勤怠管理システムを導入し、 就業管理の手間やミスをなくして業務効率を図りたい事業者は多いのではないでしょうか。賢く導入したいのであれば、助成金や補助金の利用をおすすめします。勤怠管理システムのようなITソフトウェアを導入する際に申請できる助成金は「働き方改革推進助成金」、補助金は「IT導入補助金」のほか全国の自治体が提供している事業があります。それぞれに要件や給付額の違いがあるため、求める条件にあった助成金や補助金を申請しましょう。
この記事では勤怠管理システム導入で使える助成金・補助金を比較し、申請方法や期間なども詳しく解説します。特に、2024年も残りわずかとなった現在は受付の締め切りが迫っているため、助成金を検討している方は手続きを急ぐ必要があります。
勤怠管理システム導入に使える全国規模の助成金・補助金とは
勤怠管理システム導入に使える全国規模の助成金は「働き方改革推進支援助成金」、補助金は「IT導入補助金」です。どちらも一定規模以下の中小企業が対象となります。
IT導入補助金 | 働き方改革推進支援助成金 | |
管轄 | 経済産業省 | 厚生労働省 |
補助額の目安 | 5万円~450万円(ソフトウェア購入費・利用料(最大2年分)・導入関連費の1/2以内) | 対象経費の合計額の3/4 |
支給要件の概要 | ITツールの導入 | 各コースの成果目標の達成 |
特徴 | 採択されない場合もある | 勤怠管理システムの導入だけでなく、労働環境改善への取り組みが必要。成果目標を達成すれば支給される |
参考リンク | トップページ | IT導入補助金2024 | 働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース) |厚生労働省 |
「IT導入補助金」は勤怠管理システムを導入することで利用できる補助金です。審査に通る必要はありますが、導入費用だけでなく最大2年間の利用料に対する補助も受けられます。
「働き方改革推進支援助成金」は対象となる3つのコースのいずれかの成果目標を達成することで利用できる助成金です。勤務間インターバル制度の導入や時間外労働の削減など労働環境を改善することで、対象経費の3/4が支給されます。
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IT導入補助金の概要
IT導入補助金には大きく4つの種類がありますが、そのうち勤怠管理システムの導入で利用できるのは通常枠だけです。通常枠の対象事業主や補助額、申請の流れについて解説します。
対象となる事業主
IT導入補助金を申請できるのは、資本金もしくは常勤の従業員のいずれかが、下表の規模より小さい中小企業です。
中小企業の業種 | 資本金 | 従業員 |
製造業・建設業・運輸業 | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
ゴム製品製造業 | 3億円以下 | 900人以下 |
ソフトウエア業・情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
旅館業 | 5,000万円以下 | 200人以下 |
その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
他に医療法人や学校法人・商工会・財団法人・非営利活動法人なども、従業員の規模によっては対象です。
加えて、小規模事業者は常勤の従業員の人数で、対象となる事業主かどうかが決まります。
小規模事業者の業種 | 従業員 |
商業・サービス業 | 5人以下 |
宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
製造業・その他 | 20人以下 |
勤怠管理システムを導入する場合の補助金申請額
申請者は、IT導入支援事業者により事前に登録されたITツールの中からITツールを選択し、交付申請をおこないます。勤怠管理システムは「大分類Ⅰ ソフトウェア」の「カテゴリー1 ソフトウェア」のさらに「共 P-05」という区分にあたります。
勤怠管理システム1つのみを導入する場合、補助金申請額は「5万円~150万円未満」に該当し、補助率は1/2以内です。詳しくは下記ウェブサイトの交付規程をご参照ください。
IT導入補助金の申請の流れ
IT導入補助金を申請するには、「gBizIDプライム」アカウントを取得し、「SECURITY ACTION」によって、情報セキュリティ対策に取り組む宣言が必要です。その後の手続きは以下の通りにおこないます。
|
手続きを進めるには、IT導入支援事業者から「申請マイページ」への招待が必要です。招待されると申請マイページから必要事項の記入や、書類のアップロードができます。
ただしIT導入補助金は常時申請できるわけではなく、各回で申請期限が決められています。IT導入補助金2024通常枠は最終回となる7次締切分を持って、受付を終了しました。
IT導入補助金の注意点
IT導入補助金ではIT導入支援事業者と相談してITツールを決定します。そのため、先んじてITツールを導入してしまうと補助金を受けられなくなるおそれがあります。
また、補助金を受け取るには事業実施後に実績報告をし、補助金交付後に事業実施効果報告を提出する必要があります。すぐに補助金を受け取ることができるわけではない点と補助金交付後にも効果報告が必要な点に留意しましょう。
働き方改革推進支援助成金の概要
働き方改革推進支援助成金には4つのコースが用意されていますが、勤怠管理システムの導入が支給対象となるのは以下の3つです。3つのコースの対象事業主や補助額、申請の流れについて解説します。
コース名 | 特徴 |
業種別課題対応コース | 生産性を向上させ、時間外労働の削減、週休2日制の推進、勤務間インターバル制度の導入、医師の働き方改革推進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主を支援するコース |
労働時間短縮・年休促進支援コース | 生産性を向上させ、時間外労働の削減、年次有給休暇や特別休暇の促進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主を支援するコース |
勤務間インターバル導入コース | 勤務間に一定時間以上の休憩時間を設ける勤務間インターバル制度の導入に取り組む事業者を支援するコース |
対象となる事業主
「業種別課題対応コース」の場合、労働者数が300人以下もしくは資本金または出資額が3億円以下の建設業、運送業、砂糖製造業であることのほか、成果目標設定の条件を満たしている必要があります。また、病院の場合は労働者数が300人以下もしくは5,000万円以下の資本金を有することが条件です。
「労働時間短縮・年休促進支援コース」、「勤務間インターバル導入コース」の2つの対象となる事業主は以下の4種類に分類されています。資本金もしくは労働者数のどちらかを満たす必要があります。
業種 | 資本金 | 常時雇用の労働者 |
小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
どのコースも資本金もしくは常時雇用の労働者数のどちらかの要件を満たしていなければいけません。また、労働者災害補償保険の適用事業主であることや、助成金の交付時点で年5日の有給休暇取得に向けた就業規則等の整備も条件です。
各コースの助成額の目安
「業種別課題対応コース」と「労働時間短縮・年休促進支援コース」の助成額は(1)対象経費合計の3/4と(2)成果目標の上限額に賃金加算額の合計額を足したもののうち、低いほうが支給されます。
「勤務間インターバル導入コース」の助成額は対象経費の合計額に補助率3/4を乗じた額が助成されます。
各コースによって上限額など細かい要件が設定されているほか、達成する成果目標や雇用人数によっても額は変動するため、詳細は下記ウェブページの「働き方改革推進支援助成金」の項目をご参照ください。
働き方改革推進支援助成金の申請の流れ
働き方改革推進支援助成金は自社に合うコースと成果目標を決めたら、以下の手順で申請します。
- 「交付申請書」を、最寄りの労働局雇用環境・均等部(室)に提出(締切:11月29日)
- 交付決定後、提出した計画通りに取り組みを実施(事業実施は令和7年1月31日まで)
- 労働局へ支給申請(申請期限は、事業実施予定期間が終了した日から30日後または令和7年2月7日のいずれか早い日となります。)
システムの導入といった助成対象の取り組みを実施し、支給を申請すると、助成金の受給の可否が決まります。
働き方改革推進支援助成金はどのコースも年度ごとに募集がかけられており、2024年度の申請受付は11月29日(金)までです。働き方改革推進支援助成金の支給対象事業主数は国の予算額に制約されることから予定より早く受付を締め切る場合もあるため、申請を考えている方は早めに対応しましょう。
働き方改革推進支援助成金の注意点
働き方改革推進支援助成金は、成果目標の達成度合いに応じて支給されます。そのため、勤怠管理システムの導入を考えている場合は、助成金に先行して出費が必要になります。勤怠管理システムを導入することで、本当に目標を達成できるかどうかも含めてよく検討しましょう。
勤怠管理システム導入に使える地方自治体の補助金事業一覧
勤怠管理システム導入に利用できる助成金や補助金は、全国のさまざまな自治体や団体からも提供されています。2024年度の助成金事業のうち、10月時点でも受け付けているのは以下の通りです。お住いの自治体で今からでも助成金が受けられるか、探してみてはいかがでしょうか。
対象者の要件は複数あり、すべて満たさなくてはならない場合もあるため詳細については各自治体・団体のURLをご覧ください。
事業名 | 支援事業者 | 対象者 | 支援機関 | 参照ページ |
文京区持続可能性向上支援補助金(生産性向上設備) | 文京区 | 登記してある本店を区内に置く中小企業者で、区内で引き続き1年以上事業を営んでいるもの | 令和6年10月1日(火曜日)より先着順 ※予定件数に達した時点で締め切り | 文京区持続可能性向上支援補助金(生産性向上設備) | 文京区 |
葛飾区デジタル化支援事業費補助金 | 葛飾区 | 区内に主たる事業所を有する中小企業者 | 令和7年3月28日(金曜日)まで | 葛飾区デジタル化支援事業費補助金|葛飾区公式サイト |
令和6年度中小企業デジタル化推進支援補助金(横浜市) | 横浜市 | 市内に事業所を置き、交付申請日時点において、市内で引き続き12カ月以上営業していることなど | 令和6年10月31日(木曜日)17時まで(DXコース) | 令和6年度中小企業デジタル化推進支援補助金 横浜市 |
令和6年度神奈川県小規模事業者デジタル化支援推進事業費補助金 | 神奈川県 | 対象となる事業を神奈川県内の事業所で実施している商業・サービス業、製造業の小規模事業者 | 令和6年11月29日(金曜日)17時 ※予算額に到達し次第終了 | 令和6年度神奈川県小規模事業者デジタル化支援推進事業費補助金について – 神奈川県ホームページ |
中小企業等デジタル化支援補助金(平塚市) | 平塚市 | 市内に事業所がある中小事業者 | 令和7年2月28日(金曜日)まで(当日消印有効) | 中小企業等デジタル化支援補助金 | 平塚市 |
松戸市中小企業デジタル化チャレンジ補助金 | 松戸市 | 市内に事業所がある中小事業者 | 令和7年2月28日(金曜日)まで | デジタル化で生産性・売上向上を目指そう! 松戸市中小企業デジタル化チャレンジ補助金|松戸市 |
DX促進事業費補助金(磐田市) | 磐田市 | 市内に本社・工場・支店のある中小企業者、市内で耕作・水揚などを行う農林漁業者 | 令和7年2月28日まで | DX促進事業費補助金|磐田市公式ウェブサイト |
2024年度中小企業デジタル化促進事業補助金(塩尻市) | 塩尻商工会議所 | 市内に本社または事業所を有する中小企業 | 2024年5月7日から予算が終了し次第、募集締め切り | 2024年度中小企業デジタル化促進事業補助金 | 塩尻商工会議所 |
豊橋市新ビジネスチャレンジ応援補助金(デジタル化) | 豊橋市 | 市内に本店や住所がある中小企業者で、継続して1年以上事業を営む者 | 年度末まで | 豊橋市新ビジネスチャレンジ応援補助金(デジタル化)について/豊橋市 |
豊田市働き方改革推進支援補助金 | 豊田市 | 常時使用する従業員が在籍し、市内に本社を置く中小企業者 | 令和7年3月14日(金曜日)まで ※予算状況により受付を終了する場合あり | 豊田市働き方改革推進支援補助金|豊田市 |
守山市中小企業等デジタル化促進補助金 | 守山市 | 守山市内に店舗・工場・事業所・事務所・支店を有する中小企業 | 令和7年1月31日(金曜日)まで | 守山市中小企業等デジタル化促進補助金|滋賀県守山市公式ウェブサイト |
「がんばる岸和田」企業経営支援補助金 | 岸和田市 | 大企業を除く、岸和田市内に営業所、事務所、工場等を有する事業者 | 令和7年1月31日(金曜日)必着 | 岸和田市内の事業所のデジタル化を支援します。 – 岸和田市公式ウェブサイト |
小規模企業者支援事業補助金(松江市) | 松江市 | 松江市内に事業所を有し、製造業を営む小規模企業者 | 令和7年3月31日まで ※予算がなくなり次第受付終了 | 小規模企業者支援事業補助金/松江市ホームページ |
助成金を複数申請したい場合の注意点
助成金事業の中には、複数の団体から同じ趣旨の助成金・補助金を受けている事業者は申請できないと規定しているものもあります。たとえば、平塚市の中小企業等デジタル化支援補助金では、「国・県または市町村から補助金を受けている場合は補助対象外とする」と定めています。
そのため、事前に助成金の規約をよく確認し、重複して申請できるのか、一つに絞るのであればどれを申請するのか計画しておくことが肝心です。
助成金を活用した勤怠管理システムの導入で業務効率化を
勤怠管理システムを導入すれば、集計を担当する従業員の負担を減らし、ミスの削減にもつながります。業務効率化の実現により労働時間の短縮を目指せるため、働き方改革推進支援助成金の対象です。
またソフトウェアやクラウド利用料のサポートを受けられる、IT導入補助金も活用できます。どちらも期限が決まっているため必要書類を用意し、早めに申請すると安心です。
費用の一部補助を受けられる制度を活用すれば、費用を抑えつつ必要なシステムを導入できます。
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