近年パーパス経営が注目される理由として、市場におけるニーズの変化が挙げられます。魅力的な企業であるためにパーパス経営は重要ですが、単に導入するだけでは効果が得られません。成功事例と導入のボトルネックとともに、導入のポイントも解説します。
パーパス経営とは
新しい経営のあり方として、近年注目を集めているのが「パーパス経営」です。パーパス経営の定義と価値について解説します。従来型の「ミッション経営」とも比較してみましょう。
パーパス経営の定義
パーパス経営における「パーパス」は、存在意義と訳されるケースが多く見られます。しかしパーパスとは単に、存在意義や目的を意味するものではありません。
幸せと同じように、パーパスには最終的な到達地点があるわけではなく、置かれている状態や行動のあり方に、重きが置かれるものです。
パーパス経営に精通している経営学者の名和高司氏は、パーパスは「志」と訳した方が伝わりやすいとしています。
パーパス経営において重要なのは、価値を生み出すために内側から湧き上がる、強い意志です。そうした文脈に基づき、名和氏はパーパス経営を「志本経営」とも呼んでいます。
従来のミッション経営との違い
企業経営の軸として「ミッション経営」を掲げる企業も見られます。ミッション経営は「資本経営」とも呼ばれ、ミッション(使命)・ビジョン(構想)・バリュー(価値観)に基づく経営のあり方です。
外発的な要素から経営の軸を規定するミッション経営では、現実味に欠けた、きれいごとに過ぎない内容になるケースも多いものです。
パーパス経営ではパーパス(志)・ドリーム(夢)・ビリーフ(信念)を、経営の軸として掲げます。パーパス経営の軸は内発的な思いによって規定されるため、顧客や社員の共感を得られるのです。
ミッション経営を20世紀型の経営とすれば、パーパス経営は21世紀型の経営のあり方ともいえるでしょう。
パーパス経営が注目される背景
内発的な思いによって規定される、パーパス経営が台頭してきた理由とは、いったい何でしょうか。パーパス経営が注目を集めることになった、社会的な背景について解説します。
エシカル消費への注目
ミレニアム世代を中心として、「エシカル消費」を選択する人が増えています。エシカル消費とは商品が作られた背景に配慮した上で、人や社会、環境に配慮した倫理的な商品・サービスを購入することです。
エシカル消費が広がる中で、消費者の購買意欲をかき立てるためには、競合他社にはない、共感できる付加価値が必要です。商品を大量に生産すればいいだけの時代は終わり、個々の商品に込められた思いの重要性が高まっています。
人材登用においても、サステナビリティへの配慮に欠ける企業や、オリジナリティに欠ける企業は訴求力が低下しつつあります。こうした世間の動向で、パーパス経営が取り入れられるようになってきました。
ESG投資の広まり
顧客や社員との関係性の変化に加えて、投資家との関係性が変化した点も、パーパス経営が台頭してきた一つの要因です。
近年では欧米を中心に、「ESG投資」を推進する投資家が増えています。ESG投資とは環境への配慮や社会貢献、強固な企業統治を進める企業を選別して、投資先として選ぶ投資手法です。
企業経営を行う上で、投資家にとって魅力的な企業であることは重要です。魅力に欠ける企業は資本を十分に確保できず、事業が立ち行かなくなる恐れがあります。金融市場においても、訴求力の高い企業であることをアピールするために、パーパス経営が重要になってきたのです。
パーパス経営で陥りやすい失敗
顧客や社員、投資家にとって魅力的な企業であるために、パーパス経営は欠かせないものです。しかし単にミッション経営からパーパス経営に、鞍替えすればいいわけではありません。
本質を捉えないままパーパス経営を行っても、失敗してしまいます。パーパス経営を軸に置く際に、陥りやすい失敗パターンを紹介します。
自社に合ったパーパスを定義できていない
サステナビリティへの配慮を掲げれば、パーパス経営になると考えるのは誤解です。SDGsの17ゴールのうち、いくつかを選んで企業の軸として掲げるだけでは、パーパスとはいえません。
他社でも使える言葉を借りただけでは、オリジナリティに欠けるため、誰の共感も得られないものです。
パーパスを掲げる上では、自社だからこそできる内容である点に加え、内発的な要素から生まれた言葉を使うことが大切です。自社なりの価値を生み出すストーリーを組み立てることで、初めて顧客や社員、投資家の興味を引くことが可能になります。
パーパスが社員に浸透していない
魅力的なパーパスを掲げられたとしても、社員にパーパスが認知されていなければ意味がありません。社員が知らないのであれば、顧客や投資家も知らないといえるでしょう。パーパスを浸透させるには、双方向のコミュニケーションと、具体的な行動の変化が重要です。
第一に顧客や社員、投資家とコミュニケーションを取り、パーパスの浸透に努めます。パーパスを浸透させるには、個々人がパーパスを、自分なりの言葉で定義し直すことが重要です。
人から与えられた言葉ではなく、パーパスを自分の言葉として落とし込むことで、パーパスがしっかりと定着します。
さらにパーパスに基づいて、経営陣が具体的な行動を変えていくことが求められます。普段の生活でパーパスを意識するのはもちろん、パーパスに沿って社内体制を変えることが大切です。
環境が変わっていくことにより、社員もパーパスを無理なく受け入れられるでしょう。
パーパス経営の成功事例
パーパス経営への理解を深めるためには、実際にパーパス経営を導入した事例を学ぶのが有益です。食品メーカーとアパレルメーカーの成功事例をもとに、パーパス経営の成功ポイントを確認します。
食品メーカーの場合
まずはパーパスを浸透させるために、社内体制を先駆けて変更した、食品メーカーの事例です。ある食品メーカーではパーパス経営の導入後に、社会的に価値のある取り組みをした社員を、表彰する制度を導入しました。
社内の評価制度をパーパスに沿った形に変更することで、社員は自然とパーパスに沿った行動を取るようになるのです。経営陣がパーパスを押し付ける形ではなく、社員が主体的に、パーパスを受け入れる体制を整える重要性が分かります。
アパレルメーカーの場合
あるアパレルメーカーでは、地球を救うことをパーパスとして掲げています。パーパスに沿ったビジネスを推進することで、その企業ならではの魅力が向上している事例です。
「ミュールシングウール」を利用している点を、動物保護団体から指摘されたときの対応に、同社におけるパーパスの浸透が反映されています。ミュールシングとは子羊の臀部の一部を切り取る行為で、その残酷性が問題とされているものです。
問題点を指摘された同社は、ただちにノンミュールシングウールへと切り替えました。パーパスに沿わないビジネスは行わないと、徹底することが重要です。
パーパス経営で他社との違いを生み出そう
エシカル消費の高まりとESG投資の広がりにより、21世紀型のパーパス経営が台頭しつつあります。
パーパス経営は志本経営とも呼ばれ、内発的な強い思いを軸に置いた経営のあり方です。あらゆる側面でコモディティ化が進む現代において、パーパス経営は大きな価値を持ちます。
パーパス経営は単に導入すればいいわけではありません。自社に合ったパーパスを定義できていないと、パーパスは意味をなさないのです。
社員や顧客、投資家に浸透させる過程も軽視できません。パーパス経営への移行に成功した企業の事例を参考に、訴求力の強いパーパス経営を自社でも目指しましょう。
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