予算策定と予算管理はどちらも企業経営に欠かせません。予算策定と予算管理が重要な理由のほか、実際に予算策定を行う流れについても解説します。効果的な予算策定と予算管理を進める上で、重要なポイントも確認しましょう。
最終更新日: 2024年06月28日
予算策定とは？
予算策定とは特定期間の売上予算と経費予算を決めることです。その場その場の判断で資金を使っていては、健全な企業経営はできません。年間の利益目標から逆算するほか、昨年までのバランスを考慮した上で予算を策定することが大切です。
予算策定と似た言葉に予算管理があります。予算策定と同様に、適切な企業経営をする上では予算管理も欠かせません。
予算策定は1年に1度行うものですが、予算管理は1年にわたって行うものです。予算管理では策定した予算の通りに、業務が進んでいるかチェックします。企業経営において予算策定と予算管理は、どちらも欠かせない要素です。
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予算策定の重要性
予算策定と予算管理を行うことは、企業経営に必須のプロセスです。予算策定と予算管理が重要な二つの理由について解説します。
安定した経営につながる
計画を立てずに経営していると、支出が膨らみ、すぐに経営難に陥ってしまうものです。資金が潤沢ならば立て直せる可能性もありますが、小規模な企業ではそのまま倒産してしまう可能性があります。安定した経営を行う上で、予算策定と予算管理は欠かせません。
あらかじめ1年間のお金の使い道を想定しておくことで、余計な支出を減らせます。策定した予算との乖離が大きくなった場合には、予算管理によって修正が可能です。
スピード感のある経営ができる
あらかじめ予算を策定しておくことで、日々の業務においてやるべき項目がはっきりします。目指すべき目標が明確なため、無駄な業務に時間を費やすことが避けられます。
方向性が定まっていることは、意思決定のスピードにもいい影響を与えます。社会の変化に柔軟に対応していくことは、企業が生き残るために必須の要素です。策定した予算をもとに素早い判断を下せば、トレンドに乗り遅れず事業を展開できるでしょう。
予算策定の流れ
予算策定を行う際は、正しいステップを踏むことでスムーズに物事を進められます。期首までに予算策定が完了できるように、スケジュールに配慮することも大切です。
予算策定の方針を決める
まずは予算策定の方針を決めるところから始めます。方針がなければ、具体的な予算の内容がバラバラになるため、最初に方針を決めるのが重要なポイントです。
第3四半期を過ぎた頃に予算策定の準備を始めるケースが多く、遅くとも期末の2カ月前までには決定します。
予算編成部署が経営戦略と利益目標を設定し、予算編成方針の原案として予算会議に提出します。予算編成部署がない場合は、経理部が担当するのが一般的です。
部門ごとに予算を策定する
全体の方針が確定したら、部門ごとに予算とリソースを割り振ります。各部門の担当者が、全体の利益目標を達成するための予算を策定します。部門によって予算の策定にかかる時間が異なるため、1カ月ほどの余裕を見て期限を設定するといいでしょう。
各部門の担当者は損益予算と財務予算を策定して、予算編成部署に提出します。損益予算を先に策定し、次に財務予算の策定に取り掛かります。
損益予算は損益計算書に関連する、売上高予算や費用予算が対象です。財務予算は資金繰りに関連する予算で、売掛金や支払手形について策定します。
総合予算との調整を行う
部門別の予算が集まったら、各予算を取りまとめて総合予算を策定します。統合する際は、部門ごとに数値の正当性を検証するほか、実現可能性や目標設定が妥当か確認します。全体の利益目標との調整作業も、現場と経営層のズレを埋めるために重要です。
部門別の損益予算と財務予算の精査が完了し、総合予算を策定できたら、予算会議に提出します。審査が終わって社長の承認を得た後、策定した予算を各部門に通知します。
予算は策定するだけでなく、実際に管理して、予算通りに業務を推進することが大切です。情報の共有もしっかりと行いましょう。
予算策定のポイント
価値のある予算策定を行うには、ポイントを押さえることが大切です。予算管理を行う上でも気をつける点があります。効果的な予算策定と、予算管理に欠かせないポイントを確認しましょう。
具体的で正確な予算になっているか
予算策定を行うにあたり、根拠のある数値を用いる点が重要です。過去の実績データをもとに予算の数値を設定します。数値を論理的に導き出すことで、説得力のある予算を策定できます。計算の誤りや数値同士の矛盾がないかを確認するのも大切です。
策定した予算の実現可能性も、重要なポイントです。現実にそぐわない目標では机上の空論に終わってしまいます。業績を評価するための指標を用意し、目標達成までの道のりを描いておくと予算管理を行う際に役立つでしょう。
現場の社員が予算を把握しているか
予算編成の方針策定と総合予算の策定は予算編成部署が行いますが、部門別の予算策定は各部門の担当者が行うことが大切です。
現場を知らない人が部門別の予算を策定しても、具体的な業務内容がわからないため、表面的な数字にしかなりません。現実的で具体性のある予算を組むためには、現場の担当者が責任を持って策定する必要があります。
予算策定後は予算の内容をしっかり通知する点も重要です。総合予算と部門別の予算をもとに、現場の責任者が予算管理を徹底しましょう。
予算策定により安定した経営を目指そう
安定した経営を行い事業を発展させていくためには、予算策定と予算管理が重要です。
予算策定は予算編成方針を決めるところから始まり、部門ごとに損益予算と財務予算を策定します。部門ごとの予算をもとにして総合予算を組み、通知するところまでが予算策定の流れです。
予算策定の際には、予算の内容の具体性と実現可能性を意識する必要があります。現場の社員が予算を把握して、業務に取り組む点も欠かせません。正しい予算策定と予算管理を行い、健全な経営を目指しましょう。
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