機)と室外機の確認
- 作業場所周辺に養生シートを敷く
- 冷媒ガスの回収に必要な冷房運転の実施
- 室外機と室内機の取り外し作業
エアコン取り外し作業にかかる時間は30~60分です。作業中に立ち合う必要はありませんが、業者から質問などを受けた場合、すぐに答えられるように近くにいましょう。
3.新居でのエアコン取り付け作業
新居までエアコンを運搬した後、取り付け作業を行います。具体的な作業の流れは、以下のとおりです。
- 室内機と室外機の設置場所の確認
- 作業場所周辺に養生シートを敷く
- 室内機を設置するための据付板の設置
- 室内機と室外機の取り付け
- 配管の接続と真空引きの実施
- エアコンの動作確認
エアコンの設置場所や追加工事の有無などによって異なりますが、取り付け工事にかかる時間は1~2時間です。取り外し作業の時と同様に立ち合う必要はありませんが、質問などがあれば、すぐに返答ができるようにしておきましょう。
引越し時のエアコン移設でよくあるトラブルと対処法
引越しに伴うエアコンの移設作業中、下記のようなトラブルが発生しても、適切な対処法を知っておけば必要以上に慌てることはありません。
引越しでエアコン移設をしたときによくあるトラブル
1.電圧が対応していない
エアコンは製品によって、以下のように動かせる電圧が異なります。
対応する部屋の広さ | エアコンの電圧の種類 |
---|---|
13畳以下(約23.7㎡) | 100Vのみ |
14~18畳未満(約25~32.8㎡未満) | 100Vと200Vが混在 |
18畳以上(約32.8㎡以上) | 200Vのみ |
新居にエアコンを取り付ける前に、コンセントに対応できる電圧と新居で契約した電気のアンペア数を確認しておきましょう。
もしも設置後にコンセントが合わないことに気づいた場合、エアコンを取り外すかコンセントの増設工事を依頼します。
2.設置場所がエアコンより狭かった
エアコンの寸法をきちんと測っていないと、設置場所とエアコンの大きさが合わず移設できません。引越し前に室内機と室外機を設置できる十分な空きスペースがあるのか、配管穴やエアコン専用のコンセントの有無や位置を確認しましょう。
室外機はスペースがないと排熱ができないほか、エアコン専用のコンセントがないと、ブレーカーが落ちたり、火災が発生する可能性があります。
3.エアコンの能力と合わない部屋に設置してしまった
エアコンには対応する部屋の広さが決まっており、エアコンの能力と設置する部屋の広さが一致していないと、冷暖房の効きが悪くなって出力過剰で電気代が高くなります。
引越しでエアコンを新居に持っていく場合、移設先の部屋の広さとエアコンの能力が一致しているかを確認しましょう。
エアコンの取扱説明書には、冷暖房の能力として「定格能力」や「最大能力」、「最小能力」が記載されています。
4.移設料金が高額になってしまった
引越し業者や専門の工事業者に移設作業を依頼するにあたり、見積もりよりも高額な作業費用を請求されるケースがあります。
高額請求によるトラブルを避けるには、見積もり時に必ず以下の内容を確認しましょう。
- 提示された料金に含まれているサービス内容
- 追加工事の発生条件
- 追加工事の作業料金
発生することが多い追加工事の相場については以下の表をご覧ください。
工事内容 | 料金相場 |
---|---|
配管の延長(1m) | 3,000~6,000円 |
穴あけ工事 | 5,000~20,000円 |
電圧切替工事(100V→200V) | 2,000~10,000円 |
コンセントの増設 | 10,000~20,000円 |
コンセントの交換 | 2,000~6,000円 |
エアコン処分 | 2,000~6,000円 |
⑤ 移設したエアコンがすぐに故障した
引越し先にエアコンを移設した後、故障するケースがあります。主な理由は下記のとおりです。
- エアコンそのものの劣化が進んでいるから
- 運搬中に衝撃を与えてしまったから
- 作業中に冷媒ガスが抜けてしまうなどの不備があったから など
移設後、すぐに故障してしまったときに備えて保証付きのサービスを選ぶと安心して依頼できるでしょう。
エアコン移設を効率よく進めたいなら引越し業者に相談しよう
引越しでエアコンを新居に移設したいなら、事前に取り付けられるスペースや設備があるのか確認した後、予算を考慮したうえで引越し業者に相談しましょう。
引越しの一括見積もりサービスを提供するミツモアなら、エアコンの取り外しと取り付けの有無や新居の情報など、簡単な質問に答えるだけで最大5つの引越し業者からエアコンの移設費用を含めた見積もりが届きます。
気になる業者が見つかれば、チャットでエアコンの移設作業に必要な設備の状況や日程などを相談できるので、安心して依頼できるでしょう。