パソコンはとてもデリケートな電子機器なので、引っ越しの最中に壊れないか心配という方も多いでしょう。引っ越しをプロの業者に依頼する場合でも、万が一の事態に備えて事前の準備・対策は欠かせません。
今回は、パソコンの引っ越しを行う方法や引っ越しの前後にやっておくべきことを、注意点を交えながら詳しく解説します。補償の有無や処分方法といった気になるポイントにも触れていきますので、引っ越しを検討している方はぜひ参考にしてください。
パソコンの引っ越しを行う3つの方法
パソコンの引っ越し方法は全部で3つあります。パソコンの種類や状況に応じて、できるだけ安全に運べる方法を選びましょう。
①自分で運ぶ
パソコンは精密機械なので、自分で運ぶのが最も安心・確実です。
ノートパソコンのように普段から自分で持ち運ぶパソコンなら、ケースなどに入れて新居に持ちこみましょう。より確実にパソコンを守るなら、梱包するのがオススメです。
デスクトップタイプの場合は、適切な梱包が必須。ディスプレイは強い衝撃や圧力がかかると割れてしまいます。またHDD(ハードディスクドライブ)も衝撃に弱く、壊れるとデータが消えてしまう可能性も。
しっかり梱包して、パソコンを衝撃や圧力から守りましょう。
②引っ越し業者に依頼する
引っ越し業者を利用する場合、基本的には追加料金なしで運搬を依頼できます。
ただしアート引越センターなど一部の業者は、パソコンを自分で運ぶことを推奨しています。
③パソコン専門の宅配サービスを利用する
パソコン専用の宅配サービスを利用するという方法もあります。ヤマト運輸や佐川急便など、大手の宅配業者が対応可能なので安心です。
専用資材を使って、パソコンにやさしいフィルムで梱包できます。セールスドライバーがその場で梱包してくれるので、安心かつ簡単にお任せできるのがメリットです。
料金は、パソコンのサイズ・重量によって変わりますが、おおむね1,000~2,000円ほどです。
パソコンの引っ越し前にやっておくべき5つのこと
ここではパソコンの引っ越し前に準備すべきことを5つご紹介します。破損を防ぎ、新居ですぐにパソコンを使い始められるようにするためにも、忘れずにやっておきましょう。
1.インターネット回線の手続き
固定回線の場合は、回線の撤去が必要なケースがあります。退去の際には忘れずに問い合わせましょう。問い合わせ先は、おもに「プロバイダー」と「回線事業者」の2カ所です。
引っ越し先で入居当日からインターネットを利用したい場合は、新居での契約も事前に済ませておきましょう。契約中の会社にまとめて依頼しておくとスムーズです。
新居の状況によってはインターネット回線が引かれていない場合もあるので、早めの手続きが大切です。
2.データのバックアップ
パソコンが破損すると、保存しているデータが消える恐れがあります。引っ越しの際には、かならずバックアップを取りましょう。
ちなみに多くのケースでは、外傷による故障は「標準引越運送約款」によって補償されます。(※参考記事内の「事例11」)
しかしデータは現金に換算できないので、補償も対応していません。しっかりバックアップを取っておきましょう。
バックアップ方法1:外付けハードディスクを使用する
市販されている外付けHDD(ハードディスク)にデータを移行する方法です。2TB以上の大容量の外付けハードディスクも販売されているため、画像や動画などをたくさん保存している方も不安なくパソコン内のデータを移行することができるでしょう。
バックアップ方法2:クラウドストレージを利用する
クラウド上にデータを預けるという方法を選べば、外付けHDDのような機器を購入・利用する必要がなくなります。
たとえば「Dropbox」や「GoogleDrive」、「OneDrive」などのサービスがあるので検討してみてください。
無料で利用できるサービスが多いものの、データ容量によっては有料プランに切り替える必要があるので注意しましょう。
バックアップ方法3:USBメモリを使用する
簡易的な外付けハードディスクと考えましょう。料金が安く、持ち運びも簡単なことがメリットです。ただし、USBメモリの容量は比較的少ないため、パソコン内のデータ量が多い場合は別の方法を検討しましょう。
3.配線状況の確認
パソコン周辺機器の配線がどうなっているか、今の状態を写真などで記録しておきましょう。とくにモデムやWi-Fiルーター回りの配線は混乱しやすい箇所です。引っ越し業者は、パソコンの配線作業までは対応していないことが多いので注意してください。
4.パソコンの掃除
新居にホコリを持ち込まないように、パソコンの掃除をしておきましょう。とくにコンセントまわりのホコリは、ショートや火災の原因にもなりかねません。この機会に、汚れやすいキーボードなどもあわせて掃除してもいいですね。
パソコンの梱包方法
パソコンの梱包方法はタイプによって変わります。それぞれのタイプに合った方法で梱包して、新居まで安全に運びましょう。
- 段ボール箱
- ガムテープ
- 毛布、タオル、新聞紙など
- 緩衝材(プチプチ)
上記のような道具を使って梱包できます。緩衝材(プチプチ)はパソコン本体に、毛布・タオル・新聞紙などは段ボールとパソコンとの隙間を埋めるために使います。
デスクトップパソコンの梱包方法
まずはケーブル類や付属品などを、デスクトップ本体から外しましょう。それぞれを別々に緩衝材(プチプチ)で包み、緩まないようにテープで固定しましょう。
大きめのダンボールを用意して、底には毛布やタオルなどを敷きます。その上にデスクトップ本体や付属品、ケーブルなどを置きます。
空いたスペースにはタオルや新聞紙を入れておき、隙間をふさいでフタを閉じましょう。目立つ場所に「パソコン注意」という張り紙をして、梱包終了です。
パソコンモニターの梱包方法
モニターを梱包する際、もっとも注意すべきは液晶部分が割れないようにすることです。
まずは液晶部分にタオルを当てて保護しましょう。そのうえからモニターのサイズに切り抜いたダンボールを当て、養生テープなどで貼り付けます。
この状態で緩衝材(プチプチ)で梱包し、底にタオルなどを敷いた段ボールに入れましょう。新聞紙などを隙間に敷き詰めて、フタを閉じたら完成です。
ノートパソコンの梱包方法
ノートパソコンの梱包方法も、これまで紹介してきた方法と同じです。
パソコン本体をタオルなどで包み、その上からプチプチなどの緩衝材を巻き付けて保護します。
梱包後のパソコンをダンボールに詰めたら、周囲に隙間ができないように緩衝材を敷き詰めてフタをしましょう。
LANケーブルなど周辺機器の梱包方法
LANケーブルや電源アダプターなども、破損しないように梱包しましょう。束ねて結ぶと、これは断線の原因になるため要注意です。
20cm程度の長さまで折り畳んだら緩衝材で包み、その上からテープで固定しましょう。パソコン本体と同じダンボールに梱包しておけば、新居に行った後もすぐに接続できます。
パソコンの引っ越し後にやること
新居の設備にもよりますが、場合によっては開通工事が必要です。ここでは開通工事の手順について解説していきます。すでに開通済みの場合でも、きちんと接続できるかどうか確認しておきましょう。
固定回線の開通工事
インターネット環境が整っていない家に引っ越して光回線などの固定回線を使う場合、業者による開通工事が必要です。
申し込みから工事完了まで数週間から数ヶ月ほどかかるため、引っ越し予定日が決まったら、なるべく早く業者へ連絡して日程を伝えましょう。
インターネットの接続確認
モデム・Wi-Fiルーターなどにパソコンを接続・設定して、インターネットに接続できるか確認します。
プロバイダを変更する場合、工事後に新しいモデムへの接続が必要なので、工事日を引っ越し予定日の近くに決めておきましょう。
パソコンの引っ越しを行う際の注意点
続いて、パソコンの引っ越し作業における注意点を4つ紹介します。以下の注意点を押さえておかないと、故障のリスクが高まってしまうため注意が必要です。
ダンボールや箱に「パソコン」と明記する
梱包後は中身が見えず、どの箱にパソコンが入っているのかわかりません。しかし、見えやすいところに「パソコン」と書いておけば、積載の際に一番上にのせてもらえるため、重い荷物の下敷きになってしまうリスクがなくなります。
運ぶときは他の物を上にのせない(自分で運ぶ場合)
パソコンが入った箱の上に荷物をのせると、上からの圧力でパソコンが故障する恐れがあります。たとえ梱包が完璧だとしても大きなダメージを受けてしまうので、パソコンの入った箱は必ず他の箱の上にのせましょう。
横からの衝撃にも注意する(自分で運ぶ場合)
車が揺れて荷物が崩れた場合、横に置いてある物がパソコンの入った箱に直撃する恐れがあります。この点にも配慮しながら、パソコンを入れた箱の場所を決めましょう。横ズレによるダメージを防ぐためには、近くの箱同士をヒモで括ると効果的です。
引っ越し業者に依頼したパソコンが壊れた場合、補償してくれる?
引っ越し業者は「標準引越運送約款(やっかん)」に基づいて業務を行います。
約款第9章の「責任」で、荷物の損傷・滅失・遅延については、それによって生じた損害は業者の方で賠償するということが定められています。
ただし、予想できない事故や地震・洪水などの天災、荷物の性質による発火などは免責となり、賠償を受けられません。
また、データ破損に関しては補償の範囲外となっていることも多いので、万が一壊れてしまった場合は引っ越し業者に確認してみましょう。
引っ越しを機にパソコンを処分する方法
新居にパソコンを持っていくのではなく、パソコンを処分してしまえば故障のリスクもありません。引っ越しを機にパソコンを処分する場合、以下の3つの方法から選んで処分しましょう。
なおパソコンを処分する際は、バックアップやデータ移行をしておいて、HDD内部のデータは消去しておきましょう。
製造元メーカーに回収してもらう
パソコンの製造元メーカーが回収を行っているならば、廃棄料をかけずに引き取ってもらえる場合が多く、貴重な資源も有効に再利用されます。
データ流出などのリスクも低いため、パソコン内のデータを不正利用されるのが心配という方にはこの方法がおすすめです。
以下のページで問い合わせることができます。
下取りサービスを利用する
家電量販店やパソコンの下取り専門店では、パソコンの製品種類や型、製造年に関わらず下取りを行っていることがあります。
新しくパソコンを購入する場合、下取りを利用すれば割安で購入できるため、引っ越しを機にパソコンの買い替えを検討しているなら近所のお店に相談してみましょう
自治体の回収サービスを利用する
自治体が用意している回収ボックスや、提携業者による廃品回収などによってパソコンを引き取ってもらう方法です。
パソコンを一般ゴミとして廃棄することは不法投棄にあたり、重い罰則が適用されるため、必ず指定された方法で廃棄しましょう。
荷造りのコツを把握して効率的に引越し準備を進めよう
新居にパソコンを持っていく場合、自分で運ぶのが安心・確実です。しかし自分で運ぶ荷物が増えると、ただでさえ大変な引越しがもっと大変になりますよね。
自分でパソコンを運ぶ余裕がないときは、引越し業者に依頼して運搬荷物に入れてもらうか、パソコン専用の宅配サービスを利用するのがオススメです。
ただしデータ破損などのトラブルは補償の対象外となっていることが多いので、ファイルの消失に備えてバックアップを取っておきましょう。
その他の荷物の梱包については、以下の記事で詳しくまとめています。効率的な荷造りのコツも解説しているので参考にしてみてください。
荷造りが面倒という方は、引越し業者のオプションサービスで荷造りまで手伝ってもらうか、専用の梱包資材をレンタルしてラクに荷造りを済ませるのがおすすめです。