少数の従業員だけで、仕事を回していかなければならない場合、人時生産性の向上を図るのがおすすめです。適切な方策を施せば、今までより効率的な業務を期待できるでしょう。人時生産性が関心を集めている理由や、生産性を高める方法について解説します。
人時生産性とは?
仕事の効率性を測る指標として、人時生産性と呼ばれるものがあります。まずは人時生産性の基礎知識と、労働生産性との違いを押さえておきましょう。
従業員1人当たりの生産性を指す
人時(にんじ)生産性とは従業員1人における、1時間当たりの生産性を意味する言葉です。一定の評価期間内で、「付加価値÷総労働時間」と計算すれば求められます。
人時生産性の計算式で用いる付加価値に該当するのは、粗利益や営業利益です。一般的には売上高から仕入れ値を引いた粗利益が使われます。
人時生産性を分析する際の評価期間は、分析の目的によりさまざまです。人時生産性が適切に維持されているか、確認したい場合は1カ月単位、生産性が急激に下がっていないか見る場合は、1週間や1日単位で評価します。
労働生産性との違い
人時生産性と似た意味の言葉に、労働生産性があります。労働生産性とは従業員1人当たりの生産性を見る指標です。評価期間の「(粗利益や営業利益)÷従業員数」で計算します。
労働生産性では単純に、従業員1人当たりの生産性を分析するため、従業員ごとの生産性は分かりません。すべての従業員が同様の仕事をしている場合に、分析効果がある指標です。
一方の人時生産性では、従業員ごとの労働の実態を細かく分析できます。部門別や売上別に期間を区切って、人時生産性を分析すれば、より適切な指標を得ることが可能です。
人時生産性が注目される背景
人時生産性が近年注目されている主な理由としては、労働人口の減少と、働き方改革が挙げられます。それぞれの具体的な内容を見ていきましょう。
労働人口減少の現実
少子高齢化が進む日本では労働人口が減少しており、多くの企業が深刻な人手不足に悩んでいます。今後ますます少子高齢化が加速すると見込まれている現状では、限られた人材で、生産性を維持・向上していかなければなりません。
欧米を中心とした諸外国では、短い労働時間で効率的に仕事をしようとする傾向があります。しかし日本は、業務効率化に対する意識がいまだに低いのが実情です。
労働人口が減っていく中、短時間で効率よく働こうとする意識は、今後の日本企業にとって不可欠なものとなっていくでしょう。個々の労働者における業務効率化を図るために、人時生産性の向上が求められているのです。
働き方改革の影響も大きい
人時生産性が注目される理由としては、働き方改革の影響も挙げられます。働き方が多様化し、労働者がさまざまな形で仕事をするようになると、単に1人当たりの生産性を見るだけでは、適切な指標を得られません。
働き方改革が推進されている背景に、日本経済の国際競争力の低下があることもポイントです。日本における時間当たりの労働生産性は、先進国の中でも近年低水準を推移しており、個人レベルでの業務効率化が急務となっています。
今後は個々の事情を考えない画一的な働き方が、ますますそぐわない時代に変化していくでしょう。人時生産性を向上させ、個々の労働者が自分の働き方に合わせて生産性を高めていく必要があるのです。
人時生産性を向上させる方法は?
企業としてどのようなことを意識すれば、人時生産性を向上させられるのでしょうか。人時生産性を高めるためのポイントについて解説します。
人材の適切な配置
人時生産性を向上させる方法の一つに、人材の適切な配置が挙げられます。従業員ごとの得手不得手を把握し、それぞれに向いた仕事を任せれば、生産性の向上を図ることが可能です。
人材を適切に配置するためには、個々の従業員について、特性をきちんと把握しなければなりません。従業員それぞれの能力を、最大限に発揮できる環境を整えることが重要です。
従業員の能力だけでなく、従業員が働きやすい労働環境であるかどうかをチェックする必要もあります。人事担当者や上司が従業員と個別に面談を行ったり、従業員からアンケートをとったりして、それぞれの特性やモチベーションを確認しましょう。
ロス・無駄の排除
業務プロセスに無駄な部分がある場合、業務効率は低下してしまいます。人時生産性を向上させるためには、本来必要のない業務が含まれていないか、チェックすることも重要です。
従業員が普段何気なく行っている業務の中には、今の時代に合わず形骸化しているものも数多くあるでしょう。すべての業務を一度洗い出し、現場でヒアリングを行いながら、要不要を確認していく必要があります。
業務において無駄なコストがかかっていないかどうかも、確認しましょう。例えばペーパーレス化に取り組めば、資料作成にかかるコピー用紙代や印刷代、書類の管理で発生するコストを削減できます。
考え抜かれた人件費の削減
一般的な人時生産性の基準となる粗利益は、そもそも人件費を削減することで増加します。人手が必要ない部署に、過剰な人員配置が行われている場合、不要な人材をカットすれば人件費の削減が可能です。人材を減らせば総労働時間も削減できます。
ただし人件費の削減に着手する場合は、本当に不要な人材かどうか慎重に検討しなければなりません。やみくもに人材を切ってしまうと、会社の待遇に不満を感じる従業員が、自ら辞めていく恐れもあるためです。
人事評価制度や賃金制度を見直したり、各種業務効率化ツールを導入したりして、総合的な観点から考え抜かれた人件費の削減を実現する必要があります。
生産性を下げるロスをチェック
生産性の低下はさまざまなロスにより引き起こされます。生産性を下げてしまう代表的なロスを理解し、人時生産性の向上を図る際の参考にしましょう。
管理・編成ロス
生産性を下げてしまうロスとしては、管理上生じるロスが挙げられます。指示・材料・修理などを待っているときに、作業が阻害されるロスです。
ライン設計が悪いために生じる編成上のロスも、生産性を下げやすいロスになります。ある工程でかかる時間が長すぎる場合、次工程の従業員は作業が流れてくるまで待たなければなりません。
管理・編成ロスは従業員で対処できる問題ではないため、現場管理者が積極的に改善していく必要があります。従業員にヒアリングを行ったり、すべての業務プロセスを洗い出したりして、管理・編成ロスの削減に努めましょう。
動作・測定調整ロス
従業員の動作に無駄な動きがあると、時間的なロスが発生しやすくなります。作業の標準化や、従業員の訓練が徹底されていないケースで生じやすいロスです。
同じ動作を繰り返して進めていける作業なら、従業員全員が同じ動作になっているのが理想といえます。動作ロスの発生を防ぐためには、従業員と管理者双方の意識付けが重要です。
測定調整ロスが発生していないかもチェックしましょう。品質不良を出さないための過度な測定は、中断ロスが生じやすくなります。一定レベル以上の品質を常に確保できるよう、測定作業をマニュアル化することが大切です。
自動化していないことで起きるロス
機械化できる作業をいつまでも手作業で行っていると、生産性の向上は望めないでしょう。自動化できる部分はツールやシステムを導入し、ロスを減らすことが重要です。
自動化のツールやシステムを導入するためには、企業側が必要性を慎重に検討しなければなりません。業務効率化が確実に見込めるツールやシステムを、導入する必要があります。
ツールやシステムの導入後は、従業員が操作方法を覚えなければならないため、使い勝手の確認や利用のための教育も大切です。
管理の見直しで働きやすい環境を
人時生産性は従業員ごとの、時間あたりの生産性を指す言葉です。労働人口の減少や働き方の多様化により、人時生産性の重要性が高まっています。
人時生産性を向上させるためには、人材の適切な配置やロスの排除、人件費の削減に取り組むことが重要です。従業員の管理体制を見直し、働きやすい環境を整えて人時生産性の向上を図りましょう。
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