ベランダにひび割れを見つけたとき、どうすればよいのでしょうか。
実はベランダの劣化症状は自宅の防水性を損ねてしまい、放っておくと雨漏りなどにつながることも。
この記事では、ベランダのひび割れが起こる原因、そして対策を紹介していきます。
ベランダにひび割れが起こる原因
ベランダの経年劣化
ベランダにひび割れが起こる主な原因は、紫外線や雨などの影響を受けて経年劣化することです。
ベランダの断面図は上の画像のようになっています。
下地のうえから防水工事をして「防水層」を形成。この防水層を保護するために上から「トップコート」をコーティングしています。
長期間にわたって紫外線を浴びけたり、雨などの影響を受けたりして、トップコートは徐々に劣化していき、ひび割れなどで現れることに。
「トップコートだけがひび割れしているなら安心」と思ってしまいがちですが、ひび割れから入り込んだ水分が防水層の機能を弱めてしまい、寿命を縮めます。
ちなみにトップコートの塗り替えは5年に1回程度が目安です。
下地(コンクリート)の乾燥収縮
コンクリートは、「乾燥収縮」という現象により、ひび割れを起こすことがあります。乾燥収縮は、コンクリート内の水分が減少することで発生する現象です。
ベランダの床にコンクリートを打つ際、工事をしやすくするために水分量をやや多めに含ませることがあります。
コンクリートが十分に固まった後で、過剰に水分が残っていると乾燥が続き収縮するため、ひび割れが発生するのです。
乾燥収縮は、コンクリートを打ち込んだ2~3カ月後に発生しやすく、余剰水分が多ければ2~3年間収縮し続けることもあります。
地震によって起こるひび割れ
地震によるひび割れの特徴は、経年劣化とは違いって最初から広く深いダメージを負う可能性があることです。
また、地震によるひび割れは、地震発生のときだけに起こるものばかりではありません。
地震で家屋全体に歪みが発生し、その歪みにベランダが耐えられなくなったタイミングでひび割れを起こすケースもあります。
ベランダのひび割れが深刻化すると……
ベランダの床にひび割れが起こると、ひび割れの部分から雨水が侵入します。
雨が降るたびに浸水することで、さらに深刻な症状につながるのです。主な症状は以下。自宅の状況を確認してみましょう。
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ベランダ表面の劣化部分は、次に防水層の劣化を引き起こします。日本家屋で主流のFRP防水は耐用年数が10~13年ですが、寿命を待たずして交換が必要になることも。
防水層が防水機能を失うと、次は雨漏りなどの症状が現れます。軒下からベランダの裏側を見たときに雨染みが付いていれば、深刻化している証拠です。
また内部をつたって、1階室内の天井から漏れ出すケースもあります。
ベランダのひび割れによる症状が「雨漏り」まで進んでいる時には、ほとんどの場合、内部の構造材は劣化が相当進んだ状態です。
鉄骨や鉄筋などにはサビが、木材であればカビや腐朽菌が発生していきます。鉄材・木材・コンクリートの腐食が限界まで進むと、ベランダの床が崩れたり、1階の天井が落下したりする恐れも。
とくに梅雨の季節など、雨の日が続く時期には、被害が拡大するスピードも速まります。ベランダに劣化症状を見つけたら、早めの対応を心掛けることが大切です。
ベランダのひび割れ補修・メンテナンス方法
基本的にベランダの補修やメンテナンスは、トップコート塗装と防水工事の2種類があります。
劣化がみられないときでも、トップコートの塗り替えは5年に1回程度、防水層の塗り替えは15年に1回程度が目安です。
まずはベランダの防水層を確認しよう
ベランダに使われる主な防水層は以下。
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FRP防水、そしてウレタン防水は、「塗膜防水」という種類に含まれる工法です。ベランダの下地にFRPやウレタンなどの塗料を流し込んで成形。
シート防水に比べて耐久性は劣りますが、ベランダの狭さに適しているため、主流となっています。
とくにFRP防水は、ベランダ防水でもっとも普及しています。繊維強化プラスチックを使った塗料で、固く耐久性に優れていますが、紫外線に弱いので定期メンテナンスが重要です。
一方のウレタン防水は、比較的安価で施工できます。耐衝撃性・防音性・弾性・柔軟性に優れていることも特徴です。
またシート防水は屋根に多用される防水層です。一般家庭ではめったに施工されませんが、30㎡以上の広いベランダでは使われる場合もあります。
トップコート塗装
5年に1回程度の定期メンテナンスのとき、また軽いふくれや剥がれなどの劣化症状には、トップコート塗装で対処します。
ベランダ自体の寿命は10~15年程度ですが、定期的にトップコート塗装をしていない場合は寿命が早まってしまうことに。
長持ちさせるためにも、定期メンテナンスを怠らないようにしましょう。
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まずは高圧洗浄で汚れを落とし、既存の塗装を剥がすために研磨していきます。研磨で粗い傷ができるので、塗料の密着性を高める効果も。
つぎに、表面の油分を落とすために「アストン」という物質を染みこませて拭いていきます。
そして塗装は2段階。下地と塗料とのあいだに接着剤のような効果があるプライマーを下塗り。そして最後に上塗りでトップコート剤を塗装します。
防水工事
トップコートを超えて防水層まで劣化が進んでいるときには、防水工事をする必要があります。
ベランダの場合は、FRP防水またはウレタン防水という、塗料を塗り詰めることで防水層を形成するのが一般的です。
代表的な工法に「通気緩衝工法」と「密着工法」の2つがありますが、おおまかな施工手順は以下です。
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通気緩衝工法の場合は、トップコート下の通気をよくするために、塗装前に「通気シート」を張り、内部の空気を逃がす「脱気筒」を設置するという工程があります。
ベランダのひび割れ補修、費用の目安は?
トップコート塗装の費用
トップコート塗装の費用は、防水層の種類によって前後します。
単価相場 | |
FRP防水 | 1,700~2,200円/㎡ |
ウレタン防水 | 1,600~1,700円/㎡ |
シート防水 | 900~1,500円/㎡ |
平均的な4㎡のベランダを塗装するとすれば、1~2万円あたりが単価相場です。ここに下地の補修や諸経費などが加わるため、トップコート塗装のみの場合は合計3~8万円前後を想定しておきましょう。
また外壁塗装とセットで依頼すると、トップコート塗装の費用は若干おさえられることもあるので、業者と相談してみましょう。
防水工事の費用
耐用年数 | 費用相場 | |
FRP防水 | 10~12年 | 4,000~8,000円/㎡ |
ウレタン防水 | 10~12年 | 4,000~6,000円/㎡ |
シート防水 | 10~15年 | 5,000~10,000円/㎡ |
劣化が進行していて防水層の補修が必要な場合は、上記のような費用相場です。
密着工法か通気緩衝工法かによっても若干の変化はありますが、下地の補修なども含めて10~15万程度はかかると考えておきましょう。
また下地まで劣化が到達している場合には、さらに補修が必要になるため、30万円以上かかることもあります。
DIY(トップコート塗装)の費用目安
トップコート(表面)だけがひび割れているときには、DIYで対応できます。
自分でトップコート塗装するときの費用は、基本的には道具をそろえるぶんだけです。
- 下塗り用プライマー
- トップコート塗料
- 養生シート、マスキングテープ
- ハケ、ローラーなど
- サンドペーパー
- バケツ
- マスク、雑巾など
これらをすべて揃えると、2万円前後です。高圧洗浄機を使いたい場合は、購入すると15,000円~がプラスされるため、費用を抑えたいなら業者依頼のほうがお得になる場合もあります。
ただ、防水工事が必要かどうか判断が難しい場合には、無理せず業者に依頼するのがおすすめです。
ベランダのひび割れ補修のとき業者を選ぶコツ
防水工事の実績が豊富な業者を選ぶ
ひび割れだけであれば対応可能な塗装業者は数多く存在します。しかし、その全てがベランダ防水工事の経験を持っているとは限りません。
ベランダ・屋上などの防水工事をおこなった実績が豊富な業者を選びましょう。
防水工事の現場経験が多いほど、気付きづらい排水溝の異変や、ひび割れの詳しい原因、雨漏りの兆候などをより的確に見抜いてくれます。
防水工事は、専門的な知識と優れた技術を必要とする工法です。施工費用が安いからといって適当に選ばず、実績重視で業者を選びましょう。
複数の業者から相見積もりを取る
ベランダのひび割れの補修費用は、業者により差が出ます。少なくとも3社以上から見積もりを取り、比較して選びましょう。
防水塗装の知識に乏しい一般の人にとって、費用や工事内容の妥当性を見極めるのは困難です。
複数の業者から見積を取り、内訳を詳しく説明してもらうことで、業者ごとに比較しやすくなり、より信頼できる業者も探しやすくなります。
また最も安い見積を出した業者が、最も信頼できる業者であるとは限りません。
たとえば作業工程を省いて「一式」の料金などになっているときは、防水工事に必要な工程が含まれておらず、追加料金が発生するというトラブルも考えられます。
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ベランダのひび割れは、トップコートの劣化やコンクリートの乾燥収縮などが原因で起こります。
ひび割れを放置すると、雨漏りの原因になるだけでなく、建物内部の劣化を引き起こす恐れもあります。
防水層まで劣化してしまうと補修費用がかさみやすいため、ベランダのひび割れを見つけたら、程度の大小にかかわらず早急に対応しましょう。
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