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就業規則とは?基本事項から作成手順、賃金規程までわかりやすく解説!

最終更新日: 2023年03月10日

労働基準法の及び労働関連の法改正であったり、会社の経営の方向性・社内の管理体制を見直したりするタイミングで直さなければいけないのが就業規則です。

  1. 法改正があった
  2. 就業規則に記載されている労働条件や規律と実際の就業の状態にギャップ(ズレ)がある
  3. 正社員以外の増加で、正社員用の就業規則がそのままの状態では使えない
  4. 労使問題(紛争)が生じたときに、就業規則がその解決に対応できる内容となっていなかったため混乱を生じ、その反省を踏まえ、今後のトラブル防止又は予防のために改定する
  5. 企業防衛及びリスク管理のために、新たに規定を追加する必要性が出てきた
  6. 副業したいのですが・・という社員が出てきた

等々が生じた際には、就業規則を見直ししましょう(出来れば、社労士とともに)。

就業規則の作成方法はきちんと把握しておきましょう!

就業規則とは

会社で働くうえで必要なのは人とのコミュニケーション。

従業員がなく経営者一人の会社ならまだしも、人が多くなれば「暗黙の了解」とされていたものは簡単に崩れ去ります。

また、就業規則を設けていても、見ようとしたら容易に確認できるような場所にあればよいのですが(就業場所にファイルが置いてあったり、社内イントラネット上で皆がアクセスできる場所に置いてあったり)「どこにあるか知らない。」「本社では説明会を行い、就業規則が閲覧できる状態になっていても、支店などに閲覧できる状態となっていない」では周知しているとは言えません。『会社を守りつつ、こんなルールの会社なら働きやすい。』というような、守りもある上でのポジティブな意味合いをもつものにしましょう。

「懲戒解雇」や「けん責(始末書を提出させ、将来を戒める)」等といった懲戒処分をするためには就業規則に懲戒事由を定め、かつ、これを周知していなければいざ解雇が必要な事案が生じても懲戒解雇しますとは言えません。

常時10人以上を雇用していなく、労基法上、就業規則の作成・届出義務が課せられていない会社であっても、就業規則に懲戒事由を定めていなければ懲戒処分はできないので、常時10人未満の会社においても必要なのです。「どのようなことを意識して行動してほしいのか」「何をしてしまうと、懲戒の対象なのか」明確に定めておきましょう。

また、従業員にとっては「働くためのルールが明確」であることは働きやすさの基礎となります。

就業規則って何?

就業規則は会社の基本的なルールです。会社も従業員も共に守るべき事項がまとめられています。

働くうえで明らかにしておき、お互いに不安をなくすことが就業規則の目的です。策定したものは常時10人以上であれば、労働基準監督署に提出が必要です。

就業規則を適正な状態にしておくことで、従業員だけでなく、いざという時に会社も守ることができる場合があります。たとえばSNSへの書き込みを規制することもできます。

なお、就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める雇用契約書・労働条件通知書は、その部分については無効となります。無効となった部分は、就業規則で定める基準が適用されます。これは労働基準法が従業員を守るためです。

「その規程が、どの雇用形態を対象とした規程なのか」

「ある条文が対象者と対象ではない人がいるような条文なのであれば、誰を対象としているのか明確にする」

「就業規則、賃金規程、パートタイマー就業規則・・・等複数規程が増えていくときには、各規程の定義や対象者を改めて確認し、それらが相互齟齬がないよう、一貫性があることを確認する。」ことが大切です。

最近では悪ふざけな投稿をして炎上する人がいます。採用の際に「SNS調査」が行われ、不採用としているケースも増えてきています。「プライベートなSNSの投稿」と思って、非倫理的な言動があると、意外なところで悪評価を得てしまうかもしれません。たとえ個人で行ったことでも、過去の投稿から勤務している会社が特定されることもしばしばあります。営業や株価に影響を与える危険性も無視できません。また、SNSの社内規程、利用規程を就業規則とは別途設ける会社も増えています。

就業規則は法改正や社会情勢・会社の方向性の変化に合わせて変えていく必要があるものです。

作成義務のある事業所

全ての会社で就業規則の作成が義務付けられている訳ではありません。

作成義務があるのは、常時10人以上の従業員がいる会社です(ただし、なければ前述のように懲戒を行うことができませんのでご注意を)。

ちなみに、就業規則の作成義務に違反した場合や、届出義務に違反した場合は、30万円以下の罰金という罰則があります。労働条件や服務規律などを変更した場合も、届出をしないと同様に30万円の罰金となります。

絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項のうち、一部が記載されていない就業規則を作成、届出していた場合、就業規則自体は無効となりませんが、就業規則の作成義務違反に該当し、30万円以下の罰金となります。

この常時10人以上というのは、勤務時間によっては働いている人は8人や9人になっても、常態として10人以上いることを指します。繁忙期の一時的な雇用で10人以上になるなどは除きます。

常態として10人以上の勤務形態は正社員だけでなく、非正規社員、アルバイト、パートタイマーを含みます。雇用形態に関係なく、雇用(所属)している労働者が常態として10名以上いることであり、出勤している人数ではありません。しかし、派遣社員は派遣会社が雇用しているのであって、10人以上の中には含まれません。

労働基準監督署に提出しなくても、就業規則として効力を発揮します。

人数で気を付けることがもう一つあります。

それは、10人以上と言うのは企業ごとではなく、事業場ごとです。
そのため、企業としては常時15人雇用していても、3つの支店に5人ごと働いていれば、就業規則の作成義務としてはありません。

なお、服務規律や就業規則の制定趣旨、経営方針の宣言などは、任意記載事項に該当するので、罰則などはありませんが、労務トラブルを発生させないための重要なポイントになりますので、しっかり作成しておきましょう。書き方次第では、ポジティブな動機付けにもなります。

就業規則の効力

就業規則は会社も従業員も守るべきものです。

就業規則よりさらに上位にくるものとしては、「法令」と「労働協約」があります。

  1. 法令
  2. 労働協約(使用者と労働組合が対等の立場で取り決めたもの)
  3. 就業規則
  4. 会社での個別の労働契約

たとえば、労働基準法32条では週の労働時間は40時間までと決められています。

第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
○2 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

引用:労働基準法32条

それを就業規則で週の労働時間を50時間としても、法令>就業規則の関係のため50時間は無効になります。それどころか、企業は罰則を受ける可能性もあります。

就業規則を作るメリット

つくっておくことで、万が一従業員との仲違いがあり、裁判になったときにも証拠の一つとして役立ちます。また、昔からの慣習だったダラダラとした残業などの改善にも役立ちます。

会社のルールを明確にしておくことで、防止できるトラブルは多いです。就業規則はない、かなり前につくったけど見直していない。「労務トラブル」につながる可能性もあります。

就業規則の記載事項

就業規則をつくるにあたり、まとめておいて欲しいのは記載する内容です。

というのも、就業規則をゴチャゴチャにつくるのではなく、ルールにのっとって作るためです。就業規則を策定する約束事を確認していきましょう。

3つの記載事項

就業規則の策定にはルールがあります。決して会社で好き勝手につくるのではなく、法令を遵守しながらつくります。

まず、記載事項は3つに分けられます。

  1. 絶対的記載事項:就業規則に必ず記載しなければいけない事項
  2. 相対的記載事項:退職金や業務上災害の補償についてなど、当該事業場で定めをする場合に必要な事項
  3. 任意的記載事項:法的な規制がなく、会社独自の事項

この3つで規則に穴がなく、そして相反することがないように作り上げていきます。

ここで社労士の支援があったほうがよいのは、就業規則というのは、「不利益変更が非常にしづらい」という特性があるからです。判例上、就業規則により一方的に労働者の労働条件を不利益に変更することができるのは、「労働条件の集合的処理、特にその統一的かつ画一的な決定を建前とする就業規則の性質からいって、当該規則条項が合理的なものである」場合(最高裁判所昭和63年2月16日判決)に限るものとされています。

どのような場合に「合理性」があるかについては、「労働者の受ける不利益性」と「使用者側の変更の必要性」とが総合的に判断されています。労働協約や個人の合意を経ずに不利益変更を強行した場合、これに反発する従業員により当該変更措置の無効を確認する訴訟が提起されるおそれがあります。そして、裁判所において、当該変更に合理性なしと判断されると、当該変更は無効となります。その場合、無効と判断される程の不合理な労働条件を一方的に従業員に押しつけたと認識されることによる会社への不信感の増大や企業内の士気の低下、ブランド価値の悪化というリスクは図りしれません。

「個別に合意書を取る」だけでも大変な労力となりますが、「そもそもその変更は、合理性・不利益性・必要性等の総合判断で良しされるようなものなのか、についての判断」や「合意書に署名はしてくれたが、その心象は?」等、考慮すべき難題が色々出てきてしまうのです。ですので、「働きやすく」は大切にしつつも、後に「不利益変更しないと会社がもたない」にはならないよう配慮しながら、作成する必要があるのです。

できれば支援してもらう社労士は「提案してくれる」「気づいてくれる(自社社員よりも沢山の就業規則を見てきているからこそ、こんな条文あったらよいのでは。ここはこうした方が貴社にはよいのでは。これは人数が大幅に増えた時でも問題ないのか。等)」「聞かれないと答えないけれど、自社社員では慣習として当たり前になっていることなどを、上手にヒアリングで引き出してくれる」等が大切になります。

絶対的記載事項

  1. 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに交替制の場合には就業時転換に関する事項
  2. 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
  3. 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

絶対的記載事項とは、就業規則に必ず記載しなければならない事項です。労働基準法でも定められており、毎日の労働時間から賃金、入社と退職についてなどが当てはまります。

会社にルールの根底であり、絶対的事項。労働契約を結ぶ際に重要なものです。

相対的記載事項

相対的とは「比べ」たり「比較する」ことを指します。この場合の比べる対象は絶対的記載事項です。つまり、定めがなければ、必ずしも記載が必要ではない事項が相対的記載事項です。

  1. 退職手当に関する事項
  2. 臨時の賃金(賞与)、最低賃金額に関する事項
  3. 食費、作業用品などの負担に関する事項
  4. 安全衛生に関する事項
  5. 職業訓練に関する事項
  6. 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
  7. 表彰、制裁に関する事項
  8. その他全労働者に適用される事項

引用:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署

退職金やボーナス、その他の福利厚生が当てはまります。

任意的記載事項

会社による任意で決められるものなので、会社によって様々です。

たとえば、セクハラやパワハラについての記載、Web上の書き込み、勤怠管理、公用車の利用申請についてなどです。

明確にしておくことで、問題防止等に繋がります。

就業規則と別規程

別々に規定を設けておくことで、今後の事務手続きが楽になることがあります。

改定が比較的多い事柄はとくに別規定にしておくべきです!そうしないと、一つの条文を変えたり追加したりするだけで、就業規則を丸ごと変えなくてはいけなくなる可能性も!

別規程って何?

就業規則にすべての事項を記載すると、一冊の就業規則で事足ります。しかし、実際に探すとなると話しは別!どこに何が書いてあるのか探しにくくなります。

そこで、いくつかの事項を別規定としてまとめておくのです。そうすることで、必要な項目を探しやすくなり、そのうえ改定するときにもスッキリとしたものができあがりますよ。

別規程にしたほうがいいもの

事項を一冊にまとめるとボリュームが増えてしまいます。その結果、使いにくくなってしまいますね。

別規程にした方がいいものは、

  1. 賃金規程
  2. 退職金規程
  3. パートタイマー規程
  4. 育児介護休業規程

などです。

理由は、法改正・社内状況の変化があるからです。改定をするたびに冊子は厚くなっていきます。別規程も分かりやすく存在を明示できれば、従業員にとっても、分かりやすくなります。別規程は何が存在しているのかは明確に管理しましょう。

賃金規程

賃金に限らず、諸手当について幅広く記載されているのが賃金規定です。

それにあわせて締め日・支払い日や支払い方法、割増賃金率もそれぞれまとめられています。

退職金規程

退職金を払う会社もあれば払わない会社もありますね。これについては相対的記載事項にあたります。

退職金規程がない場合、所得税・住民税の観点において、退職金であることの証明を別途の適切な書面で残しておかないと、税務上、退職者が困ることになります。

なぜならば、退職金を支給する会社においては、定年を迎えれば退職金を支払い、再雇用をすれば再び勤務をすることになるので退職金の支払いの有無を明確にしなければならないからです。

  • 支給対象者の勤続年数(〇年以上など)
  • 定年の年齢、その後の再雇用
  • 再雇用後の退職金の有無
  • 死亡による退職の際の退職金について

パートタイマー規程

パートタイマーは、期間を決めて契約している会社もあります。また、「パートタイム労働法」を考慮しなければいけませんので、正社員と一緒くたにしておくわけにはなりません。

助成金の基準に適切な要件を満たし、パートタイマーから正社員に転換することで助成金が出ることもあります(詳細は厚生労働省ホームページ参照)。

あらかじめ別規定にしておくことで、柔軟に対応できるようになります。

 

就業規則成立までの流れ

いざ就業規則をつくろうと思っても、順番を間違えてしまうと従業員から訴訟を起こされる可能性があります。

とくに中小企業では、一度トラブルになってしまうと信頼関係が崩れ、集団退職に陥ることも……。

そうならないように、順を追って確認していきましょう。

①内容の検討と経営陣での承認

まずは事前準備として就業規則の内容を検討します。

  • 労働時間
  • 賃金・賞与・昇給
  • 休日・休暇
  • 交通費(月間交通費支給上限等)

他にも社内の細かいトラブルの対応方法も決めておく、ルール化しておくことをおすすめします。

②意見の聴取と意見書の作成

次に従業員または従業員の代表者から、就業規則の意見を確認します。この意見は肯定的なものでなくてもかまいません。「従業員から意見を聴取した」ということが必要なのです。

聴取した意見は意見書としてまとめます。

意見がある場合は、その内容を記載します。もし、意見がない場合は「意義なし」「意見なし」などで問題ありません。

就業規則意見書
意見書は「従業員から意見を聴いた」ことが大切です!

画像出典:厚生労働省 東京労働局 就業規則意見書

③就業規則届の作成と書類の届け出

法令に違反するなどの問題がなければ就業規則を作成します。

作成が終わりましたら、所轄の労働基準監督署へ就業規則を提出します。この際に意見書も添付します。

部数は2部作成し、1部は労働基準監督署で保管され、もう1部は受付印を押され返ってきます。それを会社内で保管します。

就業規則は事業場単位の届出が原則です。したがって、共通の就業規則でも原則として事業場と判断される各営業所ごとに当該営業所の所在地を管轄する労働基準監督署へ届出が必要です。

「事業場の市町村名 労基(又は 監督署)管轄」などで検索すると、管轄の労働基準監督署が分かります。社労士とともに作成を進めている場合には、社労士は「提出代行印」というのを持っていて、会社の代わりに届出を行えるため届出をしてもらえたりします。

④内容の周知

次に社内で就業規則の周知を行います。
作成しました。許可がおりました。だけでは、就業規則に効力はありません。

社内で周知を行うことで、初めて効力を持ちます。

就業規則については、「常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、または備え付け」をしたり、書面で交付や社内の共有ネットワーク上に保存しておいたりして、労働者がパソコンでいつでも閲覧できるようにしておく等の方法で『周知』を行いましょう。

勤めている人全員に周知することが重要です。

まれに、一般の従業員に知られること都合が悪いため、周知をしない経営者がいます。その場合は、最悪就業規則の効力はなく、無効になる可能性もあります。

従業員から納得してもらえるような就業規則にすることで、将来のトラブルを回避でき、きちんとした就業規則があることで、社員に適切な労務管理を実施している会社であることをアピールでき、社員へ安心感を与えることができます。

就業規則の作成方法

就業規則の情報はWeb上にたくさんありますね。それらを利用して自分でつくることは可能です。

しかし、法令を遵守し、効力を持つ就業規則ができるかどうかは別問題。それが原因で従業員から不信を買う可能性だってあります。

できることならば、社会保険労務士と一緒に作成を進めることをおすすめします!

一から自分で作成

就業規則はとくに決まった様式はありません。項目ごとに番号が振られ、必要なことが記載されていれば問題はありません。

そのため、自分一人で作成することも可能ですが、トラブルの火種にもなりかねませんので、おすすめはしません。

しかし、労働基準監督署に提出することと就業規則として効力を持つことは別物です。また、「義務」と「努力義務」をすべて明確に把握することは、社会保険労務士のように順次「法改正」と「(社労士によっては)助成金の詳細」を追いかけている職業の人でない限り、『義務ではなく努力義務なのに、会社として今までもこれからも当面必要性のない努力義務の条項で社内ニーズも実態もない条項を就業規則に入れていて助成金のチャンスを失う』という非常にもったいないことが生じかねません。

ひな形を利用して作成

厚生労働省などで公表されているひな形を使用し、自分で作成することは可能です。

しかし、あまりおすすめはしません。なぜならば、ひな形はあくまでひな形でしかなく、ひとつひとつの会社にピッタリではないからです。

かつ、前述の『義務ではなく努力義務なのに、会社として今までもこれからも当面必要性のない努力義務の条項を就業規則に入れていて助成金のチャンスを失う』ことになりかねません。国の雛形は「こうあってほしい」という想いがあるので、努力義務も義務と見分けがつかない形で載っている場合もあります。

必要な条文を追加していっても、都度都度法令を調べてまとめなくてはいけません。

そして、ひな形は最新の情報のもので作られているとかぎりませんね。

また、たとえ自分で作成した就業規則を労働基準監督署に提出し、受付印をもらっても効力を得るわけではないのです。労働基準監督署への提出は、あくまで「提出」でしかありません。

その就業規則が効力を得るのとは別なのです。

できることならば、社会保険労務士に作成を依頼し、会社の慣習的なことや方向性、内部事情などをヒアリングしてもらいながら、自社にピッタリの就業規則を作成することをおすすめします。

プロに依頼して作成

社会保険労務士に依頼をすることが一番安心です!社会保険労務士とは、労働や社会保険に関わる手続きを行う専門家。労務管理のプロフェッショナルに依頼することで、余計な時間を浪費することもなく、本業に専念できます。

必要な事項をヒアリングしながら作るため、自社にピッタリの就業規則が出来上がります。もちろん法令もクリアしていますので、何の心配もいりません!

その上、改定したり会社の経営状態の変化があったりしたときに相談・見直すことも可能です。

会社のルールを作る際には社会保険労務士に依頼することをおすすめします。

「助成金・奨励金」を行ってみたいという会社の場合には、「今は会社として使うひとがいない制度なのに、その制度をあらかじめ入れていたら、助成金に適用しない」ということが気づける『助成金の詳細情報を日頃追いかけていて、申請している社労士』に頼んだほうが、会社にとって良い就業規則になったりもします。

予算相場などを説明

一式の作成で30万円~が相場です。もっと安い価格で請け負う社会保険労務士もいることはいますが事務所によります。

基本的に就業規則を作成する際には、

  1. ヒアリング
  2. 就業規則の内容を検討
  3. 就業規則の作成
  4. 就業規則を経営陣が確認&追加で検討~反映
  5. 従業員の代表者から意見を聴取
  6. 労働基準監督署へ提出
  7. 社内周知(就業規則説明会の開催、社内イントラネットへのアップ等)

このようなステップで行っていきます。

会社では

  • ヒアリング
  • 就業規則の確認
  • 従業員の代表者からの意見を聴取

この3つだけで済みます。

それも、法令などは遵守したものですので、確認する際に自社には合わないなと感じるところだけ指摘すればすみます。

就業規則を作成する過程で、経営者が気づいていなかった会社の課題が見える化し、今後やるべき「ヒト」に関する課題が明確になります。そういった「会社の深部」や「経営者の想い」「従業員の内なる想い」についても、ヒアリングしてくれるような社労士と一緒に作ることがおすすめです。

ひな形を利用した就業規則作成のリスク

Web上で探すと就業規則のひな形はたくさん見つかることでしょう。無料でダウンロードも可能です。

しかしなかなか扱うのは難しいのが実状です。

理由は、

  • 作られた時期が古く、法改正に対応できていない
  • 会社に合わない
  • 別の労働条件と合わない
  • 義務と努力義務の見分けがつかない
  • 絶対的記載事項が漏れていても、気付きにくい。

などがあります。

法改正に対応できていない可能性がある

法令はどんどん改正されています。

昨今では非正規社員を正社員に転換することで支給される助成金があります。これからますます働き方改革も活発になっていくことが想定されます。

Web上に転がっている就業規則のひな形は、ご丁寧にそのつど改正してくれているのでしょうか?
答えはNOです。

2年前に作られたひな形ではもはや古い情報です。万が一にも、古い情報をつかまされて従業員に指摘でもされたら「この会社はどうなってるんだ」と思われてしまいます。従業員同士で情報共有されてはたまったものではありません。

タダより高く、怖いものはありません。

会社の実情に合っていない可能性がある

ひな形は「多くの会社で使いやすいように」つくられています。

しかし、この多くの会社に自社は入っていない可能性もありますね。すべてがピッタリなわけではなく、直しが必要になります。

自社に合致しない部分を直していきますが、そのためには労働基準法に精通しなくてはいけません。ひとつひとつ調べながらの作成は骨が折れますね。

気付けていないことに、気付けない場合もあります。

別の労働条件に対応できない

雇用形態には様々な形があります。正社員、パート、アルバイト、嘱託社員、派遣社員……。

ひな形の就業規則は、正社員だけに焦点をあてて作成されています。他の雇用者には当てはまりませんので、一から作ることになります。

また、それも労働基準法や複数の関連法規を調べ、抵触しないか確認しながらの作業です。関連法規をどの法律をどこまで鑑みればよいのかという点も、専門家でなければ気付かない場合が多くあります。労働基準監督署に確認をすることで、単発の質問には答えてくれる場合はあるとは思います。しかし、すべてをそれで作り上げるのは至難の業です。

意見書の作成方法

対話する女性と男性出来上がった就業規則は従業員の意見書と共に提出します。必ず必要なので、作り方を確認しておきましょう。

意見書って何?

作成した就業規則について従業員から意見を聴取したという書類です。就業規則を丸ごと作った時だけでなく、変更するときにも必要ですよ。

第九十条 使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。

〇2 使用者は、前条の規定により届出をなすについて、前項の意見を記した書面を添付しなければならない。

引用:第九十条

従業員または従業員の代表者から意見を取り、書類を作成します。

意見書の必要記入事項

  1. 組合名(ない場合は従業員代表者の氏名)
  2. 代表者選出の方法
  3. 就業規則への意見の詳細(意見内容又は意見なし)
  4. 意見書の作成日
  5. 従業員代表者の署名・捺印

なお、常時10人に満たない会社の場合でも、就業規則を届け出る際には意見書を添付しなければならない点に注意しましょう。

意見書は誰が書く?

労働組合がある場合とない場合で意見書を書く人が変わります。

従業員の過半数が加入する労働組合がある場合

就業規則の作成が完了したことを労働組合全員に通知します。そして、内容を確認してもらうために労働組合の中から選出者を選んでほしい旨を伝えます。

そうして選ばれた人が代表者として意見書を書きます。

会社による指定や、従業員たちを管理する立場にある人の選出は認められていません。

該当する労働組合がない場合

この場合は、従業員の中から挙手や従業員同士の話し合いで選出することになります。

なお、次のような方法は認められませんので、注意が必要です。

・ 会社に都合のいい人を使用者が一方的に指名する方法

・ 親睦会の代表者を自動的に労働者代表とする方法

・ 一定の役職者を自動的に労働者代表とする方法

・ 一定の範囲の役職者が互選により労働者代表を選出する方法

■選出方法の例

・投票を行い、過半数の労働者の支持を得た者を選出する方法

・挙手を行い、過半数の労働者の支持を得た者を選出する方法

・候補者を決めておいて投票とか挙手とか回覧によって信任を求め、過半数の支持を得た者を選出する方法

・各職場で職場の代表者を選出し、これらの者の過半数の支持を得た者を選出する方法

従業員に同意してもらえない場合の対応

就業規則の策定や変更はいいことばかりではありません。たとえば、経営が苦しくなった際には従業員にとって待遇が悪くなる条文かもしれせんね。

そうすると、従業員の代表者から同意してもらえないことが起こります。

就業規則に対しての異議を書かれるかもしれませんし、意見書の提出すらしてもらえないかもしれません。

そういった場合でも労働基準監督署に意見書の提出はできます。

意見書の意味とは、あくまで従業員から意見を聴取したということであり、必ずしも同意を取り付けるものではありません。

そのため、異議は異議のまま提出をします。

意見書の提出も行ってもらえなかった場合は、その旨を書いた報告書を代わりに提出しましょう。ただ、就業規則は「ルールを明確」にし、「安心して」働いてもらえるための礎ですので、意見書を出してもらえないような関係になる前に作成できることが望ましいでしょう。

このように、就業規則をつくる際には必ずしも従業員の同意は必要ありません。しかし、あまりにも理不尽な内容で合理性がないと判断されると就業規則の効力を失います。

就業規則の届出方法

やっと出来上がった就業規則!

常時10人以上の事業場であれば、所轄の労働基準監督署に提出します。せっかく持っていったのに「受付できません」と言われないように、必要な書類を確認しておきましょう。

届出が必要な規程の範囲

就業規則と別規定を設けている場合は、すべての就業規則を所轄の労働基準監督署に届ける必要があります。また、様々な雇用形態で雇っていれば、それらもすべて届出を行います。

そして注意する点は、就業規則は会社ごとの提出ではなく、事業所ごとの提出です。常時10人以上を雇用している事業所ごとに届出を行いましょう。

届出に必要な3つの書類

所轄の労働基準監督署に届出る際には3つの書類が必ず必要です。

  1. 就業規則 2部
  2. 意見書 2部
  3. 就業規則(変更)届 2部

意見書と就業規則(変更)届は労働基準監督署でひな型を用意しているところもあります。就業規則(変更)届は窓口でも用意があるかもしれませんが、Web上からダウンロードした方が楽ですね。

就業規則届のフォーマット

所轄の労働基準監督署で様式を準備しています。しかし、基本的に書いてあることはそれほど変わりません。

  • 新規の提出ならば(変更)を二重線で消します
  • 届出日
  • 所轄の労働基準監督署名
  • 会社名・事業場名・事業場住所・電話番号等

※同一管轄で複数事業場がある場合には、事業場の数だけ、届と意見書は必要です。

就業規則・意見書記入例
2部ずつ作成しましょう!

画像出典:厚生労働省 東京労働局 就業規則作成の手引き

就業規則届ひな形
この届と就業規則、意見書3つで1セットです!

画像出典:厚生労働省 東京労働局 就業規則作成の手引き

届出書類は2部ずつ用意

提出をすると1部は労働基準監督署内で保管され、もう1部は受付印を押されて返されます。それを社内で保管。そのため、届出る書類は2部ずつ用意しましょう。

万が一何かあった際にも、就業規則を作成したという証拠になります。

※改訂部分だけを届出る方がいますが、おすすめしません。後に、「どれが最新だっけ?」「前任者対応で、過去改訂情報がこれで全部なのかもわからない」となる会社は何社もいます。改訂箇所は、就業規則の最後に、条文番号と改訂日を記載した上で、全文印刷で行いましょう。

届出書類の提出先

就業規則、意見書、就業規則(変更)届は所轄の労働基準監督署に提出します。

この場合は直接窓口に持参してもかまいません。また、郵送することも可能です。郵送する場合は、社内で保管する分が返却されますので、必ず返信用の封筒を入れるようにしましょう。重要な内容ですので、できれば、「特定記録」の記載をし、特定記録郵便分の切手を貼りましょう。封筒の閉めるところには、社名を記載しておきましょう。監督署の方が誤同封を避けるために記載してほしいと言われたことがあります。

就業規則の変更

就業規則を一度つくり、その後に改正があると変更届で内容を変えます。昨今は働き方改革の影響もあり、就業規則を状況に合わせて変更や制度追加することで、奨励金・助成金が下りることもあります。

この場合、事前に交付申請という計画届を出し、承認が下りた場合に、要綱に沿って進めるべきことを実施して、その上で制度導入等を行い、実施報告をしてはじめて助成金に繋がります。過程は煩雑ですが、きっかけは助成金がもらえたら嬉しい、であっても、いざ実行してみるとその制度導入により働きやすくなったという声が上がったり、実施における社内の話し合いを通じていままでない視点での発見があったりします。

そのため、変更頻度が多くなることが予想されます。面倒だからといって放っておくと奨励金・助成金を受け取れず、泣く羽目になるかもしれません。

面倒がらずにこまめに変更しておきましょう。

また、別規定などを設けていないと、条文一つを追加することですべての番号が崩れてしまうことがあります。そうならないように別規定にまとめていますが、もしできていない場合は社会保険労務士に依頼をし、直すことをおすすめします。

就業規則変更の流れ

新規で就業規則を作る場合は、

  1. 原案を作る
  2. 経営陣(や社労士)と話し合いながら着地点を考える
  3. 従業員の代表者の意見を聴取する
  4. 就業規則・就業規則届・意見書を所轄労働基準監督署に提出する
  5. 従業員に周知する

以上の流れです。

変更については、

  1. 直す部分の草案を作る
  2. 経営陣(や社労士)と話し合いながら着地点を考える
  3. 従業員の代表者の意見を聴取する
  4. 新旧対照表・就業規則変更届・意見書を提出する
  5. 従業員に周知する

就業規則の変更は、従業員にとってより良い条件にする場合、すんなり進みやすいですが、経営悪化等を背景に「不利益変更」を行うことは非常に困難です。ここで詳細は避けますが、個別の手続きを各種経る必要があります。簡単にできることではありません。ですから、「就業規則作成」の際に、社内の内情や方向性等深堀してくれる社労士と一緒に取り組むことが必要なのです。

労働協約や個人の合意を経ずに不利益変更強行した場合、これに反発する従業員により当該変更措置の無効を確認する訴訟が提起されるおそれがあります。そして、裁判所において当該変更に合理性なしと判断されると、当該変更は無効となります。

変更に必要な書類は何?

就業規則の変更に必要な書類は3つあります。

  1. 新旧対照表
  2. 就業規則変更届
  3. 意見書

新旧対照表とは、変更前の就業規則と変更後の就業規則が共に記載されている書類です。変更前と変更後を見比べることができるようになっています。

新旧対照表を付けていても、全文記載の就業規則も一緒に届出印をもらう方が、後の社内管理上、望ましいです。

就業規則の賃金規程って?

就業規則の賃金規程って?
就業規則の賃金規程って?

賃金規程は就業規則の一部ですが、就業規則とは別規程で作成されていることがあります。

では賃金規程はかならず作成しなければならないのでしょうか。

もし作成するならばどのような内容を記載しなければならないのか、詳しく見ていきましょう。

賃金規程は絶対的必要記載事項

賃金規程は就業規則の一部です。

就業規則は必ず記載しなければならない事項(絶対的必要記載事項)と、定めをする場合には記載しなければならない(相対的必要記載事項)があります。

絶対的必要記載事項で賃金に関することは、賃金の決定、計算方法、支払方法、賃金の締め切り、支払の時期、昇給に関する事項があります。

そのため、これらを賃金規程に記載する必要があります。

賃金規程のモデル

賃金規程は、従業員の賃金に関する事項を規程しているものです。

賃金規程のモデルは、厚生労働省のホームページで公開されています。

モデル就業規則について|厚生労働省

賃金規程で定めるのは?

賃金規程で定めるのは?
賃金規程で定めるのは?(画像提供:PIXTA)

つぎに、賃金規程の絶対的必要記載事項に定められていることについて見ていきましょう。

賃金の決定や計算方法(例)

就業規則 賃金規定
賃金の構成モデル 出典:厚生労働省

賃金の決定では、賃金(報酬)をどのような方法によって決定するかを定めます。

賃金テーブルによる決定、使用者の裁量、賃金統計の基準による決定などの方法があります。

計算方法は、月給、日給月給、日給、時給、歩合給、年俸制給等の基本給の賃金形態、諸手当に関する算定方法、不就労控除の計算、残業代の計算などの計算方法についてです。

賃金構成は、基本給と諸手当で構成する会社が多いです。

賃金構成の中で、基準内賃金と、基準外賃金で分けることもあります。

基準内賃金は基本給と諸手当で構成し、基準外賃金を時間外手当・休日労働手当・深夜労働手当で分ける場合と、基準内賃金は基本給と割増賃金の計算の基礎となる手当で構成し、基準外賃金を通勤手当、住宅手当、子女教育手当などの労働に対する対価とは関係がなく割増賃金の計算の基礎とならない手当としている場合があります。

基準内賃金と基準外賃金については法律で定められていないので、会社が決定します。

締切日・支払い日と支払い方法

賃金には賃金支払いの5原則があります。

①通貨払いの原則

②全額払いの原則

③直接払いの原則

④毎月1回以上払いの原則

⑤一定期日払いの原則

この5原則に沿って賃金を支払うため、ひと月の中で締切日、支払日、支払方法を決めなければなりません。

締切日は、10日締め、15日締め、20日締め、30末日締めなど、会社が決めます。

締め日については、「残業時間の計算をしやすいよう」「36協定の起算日は締め日と出来れば揃えて管理しやすいよう」『末日締め』をおすすめします。

支払日も会社が決めます。原則として日にちを指定します。

末日払いとする場合は、末日が28日~31日になるので日にちが指定できませんが、支払日が推定できるので日にちが違っても大丈夫です。

賃金の支払方法は原則として現金払いですが、従業員からの申出により従業員が指定する口座へ振り込みしてもかまいません。

今後、電子マネーでの支払いを認めることが検討されています。

諸手当

厚生労働省のモデル賃金規程では、諸手当として家族手当、通勤手当、役付手当、技能・資格手当、精勤手当が挙げられています。

①家族手当

家族手当は、配偶者や子供を扶養している従業員に支給されます。税法上の扶養親族のみを対象としていたり、子供の年齢が18歳に達した日の属する年度の3月31日までとしていたりすることもあります。以前は家族手当がある会社が多かったですが、成果主義の賃金とする会社が増えてきたことや、多様な家族の形から廃止する会社や「子ども手当」という違う形に変える会社もあります。

②通勤手当

自宅から会社まで交通公共機関や車で通勤にかかる費用を会社が支給します。

通勤手当は絶対に支給するものと思いがちですが、支給するかどうかは会社が決定するものなので、支給しない会社もあります。

支給額は会社で定める額ですが、1ヶ月の上限を定めている場合や、非課税額を上限にしている会社があります。

③役付手当

部長、課長、係長、主任、マネージャーなど、役職に就く場合に支給される手当です。

役職の責任の重要度などにより決定されます。

④技能・資格手当

業務に必要な技能を一定の基準まで習得したときや、資格を取得したときに支給される手当です。

従業員の技能の向上や学ぶ意欲を高めるために、この手当の支給をする会社が増えています。

⑤精勤手当

業務に励んだときに支給されますが、皆勤手当と同一の基準で、欠勤・遅刻・早退がないときに支給するとしている規程が多いです。

年次有給休暇を取得したときは、出勤したものとされますので、原則として精勤手当は支給されます。

割増賃金

割増賃金は3つあります。

①時間外労働

法定労働時間を超えて労働した場合に、通常の賃金の2割5分以上の賃金を支払う。

(大企業は、残業時間60時間を超えると5割以上の賃金を支払う。)

②休日労働

法定休日に労働した場合に、通常の賃金の3割5分以上の賃金を支払う。

③深夜労働

22時から5時に労働した場合は、通常の賃金の2割5分以上の賃金を支払う。

時間外労働が深夜の時間になると、2割5分+2割5分の5割以上になります。

休日労働が深夜の時間になると、3割5分+2割5分の6割以上になります。

月給制の場合の割増賃金の計算方法は、1時間あたりの単価を計算し、その単価に割増率をかけます。

単価の計算方法は、基本給と各手当を合計し、1ヶ月の所定労働時間で割って計算します。

また、次の手当は含まないで計算します(ただし、家族手当や通勤手当等を一律で同一金額を支払っている場合は除きません)。

①家族手当

②通勤手当

③別居手当

④子女教育手当

⑤住宅手当

⑥臨時手当

⑦1ヶ月を超える期間で支払われる賃金

になります。

これらは名称で単価に含まれないと判断するのではなく、手当の支給基準で含まれないかを判断します。

遅刻・早退・欠勤

ノーワーク・ノーペイの原則から遅刻・早退・欠勤より労働しなかった時間は、賃金から不就労控除(欠勤控除)されます。

不就労控除する賃金は会社が決めます。

基本給のみや、基本給+手当の額が控除されることもあります。

不就労控除は、働かなかった時間分になります。

働かなかった時間分以上の賃金を控除するのは、就業規則に定める減給の制裁に該当する場合となりますが、減給の制裁も1日の平均賃金の半額を超え、かつ一賃金支払期間の総額の10分の1以内になります。

昇給・賞与

昇給基準や賞与の算定基準も会社が決めます。

昇給額があらかじめ決まっているならば、賃金規程の中に記載してもかまいません。

懲戒処分に該当した従業員は昇給しないとすることもあります。

賞与は賃金と違い必ず支払う必要はないので、賞与を支払わない会社もあります。

賞与を支給する場合は査定があり業績連動していることが多いです。賞与の支給日は出来るだけ指定した方が良いでしょう。

賃金規程を作る際の注意点

賃金規程を作る際の注意点
賃金規程を作る際の注意点(画像提供:Rawpixel.com/Shutterstock.com)

賃金規程は就業規則の一部です。賃金は従業員の生活を守る重要な労働条件ですので、分かりやすく、従業員が不安にならないように規程することが重要です。

賃金規程は就業規則とは別規程にしたほうがいい

賃金規程は、就業規則の中に記載しても構いません。

しかし、次の理由により別規程にすることをお勧めします。

①賃金に関する規程はボリュームが多い。

②手当額の変更や、支給基準を変更することがあると改定が必要になる。

③②の改定をすると、常時使用労働者数10人以上の事業所は、労働基準監督署へ届出しなければならないが、就業規則とは別規程だと、変更した賃金規程のみの提出でかまわない。

「同一労働同一賃金」の実現

働き方改革法の一部である同一労働同一賃金が大企業は2020年4月1日から、中小企業は2021年4月1日から施行されます。

この施行によって、正社員と短時間雇用者・有期雇用者を比較して不合理な労働条件と待遇差別が禁止されます。

正社員、パート、アルバイト、有期雇用従業員の①業務の内容と責任の程度②職務内容と配置の変更の範囲③その他の事情を考慮して、その待遇が適切で不合理でないとしなければなりません。

そして、パート、アルバイト、有期雇用従業員から、待遇の相違の内容や理由の説明を求められたら応じなければなりません。

そのため、手当の支給基準を明確にし、正社員のみに支給する場合はなぜ正社員のみに支給するかを説明できるようにしなければなりません。

同一労働同一賃金の施行までまだ時間がありますので、基本給の金額、各手当の支給基準を確認し、従業員の業務を正確に把握する準備を始めることをおすすめします。

同一労働同一賃金ガイドライン|厚生労働省

就業規則について解説しました!

パソコンの画像
就業規則で信頼関係を築こう!

多くの会社でそれぞれ作成している就業規則。
自分で一から作る会社もありますが、「最新の労働基準法」「義務と努力義務」をよく知らなければ適切でないものが出来上がることも。

Web上のひな形はいつ作られたものかもわかりませんし、自社にピッタリなひな形など存在しません。

多少のお金はかかっても、社会保険労務士と一緒に作りあげるのがおすすめです。会社の内情や深部をヒアリングしてもらいながら、従業員が安心して働けるような、会社にあった内容にするべきですね。それにより、つくった後の安心感が格段に違います。

法令の改定があった場合には相談もでき、助成金・奨励金など、会社をよりよくしやすい取り組みに精通している社労士であれば「努力義務の条文の内、今時点でいれたほうが会社の状況からは適切なもの&入れるのは今ではないもの」が気づけるのでなおさらです。

就業規則は作ればいいという単純なものではありません。会社と従業員をつなぐ大切なルールです。

これを機会に、あなたの会社の就業規則も少し見直してはみませんか?

この記事を監修した社労士

東京国際社会保険労務士事務所 - 東京都目黒区目黒

東京国際社会保険労務士事務所は、「助成金申請」を強みとし、支給実績を積み重ねながら、常に時代のニーズを先取りし、顧問先様に「親身」「手厚い」「迅速な返答」が評判の社労士事務所です。 特に、「人手不足」の昨今、「外国人雇用を行いたい」、「既に外国人雇用を行っている」企業様の「助成金労務相談顧問」を積極的に行っています。

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