相続が発生すると、様々な手続きが必要となります。中でも特に複雑なのが、相続税の申告です。専門知識が必要な場面が多く、税理士に依頼することでスムーズな手続きと節税効果が期待できます。
本記事では、相続手続きを税理士に依頼すべきケースや依頼するメリットについて詳しく解説します。相続について分からないことが多く不安で、専門家への依頼を検討している方は是非ご一読ください。
相続手続きを税理士に依頼するメリット
相続手続きを税理士に依頼するメリットは以下のとおりです。
- 財産調査を依頼できる
- 相続税評価額の計算を任せられる
- 効果的な相続税対策ができる
- 相続税申告をスムーズに進められる
- 二次相続対策ができる
- 提携する専門家と連携してトラブルに対応してもらえる
財産調査を依頼できる
相続手続きにおいて税理士に依頼するメリットは、財産調査を依頼できることです。特に亡くなった方の自宅に向かうことが難しい場合や、相続人が高齢で財産調査が難しい場合などは、税理士に依頼することで負担を軽減できます。
例えば、遠方に住む親が亡くなり相続手続きを行うことになったとします。親がどのような財産を所有しているのか、借金があるのかなど分からない場合、自ら実家に向かう必要があります。しかし、税理士に依頼することですべての調査を任せることが可能です。
また、財産調査の中で借金が見つかった場合でも、相続放棄などの適切な手続きをアドバイスしてくれるでしょう。
相続税評価額の計算を任せられる
税理士に相続税の申告を依頼することで、複雑な財産の評価を安心して任せることができ、相続税の過不足を避けられます。
例えば、広大な土地や非上場株式の評価は複雑で、正確に行うことは困難です。しかし、税理士は評価が難しい財産についても豊富な経験と知識を持っており、適切な評価方法を選択して評価額を算出してもらえます。
相続税の申告は、期限内に正確に行う必要があります。税理士に依頼することで、複雑な財産の評価を含め、申告手続き全体を円滑に進めることが可能です。
効果的な相続税対策ができる
相続手続きを税理士に依頼するメリットは、効果的な相続税対策ができることです。相続人や財産の状況などを考慮して、最適な節税方法を提案してくれます。
相続税の計算は複雑で、適用できる特例も多岐にわたります。そのため、専門知識のない方が自分で行うのは非常に困難です。税理士に依頼することで費用はかかりますが適切な節税を行えるため、結果的に負担を軽減できる可能性が高まります。
例えば、相続財産に不動産が含まれる場合「小規模宅地等の特例」や「配偶者居住権」など、評価額を下げるための様々な特例があります。こういった特例を適切に活用し、相続税を最小限に抑えるための対策を提案してくれるでしょう。
相続税申告をスムーズに進められる
相続手続きにおいて税理士に依頼するメリットは、相続税申告をスムーズに進められることです。税額の計算や申告書作成など、専門知識が必要で手間がかかる作業をプロに任せられるため、手間をかけずに手続きを進められます。
例えば、相続財産に不動産や株式が含まれる場合、評価額の算定は複雑になりがちです。しかし税理士に依頼することで、申告漏れや過少申告のリスクを軽減してくれます。余計な税金を支払うことなく、スムーズに相続手続きを終えられるでしょう。
二次相続対策ができる
相続手続きを税理士に依頼すると、合わせて二次相続の対策も可能です。相続税の計算や申告だけでなく、その先の二次相続まで見据えた提案をしてくれます。
二次相続では、一次相続で配偶者が取得した財産がさらに相続されるため、相続税が高額になったり、遺産分割でもめたりする可能性も出てきます。税理士はトラブルを未然に防ぐための具体的な対策を提案してくれるため安心です。
例えば、配偶者の税額軽減制度や生命保険の活用、生前贈与の選択などの方法で、将来のトラブルを避けつつ税負担軽減の助けになってくれるでしょう。
提携する専門家と連携してトラブルに対応してもらえる
税理士に依頼するメリットは、提携する専門家と連携して相続時の思わぬトラブルにも対応してもらえることです。税理士は、相続手続きに精通しているだけでなく、司法書士や弁護士とも連携しているケースが多いです。
例えば、遺産分割協議がまとまらない場合、弁護士に間に入ってもらい、円滑な解決を図ることができます。また、不動産の名義変更が必要な場合は、司法書士に手続きを依頼してスムーズに進められます。
相続手続きにおける様々な専門知識が必要な場面でも、税理士を窓口としてノンストップで対応してもらえるのは大きなメリットです。
相続手続きを代行してもらえる専門家については、下記で詳しく解説しています。
相続手続きを税理士に依頼すべきケース
以下のケースに当てはまる場合は、税理士への依頼を検討しましょう。
- 相続財産が基礎控除を超えるor超えそうな場合
- はじめての相続で不安が大きい場合
- 時間の確保が難しい場合
相続財産が基礎控除を超えるor超えそうな場合
相続財産が基礎控除を超える場合は、相続手続きを税理士に依頼することをおすすめします。基礎控除を超えると相続税の申告が必要となり、手続きが複雑になるためです。
また、基礎控除を超えるか分からない場合でも、一度税理士に相談してみるといいでしょう。相続財産を正確に評価し、相続税が発生するかしないかを見極めてもらえます。
もし相続税が発生する場合には、事前に対策を講じることで納税額を減らせるかもしれません。
はじめての相続で不安が大きい場合
初めての相続で不安が大きい場合は税理士に依頼すべきです。 相続税の計算や申告書の作成には専門知識が必要となり、不慣れな方が自身で行うのは難しいでしょう。
例えば、相続税の計算では、様々な控除や特例を適切に適用する必要があります。また、申告書の作成も必要書類の収集や記入方法など細かい注意点が多くあり、誤りがあると余計な税金を支払うことになったり、税務調査を受けたりする可能性もあるのです。
税理士に相談すれば、上記のような不安や疑問を解消できます。専門家ならではの視点から個々の状況に応じたアドバイスをしてくれますし、些細な疑問にも丁寧に答えてもらえるので安心して手続きを進めることができるでしょう。
時間の確保が難しい場合
時間の確保ができず相続税の申告に集中できない場合は、税理士に依頼するのがおすすめです。
相続税の申告には、財産の評価や必要書類の収集、申告書の作成など多くの時間と労力を必要とします。相続税の申告期限を過ぎてしまうとペナルティも発生するので、余裕がない場合は税理士に依頼して期限内に適切な申告を行いましょう。
例えば、仕事が忙しくて平日の日中に役所に行く時間がない、遠方に住んでいるため手続きのために何度も帰省できない、介護で付き添いが必要な家族がいるなど、様々な事情で相続手続きに十分な時間を割けないケースが考えられます。
また、大切な家族を亡くした悲しみや心労の中で、複雑な手続きに煩わされることなく気持ちの整理に専念することもできます。
相続手続きで税理士に依頼できること
相続手続きで税理士に依頼できることは主に3つです。
- 相続財産の調査
- 遺産分割協議書の作成
- 相続税の申告
まず、相続財産の調査は相続手続きの基礎となる重要な作業です。不動産や預貯金、株式などの財産を漏れなく調査し、正確な相続財産の把握をサポートしてくれます。例えば、被相続人が所有していた不動産の評価額を算出したり、金融機関に問い合わせて預貯金の残高を確認したりといった作業です。
次に、遺産分割協議書の作成は、相続人同士が遺産の分け方を話し合い、合意内容を文書化する手続きです。税理士は遺産分割協議が円滑に進むよう中立的な立場でアドバイスを行い、法的にも有効な遺産分割協議書の作成を支援してくれます。
最後に、相続税の申告です。相続財産の評価や各種控除の適用など、税務の専門家としての知識と経験を活かして適正な相続税額を算出し、申告手続きを代行してくれます。
相続手続きを税理士に依頼する場合の費用
相続手続きを税理士に依頼する場合の費用は、相続財産の種類や額によって変動します。相続財産が複雑であればあるほど税理士の業務範囲は広がり、それに伴い費用も増加する傾向にあります。
例えば、相続財産が現金や預貯金のみで相続人も少ない場合は、比較的シンプルな手続きとなり費用も抑えられるでしょう。一方、相続財産に不動産や株式が含まれていたり、相続人が多かったりする場合は、手続きが複雑化し税理士の業務量も増えるため、費用が高くなることが予想されます。
目安として、相続財産が1億円以下の場合は、税理士への報酬は50万円から100万円程度が一般的です。相続財産が1億円を超える場合は、100万円以上になることも珍しくありません。
相続手続きを税理士に依頼する際は、事前に複数の税理士に見積もりを依頼して費用やサービス内容を比較検討しましょう。
相続税の申告期限は亡くなってから10ヶ月以内
相続税の納付期限は、被相続人が亡くなったことを知った日から10ヶ月以内です。
期限を過ぎてしまうと延滞税が発生したり、税額控除が受けられなくなる可能性があります。
可能な限り負担を減らすために、相続手続きは迅速に進めましょう。
相続手続きの手順
相続手続きの手順は以下のとおりです。
- 遺言書や相続人を確認する
- 相続財産の調査を行う
- 遺産分割協議を行う
- 相続税申告書を作成する
- 相続税申告書を提出する
遺言書や相続人を確認する
まず最初に取り組むべきは、遺言書の有無と相続人を確認することです。遺言書が存在する場合は故人の意思が記されており、相続手続き全体の方向性を定める重要な役割を果たします。
また、相続人を正確に把握することは、遺産分割協議や各種手続きを進める上で不可欠な要素です。
相続財産の調査を行う
遺言書や相続人を確認したら、次に相続財産の調査を行います。
相続財産の調査では、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も漏れなく確認する必要があります。相続人はプラスの財産だけでなく、マイナスの財産も引き継ぐことになるためです。
例えば、故人が借金を抱えていた場合、相続人はその借金を返済する義務を負います。また、未払いの税金や公共料金なども、相続人が支払う必要があるかもしれません。
相続財産の調査を怠ると、後々思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。相続放棄や限定承認といった制度もありますが、これらの制度を利用するためにも相続財産の全体像を把握することが重要です。
遺産分割協議を行う
故人の意思が示されていない財産については、相続人全員で話し合いを行い、どのように分割するかを決定する必要があります。これは「遺産分割協議」と呼ばれる手続きです。相続人の間で公平な遺産分割を行うためには、全員の合意が必要となります。
遺言書がない場合や遺言書に記載のない財産がある場合は、故人の意向が不明確なため相続人同士で話し合い、それぞれの財産に対する希望や事情を考慮しながら分割方法を決定しましょう。
相続税申告書を作成する
誰がどれだけ相続するかが決まったら、相続税申告書を作成します。相続した財産の種類や評価額、適用される控除などを申告書に記入しましょう。
相続税申告書の作成は複雑な作業になる場合もあるため、税理士などの専門家に依頼するのもおすすめです。
相続税申告書を提出する
相続税の申告書が完成したら、管轄の税務署に提出します。提出方法は、税務署への持参、郵送、e-Tax(電子申告)が一般的です。先述のとおり、提出期限は相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内ですので、期限内に忘れずに提出しましょう。
相続手続きは税理士に依頼しよう
本記事では相続手続きを税理士に依頼するメリットや、依頼すべきケースについて解説しました。
相続手続きは専門知識が必要で、正確に終えるためには相当な時間と労力がかかります。期限を過ぎるとさらに負担が大きくなるので、専門家に依頼して迅速に進めましょう。
相続財産が基礎控除を超える、はじめての相続で不安が大きい、時間の確保が難しい方は、是非税理士への依頼を検討してみてください。
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