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FRP防水はベランダに最適?メリット・デメリットを解説!トップコートのメンテナンスが肝心

最終更新日: 2021年07月05日

FRP防水は、貯水槽やプールにも施される防水工法です。一般住宅ではベランダ・バルコニーの防水対策に最適。

FRP防水のメリットとデメリットをはじめ、施工するときの注意点や費用相場などを徹底解説していきます。

FRP防水の特徴

そもそも「FRP」(エフ・アール・ピー)とは

繊維強化プラスチック frp

そもそも「FRP」(エフ・アール・ピー)とは、「繊維強化プラスチック」のことです。(※Fiberglass Reinforced Plasticsの略)

名前のとおり、プラスチック(ポリエステル樹脂)のなかにガラス繊維や炭素繊維などを含めることで、材料の耐久性を強化しています。

「プラスチックだけだと弾性がなく割れやすいので、弾性が高い繊維を入れる」というイメージ。

軽量なうえ耐久性・耐水性などに優れているので、浴槽、浄化槽、プール、車、ボート、楽器、人工衛星など、幅広いものに使用されています。

防水工事に使われるFRP

ベランダ FRP防水

FRPは、軽くて耐久性に優れるという特徴などから、建築の防水工事に採用されています。

FRP防水は「塗膜防水」という工法の1つにあたり、液状の塗料を塗りつめることで防水層を形成させるという仕組み。

一般住宅ではベランダ防水以外にも、浴室や浴槽などの防水加工として使用されています。

ちなみに屋上や屋根などに塗膜防水をするときには、より紫外線に強い「ウレタン防水」が採用されることも多いです。

また防水工事の種類は、塗膜防水のほかにアスファルト防水、シート防水が用いられます。

防水工事の種類・特徴については、以下の記事を参考にしてみてください。

関連記事:ベランダ・バルコニー防水工事は種類によってどう違う? | ミツモア

ベランダに最適!FRP防水のメリット

FRP防水のメリット

frp防水のベランダ

FRP防水のメリットは以下の通りです。

  • 軽量で耐震性がある
  • 重歩行性(摩擦や重みに強い)
  • 耐候性・耐久性に優れる
  • 防水性・耐薬品性に優れる
  • 硬化が早く、工期が短い
  • 塗りムラができにくく、均一な仕上がり

おおざっぱにまとめると、軽量なのに耐久性が高く、デザインや施工期間の短さも兼ね備えているのがメリットです。

小面積の場所に施工すると費用対効果が高く、ベランダに最適な防水工事と言えます。

塗膜防水にはもうひとつ、ウレタン防水というものもあるので、ぜひ以下の記事を参考にして比較検討してみてください。

関連記事:ウレタン防水の基礎知識まとめ!メリット・デメリットから補修まで | ミツモア

【耐久性が高い】

FRP防水は、ガラス繊維などを含ませることで補強している素材なので、なによりも耐久性に優れているのがメリットと言えるでしょう。

耐久性が高い要因のひとつは、人の歩行・車の走行などの摩耗にも耐えられる「重歩行性」の高さ。

また薬品にも強く、腐食しにくいのでプールや水槽、下水道施設などにも重宝されています。

これらの特徴を備えながら、軽量(3~5kg/㎡程度)なので建物への負担が軽く、耐震性に優れているのも忘れてはいけません。

【デザイン性や、施工期間の短さ】

さらにウレタン防水と比べると塗りムラになりにくく、継ぎ目や凹凸のないキレイな仕上がりに。着色やデザインも自由が利きます。

FRP塗膜の硬化が早く、施工してからわずか1~2時間で乾きます。通常、塗膜防水は何度かの重ね塗りをしますが、それでもわずか1~2日で完了するのです。

他の防水工事では、完了するまでに4~5日かかるのが普通なので、施工期間はだいぶ短いと言えます。

不向きな場所は?FRP防水のデメリット

ベランダのfrp防水

FRP防止のデメリットや弱点は以下の通りです。

  • 費用が高い
  • 独特な臭いがある
  • 紫外線に弱い
  • 伸縮性がない、割れやすい
  • 広い面積の場所には向いていない
  • 木造住宅には向いていない

非常に優れた性能のため、他の防水工法よりも費用が高くなる傾向にあります。また、施工する場所によってはFRP防水が向いていないこともあるので、注意が必要です。

費用が高い

電卓と一万円札

施工方法や、施工場所の条件などによって差はありますが、他の防水工事と費用相場を比べてみましょう。

施工単価
FRP防水 4,000~8,000円/㎡
ウレタン防水 3,000~7,500円/㎡
シート防水(塩ビ) 3,500~7,500円/㎡
シート防水(ゴム) 2,500~7,000円/㎡

防水工事の費用は、「平米数×単価」で決定します。

FRP防水の単価相場は、他の防水工事と比べて500~1,000円ほど高いため、施工面積が大きくなるほど差も大きく変化するのです。

ただし、そもそも一般家庭に施工するFRP防水は、広い場所よりも小面積の場所に最適な工法です。

ふつうの4㎡程度のベランダなどに施工するなら、そこまで費用の差を感じることはないでしょう。

独特の臭い

鼻をつまむ若い女性

FRP防水に使用する樹脂は、「スチレンモノマー」という液体で希釈します。

FRP防水を施工しているときには、この「スチレン」という成分によって、シンナーよりも強いと言われる独特の臭いが発生するのです。

ただし最近では、スチレンの使用量が少ない「環境対応型」と呼ばれるFRP防水材料が採用されることも。スチレンが少ないので、臭いを抑えられます。

また「環境対応」という名のとおり、光化学スモッグなどの環境汚染につながる「VOC」という物質の排出量をおさえることにもつながります。

とくに浴室など、室内に使うなら業者に相談してみるとよいでしょう。

紫外線に弱い

直射日光 紫外線

FRP防水はプラスチック素材を使うので、長時間の紫外線照射に弱いという特徴があります。

しかしFRP防水に限らず、防水層の上から「トップコート」という保護膜を塗装するのが一般的です。

この「トップコート」によって、防水層を紫外線から守ることができるので、定期的なメンテナンスを怠らなければ問題ありません。

どの工法の防水工事だとしても、基本的に5年に1回のペースでトップコートの塗り替えが必要です。

関連記事:トップコート塗装とは?外壁・防水層それぞれの劣化サインや塗り替え時期など | ミツモア

場所によってはFRP防水が向いていない

屋上 シート防水

FRP防水は、ガラス繊維やプラスチック素材を使って、防水層を形成します。

そのため耐久性に優れている反面、伸び縮みしにくいというデメリットも。

とくに収縮しやすい木材建築や、面積が大きい場所などでは、FRP防水層が建物の形状変化についていけず、ひび割れしやすくなります。

FRP防水が向いているのは、小面積でコンクリートなどの素材が使われている場所です。

屋上や駐車場などの広い場所に施工するなら、シート防水やアスファルト防水のほうが向いている可能性があります。

関連記事:シート防水の特徴は?他の防水と比較したメリット・デメリットなど解説 | ミツモア

FRP防水の施工方法

FRP防水の施工手順

ベランダにFRP防水を施工

FRP防水を施工するときは、以下のような手順でおこないます。

  1. 施工する場所を高圧洗浄
  2. プライマー剤を塗布して、接着効果を高める
  3. FRP防水用の塗料を下塗り
  4. ガラスマットを敷く
  5. FRP防水用の塗料を中塗り
  6. トップコート剤で上塗り

【高圧洗浄~プライマー塗布】

高圧洗浄機で掃除する男性

まずはベランダの表面など、FRP防水を施工する場所をキレイにします。汚れがあると、塗料の密着性が悪くなってしまうからです。

高圧洗浄などをおこなったり、前回の防水工事で作った塗膜を剥がしたりします。

そのうえで、下地にプライマー剤(接着剤のような効果がある)を塗布し、下準備が完了です。

【下塗り~上塗り】

FRP防水につかう塗料

プライマーを塗布したあと、数回に分けてFRP防水層を形成していきます。

このとき使うのは、FRP防水用のポリエステル樹脂に、硬化剤を混ぜて攪拌(かくはん/均一に混ぜあわせること)したものです。

1回目の下塗りの上から、気泡が入らないようにガラスマットを敷きます。

そしてもう一度、下塗りと同じ樹脂を塗装して、乾燥を待ちます。樹脂が硬化したら、表面を削ったり「アセトン拭き」という清掃をしたりして、調整。

最後に、防水層の表面を守るための「トップコート」を塗布して、防水工事は完了です。

1プライと2プライ

FRP成型用ガラスマット
FRP成型用ガラスマット

施工手順で見たように、FRP防水層を形成するときには、あいだにガラスマットを敷きます。

このとき重ねるマットの枚数が1枚であれば1プライ、2枚なら2プライという呼び方をします。

単純に考えると2プライのほうが防水性が高い気がしてしまいますが、そうではありません。

このとき使用するガラスマットの、ガラス繊維の密度によってどちらの工法にするかが変わるのです。

そのため、もし業者から1プライを提案されても、ほとんどの場合、不安に思う必要はありません。

もし気になるようなら、きちんと1プライ用のガラスマットを使用するかどうかだけ確認するとよいでしょう。

ただし、ガラスマット敷かない場合もありますが、この場合には1プライまたは2プライで施工できないか相談してみましょう。

定期的なトップコート塗装でメンテナンス

ベランダ防水のトップコート塗装

デメリットの部分でも軽く触れたように、FRP防水は紫外線に弱いという特徴があります。

トップコートが劣化してしまうと、紫外線の影響をもろに受けることでFRP防水層の機能が落ちてしまうことに。

そのため、5年に1回くらいのトップコート塗装によるメンテナンスは、欠かせません。

FRP防水だけでなく他の防水工事でも、トップコート塗装によるメンテナンスは大事です。

ちなみに「トップコート」自体には防水機能がありません。あくまで防水層を保護するものだと覚えておきましょう。

FRP防水の施工費用や業者の選び方

FRP防水の施工費用の相場

外壁塗装 業者

先ほども紹介しましたが、FRP防水の施工にかかる費用は、1㎡あたり4,000~8,000円前後です。

他の防水工法にかかる費用の最低金額は3,500円程度で、FRP防水はやや高くコストがかかります。

一度施工したら終わりではなく、5年に1回はトップコートの塗り替えをしなければなりません。トップコートの塗り替えは業者に依頼すると3~5万円が相場です。

FRP防水の寿命は約10年なので、そのタイミングでもう一度防水工事をするのがオススメ。

メンテナンス時期や補修費用

ベランダ ひび割れ

FRP防水の寿命は約10年ですが、以下のような症状が見られた場合は補修が必要です。

  • 塗膜の色あせ・はがれ・膨れ
  • 白っぽい粉が浮く(チョーキング現象)
  • 塗膜にひび割れがある
  • 水たまりができている

これらの症状があるときは、FRP防水が劣化しています。

トップコートの塗り替えや、再度の防水工事、または下地になっている床材を補修するなどのメンテナンスが必要です。

いずれの場合にも、放置していると防水機能が失われていき、雨漏りや腐食の原因になるので気をつけましょう。

関連記事:ベランダのひび割れ原因と補修方法を解説 | ミツモア

工事を依頼できる業者と選び方

防水工事を依頼できる業者は限られています。

大手リフォーム会社や外壁塗装専門店などでも施工可能ですが、防水工事専門店に依頼するのがよいでしょう。

防水工事を失敗しないためには、事前に綿密な現地調査を行い、提示した見積もりの内訳をきちんと説明してくれる業者に依頼すると安心です。

外壁塗装と一緒に施工すると安く済むことも

足場組立

一般家庭のベランダだとあまり多いケースではないですが、外壁塗装と一緒に防水工事をしてもらうと、安く済むことがあります。

それは、足場を必要とする作業があるときです。

外壁塗装では、高所作業をするために家の周囲に足場を仮設します。足場代は20万円以上するのが普通で、かなり費用の割合が高いのです。

もし防水工事をするときに、足場が必要だと言われたら外壁塗装も検討してみましょう。

2つの工事が1度の足場仮設で済むので、20万円分が浮くことになります。

関連記事:外壁塗装の「足場」費用、単価や相場は? | ミツモア

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FRP防水は、防水性・耐久性に優れていて、小さめのベランダに最適な防水工法です。

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