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パーパス経営とは?成功事例と落とし穴も紹介

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最終更新日: 2024年06月28日

近年パーパス経営が注目される理由として、市場におけるニーズの変化が挙げられます。魅力的な企業であるためにパーパス経営は重要ですが、単に導入するだけでは効果が得られません。成功事例と導入のボトルネックとともに、導入のポイントも解説します。

パーパス経営とは

新しい経営のあり方として、近年注目を集めているのが「パーパス経営」です。パーパス経営の定義と価値について解説します。従来型の「ミッション経営」とも比較してみましょう。

パーパス経営の定義

パーパス経営における「パーパス」は、存在意義と訳されるケースが多く見られます。しかしパーパスとは単に、存在意義や目的を意味するものではありません。

幸せと同じように、パーパスには最終的な到達地点があるわけではなく、置かれている状態や行動のあり方に、重きが置かれるものです。

パーパス経営に精通している経営学者の名和高司氏は、パーパスは「志」と訳した方が伝わりやすいとしています。

パーパス経営において重要なのは、価値を生み出すために内側から湧き上がる、強い意志です。そうした文脈に基づき、名和氏はパーパス経営を「志本経営」とも呼んでいます。

従来のミッション経営との違い

企業経営の軸として「ミッション経営」を掲げる企業も見られます。ミッション経営は「資本経営」とも呼ばれ、ミッション(使命)・ビジョン(構想)・バリュー(価値観)に基づく経営のあり方です。

外発的な要素から経営の軸を規定するミッション経営では、現実味に欠けた、きれいごとに過ぎない内容になるケースも多いものです。

パーパス経営ではパーパス(志)ドリーム(夢)ビリーフ(信念)を、経営の軸として掲げますパーパス経営の軸は内発的な思いによって規定されるため、顧客や社員の共感を得られるのです。

ミッション経営を20世紀型の経営とすれば、パーパス経営は21世紀型の経営のあり方ともいえるでしょう。

パーパス経営が注目される背景

内発的な思いによって規定される、パーパス経営が台頭してきた理由とは、いったい何でしょうか。パーパス経営が注目を集めることになった、社会的な背景について解説します。

エシカル消費への注目

ミレニアム世代を中心として、「エシカル消費」を選択する人が増えています。エシカル消費とは商品が作られた背景に配慮した上で、人や社会、環境に配慮した倫理的な商品・サービスを購入することです。

エシカル消費が広がる中で、消費者の購買意欲をかき立てるためには、競合他社にはない、共感できる付加価値が必要です。商品を大量に生産すればいいだけの時代は終わり、個々の商品に込められた思いの重要性が高まっています。

人材登用においても、サステナビリティへの配慮に欠ける企業や、オリジナリティに欠ける企業は訴求力が低下しつつあります。こうした世間の動向で、パーパス経営が取り入れられるようになってきました。

ESG投資の広まり

顧客や社員との関係性の変化に加えて、投資家との関係性が変化した点も、パーパス経営が台頭してきた一つの要因です。

近年では欧米を中心に、「ESG投資」を推進する投資家が増えています。ESG投資とは環境への配慮や社会貢献、強固な企業統治を進める企業を選別して、投資先として選ぶ投資手法です。

企業経営を行う上で、投資家にとって魅力的な企業であることは重要です。魅力に欠ける企業は資本を十分に確保できず、事業が立ち行かなくなる恐れがあります。金融市場においても、訴求力の高い企業であることをアピールするために、パーパス経営が重になってきたのです。

パーパス経営で陥りやすい失敗

顧客や社員、投資家にとって魅力的な企業であるために、パーパス経営は欠かせないものです。しかし単にミッション経営からパーパス経営に、鞍替えすればいいわけではありません。

本質を捉えないままパーパス経営を行っても、失敗してしまいます。パーパス経営を軸に置く際に、陥りやすい失敗パターンを紹介します。

自社に合ったパーパスを定義できていない

サステナビリティへの配慮を掲げれば、パーパス経営になると考えるのは誤解です。SDGsの17ゴールのうち、いくつかを選んで企業の軸として掲げるだけでは、パーパスとはいえません。

他社でも使える言葉を借りただけでは、オリジナリティに欠けるため、誰の共感も得られないものです。

パーパスを掲げる上では、自社だからこそできる内容である点に加え、内発的な要素から生まれた言葉を使うことが大切です。自社なりの価値を生み出すストーリーを組み立てることで、初めて顧客や社員、投資家の興味を引くことが可能になります。

パーパスが社員に浸透していない

魅力的なパーパスを掲げられたとしても、社員にパーパスが認知されていなければ意味がありません社員が知らないのであれば、顧客や投資家も知らないといえるでしょう。パーパスを浸透させるには、双方向のコミュニケーションと、具体的な行動の変化が重要です。

第一に顧客や社員、投資家とコミュニケーションを取り、パーパスの浸透に努めます。パーパスを浸透させるには、個々人がパーパスを、自分なりの言葉で定義し直すことが重要です。

人から与えられた言葉ではなく、パーパスを自分の言葉として落とし込むことで、パーパスがしっかりと定着します。

さらにパーパスに基づいて、経営陣が具体的な行動を変えていくことが求められます。普段の生活でパーパスを意識するのはもちろん、パーパスに沿って社内体制を変えることが大切です。

環境が変わっていくことにより、社員もパーパスを無理なく受け入れられるでしょう。

パーパス経営の成功事例

パーパス経営への理解を深めるためには、実際にパーパス経営を導入した事例を学ぶのが有益です。食品メーカーとアパレルメーカーの成功事例をもとに、パーパス経営の成功ポイントを確認します。

食品メーカーの場合

まずはパーパスを浸透させるために、社内体制を先駆けて変更した、食品メーカーの事例です。ある食品メーカーではパーパス経営の導入後に、社会的に価値のある取り組みをした社員を、表彰する制度を導入しました。

社内の評価制度をパーパスに沿った形に変更することで、社員は自然とパーパスに沿った行動を取るようになるのです。経営陣がパーパスを押し付ける形ではなく、社員が主体的に、パーパスを受け入れる体制を整える重要性が分かります。

アパレルメーカーの場合

あるアパレルメーカーでは、地球を救うことをパーパスとして掲げています。パーパスに沿ったビジネスを推進することで、その企業ならではの魅力が向上している事例です。

「ミュールシングウール」を利用している点を、動物保護団体から指摘されたときの対応に、同社におけるパーパスの浸透が反映されています。ミュールシングとは子羊の臀部の一部を切り取る行為で、その残酷性が問題とされているものです。

問題点を指摘された同社は、ただちにノンミュールシングウールへと切り替えました。パーパスに沿わないビジネスは行わないと、徹底することが重要です。

パーパス経営で他社との違いを生み出そう

エシカル消費の高まりとESG投資の広がりにより、21世紀型のパーパス経営が台頭しつつあります。

パーパス経営は志本経営とも呼ばれ、内発的な強い思いを軸に置いた経営のあり方です。あらゆる側面でコモディティ化が進む現代において、パーパス経営は大きな価値を持ちます。

パーパス経営は単に導入すればいいわけではありません。自社に合ったパーパスを定義できていないと、パーパスは意味をなさないのです。

社員や顧客、投資家に浸透させる過程も軽視できません。パーパス経営への移行に成功した企業の事例を参考に、訴求力の強いパーパス経営を自社でも目指しましょう。

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