介護リフォームで利用できる補助金は2種類あります。介護保険の「住宅改修費補助」と、各市区町村が用意している助成金です。介護保険による補助金の対象リフォーム内容や申請方法、自治体ごとの補助金の例を解説します。
介護保険の補助金対象になるリフォーム内容
介護リフォームには現在暮らしている家を改修して、介護される人にとって安全な環境にすることや、動線を改善して介護しやすくする目的があります。
介護保険は、全国どこでも同じ要件で支給されます。具体的には下記の6種類が、介護保険の補助金対象のリフォームです。
- 手すりの取り付け
- 段差解消
- 床材の取り替え
- 扉の取り替え
- 便器の取り替え
- 下地工事や補強など、上記の改修を行うために必要な工事
介護保険を上手に活用すれば、介護リフォーム費用を大きく抑えられるでしょう。
介護保険の補助金額と支給される条件
介護リフォームを計画したり申請したりする前に、介護保険から支給される補助金額と支給要件を把握しておきましょう。それぞれについて、詳しく解説します。
収入額に応じて最大18万円が補助される
介護保険の補助金対象にできるリフォーム費用は、1人につき最大20万円です。対象者の収入に応じてそのうち1~3割を自己負担します。したがって、介護保険から最大18万円の補助を受けることができます。なお20万円を超えた工事費用の支払いは、全額自己負担です。
介護リフォームの補助金対象であれば、改修工事にかかる費用の大きな助けとなるでしょう。ただし、補助金は後から支給される「償還払い」である点に注意が必要です。いったん利用者が工事費用を全額支払う必要があることを覚えておきましょう。
介護リフォーム補助金の支給を受ける要件
支給対象になる要件について、詳しく解説します。
- 介護保険の被保険者で、要支援1~2、要介護1~5の認定を受けている
- リフォームする住居が被保険者証と同一住所で、実際に住んでいる
- 被保険者が病院に入院または福祉施設に入居していない
例えば被保険者である親が、子の家で介護されている場合、介護保険証に記載されている住所が子の家であれば支給対象です。異なる場合は支給対象外になります。
介護リフォームの補助金は、自治体が運営する介護保険の住宅改修費にあたります。住宅改修費は介護保険サービスの限度額の加算対象外なので、他の介護サービスを利用していたとしても、限度額に関係なく申請可能です。
介護保険の住宅改修費補助を申請する流れ
介護リフォームをする際の申請方法を紹介します。申請手順と必要書類を把握し、ケアマネージャーに相談しながら、抜け漏れなくスムーズに申請しましょう。
申請の手順
介護保険は国の制度ですが、申請先はリフォームする住居の市区町村窓口です。申請のタイミングはリフォーム施工前と工事完了後の、2回あることを覚えておきましょう。
- 要支援または要介護の認定を受ける
- 住宅改修のプランや施工業者をケアマネージャーに相談する
- 施工業者の決定と見積もり依頼(ケアマネージャー同席)
- 施工前に市区町村の窓口に、必要な書類を提出して申請
- リフォーム工事の施工
- 工事完了後、利用者が施工業者に費用を全額支払い、領収書を受け取る
- 市区町村の窓口に事後申請に必要な書類を提出して申請
- 市区町村が支給額を決定し、7~9割分が支給される
ケアマネージャーとは、要介護者や要支援者がふさわしい介護保険サービスを受けられるように、補助をしてくれる介護支援専門員です。主な仕事内容は、サービス事業者や施設との調整、ケアプランの作成などです。
申請に必要な書類
介護保険の住宅改修費補助は、リフォーム前とリフォーム後の計2回書類申請が必要です。それぞれ異なる書類が必要になることを覚えておきましょう。
リフォーム前に必要な書類
- 介護保険被保険者証
- リフォーム場所や費用の見積もりを記入した支給申請書
- リフォーム前の状態が分かる写真(撮影日入り)
- リフォーム後の完成予定の状態が分かるもの(住宅の間取り図など)
- ケアマネージャーが作成した住宅改修理由書
- 施工業者が作成した工事費の見積もり書
リフォーム後に必要な書類
- リフォームにかかった費用の領収書(原本)
- 工事費内訳書
- リフォームした場所の改修前後の状況を確認できる写真(撮影日入り)
- リフォームした住宅の所有者が利用者以外の場合、住宅所有者の承諾書
住宅改修理由書はケアマネージャー・理学療法士・作業療法士など、専門職に作成してもらう必要があります。介護におけるさまざまなシーンでお世話になっている、ケアマネージャーに作成してもらうとよいでしょう。
市区町村独自のリフォーム補助金制度も確認しよう
各市区町村が独自に介護リフォーム補助金制度を設けていることがあります。介護リフォームを考えているなら、介護保険だけでなく自治体のリフォーム補助金制度も調べておきましょう。
なお、自治体の補助金の支給要件は、市区町村によって大きく異なります。介護保険の補助金との併用を不可としている自治体や、リフォーム業者を指定する自治体もあります。
介護保険と併用できる場合、介護保険の補助金を優先し、保険でカバーできない部分を自治体の補助金でまかなうケースが一般的です。介護リフォームを考えている場合、介護保険の利用と併せて、ケアマネージャーと自治体に相談してみましょう。
自治体ごとのリフォーム補助金の例
自治体ごとに異なるリフォーム補助金の例を紹介します。渋谷区・大阪市・福岡市の要件や限度額などについて見てみましょう。
渋谷区:住宅設備改修給付
東京都渋谷区のリフォーム補助金は「住宅設備改修給付」です。対象は65歳以上の要介護者・要支援者と定められています。
給付内容と限度額は以下の通りです。
- 浴槽の取り替え:37万9,000円
- 車いす利用者がいる住宅の流しや洗面台の取り替え:15万6,000円
- 車いす利用者が日常的に使う階段昇降機の取り付け:30万円
- 上記の改修に付帯してかかる改修費用
自己負担になるのは、工事費用の1割程度です。給付限度額を超えた場合、超えた部分は全額自己負担となります。
大阪市:高齢者住宅改修費給付事業
大阪府大阪市のリフォーム補助金は「高齢者住宅改修費給付事業」です。対象は大阪市内に住所があり、要介護認定を受けた高齢者がいる世帯です。介護保険料段階が1~6段階の人という要件もあります。
給付対象の工事は、介護保険の住宅改修費補助の対象外になっている工事です。住宅改修費補助を利用して行うリフォームと一緒に実施される工事である必要があります。
給付上限額は、所得階層別保険料段階が第1~4段階なら30万円まで、第5~6段階なら5万円までです。支給率は、生活保護受給世帯・支援給付対象世帯なら10割、その他は9割となっています。
福岡市:住宅改造助成
福岡県福岡市のリフォーム補助金は、「住宅改造助成」です。対象は65歳以上で、福岡市内在住かつ要介護認定を受けている人です。
訪問調査を受けた上で必要なリフォームだと判断された場合、30万円を限度として助成されます。介護保険の住宅改修費補助対象の工事は原則対象外とされていますが、例外として認められた場合は10万円が助成されます。
助成率は10%~100%です。利用世帯の改装区分によって変動します。
介護リフォームには補助金を利用しよう
介護リフォームでバリアフリー化や安全な動線の確保ができれば、介護される側も介護する側も過ごしやすくなります。改修費用は高額になることが多いため、介護保険の補助金や各自治体が用意している補助金を、うまく活用しましょう。
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