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クラウドシステムの基本。特徴やメリット、将来性などを解説

最終更新日: 2024年06月28日

近年クラウドシステムは一般にも広く普及しており、さまざまなサービスが利用できます。そもそも「クラウド」とは何か、よく分からない人も多いのではないでしょうか。クラウドシステムの概要と種類など、基本的な点を押さえておきましょう。

クラウドシステムとは何か?

クラウドシステムはその名の通り、クラウド環境で利用できるシステム全般を指します。最近はさまざまなサービスが、クラウド環境で提供されていますが、そもそも「クラウド」とは何か、説明できない人も少なくないようです。まずはクラウドの基本を理解しておきましょう。

クラウドの基礎知識

クラウド(Cloud)とは日本語に訳すと、「雲」を意味する単語ですが、IT分野におけるクラウドは、インターネットを介して、サービスやシステムを利用する形態を指します。

無数のサーバー同士の、大規模なネットワークがインターネットであり、ユーザー側からは実態がつかみにくいために、それを「雲」に見立て、クラウドと呼ぶようになった説が有力です。

他にもさまざまな説があり、なぜ「雲」を意味する単語が用いられているのか、定説はありません。いずれにしてもインターネットを経由し、さまざまなサービスを利用する形態を「クラウド」と呼んでいます。

日常的に利用されているクラウドシステム

近年はクラウドシステムが定着しており、企業はもちろん、一般ユーザーもさまざまなクラウドサービスを、日常的に利用しています。

例えばGmailをはじめとしたメールシステムや、オンラインアプリ・ゲームなどは、多くの人が利用しているクラウドサービスです。

また営業管理システムや勤怠管理システムなど、企業の業務を効率化するためのシステムも、クラウド環境で提供されるものが増えています。

特に業務データを保存・共有できるオンラインストレージは、クラウドシステムの代表格で、多くの企業が導入・利用しています。

クラウドシステムの3類型

クラウドシステムはインターネット経由で提供される、サービス全般を指しますが、提供形態で分けると、以下のような分類になります。特にSaaSは頻繁に使われる用語なので、この機会に覚えておきましょう。

SaaS(Software as a Service)

「SaaS(Software as a Service)」は「サース」と呼ばれる形態で、インターネットを経由してアプリケーションを供給するサービスです。

パソコンやスマートフォンと、インターネット環境があれば、必要なソフトウエアをインストールすることなく簡単に利用できるため、さまざまな種類のサービスがSaaSで提供されています。

例えばGmailやDropbox、各種オフィスソフトやグループウェアなど、多種多様なサービスがあり、企業だけではなく、一般ユーザーも幅広く利用しています。

パソコンはもちろん、スマートフォンやタブレットのアプリや、ブラウザ上で利用するサービスは、ほとんどSaaSと考えて差し支えありません。

PaaS(Platform as a Service)

「PaaS(Platform as a Service)」は「パース」と呼ばれており、インターネット経由で、ソフトウエアの開発環境を利用する形態です。

アプリケーションを稼働させるプラットフォームを、クラウド環境で利用できるので、より低コストでシステムの開発ができます。開発環境を構築する手間もかかりません。

代表的なPaaSとしては、Amazonの「AWS」やMicrosoftの「Microsoft Azure」などが有名です。その利便性の高さから、システムの開発者にとっては欠かせないサービスになっています。

IaaS(Infrastructure as a Service)

「IaaS(Infrastructure as a Service)」は「イアース」や「アイアース」と呼ばれており、インターネット経由でサーバーやネットワーク環境といった各種インフラを利用する形態です。

いわゆるホスティングサービスと、サービスの範囲は同じですが、ユーザーがOSやハードウェアも選定できるのが特徴です。

一般ユーザーにはなじみのない提供形態ですが、SaaSで自社のサービスを提供している企業にとっては、システム管理者の負担が軽減でき、柔軟に開発環境の構築ができるので、重宝するサービスといえます。

クラウドシステムの特徴とメリット

次にクラウドシステムの主な特徴と、メリットを簡単に解説します。ソフトウエアを自社のパソコンや、サーバーにインストールする形態と比べて、より低コストで運用可能で利用しやすいなど、初めて管理システムを導入する企業にもおすすめです。

低コストでシステムを導入・運用できる

社内にサーバーの設備やシステムを導入する必要がなく、ベンダーと契約すればすぐに利用できるのが、クラウドシステムのメリットです。

自社のサーバーに、各種ソフトウエアをインストールして運用する、オンプレミスと呼ばれる形態に比べて、低コストで運用が可能です。

特に導入にあたって初期費用がかからない点は、メリットが大きいでしょう。システムの導入に、予算をかけられないスタートアップ企業や、個人事業主などにおすすめできます。

場所を選ばず利用しやすい

インターネット回線がつながっていれば、場所を選ばず利用できるのも、クラウドの強みでありメリットです。

一般ユーザーの場合は、スマートフォンやタブレット端末で、気軽にアプリやゲームを楽しめるので、年々モバイルコンテンツ市場は、シェアを拡大している状況です。

一方企業の場合も、オフィス内はもちろん、社員の営業先や出張先でも、必要な情報をクラウドで確認できるので、オンプレミスに代わって、クラウドサービスを導入する企業が増えています。

特に在宅ワークやテレワークを導入している企業にとっては、クラウドシステムは欠かせない存在になっています。

機能の拡張や追加がしやすい

自社に専門知識を有するスタッフがいる場合、オンプレミスの方が、システムのカスタマイズをしやすい面はあるでしょう。しかしクラウドの場合は、専門のスタッフがいなくても、必要に応じて機能の追加や、カスタマイズをしやすいのが特徴です。

実際ベンダーとの契約プランを変更したり、オプションで機能を追加したりするだけで済むので、手間がかかりません。

より自社の環境に合ったサービスがあれば、乗り換えやすいのも、設備やシステムを社内に導入する必要がない、クラウドの強みといえるでしょう。

保守・メンテナンスの手間がかからない

クラウドの場合、システムの保守・メンテナンスはベンダーが担当するので、ユーザー側に全く負担がかからないのも、大きなメリットです。ベンダーが適宜アップデートしてくれるので、常に最新バージョンを利用できます。

さらに近年は、強固なセキュリティー体制で、管理されているクラウドシステムが多いので、企業によっては自社でシステムを運用するよりも、安全に運用できるでしょう。

クラウドシステムの運用形態

クラウドシステムの運用形態を紹介します。これまでオンプレミスで運用してきた自社システムを、クラウド化する場合は、以下の三つの運用形態が考えられます。

パブリッククラウド

パブリッククラウドとは広く一般ユーザーや企業向けに、サーバーやソフトウエアの利用環境を提供する形態で、全ての環境をユーザーが共有するのが特徴です。不特定多数のユーザーが、環境を共有して利用するため、費用を抑えられるのがメリットです。

必要な分のみ環境や、リソースを利用できる料金体系になっているサービスが多く、自社のサービスへのアクセス数などに合わせて、最適なプランを選択できます。

これまで社内で運用してきたシステムを、クラウド化する際には、まずパブリッククラウドの利用を検討してみましょう。

プライベートクラウド

不特定多数のユーザーが対象のパブリッククラウドに対して、自社でクラウド環境を構築して占有する形態が、プライベートクラウドです。

自社やグループ会社のために、クラウド環境を構築するもので、VPN(Virtual Private Network)などを利用して、自社ネットワークをクラウド化します。

自社を含めた一部のユーザーのみが、クラウド環境を利用できる環境を構築するため、ほぼオンプレミスの延長のようなシステム運用が可能です。社内の部署間やグループ会社との間で、システムを共有したり、情報をやり取りしたりするのに便利です。

ハイブリッドクラウド

ハイブリッドクラウドはパブリッククラウドとプライベートクラウドの、両方の特性を組み合わせた運用形態です。データセンターに設置したサーバーと、自社専用のクラウドサーバーを利用して、社内システムや関連会社とのシステム連携を実現します。

どのようにサーバー同士を組み合わせるかは、企業によって変わりますが、プライベートクラウドの強みである、セキュリティーやカスタマイズ性を維持しつつ、全体のコストを抑えた、システム運用が可能です。

クラウドシステムの注意点

クラウドシステムは多くのメリットがありますが、運用上の注意点もあります。場合によっては利用できなくなる可能性もあるので、問題やトラブルが発生した際に、どうやってカバーするか、考えておく必要があります。

通信障害で利用できない可能性がある

クラウドシステムは全て、インターネット回線を前提にしたサービスなので、通信障害が発生すると、利用できなくなってしまいます

例えばクラウドストレージ上で、業務データを運用している場合は、インターネット回線に問題が生じると、必要なデータを利用できなくなる恐れがあるのです。

重要なデータは社内にバックアップを取っておくなど、トラブルが発生した際の対策が必要です。

他のクラウドサービスに関しても、ベンダーのメンテナンスによって利用できない期間も出てくるので、その間は別のサービスを利用するといった、対策が求められます。

カスタマイズできる範囲が限られる

クラウドサービスはベンダーが提供するシステムを利用するので、自社でカスタマイズできる範囲が限られます

社内環境の変化に応じて、柔軟に機能の追加や変更などをしたい場合は、オンプレミスでの運用を検討した方が、良いシステムもあるでしょう。

ただしユーザー数の変化や、利用環境に応じて、柔軟にプランを変更したり、サービスの切り替えができたりするクラウドシステムも多くあります。将来の拡張を見据えて、できるだけ柔軟に契約を変更できるサービスを、選ぶと良いでしょう。

クラウドシステムの将来性

今後クラウドシステムがどうなっていくのか、将来性について解説しておきます。ここ10年で、急速に市場を拡大してきたクラウドシステムですが、今後さらに多くのサービスが、クラウド環境で提供されるようになるでしょう。

多くのシステムをクラウドで利用する時代に

現在はオンプレミスでの運用を考えている企業でも、将来はほとんどの管理システムを、クラウドベースで運用するようになるでしょう。すでにモバイル決済など、クラウドシステムが主流のサービスも多くあります。

クラウドはセキュリティーに関する懸念は残るものの、現在でもほとんどのサービスは、強固なセキュリティーの下で提供されているので、気にするユーザーは徐々に減っています。ただしユーザー側にも、基本的なセキュリティー対策が必要です。

ベンダーの競争が激化する可能性

多くのシステムやサービスが、クラウド環境で提供されるようになり、今後さらにベンダー間の競争が、激化すると考えられます。さまざまな企業が乱立する市場が出てくるので、ユーザー側は信頼できるベンダーはどこか、慎重に判断しなければいけません

市場によっては、ベンダーの撤退によって、利用中のサービスが突然使えなくなるリスクも考慮する必要があります。

利用しているサービスが、何らかの理由で使えなくなっても、すぐに代替できるシステムやサービスを、導入・運用できるようにしておきましょう。

環境に合ったクラウドシステムを構築する

クラウドシステムとは何かについて解説しました。クラウドシステムはインターネットを通じて利用する、システム全般を指します。

ベンダーが提供するシステムを、全面的に利用するケースが多いですが、企業によっては、自社でプライベートクラウドを構築・運用する場合も珍しくありません。

低コストで導入・利用できる点や、場所を選ばず使える点などが、クラウドのメリットですが、通信障害が発生すると利用できないので注意が必要です。

重要なデータはバックアップを取るというように、しっかりと対策を考えて、安全に運用できるようにしておきましょう。

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