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就業規則の届出方法や届出に必要な書類等をわかりやすく解説!

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最終更新日: 2019年05月24日

就業規則は会社のルールブックのようなもので、10人以上の従業員がいる場合にはこれを作成して労働基準監督署に届け出ることなどが義務付けられています。

しかしながら、その作成はもちろん、届出にも細かな決まりがあります。届出は新規で作成したときだけでなく、内容を変更した場合にも必要であるため、適切に対応していくためには求められる手続きを十分に理解しておかなければなりません。

あらためて就業規則とは?

あらためて就業規則とは?

就業規則とは、就業時間や賃金などの労働条件や職場の服務規律を定めて書面にしたもので、企業にとってはなくてはならないものです。

労働基準法では、この就業規則を常時10人以上の労働者がいる事業場(本社や支社、営業所などの単位)に作成および労働基準監督署への届け出などを義務付けていますが、労働者が10人未満であっても作成することが望まれるものです。

就業規則の目的

従業員が増えてくると、就業時間や賃金体系、また、どのような場合に解雇になるのかなどを明確にしておかなければ、会社と従業員の間ではトラブルが絶えなくなってしまいます。

就業規則を作成する目的は、この労使間のトラブルを未然に防ぎ、業務を円滑に進めて企業価値を高めていくことにあります。

就業規則の作成が必要な事業場

労働基準法第89条において、常時10人以上の労働者を使用する事業場では、一定の事項について就業規則を作成して労働基準監督署に届け出なければならず、その後、就業規則を変更した場合にも届け出が必要であることなどが定められています。

この「常時10人」には、正社員のほか、契約社員やパート、アルバイトなど、自社で雇用するすべての従業員が含まれます(派遣社員は派遣元の従業員になります)。

また、一時的に10人未満の出勤人数になることがあっても、雇用している従業員が10人以上であれば、「常時10人以上」と判断されます。

就業規則に記載すべき事項

同じく、労働基準法第89条では、就業規則に必ず記載しなければならない事項が次のとおり定められています。これを「絶対的必要記載事項」と言います。

①始業及び終業の時刻
②休憩時間、休日、休暇
③就業時転換に関する事項(交替制の場合)
④賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期
⑤昇給に関する事項
⑥退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

また、該当があれば(例えば、退職金を制度化する場合など)、必ず記載しなければならない事項について次のとおり定められています。これを「相対的必要記載事項」と言います。

①退職手当に関する事項
②臨時の賃金(賞与)、最低賃金額に関する事項
③食費、作業用品などの負担に関する事項
④安全衛生に関する事項
⑤職業訓練に関する事項
⑥災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
⑦表彰、制裁に関する事項
⑧すべての労働者に適用される事項

就業規則に関する義務と罰則

就業規則に関する義務としては、作成と届出を含め、次の4つが挙げられます。

①作成義務常時10人以上の労働者を使用する事業場は、一定の事項について就業規則を作成しなければならない。(さらに言えば、必要記載事項の漏れがないようにしなければならない。)
②意見聴取義務就業規則の作成または変更について、労働者代表の意見を聴かなければならない。
③届出義務就業規則の作成または変更について、労働基準監督署に届け出なければならない。
④周知義務就業規則の作成または変更について、労働者に周知しなければならない。

上記に違反した場合の罰則は、それぞれ「30万円以下の罰金」とされています。

それでは、作成以降の手続きについて解説していきます。

就業規則の届出方法

就業規則の届出方法

就業規則は作成するだけでなく、その作成について、労働者代表の意見を聴いたうえで労働基準監督署に届け出なければなりません。

また、届出は、本社や支社などの事業場ごとに行うことが原則ですが、一定の要件を満たしている場合には、本社で一括して届け出ることもできるようになっています。

届出前に労働者代表の意見を聴く

就業規則を作成または変更する場合には、事業場の労働者代表の意見を聴き、届出の際に「意見書」という書面を添付しなければなりません。

労働者代表とは、労働基準法上の整理では、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその「労働組合」、なければ、「労働者の過半数を代表する者」のことを言います。

「労働者の過半数を代表する者」は、いわゆる管理・監督者ではないこと、また、投票・挙手などの方法により選出された者であって、会社の意向に基づいて選出された者でないこととされています。

なお、「意見を聴く」とは、文字どおりの手続きであり、例え、反対意見が出たとしてもそれに拘束されるものではありませんが、できる限り尊重することが望ましいと言えます。

事業場ごとに作成・届出が原則

本社や支社、営業所など複数の事業場があり、それぞれ10人以上の従業員がいるのであれば、個別に就業規則を作成または変更し、各事業場を管轄する労働基準監督署に届け出ることが原則です。

本社一括届出ができる場合

就業規則の作成や変更、届出は、上記のとおり事業場ごとに行うことが原則ですが、支社や営業所などで対応することは現実的に難しい場合があります。

そこで、本社と本社以外の就業規則の内容が同一(変更の場合は変更前の内容が同一)である場合には、本社で一括して就業規則を作成し、本社を管轄する労働基準監督署にまとめて届け出ができるようになっています。(ただし、この場合であっても、労働者代表の意見聴取、意見書の作成は事業場ごとに行わなければなりません。)

参考資料:厚生労働省

参考資料:全国労働安全衛生センター

届出先の所轄労働基準監督署とは?

就業規則を作成または変更した場合には、「所轄労働基準監督署」に届け出なければなりません。

この「所轄労働基準監督署」とは、会社の所在地を管轄する労働基準監督署のことを言います。

例えば、会社が東京都千代田区にあるのであれば、千代田区を管轄している中央労働基準監督署へ届け出ることになります。自社の所在地を管轄している労働基準監督署がわからない場合には厚生労働省のホームページなどで検索できます。

なお、郵送で届け出ることもできますが、就業規則の会社控えを返送してもらう必要があるため、切手を貼った返信用の封筒を入れておかなければなりません。

届出はできるだけ早めに!

就業規則を作成または変更した場合には、その旨、遅滞なく届け出ることとされています。

明確な期限はありませんが、届け出ていない場合には、30万円以下の罰則対象となりますので、事実発生後はできるだけ早めに届け出ておくべきです。

就業規則の届出に必要な書類

就業規則の届出に必要な書類

就業規則を作成または変更した場合の届出には、就業規則だけでなく、就業規則の一部と見なされる別規程や労働者代表の意見を記載した意見書なども必要になります。

届出書類の表紙にあたるものや意見書の様式は法的に定められていませんが、厚生労働省のホームページなどからダウンロードできます。

届出に必要な3つの書類

届出には、次の3つの書類が必要です。

①就業規則(変更)届届け出る際の表紙にあたる書類です。会社の名称や所在地、代表者の職・氏名などがわかるようにするための書類です。
②意見書先に説明した労働者代表の意見を記載したものです。
③就業規則就業規則本体ですが、就業規則の一部と見なされる別規程がある場合にはそれも含みます。製本までする必要はありません。ホッチキスでとめておくだけで十分です。

届出が必要な就業規則の範囲

就業規則をわかりやすく管理するため、正社員用の就業規則とは別に、契約社員就業規則やパートタイム労働者就業規則を作成したり、賃金規程や退職金規程などのように別規程を作成することも多いかと思います。

雇用形態別の就業規則を作成または変更したのであれば、それを届け出るのは当然ですし、賃金規程や退職金規程などのような別規程も、本来は就業規則に記載すべき事項(先に説明した「絶対的必要記載事項」あるいは「相対的必要記載事項」)ですので、就業規則の一部として届出が必要になります。

なお、「相対的必要記載事項」の1つに、「すべての労働者に適用される事項」というものがありますので、労働条件に関するもので全従業員に適用させる規程であれば、すべて届出が必要ということになります。

逆に言えば、労働条件とは直接関係のない内規のようなものや、一部の従業員に適用させる規程であれば、届出は不要ということになります。ただし、判断が難しい場合も多いため、労働基準監督署の窓口や社会保険労務士などの専門家に確認することをお勧めします。

届出書類は2部必要

届出書類の部数は、上記①~③を各2部用意する必要があります。このうち1部は受付印を押されたあと返却されますので、これを会社保管用にすることになります。

届出書類のひな形・記入例

就業規則(変更)届、意見書のひな形は、東京労働局ほか各労働局のホームページなどからダウンロードできます。

記入例は次のとおりです。

就業規則(変更)届の記入例(新規の場合)

就業規則(変更)届の記入例(変更の場合)

意見書の記入例

なお、就業規則のひな形についても、厚生労働省(モデル就業規則)ほか様々なところからダウンロードできます。

届出よりも重要な従業員への周知

届出よりも重要な従業員への周知

ここまで、就業規則に関する義務として、「作成」や「意見聴取」、「届出」について説明してきましたが、就業規則を作成または変更したことについて従業員に周知する義務もあります。

届出を行っていなくても罰金の対象にはなるものの、従業員に周知していれば就業規則の効力がなくなるわけではありません。しかしながら、届出を行っていても従業員への周知がなければ、その有効性は否定されるというのが判例です。

従業員への周知方法

従業員への周知方法は、労働基準法第106条において次のとおりとされています。

①常時各作業場の見やすい場所に掲示する、または、備え付ける。
②書面で交付する。
③電子的データとして記録し、かつ、各作業場にその記録の内容を常時確認できるパソコンなどの機器を設置する。

周知義務違反により無効とされた判例も

従業員への周知がなかったことで、就業規則の有効性が否定された判例のひとつに「PMKメディカルラボ事件」(東京地方裁判所平成30年4月18日判決)というものがあります。

この事件は、店舗に勤務する従業員が、会社から説明のなかった固定残業代を無効として未払い残業代の支払いを請求したものです。この会社では、当時、就業規則(賃金規程)は本店にしかなく、会社側は要請があれば各店舗に郵送できる状態にしていたと主張したものの、そのような実績もなかったことから周知があったとはされませんでした。結果として、就業規則の有効性は否定され、未払い残業代の請求が認められています。

参考資料:労働新聞社

就業規則と法令等の関係性

就業規則と法令等の関係性

就業規則の作成または変更について従業員に周知すれば、いよいよ社内の規則として運用できることになります。

ただし、就業規則の中に法令や労働協約に違反するような規定があれば、その部分は無効になります。必ずしも作成した就業規則が絶対ではないということです。

法令や労働協約に違反してはいけない

労働基準法第92条では、「就業規則は、法令または当該事業場について適用される労働協約に反してはならない。」とされています。

仮に、就業規則の中に法令または労働協約に違反している規定がある場合には、その部分は無効になり、法令または労働協約で定める基準によることになります。

法令とは、主に労働基準法などの労働関係法であり、労働協約とは、労働組合がある会社で労働条件などについて労働組合と使用者(会社)との間で締結された書面の協定のことです。

就業規則は会社が一方的に作成することも可能であるため、このような規制があるというわけです。(就業規則も作成や変更にあたっては労働者代表の意見を聴く必要はありますが、その意見には拘束されません。)

就業規則の優先順位

労働条件を定めているのは、就業規則や法令、労働協約だけではありません。会社と各従業員との間で個別に締結される労働契約もあります。

就業規則や法令、労働協約、労働契約の優先順位は以下のように整理できます。

①法令(労働基準法等)>②労働協約>③就業規則>④労働契約

ただし、この優先順位は、あくまで、下位のものが上位のものよりも従業員にとって不利な労働条件を定めている場合の整理であって、下位のものが上位のものよりも有利な労働条件を定めている場合には、下位のものが優先されますので注意が必要です。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。いざ就業規則を作成しようと思えば、自社の労働条件などを細かく確認する必要がありますし、届出書類を準備するのも面倒なものです。

10人以上の従業員がいるにもかかわらず、まだ、就業規則を作成していないのであれば、社会保険労務士などの専門家に依頼して早急に対応することをお勧めします。

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この記事を執筆したライター

労務コンサルタント 本田 勝志(ほんだ かつし)
関西大学 経済学部 経済学科 卒業。1996年10月 文部省(現文部科学省)入省。2006年に退職後は、社会保険労務士事務所などでの勤務経験を経て、現在は特定企業の労務管理や各種執筆業務に携わる。2級ファイナンシャル・プランニング技能士、社会保険労務士有資格者。

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