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みなし残業とは?制度の特徴やメリット、トラブル防止のポイントを解説

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最終更新日: 2024年03月07日

求人票や会社の説明で見たり聞いたりすることの多い「みなし残業」。「みなし残業って通常の残業と何が違うの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

メリットや起こりがちなトラブルなどの観点から「みなし残業とは何か?」についてわかりやすく解説します。

みなし残業とは

残業中の男性会社員とやさしく見守る女性会社員

みなし残業とは、基本給の中に固定残業代を含めたうえで給与を支払う賃金形態のことです。実際の労働時間にかかわらず、一定時間の残業を毎月行ったと「みなした」時間分の給与が従業員に支払われます。

みなし残業の時間は20時間や30時間など企業によってさまざま。例えば1か月あたり20時間のみなし残業が設定されている場合、実際の残業時間が10時間であったとしても20時間分の残業代が支払われます。また実際の残業時間がみなし残業の時間を超えていれば、企業はその分の残業代を支払わなければなりません。

みなし残業は外出の多い営業職や、残業時間の実態がわかりづらい在宅勤務など、企業側で従業員の労働時間を把握するのが難しい場合に相性がよい賃金制度といえます。

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みなし残業が適用される2種類の制度

打ち合わせをするビジネスウーマン

みなし残業は「固定残業代制」と「みなし労働時間制」の2種類の制度で用いられます。一般的にみなし残業といえば「固定残業代制」のことを指すケースが多く、「みなし労働時間制」ではあくまでも概念的なものとして捉えます。

固定残業代制

固定残業代制は毎月定額の時間外手当を支払う制度のことです。毎月一定の金額を支払うことなどから、定額残業制と呼ばれる事もあります。一般にみなし残業といえば、この固定残業代制を指すケースがほとんどです。

固定残業代制を導入している場合、企業は求人広告に「固定残業代の金額」「その金額に充当する労働時間数」「固定残業代を超える労働を行った際に追加支給する旨」の3点を明示しなければなりません。

たとえば「基本給30万円(20時間分の固定残業代として3万円を含む)」などの記載があれば、固定残業代制を導入している企業です。このケースでは、残業を20時間分行うとみなして、30万円の基本給の中に20時間分のみなし残業代が含まれています。

みなし労働時間制

みなし労働時間制は実際に働いた労働時間にかかわらず、所定の労働時間を働いたものとしてその分の給与を支払う制度です。外回りの営業職や記者、在宅勤務など、労働時間の実態を把握しづらい職種に多くみられます。

みなし労働時間制を取っている際に、1日8時間の法定労働時間を超えた分の残業時間をみなし残業として捉えます。このときのみなし残業は賃金の支払形態ではなく、いわゆる時間の概念を指しています。

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みなし残業のメリット

打ち合わせをするビジネスマンとビジネスウーマン

みなし残業が適切に運用されると、従業員と企業の双方にメリットをもたらします。

残業が少ないほど得をする

みなし残業は実際の残業時間にかかわらず、所定時間分の残業代が支払われる制度です。そのため残業が少なければ少ないほど、時間あたりの残業代が増える計算となって得をします。

極端な話、定時退社を毎日実現できれば、残業をせずに残業代がもらえるのです。

残業の有無にかかわらず収入が安定する

みなし残業では残業代が残業時間に左右されないため、収入が安定するメリットがあります。

たとえば通常の勤務形態であれば、閑散期は仕事量が少なく残業代も落ち込む傾向にあるのが一般的。みなし残業は毎月一定の残業代が保証されているので、生活水準も安定します。

生産性向上による好循環が生まれる

みなし残業が正しく機能すると、生産性向上による好循環が生まれます。なるべく残業を減らすように業務効率を改善していけば、そのぶん従業員自身の能力開発や成長にもつながります。

「無駄な残業は減らしていこう」という意識づけが会社全体に風土として浸透すれば、仕事単位での生産性がどんどん向上していきます。業務改善のサイクルが回ることで、結果として時間あたりの売上インパクトも大きくなっていくと考えられるでしょう。

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みなし残業で起きやすいトラブル

仕事をしながらご飯を食べる男性

みなし残業は最初に残業代を支払っている分、トラブルが起きやすくなります。サービス残業の発生や、休日出勤・深夜労働に対しての割増賃金が払われないなどの問題が代表的なものとして挙げられるでしょう。トラブルを未然に防ぐためにも、事前の相談が大切です。

サービス残業の温床になりやすい

固定残業代制の場合は時間が設定されており、契約時に決められたみなし時間があります。超えないことが望ましいですが、受注の増加やトラブル対応などで、時間超過が起こるケースがあります。

30時間の固定残業代が出る条件に対して、40時間の活動をした場合、10時間分の時間外労働賃金が支払われなければなりません。よく理解していないことや、慣習などによって申告せず、そのままにする場合があります。

これはサービス残業であり、固定残業代制のルールに反しています。企業も黙認していることがあるため、固定残業代制のルールをよく理解し正しい報酬を支払ってもらいましょう。

割増賃金が支払われない

みなし残業で注意しなければならないのが、時間外や休日、深夜労働がすべて同じ内容であると考えてしまうことです。みなし残業の時間内であったとしても、深夜労働や休日出勤に該当する場合は割増賃金が支払われなければなりません。

労働基準法によると、休日出勤は35%の割増、深夜労働は25%の割増と定義されています。申請を行う際や管理体制によって、この条件が守られていないことがあります。

企業は時間外というだけではなく、休日や深夜労働を行った労働者に対して、正しく賃金を支払う義務があるため注意しましょう。

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トラブルを防ぐために企業がするべきこと

残業する女性

みなし残業に関するトラブルを防ぐためには、労働者側でも労働条件や就業規則を正しく把握したうえで、必要に応じて申告する必要があります。

そのため企業としては、就業規則や募集要項への明記はもちろん、勤務時間の見える化や規則の遵守も欠かせません。

残業代の金額と時間を明記する

企業は雇用契約書や就業規則だけではなく、募集要項に対し、みなし残業の記載が必要となります。基本給と固定残業代を別々にすること、計算方法や割増についての規約を記載しなければなりません。

トラブルの回避には必要な手順であり、利用するための条件でもあります。金銭トラブルは大きな問題に発展しやすいため注意が必要です。

従業員に十分な説明を行う

みなし残業を導入するためには、従業員への通知が必要です。従業員一人ひとりに対して、制度の内容、計算方法や細かい条件について提示し同意を得るところまでが重要です。

書面による交付や労働条件を容易に確認できる環境の整備、定期的な確認を怠らないようにしましょう。

企業としては、みなし残業をうまく利用したい考えがあるかもしれませんが、労働基準法を守って運用することが求められます。

勤務時間を見える化する

トラブルを避けるためには、労働時間を正確に把握することが重要です。職種によって労働時間の把握が難しい面もありますが、勤怠管理システムを導入するなど、環境を整えて見える化を行いましょう。

労働者にとっても正しい労働時間の申請が必要です。企業は見える化を推進し、労働者は偽りのない勤務時間の申請をすることで、トラブルを避けることに繋がります。

最低賃金と時間外労働の上限を守る

最低賃金は各都道府県によって決まっており、最低賃金を下回ることは違法となります。そのため企業は各都道府県ごとの最低賃金を確認し、下回らないようにしましょう。

一律に管理してしまうと最低賃金を下回った場合に違法となるため、正しい計算が必要です。時間外労働の上限は必ず守り、超えないような管理指導を徹底しましょう。

従業員個人の理解も必要なため、研修や説明会などを実施してトラブル回避のために努めることが重要です。

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みなし残業ありの企業で働く際の3つの心得

打ち合わせを行うビジネスマンとビジネスウーマン

みなし残業がある会社で働く際にはタイムマネジメント力が求められます。自身の生産性に応じてワークライフバランスを整え、将来のキャリアアップを見据えながら働くことができれば、理想の働き方が実現するかもしれません。

タイムマネジメントを徹底する

みなし残業のもとで働く場合は、タイムマネジメントを徹底して行いましょう。

「長い時間働けば働くほど、評価される」といった考え方は前時代的なものです。「少ない時間で、より多くの成果を発揮する」という考え方にシフトして、みなし残業の時間内で業務を終えられるように動いていきましょう。

繁忙期など、業務量に圧倒されてしまうケースがあるのももちろんです。日々の業務の中で生産性向上に努めつつ、不当なみなし残業が発生しないように努めていく姿勢が求められます。

ワークライフバランスを整える

時間効率を考えて仕事ができるのであれば、ワークライフバランスを整えるステップに移っていきましょう。

みなし残業を導入している以上、残業時間の多い少ないにかかわらず、一定の残業代が支給されます。つまり、日々の業務効率を高めて早く退勤したとしても、給与水準を落とすことなく自分で使える時間が増えると考えられるのです。

自身のプライベートに時間を費やしたり、読書や副業でさらなるスキルアップに勤しんだりするなど、仕事と生活の相乗効果を図っていくとよいでしょう。

将来のキャリアアップを見据える

みなし残業を導入しているということは、時間や人員などリソースあたりの成果を最大化していきたい意図が含まれているとも考えられます。

そのような環境下において「自身がどこまでチャレンジできるか?」といったマインドセットを持ってさえいれば、成果や業績などの指標のその先を見据えることも可能です。

たとえば自分の成果のみならず、チームのほかのメンバーの成果を最大化させていくサポートやマネジメントのスキルを高めていくのもよいでしょう。規模の利益は結果として生産性向上に貢献し、組織に推進力をもたらします。

「将来どうなりたいのか?」といったイメージや目標から逆算したタスクを日々の中で実行して、自身のキャリアアップにつなげていきましょう。

みなし残業を理解して理想の働き方を実現しよう

オフィスで談笑するビジネスマンとビジネスウーマン

あらかじめ定められた「みなし残業時間」に応じて残業代が支払われる「みなし残業」。残業時間に依存せず一定の残業代が支給されるなどのメリットがある一方で、企業によっては不適切な支払が行われているケースがあるのも事実です。

ただし、自身にできることと企業がするべきことの双方を照らし合わせて正しく運用できれば、みなし残業は両者にとって非常に有益な賃金形態になります。

みなし残業を正しく理解しつつ、それぞれが自身にできることを追求することで、理想の働き方を実現していきましょう。

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