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就業規則の届出方法や届出に必要な書類などをわかりやすく解説!

最終更新日: 2019年12月13日

就業規則は会社のルールブックのようなもので、10人以上の従業員がいる場合にはこれを作成して労働基準監督署に届出ることなどが義務付けられています。

就業規則の作成には細かな決まりがあり、また、届出は新規で作成したときだけでなく、内容を変更した場合にも必要です。適切に対応するためには求められる手続きを十分に理解しておかなければなりません

この記事では就業規則の届出の義務や方法、届出が必要な既定の範囲について説明していきます。

就業規則の届出義務がある会社とは

就業規則の届出義務がある会社とは?

就業規則とは、就業時間や賃金などの労働条件や職場の服務規律を定めて書面にしたもので、企業にとってはなくてはならないものです。

労働基準法では、この就業規則を常時10人以上の労働者がいる事業場(本社や支社、営業所などの単位)に作成および労働基準監督署への届出などを義務付けていますが、労働者が10人未満であっても作成することが望まれるものです。

就業規則の作成や届出の義務がある会社

労働基準法第89条では、常時10人以上の労働者を使用する事業場は、一定の事項について就業規則を作成して労働基準監督署に届出なければならず、その後、就業規則を変更した場合にも届出が必要であることなどが定められています。

この「常時10人」には、正社員のほか、契約社員やパート、アルバイトなど、自社で雇用するすべての従業員が含まれます(派遣社員は派遣元の従業員になります)。一時的に10人未満の出勤人数になることがあっても、雇用している従業員が10人以上であれば、「常時10人以上」と判断されます。

また、タイトルではわかりやすく「会社」としていますが、就業規則の作成や届出の義務があるのは正しくは「事業場」です。「事業場」とは、会社という1つの単位ではなく、異なる場所に存在する本社や支社、営業所、工場などの単位のことを言います。

就業規則の届出が必要なタイミング

就業規則の届出が必要なタイミングは、従業員が10人以上になって新たに就業規則を作成したときと、その後、内容を変更したときです。仮に、会社設立時に既に従業員が10人以上であれば、その時点で作成および届出が必要です。

就業規則は、社内の事情で変更したり、労働基準法の改正に合わせて変更することも少なくありません。新たに作成した場合だけでなく、変更した場合にも届出が必要であることを意識しておくことが必要です。

就業規則の届出をしなかったときの罰則

労働基準法第120条では、作成または変更した就業規則について届出をしなかった場合には、「30万円以下の罰金」の適用対象になることが定められています。なお、就業規則にはこの届出義務のほか、作成義務や労働者側の意見聴取義務、また、作成または変更した場合の労働者への周知義務などもあります。

これらの義務について詳しくはこのあと説明しますが、違反すると、届出義務違反と同様に、「30万円以下の罰金」の適用対象となります。

従業員が10人未満でも届出の義務はある?

就業規則の作成や届出の義務があるのは、上記で説明したとおり、常時10人以上の労働者を使用する事業場です。従業員が10人未満であれば、就業規則の作成や届出の義務はありません。

ただし、就業規則は、職場の秩序を維持し、様々なトラブルを防止するためのものであることを考えると、法律上の義務がなくても作成しておくべきものです。従業員が10人未満でも労働基準監督署に届出れば受理してもらえます。

就業規則の届出方法

就業規則の届出方法

就業規則を作成または変更すると、労働基準監督署に届出なければなりませんが、その前に労働者側の意見を聴かなければなりません。必要となる手続きの流れは次のとおりです。

  1. 就業規則を作成または変更する。
  2. 労働者側の意見を聴く。
  3. 労働基準監督署に届出る。
  4. 作成または変更した就業規則の内容を従業員に周知する。

ここでは、労働者側の意見聴取の方法とどのように届出ればよいのかについて説明します。

就業規則の届出は、本社や支社などの事業場ごとに行うことが原則ですが、一定の要件を満たしている場合には、本社で一括して届出ることもできるようになっています。

事業場ごとに作成・届出が原則

本社や支社、営業所など複数の事業場があり、それぞれ10人以上の従業員がいるのであれば、事業場ごとに就業規則を作成または変更し、各事業場を管轄する労働基準監督署に届出ることが原則です。

届出前に労働者側の意見を聴く

就業規則を作成または変更する場合には、事業場の労働者側の意見を聴き、届出の際に「意見書」という書面を添付しなければなりません。

具体的に誰に意見を聴けばよいのかと言えば、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその「労働組合」、なければ、「労働者の過半数を代表する者」です。

「労働者の過半数を代表する者」は、いわゆる管理・監督者ではないこと、また、投票・挙手などの方法により選出された者であって、会社の意向に基づいて選出された者でないこととされています。

なお、「意見を聴く」とは、文字どおりの手続きであり、反対意見が出たとしてもそれに拘束されるものではありませんが、できる限り尊重すべきであることは言うまでもありません。

届出書類は2部ずつ必要

このあと詳しく説明しますが、就業規則の届出には、就業規則本体に加えて、上記の労働者側の「意見書」と「就業規則(変更)届」が必要になります。届出書類としては、これらを2部ずつ用意する必要があります。2部である理由は、うち1部は会社の控えとして受付印を押されて返却されるためです。

届出先の所轄労働基準監督署とは?

就業規則を作成または変更した場合には、「所轄労働基準監督署」に届出なければなりません。この「所轄労働基準監督署」とは、会社の所在地を管轄する労働基準監督署のことを言います。

例えば、会社が東京都千代田区にあるのであれば、千代田区を管轄している中央労働基準監督署へ届出ることになります。自社の所在地を管轄している労働基準監督署がわからない場合には厚生労働省のホームページなどで検索できます。

全国労働基準監督署の所在案内|厚生労働省

就業規則の届出は郵送で可能

就業規則は、労働基準監督署に行って窓口で届出るほか、郵送で届出ることも可能です。ただし、郵送で届出る場合には、会社控え返送用として、切手を貼った返信用封筒を同封しておかなければなりません。

就業規則の届出の期限は?

就業規則の届出については、労働基準法施行規則第49条で「遅滞なく」とされているのみで期限などはありません。

「遅滞なく」とは、「すぐに」という意味の法令用語ですが、似たような用語の「直ちに」や「速やかに」と比べると、求める速さは最も遅く、合理的な理由があれば、ある程度の遅れは許容するという意味を持つと理解されています。

このような整理であるため、労働者側から意見書を取るのに時間がかかってしまったなどの明確な理由があれば、一般的にある程度の遅れは許してもらえますが、届出義務違反が罰則の適用対象になっていることも考えると、できるだけ早めに届出るべきです。

本社一括届出ができる場合

就業規則の作成や変更、届出は、事業場ごとに行うことが原則ですが、支社や営業所などで対応することは現実的に難しい場合があります。

そこで、本社と本社以外の就業規則の内容が同一(変更の場合は変更前の内容が同一)である場合には、本社で一括して就業規則を作成し、本社を管轄する労働基準監督署にまとめて届出ができるようになっています。

ただし、この場合であっても、労働者側の意見聴取、意見書の作成は事業場ごとに行わなければなりませんので注意が必要です。

参考:就業規則、36協定の本社一括届出について|厚生労働省

参考:就業規則の本社一括届出について|全国労働安全衛生センター

就業規則の届出に必要な書類

就業規則の届出に必要な書類

就業規則を作成または変更した場合の届出には、就業規則だけでなく、就業規則の一部と見なされる別規程や労働者代表の意見を記載した意見書なども必要になります。

届出書類の表紙にあたるものや意見書の様式は法的に定められていませんが、厚生労働省のホームページなどからダウンロードできます。

届出に必要な3つの書類

届出には、次の3つの書類が必要です。

① 就業規則(変更)届 届出る際の表紙にあたる書類です。事業場の名称や所在地、代表者の職・氏名などがわかるようにしたものです。
② 意見書 労働者側の意見を記載したものです。
③ 就業規則 就業規則本体ですが、就業規則の一部と見なされる別規程がある場合にはそれも含みます。製本までする必要はありません。ホッチキスでとめておくだけで十分です。

就業規則に記載すべき事項

届出る就業規則が、就業規則として認められるためには、一定の事項を記載していなければなりません。

労働基準法第89条では、就業規則に必ず記載しなければならない事項が次のとおり定められています。これを「絶対的必要記載事項」と言います。

絶対的必要記載事項
  1. 始業及び終業の時刻
  2. 休憩時間、休日、休暇
  3. 就業時転換に関する事項(交替制の場合)
  4. 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期
  5. 昇給に関する事項
  6. 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

また、退職金を制度化する場合など、該当がある場合には必ず記載しなければならない事項が次のとおり定められています。これを「相対的必要記載事項」と言います。

相対的必要記載事項
  1. 退職手当に関する事項
  2. 臨時の賃金(賞与)、最低賃金額に関する事項
  3. 食費、作業用品などの負担に関する事項
  4. 安全衛生に関する事項
  5. 職業訓練に関する事項
  6. 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
  7. 表彰、制裁に関する事項
  8. すべての労働者に適用される事項

なお、就業規則の雛形については、厚生労働省(モデル就業規則)ほか様々なところからダウンロードできます。

届出が必要な就業規則の範囲

就業規則をわかりやすく管理するため、正社員用の就業規則とは別に、契約社員就業規則やパートタイム労働者就業規則を作成したり、賃金規程や退職金規程などのように別規程を作成することも多いかと思います。雇用形態別の就業規則を作成または変更した場合には、それらはすべて就業規則として届出なければなりません。

また、賃金規程や退職金規程などのような別規程を作成または変更した場合にも、それらが本来、就業規則に記載すべき事項(先に説明した「絶対的必要記載事項」あるいは「相対的必要記載事項」)である限り、就業規則の一部として届出が必要です。

なお、「相対的必要記載事項」の1つに、「すべての労働者に適用される事項」というものがありますので、労働条件に関するもので全従業員に適用させる規程であれば、すべて届出が必要ということになります。

逆に言えば、労働条件とは直接関係のない内規のようなものや、一部の従業員に適用させる規程であれば、届出は不要ということになります。判断が難しい場合には、労働基準監督署の窓口や社会保険労務士などの専門家に確認することをお勧めします。

就業規則(変更)届や意見書の記入例

就業規則(変更)届や意見書の記入例
就業規則(変更)届や意見書の記入例

就業規則を作成または変更した場合の届出には、上記で説明したとおり、就業規則に加えて、就業規則(変更)届と労働者側の意見書が必要になります。

様式は法的に定められていないものの、そのひな形は、以下の東京労働局ほか各労働局のホームページなどからダウンロードできます。

様式集|東京労働局

記入例は次のとおりです。

就業規則(変更)届の記入例(新規の場合)

新規の作成であることがわかるようにしたうえで、日付、届出る労働基準監督署名、事業場に関する情報を記入し、代表者印を押印します。

就業規則(変更)届の記入例(変更の場合)

変更であることがわかるようにしたうえで、日付、届出る労働基準監督署名、改正前と改正後の内容、事業場に関する情報を記入し、代表者印を押印します。

意見書の記入例

労働者側の誰の意見かがわかるように、労働組合の名称または労働者の過半数を代表する者の職名、氏名、選出方法を記入します。(以下の記入例は、労働者の過半数を代表する者からの意見である場合です。)

なお、意見は労働者側から事業場の代表者に出されるものであるため、書類としては労働基準監督署長ではなく事業場の代表者宛であることに注意が必要です。

一般的には、意見と労働者側の署名、押印以外は、労務担当者側で記入(印字)します。

就業規則の従業員への周知

届出よりも重要な従業員への周知

ここまで、就業規則に関する義務として、「作成」や「意見聴取」、「届出」について説明してきましたが、就業規則を作成または変更したことについて従業員に周知する義務もあります。

届出を行っていなくても罰金の対象にはなるものの、従業員に周知していれば就業規則の効力がなくなるわけではありません。しかしながら、届出を行っていても従業員への周知がなければ、その有効性は否定されるというのが判例です。

従業員への周知方法

従業員への周知方法は、労働基準法第106条において次のとおりとされています。

  • 常時各作業員の見やすい場所に掲示する、または備え付ける
  • 書面で交付する
  • 電子データとして記録し、かつ、各作業場にその記録の内容を常時確認できるパソコンなどの機器を設置する

周知義務違反により無効とされた判例も

従業員への周知がなかったことで、就業規則の有効性が否定された判例のひとつに「PMKメディカルラボ事件」(東京地方裁判所平成30年4月18日判決)というものがあります。

この事件は、店舗に勤務する従業員が、会社から説明のなかった固定残業代を無効として未払い残業代の支払いを請求したものです。この会社では、当時、就業規則(賃金規程)は本店にしかなく、会社側は要請があれば各店舗に郵送できる状態にしていたと主張したものの、そのような実績もなかったことから周知があったとはされませんでした。結果として、就業規則の有効性は否定され、未払い残業代の請求が認められています。

参考:PMKメディカルラボ事件|労働新聞社

就業規則と法令等の関係性

就業規則と法令等の関係性

就業規則の作成または変更について従業員に周知すれば、いよいよ社内の規則として運用できることになります。
ただし、就業規則の中に法令や労働協約に違反するような規定があれば、その部分は無効になります。必ずしも作成した就業規則が絶対ではないということです。

法令や労働協約に違反してはいけない

労働基準法第92条では、「就業規則は、法令または当該事業場について適用される労働協約に反してはならない。」とされています。

仮に、就業規則の中に法令または労働協約に違反している規定がある場合には、その部分は無効になり、法令または労働協約で定める基準によることになります。
法令とは、主に労働基準法などの労働関係法であり、労働協約とは、労働組合がある会社で労働条件などについて労働組合と使用者(会社)との間で締結された書面の協定のことです。

就業規則は会社が一方的に作成することも可能であるため、このような規制があるというわけです。(就業規則も作成や変更にあたっては労働者代表の意見を聴く必要はありますが、その意見には拘束されません。)

就業規則の優先順位

労働条件を定めているのは、就業規則や法令、労働協約だけではありません。会社と各従業員との間で個別に締結される労働契約もあります。

就業規則や法令、労働協約、労働契約の優先順位は以下のように整理できます。

①法令(労働基準法等)>②労働協約>③就業規則>④労働契約

ただし、この優先順位は、あくまで、下位のものが上位のものよりも従業員にとって不利な労働条件を定めている場合の整理であって、下位のものが上位のものよりも有利な労働条件を定めている場合には、下位のものが優先されますので注意が必要です。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。いざ就業規則を作成しようと思えば、自社の労働条件などを細かく確認する必要がありますし、届出書類を準備するのも面倒なものです。10人以上の従業員がいるにもかかわらず、まだ就業規則を作成していないのであれば、社会保険労務士などの専門家に依頼して早急に対応することをお勧めします。

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