アルカリ電解水は水を電気分解したときにできる液体です。
洗浄や除菌に使えるアルカリ電解水について、基本的な知識やメリット、使い方のコツを紹介します。
また安全に使えるよう、使うときの注意点もチェックします。
アルカリ電解水とは
水は電気分解することで酸性とアルカリ性に分かれる特徴を持っています。
このうちアルカリ性の性質を持っているのが、アルカリ電解水です。
強いアルカリ性のアルカリ電解水は、料理の下ごしらえにも利用できます。
水を電気分解しアルカリ性にした液体
アルカリ電解水は、水を電気分解したときにできる液体です。
水に電極を入れ電気分解すると、マイナスの電極側ではプラスイオンが水分子から引き剥がされます。
このときマイナスの電極付近の水中は、水酸化物イオンが多い状態のアルカリ電解水となります。
水でありながら汚れを落とす力が強く、水拭きでは取れない汚れも落とせるのが特徴です。
原料は基本的に水のみのため、安全性も高いといわれています。
pH12〜13の強アルカリ性
アルカリ性とは水素イオン濃度の高い状態です。「pH」で表すと以下の通り、8より高い数値がアルカリ性と定められています。
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アルカリ電解水はアルカリ性の中でも「強アルカリ性」に分類され、特に水素イオン濃度が高くなっています。数値ではpH12~13となり、数値が大きいほどアルカリ性の性質が強く表れるのが特徴です。
アルカリ性にはタンパク質を溶かす性質があります。そのため強アルカリ性のアルカリ電解水は、強力にタンパク質を溶かす液体です。
料理の下ごしらえにも使える
掃除に使うものとして有名なアルカリ電解水ですが、料理の下ごしらえにも使うことができます。
例えばあくが強く、そのままでは食べられないタケノコ・ワラビ・ゼンマイなどが代表的です。
これらの食材のあく抜きをするのには、米ぬかや重曹を使います。
米ぬかや重曹はアルカリ性の性質を持っているため、アルカリ電解水を使ったあく抜きも可能です。
またアルカリ電解水なら水のみのため、食材に余計なにおいが残りません。
アルカリ電解水は洗剤として使える
タンパク質を溶かす性質を持つアルカリ電解水は、洗剤代わりとして掃除に使えます。
ではどのような場所の掃除に向いているのでしょうか?
加えて強アルカリ性の性質を活かした、除菌についても解説します。
タンパク質や油脂を分解してくれる
アルカリ電解水のタンパク質や油脂を溶かす性質を活かすと、皮脂や血液、油などによる汚れを効果的に落とせます。
アルカリ電解水がタンパク質や油脂を落とすのは、プラスイオンがなく不安定な状態だからです。
そのためプラスイオンを持つ油汚れといった酸性の汚れがあると、アルカリ電解水は安定を取り戻そうと汚れのプラスイオンと結び付き、汚れを浮かせ分解します。
プラスイオンと結び付くと元の水になるため、洗剤を使ったときのように洗浄成分が残りません。
すすぎや水拭きが不要で、家庭内の掃除に手軽に使えるのがメリットです。
洗浄だけでなく除菌も可能
強アルカリ性のアルカリ電解水は、洗剤としてだけでなく「除菌」にも使えます。インフルエンザウイルスやノロウイルスなどの除菌にも有効です。
アルカリ性の洗浄剤には、他にも「重曹」や「セスキ炭酸ソーダ」があります。これらも洗浄剤としては十分な性質を発揮しますが、pH値が低いため除菌には使えません。
洗浄とともに除菌もしたいと考えているなら、pH値の高いアルカリ電解水が向いています。
相性の良い汚れ
酸性の汚れを落としやすい性質を持つアルカリ電解水は、タンパク質や油脂の汚れをよく落とします。
例えば以下の汚れとは相性が良く、落としやすいでしょう。
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アルカリ電解水があると、家庭内のさまざまな汚れをきれいに落とせます。
アルカリ電解水を使うメリット
タンパク質や油脂による汚れを落とすのに役立つアルカリ電解水には、洗剤と比べてどのようなメリットがあるのでしょうか?
代表的なメリットを3つご紹介します。
跡が残らないため二度拭きが不要
水でできているアルカリ電解水は、汚れが落ちるまで拭いたら掃除が終わります。
洗浄成分が残ってベタベタしたり、白く跡が残ったりしないため、二度拭きの必要がありません。
一方掃除に洗剤を使った場合、汚れが落ちた後は洗浄成分をきれいに落とし切る必要があります。
そのままにしておくと跡が残ってしまうからです。
手軽に掃除をしたいなら、アルカリ電解水が向いています。
界面活性剤不使用で健康に害がない
アルカリ電解水には一般的な洗剤のように「界面活性剤」が含まれていません。
界面活性剤は性質の異なる物質を混ぜ合わせる性質があり、洗剤はその性質を利用して汚れを浮かび上がらせています。
洗剤はもちろん化粧品・医薬品・食品などさまざまな製品に使われている成分ですが、使用量によっては危険性も指摘されています。
アルカリ電解水は界面活性剤を使用していないため、安心して使うことができます。
環境にも優しい
もともと水からできているアルカリ電解水は、汚れを落とすと不足していたプラスイオンと結合するため、再び水に戻ります。
そのため掃除をした後の排水で、環境に負荷をかけることがありません。
排水に混ざって環境に有害な成分を流す心配がないため、自然由来の素材を使って掃除をする「ナチュラルクリーニング」にも使われています。
ただし未使用のアルカリ電解水は強アルカリ性のため、そのまま排水口へ流すと、下水管へダメージを与える可能性があります。必ず弱アルカリ性になるまで水で薄めてから流しましょう。
アルカリ電解水は自作できる?
掃除の手間を軽減でき、環境へ負荷をかけないアルカリ電解水ですが、専用の装置がなければ作れないため自宅で作るのは難しいでしょう。
まずは自作して手軽に試してみたいと考えているなら、同じアルカリ性を利用して掃除できる「セスキ水」が手軽です。
特殊な装置が必要なため自作はできない
アルカリ電解水を作るには、プラスとマイナスの電極の入った電解槽で水に電気を流さなければならず、特殊な装置が必要です。
装置の販売やレンタルも行われていますが、工場や店舗で使う業務用のものです。そのため自宅での手作りはできません。
手作りでアルカリ性の洗浄水を試すなら、セスキ炭酸ソーダや重曹を使うと手軽です。
セスキ水で代用が可能
セスキ炭酸ソーダを使った「セスキ水」で、アルカリ性の洗浄水の使い心地を試せます。
作り方は簡単で、水500mlにセスキ炭酸ソーダ小さじ1杯を入れ、溶かすだけです。
完成したセスキ水は弱アルカリ性のため、洗浄力はアルカリ電解水に及びません。しかしキッチン周りの油汚れといった酸性の汚れをきれいに落とすには十分です。
ただし、アルカリ電解水と違い二度拭きが必要な点は注意しましょう。白い粉末を水に溶かしているため、拭き取らなければ白く跡が残ることがあります。
セスキ炭酸ソーダは100円ショップやドラッグストアで購入できるため、簡単に入手できるのもポイントです。
アルカリ電解水を使った掃除のコツ
掃除にアルカリ電解水を使うときには、コツを押さえておくと効果的です。
しつこい油汚れ・水拭き・カーペットの汚れ取りの仕方を紹介します。
しつこい油汚れはつけ置きで
なかなか落ちない油汚れは、つけ置き洗いが有効です。
日にちが経ってベタベタしてる汚れも、すっきり落としやすくなります。
<ガスコンロは保存バッグを使うと簡単>
例えばガスコンロの五徳は、保存バッグを使うと手軽につけ置きが可能です。保存バッグに入れてアルカリ電解水を15~20回スプレーしてから、45~50℃のぬるま湯を入れます。15分ほどつけたらスポンジでこすり落とします。
<換気扇フィルターにはキッチンペーパーが役立つ>
換気扇フィルターならキッチンペーパーを使うと便利です。フィルターの上にキッチンペーパーをかけ、アルカリ電解水をスプレーし10分置きます。時間が経過したらブラシでこすると、きれいに汚れが落ちるはずです。
さっと拭いて汚れが落ちないときは、数分つけ置くと効果的です。
布巾にかけて水拭き代わりに
二度拭きがいらないアルカリ電解水は、布巾に含ませれば水拭き代わりに使えます。使い方は水拭きと変わりません。
水からできているアルカリ電解水なら、食品周りの掃除や除菌にも安心して使えます。冷蔵庫内を拭き上げたり、電子レンジの汚れを掃除したりするのに便利です。
水拭き代わりに使うときには、家電製品の電源に注意が必要です。必ず電源をオフにして、感電の危険がないよう対策してから掃除を始めましょう。
またフローリングの掃除にもアルカリ電解水が便利です。
布巾を使っても良いですが、フローリング用のシートにアルカリ電解水を含ませたものや、市販のアルカリ電解水シートを使えば、より手軽にフローリングを清潔に保てます。
カーペットなど布の汚れにも使える
カーペットの汚れを落とすときにもアルカリ電解水が使えます。
通常の洗剤で洗う場合はすすぎが必要なため、浴槽で手洗いが必要なケースもあるでしょう。
一方アルカリ電解水を使えば、以下の手順で汚れを落とせるため、手洗いは不要です。
水を含んで重くなったカーペットを運んだり、長時間かけて乾燥させたりする手間もなくなります。
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アルカリ電解水を使う注意点
アルカリ電解水を掃除に使うときには注意点があります。
掃除するものの素材によっては、変質したりシミになったりする可能性があるため要注意です。
またアルカリ電解水は開封後早めに使い切らないと、汚れ落ちが悪くなってしまいます。
加えて肌や目に付着しないよう注意しなければいけません。
利用できない汚れがある
タンパク質や油脂による汚れをすっきり落とせるアルカリ電解水ですが、相性の悪い素材がある点に要注意です。
例えば「アルミニウム」や「真鍮」はアルカリ性で腐食しやすい素材のため、壊れてしまうかもしれません。
また「革製品」や「白木」でできた製品は、シミが残る可能性があります。
表面が「ニス」や「ワックス」でコーティングされているものは、コーティングがはがれることがあるため使用は避けましょう。
アルカリ性に弱い「ガラス」にも要注意です。ガラス製品はもちろん、ガラスでコーティングされている液晶画面や車の塗装面にも使用しないようにします。
開封後はできるだけ早く使い切る
開封後は早めに使い切るのもポイントです。
開封され長期間放置されたアルカリ電解水には、空気中にある炭酸ガスが溶け込みます。炭酸ガスによりpHが低下すると、中性に近づき洗浄力が弱まってしまいます。
そのため開封後はふたをしっかり閉めた状態で保管し、早めに使い切りましょう。また自作したセスキ水も長期保存には向いていません。
直射日光や高温を避け、2~3ヶ月を目安に使います。
目に入らないように注意する
タンパク質を溶かす強アルカリ性のアルカリ電解水は、肌や粘膜の細胞も溶かします。
そのため使用時は直に触れないよう注意しなければなりません。特に目に入らないよう対策が必要です。
頭より高い位置での使用は、上から垂れてくる恐れがあるため避けます。
防護めがねを用意しておくと安心です。また手を保護するためのゴム手袋や、吸い込みを防止するマスクもあると危険を減らせます。
アルカリ電解水をお部屋掃除に活用
アルカリ電解水はキッチン・風呂・リビングなど、家中のさまざまな場所の掃除に活用できます。
加えて跡が残らないため二度拭き不要な点や、界面活性剤不使用で人にも環境にも影響が少ない点もメリットといえます。ただしアルカリ性に弱いガラスや真鍮などの素材には使えません。
アルカリ電解水を自宅で手作りすることはできませんが、使い心地を試してみたいなら、セスキ炭酸ソーダを使ったセスキ水が手軽ですよ。
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