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住宅ローン返済中の家を売ることは可能!注意点と売る前の準備を解説

最終更新日: 2024年06月28日

住宅ローン返済中の家を売るためには、無理のない資金計画が重要です。買主に家を引き渡すまでに、ローンを完済しなければなりません。ローン中の家を売却する方法と注意点、売る前の準備について把握しておきましょう。

監修者

髙杉義征

髙杉義征(セカイエ株式会社元執行役員/宅地建物取引士)

株式会社日京ホールディングスの元取締役、セカイエ株式会社の元執行役員を経て、現在は株式会社ミツモアの事業部長として全体を統括。一貫して不動産業界に携わり、不動産仲介会社、不動産管理会社、不動産テック企業での経験を有する。不動産売却希望者と不動産会社をマッチングするサービスでは、執行役員として事業立ち上げからグロースまでを担当。また、不動産関連のセミナーやライブ配信にも登壇している。

住宅ローン中の家を売りたいときに確認すること

不動産

住宅ローン返済中の家を売却する際は、一般的に家を売却して得たお金をローン返済に充当します。売却活動に入る前に、必ず確認しておくべき項目を確認しましょう。

住宅ローンの残債を確認する

住宅ローンを返済中でも家の売却活動はできますが、買主に引き渡すまでにローンを完済しなければなりません。金融機関で住宅ローンを組んだ際に、抵当権が設定されているためです。

抵当権を抹消せずに家を引き渡すと、売主がローンの支払いを滞納した場合、家が差し押さえられて競売にかけられるため、買主が家を失ってしまいます。そのため抵当権が設定されたままの家を購入する人は現れません。

住宅ローンを完済し、金融機関に抵当権を抹消してもらうためにも、残債の金額を確認しましょう。金融機関から毎年送られてくる残高証明書や、住宅ローン契約時の返済予定表で確認できます。中にはインターネットバンキングで照会できる金融機関もあるでしょう。

売却見込み価格を調べる

住宅ローンを完済するためには、ローン返済中の家を売却し、それによって得たお金を返済に回す必要があります。そのため家の売却見込み価格を調べましょう。家の売却価格に応じて、今後の資金繰りを計画します。

インターネット上の『査定シミュレーション』を利用しても調べられますが、精度の高い売却価格を知りたい場合は、不動産会社に査定を依頼する必要があります。

1社のみに査定を依頼するのではなく、複数社に依頼して比較しましょう。売却価格の相場をつかみやすい上に、実際に売却する際に仲介を依頼する不動産会社を探すこともできるためです。

複数社に査定を依頼する場合は、一括査定サイトを利用すれば、1社ずつに依頼する手間と時間を省略できます。

ローンの完済ができそうか確認する

現在返済している住宅ローンの残債を確認し、家のおおよその売却価格を把握したら、ローンを完済できそうか確認しましょう。『住宅ローン残債-売却見込み価格』がプラスかマイナスかで、完済できるかどうか分かります。

値がプラスであれば、売却金額でローン残債を完済できる『アンダーローン』の状態です。マイナスの場合は家を売却した金額ではローンを完済できない『オーバーローン』の状態になります。アンダーローンかオーバーローンかで、今後の資金繰りが異なります。

なお家を売却する場合、仲介手数料・印紙税・抵当権抹消費用・住宅ローン一括返済手数料・引越し代など、さまざまな費用の支払いが必要です。売却した金額を全てローン返済に回してしまわないように注意しましょう。

オーバーローンの家を売る方法3つ

家の売却価格が住宅ローンの残債金額より低く、売却したお金だけではローンを完済できない場合に、家を売る方法を3つ紹介します。状況に応じて適切な方法を選びましょう。

ローンの残りを自己資金で返済する

家の売却価格がローン残債金額より低い場合は、売却して得たお金に貯蓄などの自己資金を加えて、住宅ローンを完済する方法があります

ただし売却にかかる費用の支払いもあるので、自己資金を全て投入するのは避けた方がよいでしょう。売却にかかる費用とは、仲介手数料・印紙税・抵当権抹消費用・住宅ローン一括返済手数料などです。

住宅ローンを完済するために親や親戚にお金を借りる場合は、借用書を残すと安心です。贈与されたとみなされると税金が発生してしまうため、借りたことを証明する必要があります。

金融機関から『無担保ローン』を借りる方法もありますが、審査が厳しい上に金利が高い点を覚えておきましょう。審査に通り融資を受けられても、返済の資金繰りが苦しくなる可能性があります。

住み替えローンを利用する

『住み替えローン』を利用すれば、家を買い替える際に、現在住んでいる家のローンと新居を購入する住宅ローンを一本化できます。新しい家のローンに現在支払っている住宅ローンを上乗せする形なので、自己資金がなくても住み替えできる点がメリットです。

住み替えローンは一般的な住宅ローンよりも融資する金額が大きくなるため、金融機関の審査が厳しくなります。また売却する家の抵当権の抹消と、新居の抵当権の設定を同日に行わなければならないため、スケジュール調整が難しい点もデメリットです。

住み替えローンを検討する場合は、不動産会社に相談するとよいでしょう。自分の年収でいくら程度の住み替えローンの審査が通るか、住み替え先の新しい家はいくらぐらいの価格で選ぶとよいかなど、アドバイスをもらえます。

任意売却する

住宅ローンの返済が厳しく家を売却する場合は、『任意売却』という方法もあります。任意売却は住宅ローンの返済が困難になった場合の、最終手段です

住宅ローンの返済が一定期間滞ると、ローンを借りている金融機関から家が差し押さえられます。競売にかけられ、最終的には強制退去させられる流れです。

競売は市場価格より低い価格で売却される傾向がある上に、引き渡し時期に関して所有者の希望を聞いてもらえません。近隣に状況を知られてしまう上、強制退去という状況に大きな精神的負担がかかるでしょう。

返済が厳しくなった時点で早めに金融機関に相談し、任意売却を申し出れば、差し押さえや競売、強制退去は避けられます。

任意売却であれば市場価格に近い価格で売却でき、引き渡し時期の希望もある程度融通がききます。競売に比べて自由度があり精神的負担が軽いため、他の方法での売却が困難な場合は金融機関に相談しましょう。

アンダーローンの家を売る方法

アンダーローンの家を売却する方法と流れについて解説します。アンダーローンの場合は発生した利益に対して税金がかかりますが、税金控除の特例を活用すれば節税できるため、どのような制度があるのか把握しておきましょう。

売却代金でローン残債を返済する

家の売却価格が住宅ローンの残債を上回るアンダーローンなら、売却したお金をそのまま返済に回せば完済できます。そのためアンダーローンの場合は、通常の売却と変わりません。

アンダーローンで家を売却する場合は、売買契約を締結し買主に物件を引き渡す際に、抵当権抹消手続きを行います。司法書士に同席してもらい、住宅ローンの完済と売買を同時に成立させる流れです。

家を売却する際は仲介手数料・印紙税・抵当権抹消費用・住宅ローン返済手数料・引越し代など、売却にまつわる各種の費用がかかります。売却のための費用を念頭に置いた上で、住宅ローンを完済しましょう。

アンダーローンの売却益に適用できる税金控除の特例

アンダーローンの場合は家を売却して利益が出た状態なので、譲渡所得が発生し、税金がかかる点に注意しましょう。翌年に確定申告をしなければなりませんが、税金控除の特例を活用すれば節税が可能です。

家を売却して譲渡所得を得た際に適用できる、代表的な税金控除には2種類あります。要件が当てはまるかどうか、チェックしましょう。

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例』を使うと、譲渡所得から3,000万円まで控除ができます。『10年超所有軽減税率の特例』は家の所有開始から売却した年の1月1日までが、10年を超えているマイホームを売却した場合に適用されます。

上記2つは併用できるため、活用すれば大きな節税につながるでしょう。

住み替えをする場合の注意点

住宅ローン返済中の家を売却して新居を購入する『住み替え』を考えているケースにおける、注意点について解説します。購入後の資金繰りに大きく関係する項目なので、慎重に検討しましょう。

「売り先行」「買い先行」のどちらにするか判断する

住み替えをする場合『売り先行』と『買い先行』の2種類があります売り先行は現在の家を売却してから、新居を購入する方法です。二重にローンを組む必要がなく、まとまった資金を得てから新居を購入できる点がメリットといえるでしょう。

売り先行は住んでいる状態で売却活動を進めるため、購入希望者の内覧への対応が必要になります。また新居を購入するまでの仮住まいが必要になり、引越しを2回しなければならない点もデメリットです。

買い先行は新居を購入してから、住んでいた家を売却する方法です。売却する家の引き渡し期限に縛られないため、じっくり新居を探せます。仮住まいが不要で、1回の引越しで済む点もメリットです。

家を2つ持つことになるので、住んでいた家の売却が完了するまでは二重ローンの状態になります。また家がいつ売却できるか分からず、想定していたよりも安い金額で売れた場合、資金計画が狂う点がデメリットです。

住宅ローンが残っている人は、資金繰りの計画を立てやすい売り先行がおすすめです。

住宅ローン返済中に離婚する場合の注意点

住宅ローンが残っている状態で離婚する場合、残債の扱いはどうなるのでしょうか。アンダーローンとオーバーローンで対処法が異なります。夫婦で債務者と連帯保証人になっているケースや、共同名義で購入したケースについても確認しましょう。

ローンの残債は財産分与の対象になる

財産分与』とは婚姻中に夫婦で築いた『共有財産』を分配することです。共有財産にはお金・債権・有価証券だけでなく、ローンや借金などの負債も含まれ、財産分与の対象になります

住宅ローンが残っている家がアンダーローンの場合は、家を売却した代金を分ければ財産分与できます。しかしオーバーローンの場合は、どちらがどの程度負担するかを決めなければなりません。

一般的には住宅ローンの残債を支払う側に、預貯金で多めに補填し、全体的に見て共有財産が半々になるように調整します。

配偶者が連帯保証人になっている場合は解除が難しい

住宅ローンを組む際に夫婦で債務者と連帯保証人になっているケースは、オーバーローンだと解除が難しいため、注意しましょう。アンダーローンの状態であれば、家を売却して住宅ローンを完済すれば連帯保証人を解除できます。

しかしオーバーローンだと債務者が払えなくなった際、離婚後でも連帯保証人である元配偶者に支払い義務が生じます。

例えば債務者が夫で、妻が連帯保証人になっている場合、離婚後に元夫が支払いを延滞すると、旧姓に戻っていても再婚していても、元妻が支払わなければなりません。

共有名義の場合は両者の同意がないと売れない

夫婦の共有名義で購入した家は、一方が売りたくてももう一方が反対すると、売却できません。共有名義の不動産を売却・増改築・活用する際は、名義人全員の同意が必要になるためです。

そのため共有名義のままにしておくと、売れないだけでなく、将来的にトラブルに発展する可能性も高いでしょう。

例えば家を売却したい夫に対し、子どもと住み続けたい妻が反対すると、家を売れません。トラブルを避けるためには、妻の単独名義にするのがおすすめです。しかし夫の住宅ローンが残っていると、完済しない限り単独名義にはできません。

ローン中の家を売るなら資金計画をしっかり立てよう

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住宅ローン返済中の家でも売却活動はできますが、残債の状況によって方法が異なります。買主に引き渡すまでにローンを完済しなければならないため、しっかりした資金計画を立てましょう

売却額が残債より多いアンダーローンの状態なら、通常の売却と変わりません。しかし売却金額で住宅ローンを完済できないオーバーローンの状態にある場合は、資金を調達したり住み替えローンを利用したり、任意売却を検討したりする必要があります。

ローン中の家を売るならまずは残債の金額を確認し、家の売却価格を把握した上で、無理なく支払える資金計画を立てましょう。

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