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直行直帰のアルコールチェックはどうすればよい?正しい手順と管理方法を解説

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最終更新日: 2025年09月30日

2023年12月、アルコール検知器の使用義務化が開始され、多くの安全運転管理者が対応に追われています。特に、従業員が事業所に立ち寄らない直行直帰におけるアルコールチェックの運用は、頭を悩ませる大きな課題ではないでしょうか。「現場の協力が得られない」「管理が煩雑で形骸化している」といった声は、決して少なくありません。

このままでは法令違反のリスクを抱え続けることになり、万が一の事故の際には管理者としての責任を問われかねません。本記事は明日から現場でそのまま使える運用マニュアルの雛形やトラブルシューティング集を提供し、法令遵守と現場の負担軽減を両立させる、具体的かつ実践的な方法を徹底的に解説します。

直行直帰のアルコールチェック担当者が今すぐやるべき3つの必須ルール

アルコールチェックする女性

直行直帰のアルコールチェックを正しく運用するための結論は、「3つの絶対的ルール」を遵守し、確認方法として「ビデオ通話」を選択することです。

具体的には、①運転前後1日2回のチェック、②国の要件を満たした検知器の携行、③8項目の記録と1年間の保管、という3つのルールが法令上の必須要件となります。そして、これらを満たすための遠隔確認方法としては、客観性と安全性の観点からビデオ通話が最適解です。

ルール1:運転の前後、1日2回のチェックは絶対義務

まず、直行直帰であっても運転前と運転後の1日2回のチェックは、法律で定められた絶対的な義務です。これは、出社・退社時と同様に、業務で車両を運転する全ての従業員に例外なく適用されます。

例えば、朝に自宅から直接現場へ向かう前と、夕方に最後の訪問先から帰宅する直前の両方で、アルコールチェックを実施しなくてはなりません。この原則を徹底することが、コンプライアンスの第一歩です。

ルール2:国の要件を満たした「携帯可能」な検知器を携行させる

従業員には、国が定める性能要件を満たした携帯可能なアルコール検知器を常に携行させる必要があります。

「常時有効に保持する」ことが義務付けられているため、電源が確実に入り、損傷がなく、清潔に保たれている検知器を、いつでも使用できる状態で管理させなければなりません。定期的なメンテナンスや交換のルールも、事前に明確に定めておくべきです。

ルール3:測定結果など8項目を「記録簿」に記載し1年間保管する

アルコールチェックを実施した後は、必ずその内容を記録し、その記録簿を1年間保管する義務があります。警察庁が定める記録必須項目は以下の8つです。

  1. 確認者名
  2. 運転者名
  3. 運転者の業務に係る自動車登録番号又は識別できる記号、番号等
  4. 確認の日時
  5. 確認の方法
  6. 酒気帯びの有無
  7. 指示事項
  8. その他必要な事項

これらの項目漏れは、監査で指摘される主要な原因の一つです。抜け漏れなく記録できるフォーマットを全社で統一しましょう。

最適な確認方法:安全性と客観性で選ぶなら「ビデオ通話」がベスト

「対面に準ずる方法」として認められる遠隔確認ですが、最も推奨されるのはビデオ通話です。電話の音声だけでは、運転者の顔色や声の調子といった健康状態の確認ができず、なりすましのリスクも否定できません。

その点、ビデオ通話であれば、アルコール検知器の測定結果を目視で確認できるだけでなく、運転者の表情や応答の様子も確認できるため、対面での確認に最も近い客観性と安全性を確保できます。

なぜ直行直帰のアルコールチェックは難しい?担当者が直面する3つの壁

直行直帰のアルコールチェック運用が形骸化しやすい根本原因は、担当者が直面する「時間と場所の制約」「基準の曖昧さ」「従業員の非協力」という3つの壁に集約されます。これらの課題を正しく認識することが、解決策を導き出す第一歩となります。

壁1:時間と場所の制約|管理者と運転者の都合が合わない

直行直帰では、運転者の業務開始・終了時刻が管理者と一致しないケースが頻発します。早朝に現場へ向かう職人や、深夜に帰宅する営業担当者からの報告を受けるために、管理者が時間外に対応せざるを得ない状況は、大きな負担です。

休日出勤中の従業員への対応も発生し、管理者側の負担増大が、結果的にチェックの形骸化を招く最大の要因となっています。

壁2:基準の曖昧さ|「どこまでやれば適法か」が分かりにくい

「対面に準ずる方法」という表現の曖昧さが、担当者を悩ませます。「電話での口頭報告だけで、本当に監査で指摘されないだろうか?」「写真の提出で十分な証拠になるのか?」といった法的な不安は尽きません。

明確な基準がないまま手探りで運用している担当者にとって、コンプライアンス違反への恐怖は、常に付きまとう深刻な問題です。

壁3:従業員の非協力|「面倒」という感情が形骸化を招く

現場の従業員にとって、アルコールチェックは従来の業務に加わった「新たな手間」です。「朝の忙しい時間に電話をかけるのが面倒」「報告を忘れてしまった」という声は、多くの企業で聞かれます。

この「面倒」という感情が、報告漏れや記録不備の常態化を引き起こし、安全運転管理者がどれだけルールを徹底しようとしても、現場の協力なくしては運用が成り立たないという壁にぶつかるのです。

対面に準ずる方法のメリット・デメリットをレベル別に徹底比較

遠隔での確認方法は、その手法によって客観性や法的リスクのレベルが大きく異なります。ここでは、警察庁の見解も踏まえ、「電話」「写真」「ビデオ通話」の3つの方法を推奨度別に比較・評価します。結論から言えば、コンプライアンスを最優先するならビデオ通話一択です。

レベル1:電話での音声報告【非推奨】

手軽さという点では最も優れていますが、客観的な証拠が一切残らないため、推奨できません。運転者の声の調子から健康状態を推測することは可能ですが、なりすましや虚偽報告のリスクを排除できません。

警察庁も、アルコール検知器の測定結果まで確認することを求めており、音声のみの報告ではその要件を満たしているとは言い難いのが実情です。

レベル2:写真(検知器と顔)での報告【条件付きで可】

検知器の測定結果と運転者の顔を一緒に撮影して送付する方法は、記録が残る点で電話よりは優れています。しかし、リアルタイムでの確認ができないという致命的な弱点があります。写真が本当にその場で撮影されたものか、運転者の応答の様子や顔色はどうか、といった「生の情報」を確認できないため、安全確認としては不十分と言わざるを得ません。

レベル3:ビデオ通話での相互確認【強く推奨】

目視確認に最も近い方法であり、コンプライアンス上のリスクが最も低いため、強く推奨します。管理者はリアルタイムで、①運転者の顔色や声の調子、②アルコール検知器の測定結果、③測定時の様子、の3点を同時に確認できます。これにより、なりすましなどの不正を防止し、最も客観性の高い記録を残すことが可能です。

【根拠】警察庁の公式見解から読み解く「目視等」の本当の意味

警察庁が示す「対面での確認と同等」の要件で重要なのは、単に酒気帯びの有無を確認するだけでなく、運転者の顔色、呼気の臭い、応答の声の調子等を含めた健康状態を確認することです。

これは、飲酒運転だけでなく、過労や睡眠不足による居眠り運転といった事故のリスクも未然に防ぐという、安全運転管理の本来の目的に基づいています。この「目視等」の趣旨を最も忠実に再現できるのが、ビデオ通話なのです。

明日から使える!直行直帰アルコールチェック運用マニュアル作成5ステップ

法令遵守と現場の負担軽減を両立させる鍵は、誰が見ても明確で、現実に即した運用マニュアルの存在です。ここでは、明日からすぐに使えるマニュアルを作成するための具体的な5つのステップを、各種雛形と共に提示します。

ステップ1:基本ルールの策定(確認方法・タイミング・担当者)

まず、運用の根幹となる基本方針を定めます。確認方法は「ビデオ通話」を原則とし、タイミングは「運転直前・直後」と明確に規定しましょう。

管理者の負担を考慮し、確認担当者は複数名体制にするか、部署ごとに責任者を置くなどの工夫が必要です。これらの基本ルールを明文化することが、全ての土台となります。

ステップ2:例外・緊急時ルールの設定(忘れた・紛失した・故障したetc.)

現場では必ずイレギュラーな事態が発生します。「検知器を忘れた」「充電が切れた」「管理者が電話に出られない」といったケースを事前に想定し、それぞれの対処法を具体的に定めておくことが混乱を防ぎます。例えば、「検知器不携帯時は社用車の運転を一切禁止する」「管理者が応答できない場合は、第二連絡先に報告する」など、明確なルールが不可欠です。

ステップ3:記録方法とフォーマットの統一

記録簿のフォーマットは全社で統一し、誰が記録しても抜け漏れが発生しない仕組みを構築します。前述の必須8項目を網羅したフォーマットを用意し、クラウド上で管理すれば、記入漏れのチェックや保管も効率化できます。手軽に導入できるExcel形式のテンプレートを用意しましたので、ぜひご活用ください。

ステップ4:社内への周知徹底と教育

ルールを作るだけでは意味がありません。なぜこの取り組みが必要なのか、その目的と背景を丁寧に説明し、従業員の理解と協力を得ることが最も重要です。社内説明会を実施し、マニュアルを配布するだけでなく、具体的な操作方法のデモンストレーションも行いましょう。説明会の要点をまとめたテンプレートを活用し、周知を徹底してください。

ステップ5:定期的な見直しと形骸化の防止

運用は一度始めたら終わりではありません。定期的に記録簿を確認し、報告漏れや不備がないかをチェックする体制を構築しましょう。現場の従業員からもヒアリングを行い、運用上の問題点を吸い上げ、ルールを改善していくPDCAサイクルを回すことが、形骸化を防ぎ、実効性のある安全文化を根付かせる鍵となります。

担当者が見落としがちな7つの失敗事例とトラブルシューティング

机上の空論でルールを作っても、現場では思わぬ落とし穴が待っています。ここでは、多くの企業が陥りがちな7つの失敗事例とその対策を具体的に解説します。これらの失敗から学ぶことで、貴社のリスクを未然に防いでください。

  • 失敗例1:「とりあえず検知器だけ配布」で運用が現場任せに 明確なルールや目的を伝えず、ただ検知器を渡しただけでは、従業員は何をどうすれば良いか分からず、結果的に誰も使わなくなります。
  • 失敗例2:「電話確認のみ」を続けた結果、監査で不備を指摘される 客観的証拠が残らない電話報告は、監査で「安全確認が不十分」と判断されるリスクが非常に高い方法です。
  • 失敗例3:従業員の「報告忘れ」が常態化し、管理が破綻 罰則規定が曖昧だったり、管理者の催促がなかったりすると、「忘れても問題ない」という空気が蔓延し、管理不能に陥ります。
  • 失敗例4:管理者の負担が限界を超え、チェックが形だけになる 特定の管理者に業務が集中しすぎると、疲弊してしまい、厳密な確認がおろそかになりがちです。「応答=OK」という形式的な確認は非常に危険です。
  • 失敗例5:検知器のメンテナンス不足で、いざという時に使えない 定期的な校正やバッテリーチェックを怠ると、正確な測定ができなかったり、そもそも電源が入らなかったりする事態を招きます。
  • 失敗例6:出張やイレギュラー勤務時のルールがなく現場が混乱 通常業務以外のケースを想定していないと、その都度対応が場当たり的になり、ルールの抜け道が生まれてしまいます。
  • 失敗例-例7:なりすましや不正報告といった悪意ある行為への対策不足 性善説に頼りすぎると、他人に測定させたり、過去の写真を使い回したりといった不正を見逃す可能性があります。

それでも管理が限界なら。アルコールチェック管理システムの選び方

手動での管理には、どうしても限界があります。もし、ここまでの対策を講じても管理工数の増大や記録の抜け漏れといった課題が解決しない場合、ITソリューションの導入が根本的な解決策となります。システム化によって、管理者の負担を劇的に削減し、より確実な運用体制を構築できます。

手動管理の限界とシステム化で実現できること(自動記録・リマインド等)

Excelや電話による手動管理では、報告の催促、記録の転記、保管といった付帯業務に膨大な時間がかかります。これに対し、アルコールチェック管理システムは、測定結果の自動記録、未報告者へのリマインド通知、記録簿の自動生成といった機能を備えています。これにより、管理者は確認作業そのものに集中でき、ヒューマンエラーも撲滅することが可能です。

失敗しないための3つの選定ポイント(直行直帰対応・検知器連携・料金体系)

自社に最適なシステムを選ぶためには、3つのポイントを確認すべきです。

  1. 直行直帰対応: スマートフォンアプリで報告が完結し、GPSで位置情報も記録できるなど、直行直帰の運用に特化した機能があるか。
  2. 検知器連携: 使用中の検知器とBluetoothなどで連携し、測定データを不正なく自動で送信できるか。
  3. 料金体系: 従業員数に応じた月額課金制か、初期費用のみかなど、自社の規模や予算に合った料金体系か。

Q&A|直行直帰のアルコールチェックに関する細かな疑問を解消

ここでは、担当者からよく寄せられる細かな疑問について、Q&A形式で回答します。

Q. 深夜や早朝で管理者が対応できない場合はどうすればいいですか?

A. 管理者を複数名体制にし、シフトを組んで対応するのが基本です。それが難しい場合は、管理業務を代行するサービスを利用するか、自動録画機能付きの管理システムを導入し、管理者が事後確認する方法も有効です。ただし、事後確認の場合は、運転前に異常があった際に即時対応できないリスクがあることを認識しておく必要があります。

Q. マイカーを業務で使う場合も対象になりますか?

A. はい、対象になります。いわゆる「白ナンバー」の車両であっても、業務のために使用する場合は安全運転管理者の管理下に置かれ、アルコールチェックの義務が発生します。マイカーの業務利用に関する社内規定を整備し、対象者への周知を徹底してください。

Q. チェックを拒否する従業員への法的な対応は?

A. アルコールチェックは、道路交通法に基づく業務命令です。正当な理由なく拒否する従業員に対しては、就業規則に基づき懲戒処分の対象となる可能性があります。まずはなぜ拒否するのかをヒアリングし、必要性を丁寧に説明することが先決ですが、それでも応じない場合は、懲戒も辞さない毅然とした対応が必要です。

Q. 出張先でのアルコールチェックはどのように行えばよいですか?

A. 出張先でも、直行直帰と同様のルールが適用されます。携帯型のアルコール検知器を必ず携行させ、ビデオ通話などの遠隔方法で、運転の前後で必ずチェックを実施してください。出張スケジュールに合わせて、報告を受ける管理者側の体制も事前に調整しておくことが重要です。

まとめ:法令遵守と業務効率化を両立する運用体制の構築を

直行直帰のアルコールチェックを成功させる鍵は、明確かつ現実的なルール設定と、その背景を丁寧に説明し現場の理解を得るコミュニケーションに尽きます。ただ義務だからと一方的にルールを押し付けるだけでは、必ず形骸化します。なぜこのチェックが必要なのか、それによって誰が守られるのかという安全文化の醸成が不可欠です。

本記事で提供した運用マニュアルの雛形や失敗事例、トラブルシューティングの知識は、貴社が法令を遵守し、従業員の安全を守り、そして管理者の負担を軽減するための強力な武器となるはずです。ぜひこれらのノウハウを最大限に活用し、貴社の実情に合った、実効性の高い運用体制を構築してください。

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